大村印刷、特殊トナーと用紙対応力で小ロット・高付加価値ニーズに対応
[Revoria Press PC1120導入事例]オフセットを凌駕する特色再現性を評価
2025年5月8日ケーススタディ
特殊トナーを駆使し多様な付加価値ニーズに応える
PC1120の用途としては、名刺、DM、チケット、チラシ、パッケージなどさまざま。バーコードやナンバリングといった可変要素の入った印刷物も多い。会社案内などの中綴じ冊子は、オプションのフィニッシャーによりインライン製本を行い、効率化を図っている。実運用の印象を徳本工場長はこう語る。
「PC1120は色味や表裏見当の変動が非常に少なく、小ロットカラー印刷の主力生産機として期待通りの品質・安定性を発揮してくれている。また、細かい文字などもくっきりと再現できる解像度の高さも大きな魅力。とくに書籍でそのメリットを実感している」
特殊トナーは、クリア、ホワイト、ピンク、ゴールド、シルバー、TX(テクスチャード)を導入し、多種多様な付加価値ニーズに対応できる体制を整えた。特色を使用した際の仕上がり品質について、高山課長は「Color1000Pressと比べても一段と向上しており、お客さまからの反応もいい」と評価する。
「以前、少部数の賞状の印刷でゴールドトナーを使用したが、その色味や質感をお客さまが大変気に入ってくださり、その後3,000枚を追加発注いただいた際にも、オフセットではなくPC1120で出力した。このように、通常であればオフセットで印刷する部数でも、PC1120を指定されるケースもある。また、人の肌の再現なども、ピンクトナーを使用することで『オフセットよりも発色がいい』と評価いただくことが多い」
エンボス紙や薄紙にも安定して出力
PC1120の優れた用紙対応力を活かし、エンボス系の特殊紙やフィルム素材などへの印刷もこなしている。
「最近は学習参考書などの書籍類も小ロットのものが増えており、しかも表紙やカバーにはオフセットでは刷りにくい特殊な紙を使うケースも多いため、さまざまな用紙に対応できるPC1120のメリットが活きている」(徳永氏)
また、エアーサクション給紙トレイにより、重送などのトラブルが起きやすい薄手のコート紙なども安定した出力が可能になったという。
「たとえば、医学系の論文を集めた冊子では、64g/平方メートルのコート紙で約600ページといった仕様があるが、エアー給紙のおかげでスムーズに出力できるようになった」(徳永氏)
一方、瞬発力の高さも大きなメリットにつながっている。これには毎分120ページという出力スピードに加え、従来機より一段と向上したRIP処理スピードによるところも大きい。さらにはこんなメリットも。
「営業部門から、『デザインと紙の風合いの組み合わせを何通りか見た上でお客さまに提案したい』とリクエストされることがあるが、そんなとき、すぐに数種類の紙をテスト出力して渡せるのも便利。また、オフセット印刷のジョブでも、お客さまに提示するサンプルの作成にPC1120を活用するケースがある」(高山課長)
オフセットとの最適な使い分けで、さらなる効率化を目指す
今後、同社は、PC1120の特長を活かした独自の付加価値提案に、さらに磨きをかけていく考えだ。
「PC1120を運用している製造本部では、名刺やラベルなどでどんな加飾ができるか、あるいは他にどんな印刷物の提案ができるか、特色や特殊紙なども使いながら日々模索している。それがわかってくると、デザイナーの発想も広がり、いままでにない遊び心のあるデザインを生み出せるようになる。それをお客さまへの提案に活かしていきたい」(徳本工場長)
一方で、検品作業の負荷軽減、品質保証の観点から、最新の検査装置の導入も検討している。
「PC1120の自動検査装置は、当初のものからバージョンアップしていると聞いている。オペレーターの育成などを考えても、できるだけ事故のリスクの少ない環境をつくりたいので、ぜひ導入したい。また、現物のチェックだけでなく、データとの照合検査もできるということなので、とくにナンバリングの検査などは大幅に効率化できるのではないかと期待している」(高山課長)
そして運用面では、「PC1120とオフセット機との最適な使い分けにより、印刷部門全体で生産性を高めていく」(徳本工場長)としている。
「最近はオフセット印刷でも小ロットの仕事が多くなり、ジョブ切り替えを頻繁に行うため稼働効率が低下傾向にある。そのため、デジタル機とオフセット機との分岐点などをあらためて検証し、より無駄のない生産を目指す必要があると感じている。また、デジタル印刷は、熟練の必要な作業がなく、クリーンな環境で、女性も含めて多様な人材が活躍できるという点でもメリットが大きいから、積極的に活用していきたい」
