門那シーリング印刷(大阪)、除電機能で作業効率向上[Revoria Press PC1120導入事例]
こなせるジョブ量が3倍に〜パッケージ分野での活用も
2025年8月8日ケーススタディ
大阪を拠点に多種多様なシール・ラベルの製造を手がける門那シーリング印刷(株)(本社/大阪市西淀川区大野3-7-18門那宏徳社長)は、2023年9月に富士フイルムのプロダクションプリンター「Revoria Press PC1120」(以下「PC1120」)を導入し、除電機能を活用して生産効率アップを図るとともに、優れた用紙対応力・色再現性を活かしてパッケージなどの新規ジョブの獲得にも取り組んでいる。導入の経緯や具体的なメリットなどについて、代表取締役社長・門那宏徳氏、常務取締役兼製造部工場長・山﨑渉氏、製造部・髙山潤也氏に伺った。

社内一貫生産によるスピード対応で厚い信頼を獲得
門那シーリング印刷は、1976年、門那宏徳社長の父・門那進氏が奈良県で「門那シーリング印刷所」として創業したのが始まり。79年に大阪市へと拠点を移し、82年に法人化。以来、設備を拡充しながら堅調に成長を続けてきた。現在手がける製品としては、食品パッケージなどに貼付する商品表示シールから、販促用POPシール、キャラクターシール、案内表示ステッカー、フロアマットまで多岐にわたり、使用するメディアも上質紙からフィルム系までさまざま。生産設備も間欠凸版輪転印刷機、枚葉オフセット印刷機、デジタル印刷機(トナー機)、各種加工機を揃え、デザインから印刷、加工、梱包、発送までを社内で完結する一気通貫体制を確立している。今年3月には、本社を現住所に移転するとともに、それまで3ヵ所に分かれていた工場を1拠点に集約し、生産環境のさらなる効率化を図った。
「私どもの強みは、製造から梱包・発送までの全工程を短納期で完結できるよう、人や設備の体制を整えているところだと考えている。アイテムによっては人手による封入作業などを行うこともあるが、これらもすべて社内でこなすことができ、スピード対応が可能である。こうした点を評価いただいて多くのお客さまからお仕事をいただけている」(門那社長)
デジタル印刷への取り組みも、業界に先駆けて積極的に進めてきた。近年は他の印刷物と同様、シール・ラベル分野でも小ロット・短納期のニーズが確実に高まってきているが、同社ではそんな市場の流れに先んじて、かなり早い時期からデジタル印刷機を活用している。
「2008年にモノクロ機を入れ、大手家電メーカーの仕事などで活用し始めたのが最初。その後カラー機に入れ替え、徐々に活用の幅を広げていった」(門那社長)
一方で、ここ数年は品質に対する要求も厳しくなる傾向にあるという。
「最近、アニメキャラクターなどを使った小ロットのステッカーの受注が急激に増えてきた。コレクションアイテムとしてシリーズで販売するものや、イベント会場で来場者に配布するものなど、用途はさまざまだが、キャラクターものは色再現などにかなりシビアで、生産効率も追求しながら、如何に高い品質を提供できるかが重要になっている」(門那社長)
圧倒的な除電効果の高さが導入の決め手に
こうした背景から、「小ロット・短納期・高品質」の要望に応えられる新たな生産機を検討していた同社。当初は、ロールタイプのデジタル印刷機を検討していたという。そこからどのような流れでPC1120の導入に至ったのだろうか。
「シール印刷はロールメディアを使う仕事が多いので、実はPC1120を導入する直前まで、ロールタイプの機種を考えていた。ところが、ある大手のお客さまから、枚葉で月間10万ショット単位の受注をいただき、既存のPOD機ではこなしきれない状況になったため、急遽、枚葉タイプの導入が必要になった。そこで、タック紙などが安定して出力でき、スピードと品質に優れ、さまざまな付加価値がつけられるマシンはないだろうかと検討している中で、最有力候補に挙がったのが、以前FFGSのショールームで見せていただいたPC1120だった」(山﨑常務)
他メーカーの同クラスのデジタル機も比較検討したそうだが、最終的にPC1120を選んだ理由について、山﨑常務はこう説明する。
「決め手になったのは、静電気除去装置。当社ではタック紙だけでなくアルミ蒸着のフィルムなども通すことが多く、いままでは帯電の影響で紙詰まりが起きたり、出力されたフィルム同士が貼りついたりして、かなりの手間がかかっていた。それだけに、PC1120の除電機能は大きな魅力だった。実際にデモを見たが、同様の機能を持った他メーカーの機種と比べても、効果の高さは圧倒的だった」

