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総合印刷髙永、「デジタルの髙永」へ〜インプレミアIS29を2台導入

2021年9月30日ケーススタディ

 創業時から大手スーパーマーケットのチラシの輪転印刷をメインとし、顧客の成長とともに業績を伸ばしてきた(株)総合印刷髙永(本社/兵庫県神戸市、髙永好政社長)。新聞離れによるチラシ減少が急速に進む中、「デジタルの髙永」を掲げ、業態の変革を進めている。その同社は2019年頭に「デジタル開発室」を設立、2月にインプレミアIS29(29インチ枚葉UVインクジェットデジタルプリンティングシステム)2台と、ユークリッド(デジタルカッティング&クリーシングシステム)を導入した。導入の背景と効果について、髙永社長、デジタル事業部の奥村彰朗主任、伊藤彩華氏、川端菜那氏に聞いた。
髙永 社長

インプレミアIS29で新しい事業領域をつくる

 6台の輪転機と2台の枚葉機を保有し、チラシ、ポスター、カレンダー、パンフレットの印刷を事業の中心に据えてきた同社は今、業態変革の真っただ中にある。

 「広告代理業務やインターネットのホームページの販売・管理・運営業務など、複数の事業ドメインを持っているが本業の商印・オフセット印刷が、新聞の購読の激減などを背景に先行きが不透明になっている」と話す髙永社長。これまで取り組んでこなかった新しい分野への挑戦を「産業革命」と位置付け、まずデジタル機で挑戦することを決意し、「チラシ・紙媒体の髙永」から「デジタルの髙永」へと変革の舵を切った。

 「大ロットの紙の印刷は得意だが、デジタル印刷機でのシールやPET素材の印刷は未経験であった。この新しい分野への挑戦を本格化するため、『デジタル事業部』 を設立した。『未経験』とはいえ、ゼロからのスタートではない。創業以来大手スーパーマーケットのチラシ印刷で培ってきた品質や納品までの一貫した流れの管理のノウハウが生きると考えている」

 デジタル事業部は、西坂常務執行役員をトップに就け、若手を中心に構成。デジタル機を使った新しい事業領域をつくり出すのが最重要ミッションだ。また、変革の中心には、インプレミアIS29を据えた。

 「UVで両面機、色域の広さ、B2まで対応している点からインプレミアIS29を選択した。導入に先駆けて、KGC(小森グラフィックテクノロジーセンター)でタックシールのテストを実施し、問題ないことを確認した。輪転機とのカラーマッチングも最高によかったし、他にもさまざまな商材のテストを行い、その結果を見て2台導入することを決定した」

ユークリッドと合わせて活用しパッケージやシールを内製化

 2台のインプレミアIS29と同時に、ユークリッド(デジタルカッティング&クリーシングシステム)日本初号機も導入。現在、若手の女性からなる商品開発部門が、両機を活用してさまざまな試作に取り組んでおり、髙永社長は「日々の経験の積み重ねが当社の財産になる。オンラインショップも立ち上げて展開し始めました。デジタルを生かす商品を開発して売っていきたい」と期待する。
インプレミアIS29とデジタル事業部のメンバー
 インプレミアIS29の日々の運用については、パッケージやシールなど、外注していたメニューや販促物を内製するようになった。

 「0.06〜0.6まで紙厚適性があり、ユークリッドと組み合わせることで、さまざまな案件を取り込める。校正機としてではなく、あくまで色域の広さ、バリアブル、厚紙対応、紙以外の素材への対応など、インプレミアIS29でしかできないことを探していかなくてはならないと考えている」

 機構については「フィーダー・デリバリー部は、KOMORIの枚葉機の知見と技術がつぎ込まれているので安心。両面印刷も色も安定している」と評価。さらに「最新の枚葉機や輪転機は技術の進化が素晴らしいが、一人前のオペレーターを育てるのに5年程度かかる。インプレミアIS29は、少しのトレーニングで誰でも簡単なボタン操作で1枚目からOKシートが出せる。人手不足の問題、技術継承の問題がますます大きくなっていく中、絶対に必要な機械だと確信している」と、人材確保における効果も期待する。