デジタルとオフセットの両輪による「生産工程全体の効率化」。そして、PC1120の表現力を活かした「新たな価値の創出」。さらなる高みを目指した不断の挑戦により、大村印刷はこれからも着実に進化を続けていく。
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「PC1120は色味や表裏見当の変動が非常に少なく、小ロットカラー印刷の主力生産機として期待通りの品質・安定性を発揮してくれている。また、細かい文字などもくっきりと再現できる解像度の高さも大きな魅力。とくに書籍でそのメリットを実感している」
特殊トナーは、クリア、ホワイト、ピンク、ゴールド、シルバー、TX(テクスチャード)を導入し、多種多様な付加価値ニーズに対応できる体制を整えた。特色を使用した際の仕上がり品質について、高山課長は「Color1000Pressと比べても一段と向上しており、お客さまからの反応もいい」と評価する。
「以前、少部数の賞状の印刷でゴールドトナーを使用したが、その色味や質感をお客さまが大変気に入ってくださり、その後3,000枚を追加発注いただいた際にも、オフセットではなくPC1120で出力した。このように、通常であればオフセットで印刷する部数でも、PC1120を指定されるケースもある。また、人の肌の再現なども、ピンクトナーを使用することで『オフセットよりも発色がいい』と評価いただくことが多い」
エンボス紙や薄紙にも安定して出力
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「最近は学習参考書などの書籍類も小ロットのものが増えており、しかも表紙やカバーにはオフセットでは刷りにくい特殊な紙を使うケースも多いため、さまざまな用紙に対応できるPC1120のメリットが活きている」(徳永氏)
また、エアーサクション給紙トレイにより、重送などのトラブルが起きやすい薄手のコート紙なども安定した出力が可能になったという。
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「営業部門から、『デザインと紙の風合いの組み合わせを何通りか見た上でお客さまに提案したい』とリクエストされることがあるが、そんなとき、すぐに数種類の紙をテスト出力して渡せるのも便利。また、オフセット印刷のジョブでも、お客さまに提示するサンプルの作成にPC1120を活用するケースがある」(高山課長)
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今後、同社は、PC1120の特長を活かした独自の付加価値提案に、さらに磨きをかけていく考えだ。
「PC1120を運用している製造本部では、名刺やラベルなどでどんな加飾ができるか、あるいは他にどんな印刷物の提案ができるか、特色や特殊紙なども使いながら日々模索している。それがわかってくると、デザイナーの発想も広がり、いままでにない遊び心のあるデザインを生み出せるようになる。それをお客さまへの提案に活かしていきたい」(徳本工場長)
一方で、検品作業の負荷軽減、品質保証の観点から、最新の検査装置の導入も検討している。
「PC1120の自動検査装置は、当初のものからバージョンアップしていると聞いている。オペレーターの育成などを考えても、できるだけ事故のリスクの少ない環境をつくりたいので、ぜひ導入したい。また、現物のチェックだけでなく、データとの照合検査もできるということなので、とくにナンバリングの検査などは大幅に効率化できるのではないかと期待している」(高山課長)
そして運用面では、「PC1120とオフセット機との最適な使い分けにより、印刷部門全体で生産性を高めていく」(徳本工場長)としている。
「最近はオフセット印刷でも小ロットの仕事が多くなり、ジョブ切り替えを頻繁に行うため稼働効率が低下傾向にある。そのため、デジタル機とオフセット機との分岐点などをあらためて検証し、より無駄のない生産を目指す必要があると感じている。また、デジタル印刷は、熟練の必要な作業がなく、クリーンな環境で、女性も含めて多様な人材が活躍できるという点でもメリットが大きいから、積極的に活用していきたい」
デジタルとオフセットの両輪による「生産工程全体の効率化」。そして、PC1120の表現力を活かした「新たな価値の創出」。さらなる高みを目指した不断の挑戦により、大村印刷はこれからも着実に進化を続けていく。
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