現場の課題となっていた静電気トラブルを解消できそうであること、そして、品質や生産性、用紙対応力などにおいても同社の要件を充分に満たせるとの判断からPC1120の導入を決定した。
さらに、導入にあたっては、生産効率を最大限に高めるため、FFGSからの提案でジョブ分析を実施。受注している仕事の内容や現場での作業時間などをあらためて把握し、改善点を見える化した。
「オフセット機とPC1120へのジョブの振り分けを最適化するために、まず現在の状況を詳しく調べてみませんか?という提案をFFGSからいただいた。それは私もしっかり知っておきたいところだったので、お願いすることにした。オペレーターがどんな作業をどれくらいの時間でこなしているか、といった記録を約2ヵ月分提出して、分析していただいた。その報告書を見ると、オフセット印刷のどんなところで生産性が落ちているのか、どの作業でオペレーターによる時間のバラツキが大きくなっているのか、どのジョブをオフセットからデジタルに切り替えると効率が上がるのか、といったことがわかりやすくまとめられていて、非常に勉強になった」(山﨑常務)
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社内一貫生産によるスピード対応で厚い信頼を獲得
門那シーリング印刷は、1976年、門那宏徳社長の父・門那進氏が奈良県で「門那シーリング印刷所」として創業したのが始まり。79年に大阪市へと拠点を移し、82年に法人化。以来、設備を拡充しながら堅調に成長を続けてきた。現在手がける製品としては、食品パッケージなどに貼付する商品表示シールから、販促用POPシール、キャラクターシール、案内表示ステッカー、フロアマットまで多岐にわたり、使用するメディアも上質紙からフィルム系までさまざま。生産設備も間欠凸版輪転印刷機、枚葉オフセット印刷機、デジタル印刷機(トナー機)、各種加工機を揃え、デザインから印刷、加工、梱包、発送までを社内で完結する一気通貫体制を確立している。今年3月には、本社を現住所に移転するとともに、それまで3ヵ所に分かれていた工場を1拠点に集約し、生産環境のさらなる効率化を図った。
「私どもの強みは、製造から梱包・発送までの全工程を短納期で完結できるよう、人や設備の体制を整えているところだと考えている。アイテムによっては人手による封入作業などを行うこともあるが、これらもすべて社内でこなすことができ、スピード対応が可能である。こうした点を評価いただいて多くのお客さまからお仕事をいただけている」(門那社長)
デジタル印刷への取り組みも、業界に先駆けて積極的に進めてきた。近年は他の印刷物と同様、シール・ラベル分野でも小ロット・短納期のニーズが確実に高まってきているが、同社ではそんな市場の流れに先んじて、かなり早い時期からデジタル印刷機を活用している。
「2008年にモノクロ機を入れ、大手家電メーカーの仕事などで活用し始めたのが最初。その後カラー機に入れ替え、徐々に活用の幅を広げていった」(門那社長)
一方で、ここ数年は品質に対する要求も厳しくなる傾向にあるという。
「最近、アニメキャラクターなどを使った小ロットのステッカーの受注が急激に増えてきた。コレクションアイテムとしてシリーズで販売するものや、イベント会場で来場者に配布するものなど、用途はさまざまだが、キャラクターものは色再現などにかなりシビアで、生産効率も追求しながら、如何に高い品質を提供できるかが重要になっている」(門那社長)
圧倒的な除電効果の高さが導入の決め手に
こうした背景から、「小ロット・短納期・高品質」の要望に応えられる新たな生産機を検討していた同社。当初は、ロールタイプのデジタル印刷機を検討していたという。そこからどのような流れでPC1120の導入に至ったのだろうか。
「シール印刷はロールメディアを使う仕事が多いので、実はPC1120を導入する直前まで、ロールタイプの機種を考えていた。ところが、ある大手のお客さまから、枚葉で月間10万ショット単位の受注をいただき、既存のPOD機ではこなしきれない状況になったため、急遽、枚葉タイプの導入が必要になった。そこで、タック紙などが安定して出力でき、スピードと品質に優れ、さまざまな付加価値がつけられるマシンはないだろうかと検討している中で、最有力候補に挙がったのが、以前FFGSのショールームで見せていただいたPC1120だった」(山﨑常務)
他メーカーの同クラスのデジタル機も比較検討したそうだが、最終的にPC1120を選んだ理由について、山﨑常務はこう説明する。
「決め手になったのは、静電気除去装置。当社ではタック紙だけでなくアルミ蒸着のフィルムなども通すことが多く、いままでは帯電の影響で紙詰まりが起きたり、出力されたフィルム同士が貼りついたりして、かなりの手間がかかっていた。それだけに、PC1120の除電機能は大きな魅力だった。実際にデモを見たが、同様の機能を持った他メーカーの機種と比べても、効果の高さは圧倒的だった」

現場の課題となっていた静電気トラブルを解消できそうであること、そして、品質や生産性、用紙対応力などにおいても同社の要件を充分に満たせるとの判断からPC1120の導入を決定した。
さらに、導入にあたっては、生産効率を最大限に高めるため、FFGSからの提案でジョブ分析を実施。受注している仕事の内容や現場での作業時間などをあらためて把握し、改善点を見える化した。
「オフセット機とPC1120へのジョブの振り分けを最適化するために、まず現在の状況を詳しく調べてみませんか?という提案をFFGSからいただいた。それは私もしっかり知っておきたいところだったので、お願いすることにした。オペレーターがどんな作業をどれくらいの時間でこなしているか、といった記録を約2ヵ月分提出して、分析していただいた。その報告書を見ると、オフセット印刷のどんなところで生産性が落ちているのか、どの作業でオペレーターによる時間のバラツキが大きくなっているのか、どのジョブをオフセットからデジタルに切り替えると効率が上がるのか、といったことがわかりやすくまとめられていて、非常に勉強になった」(山﨑常務)
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