 現場のオペレーターは、どのように評価しているのか。同機を担当するデジタル事業部の奥村主任は、次のように語る。

 「タックシールとPET素材のシールなどの印刷テストをしているが、UVの速乾性の高さを実感し、短納期化できることを期待している。また、RGBのすべてには対応できてはいないが、オフセットインキよりもはるかに色域が広く、あまりにも色がきれいなので驚いている。これまで当社で刷れなかった印刷物、PETやプラスチック、キャンバス生地、布地など、これまでにない商品をつくることで、会社の発展につながると思う」

 また、デジタル事業部の川端氏は、「4月に入社後、インプレミアIS29の担当になり、デジタル印刷のことを勉強しながら、操作の練習をしている」と、また、同事業部の伊藤氏は、「インプレミアIS29とユークリッドを担当している。操作は、PODとそれほど変わりなく、簡単に操作できる」と、それぞれ感想を述べている。

5年で業態変革を形にして次世代にバトンタッチ

 髙永社長が進める業態変革は、まだ始まったばかりだが、インプレミアIS29とユークリッドの導入により着実に歩みを進めている。
インプレミアIS29で刷り、ユークリッドで抜いた試作品
 「インプレミアIS29とユークリッドを使った実際の仕事もすでに始まっているが、2021年が勝負となる。BtoB、BtoCの新たなビジネスモデルをつくっていきたい。従来の当社は大ロットの商品を扱ってきたが、これからはデジタルを生かすバリアブル、小ロット、短納期の生産力を確立して、ニッチな分野にも挑戦していける夢のある機械である。しかし、小ロット・バリアブルでジョブ数をこなしていかなければ利益が出ないという課題もある。簡単ではないが、やっていかなければならない。次の世代に安心してバトンタッチできるよう、ここ5年必死で進めていく。それが私の仕事である」と、新分野への意欲を語った。

 なお、KOMORIでは、総合印刷髙永のインタビュー動画(YouTube)を公開している。

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 創業時から大手スーパーマーケットのチラシの輪転印刷をメインとし、顧客の成長とともに業績を伸ばしてきた(株)総合印刷髙永(本社/兵庫県神戸市、髙永好政社長)。新聞離れによるチラシ減少が急速に進む中、「デジタルの髙永」を掲げ、業態の変革を進めている。その同社は2019年頭に「デジタル開発室」を設立、2月にインプレミアIS29(29インチ枚葉UVインクジェットデジタルプリンティングシステム)2台と、ユークリッド(デジタルカッティング&クリーシングシステム)を導入した。導入の背景と効果について、髙永社長、デジタル事業部の奥村彰朗主任、伊藤彩華氏、川端菜那氏に聞いた。
髙永 社長

インプレミアIS29で新しい事業領域をつくる

 6台の輪転機と2台の枚葉機を保有し、チラシ、ポスター、カレンダー、パンフレットの印刷を事業の中心に据えてきた同社は今、業態変革の真っただ中にある。

 「広告代理業務やインターネットのホームページの販売・管理・運営業務など、複数の事業ドメインを持っているが本業の商印・オフセット印刷が、新聞の購読の激減などを背景に先行きが不透明になっている」と話す髙永社長。これまで取り組んでこなかった新しい分野への挑戦を「産業革命」と位置付け、まずデジタル機で挑戦することを決意し、「チラシ・紙媒体の髙永」から「デジタルの髙永」へと変革の舵を切った。

 「大ロットの紙の印刷は得意だが、デジタル印刷機でのシールやPET素材の印刷は未経験であった。この新しい分野への挑戦を本格化するため、『デジタル事業部』 を設立した。『未経験』とはいえ、ゼロからのスタートではない。創業以来大手スーパーマーケットのチラシ印刷で培ってきた品質や納品までの一貫した流れの管理のノウハウが生きると考えている」

 デジタル事業部は、西坂常務執行役員をトップに就け、若手を中心に構成。デジタル機を使った新しい事業領域をつくり出すのが最重要ミッションだ。また、変革の中心には、インプレミアIS29を据えた。

 「UVで両面機、色域の広さ、B2まで対応している点からインプレミアIS29を選択した。導入に先駆けて、KGC(小森グラフィックテクノロジーセンター)でタックシールのテストを実施し、問題ないことを確認した。輪転機とのカラーマッチングも最高によかったし、他にもさまざまな商材のテストを行い、その結果を見て2台導入することを決定した」

ユークリッドと合わせて活用しパッケージやシールを内製化

 2台のインプレミアIS29と同時に、ユークリッド(デジタルカッティング&クリーシングシステム)日本初号機も導入。現在、若手の女性からなる商品開発部門が、両機を活用してさまざまな試作に取り組んでおり、髙永社長は「日々の経験の積み重ねが当社の財産になる。オンラインショップも立ち上げて展開し始めました。デジタルを生かす商品を開発して売っていきたい」と期待する。
インプレミアIS29とデジタル事業部のメンバー
 インプレミアIS29の日々の運用については、パッケージやシールなど、外注していたメニューや販促物を内製するようになった。

 「0.06〜0.6まで紙厚適性があり、ユークリッドと組み合わせることで、さまざまな案件を取り込める。校正機としてではなく、あくまで色域の広さ、バリアブル、厚紙対応、紙以外の素材への対応など、インプレミアIS29でしかできないことを探していかなくてはならないと考えている」

 機構については「フィーダー・デリバリー部は、KOMORIの枚葉機の知見と技術がつぎ込まれているので安心。両面印刷も色も安定している」と評価。さらに「最新の枚葉機や輪転機は技術の進化が素晴らしいが、一人前のオペレーターを育てるのに5年程度かかる。インプレミアIS29は、少しのトレーニングで誰でも簡単なボタン操作で1枚目からOKシートが出せる。人手不足の問題、技術継承の問題がますます大きくなっていく中、絶対に必要な機械だと確信している」と、人材確保における効果も期待する。

 現場のオペレーターは、どのように評価しているのか。同機を担当するデジタル事業部の奥村主任は、次のように語る。

 「タックシールとPET素材のシールなどの印刷テストをしているが、UVの速乾性の高さを実感し、短納期化できることを期待している。また、RGBのすべてには対応できてはいないが、オフセットインキよりもはるかに色域が広く、あまりにも色がきれいなので驚いている。これまで当社で刷れなかった印刷物、PETやプラスチック、キャンバス生地、布地など、これまでにない商品をつくることで、会社の発展につながると思う」

 また、デジタル事業部の川端氏は、「4月に入社後、インプレミアIS29の担当になり、デジタル印刷のことを勉強しながら、操作の練習をしている」と、また、同事業部の伊藤氏は、「インプレミアIS29とユークリッドを担当している。操作は、PODとそれほど変わりなく、簡単に操作できる」と、それぞれ感想を述べている。

5年で業態変革を形にして次世代にバトンタッチ

 髙永社長が進める業態変革は、まだ始まったばかりだが、インプレミアIS29とユークリッドの導入により着実に歩みを進めている。
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 「インプレミアIS29とユークリッドを使った実際の仕事もすでに始まっているが、2021年が勝負となる。BtoB、BtoCの新たなビジネスモデルをつくっていきたい。従来の当社は大ロットの商品を扱ってきたが、これからはデジタルを生かすバリアブル、小ロット、短納期の生産力を確立して、ニッチな分野にも挑戦していける夢のある機械である。しかし、小ロット・バリアブルでジョブ数をこなしていかなければ利益が出ないという課題もある。簡単ではないが、やっていかなければならない。次の世代に安心してバトンタッチできるよう、ここ5年必死で進めていく。それが私の仕事である」と、新分野への意欲を語った。

 なお、KOMORIでは、総合印刷髙永のインタビュー動画(YouTube)を公開している。

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