キーワードで検索

コダック、パッケージ分野で新アプリケーション開拓へ

[PROSPERヘッド]ヘッドを千鳥配列で印字幅拡張

2025年9月30日製品・テクノロジースペシャリスト

 最速900メートル/分の超高速印刷が可能なPROSPERヘッドは、日本でもDM市場を中心に数百台が稼働しているが、コダックジャパン・プリント事業部デジタルプリンティング営業本部の河原一郎本部長は、「パッケージ分野を中心とした新たなアプリケーション開拓のフェーズに入っている」と語る。今回、河原本部長にアジアパシフィックにおけるインプリンティング分野の傾向や事例について聞いた。

河原 本部長


PROSPERヘッド事業の55%が「宝くじ」

 コダックのPROSPERヘッドのコア技術となっているのがコンティニュアス方式のプリントヘッド技術。この技術を採用しているのはコダックのみで、他の世界的なインクジェットメーカーは、すべてドロップ・オン・デマンド(DOD)方式を採用している。

 このコンティニュアス方式でも、第3世代のSTREAM技術と第4世代のULTRASTREAM技術とでは、ドロップを生成するテクノロジーは同様であるものの、制御方法が異なる。

 STREAM技術は、大小のドロップを均一に落とし、小さいドロップを風で飛ばして再循環用に回収し、大きなドロップを落としてイメージを形成する。これに対し、第4世代となるULTRASTREAMはその逆。大きいドロップに電荷をチャージして抜き取り、小さいドロップを落としてイメージを形成する。この技術により、インクサイズはSTREAMのおよそ1/3になり、インクドロップの再現性に優れることから、粒状性のある高解像度の品質で高速印刷できるわけだ。

 「これらコンティニュアス方式は、DOD方式と比べてドットのサイズやシェイプ、繰り返し精度において大きなアドバンテージがある」(河原本部長)

 さらに昨年のdrupa2024で発表された「PROSPERプリントバー」は、この「PROSPERヘッド」の拡張アプリケーションで、PROSPERヘッドを千鳥配列することで印字幅を拡張。モノクロなら最大4ヘッドで407.4ミリ幅、フルカラーなら最大3ヘッド(4色で計12ヘッド)で306.8ミリ幅までのバリアブル印刷が可能である。

PROSPERプリントバー

 インクは、環境に優しい水性顔料インクとして、食品包装規格に対応したパッケージ用インクや人肌に直接触れても問題の起きないパーソナルケア用インクも新たに発表されている。

 河原本部長は、「コダックのソフトウェアを改良し、ヘッドとヘッドの境目を判別しづらくすることで幅広印刷が可能になっている。世界的には9インチのヴァーサマークヘッドの置き換え需要として案件がある」と説明する。

 一方、第4世代のULTRASTREAM技術を使ったフルカラープレスの開発も終了しつつあるという。コダックは、紙器やフレキシブルパッケージング分野に向けて日本のメーカーと開発を進めており、パイロットユーザーの選定も並行して進めているようだ。

 コダックのアジアパシフィックにおけるPROSPERヘッドの事業は、2024年の目標値をクリアし、2025年も多くの具体的な案件が進行中だという。

 とくに「宝くじ」のマーケットでは独占状態にあり、一昨年はタイ、昨年は中国や韓国、ベトナムで大きな実績を挙げ、アジアのほとんどの国で「宝くじ」にPROSPERヘッドが採用されている。2025年もアジアにおけるPROSPERヘッド事業は、100台以上の市場を想定しており、その55%をこの「宝くじ」が占める。また、DM分野では高品質が要求される日本市場において、宛名印字の大量処理で多くのPROSPERヘッドが採用されている。あと、バーコードやナンバリングなど、バリアブルコードを印刷するセキュリティ分野が10%を占める。

 そして現在、新しいターゲットセグメントとしてアプリケーション開発に注力しているのが、パーソナルケア、紙器パッケージ、フレキシブルパッケージの3分野だ。「おむつなどの製造ラインにプリントヘッドをインライン化して直接印刷するパーソナルケア分野は、大手ブランドでもグローバルレベルで印刷の内製化を進めている」(河原本部長)

2025年 PROSPERヘッド事業の分野別比率

新着トピックス

mimaki_ujv300dtf-75_ij25_tn.jpg

ミマキ、UV-DTF市場に参入〜プリント形状の課題を解決

2025年10月1日製品・テクノロジー

 産業⽤インクジェットプリンタ、カッティングプロッタ、3Dプリンタを手掛ける(株)ミマキエンジニアリング(本社/長野県東御市、池田和明社長)は今年4月、同社初のUV-DTF(UV硬化式...全文を読む

2025_ij_colony_is29s_20250918_tn.jpg

青森県コロニー協会、多様性のある職場環境の構築を支援 [インプレミアIS29s導入事例]

2025年9月30日ケーススタディ

 青森県青森市に拠点を構える社会福祉法人青森県コロニー協会のセルプステーション青森は、身体障がい者福祉工場として1977年に設立された。障がい者雇用を継続・拡充するために、さまざまな事...全文を読む

最新ニュース

screen_kyotogeidai_gekkeikan_tn.jpg

SCREEN、京都芸大・月桂冠と産学連携 - 学生デザインラベルの日本酒商品化

2025年10月8日

 京都市立芸術大学(以下「京都芸大」)、月桂冠(株)、(株)SCREENグラフィックソリューションズ(以下「SCREEN」)の3者は、産学連携による共同プロジェクトを実施し、京都芸大・...全文を読む

33mimaki251001_tn.jpg

ミマキ、OGBS2025で昇華転写用IJプリンタ「TS200」を国内初披露

2025年10月2日

 (株)ミマキエンジニアリング(本社/長野県東御市、池田和明社長)は、9月30日と10月1日に東京・池袋のサンシャインシティにおいて開催されたオーダーグッズビジネスショー(OGBS)2...全文を読む

swissQ251001_tn.jpg

swissQprint Japan、VIPオープンハウスウィーク-10月28日〜31日

2025年10月1日

 swissQprint Japan(株)(本社/横浜市港北区新横浜3-2-6、アドリアーノ・グット社長)は、顧客の要望に応え、最新世代のフラットベッドプリンタを紹介するオープンハウス...全文を読む

コダック、パッケージ分野で新アプリケーション開拓へ

[PROSPERヘッド]ヘッドを千鳥配列で印字幅拡張

2025年9月30日製品・テクノロジースペシャリスト

  • twitter
  • facebook
  • line

 最速900メートル/分の超高速印刷が可能なPROSPERヘッドは、日本でもDM市場を中心に数百台が稼働しているが、コダックジャパン・プリント事業部デジタルプリンティング営業本部の河原一郎本部長は、「パッケージ分野を中心とした新たなアプリケーション開拓のフェーズに入っている」と語る。今回、河原本部長にアジアパシフィックにおけるインプリンティング分野の傾向や事例について聞いた。

河原 本部長


PROSPERヘッド事業の55%が「宝くじ」

 コダックのPROSPERヘッドのコア技術となっているのがコンティニュアス方式のプリントヘッド技術。この技術を採用しているのはコダックのみで、他の世界的なインクジェットメーカーは、すべてドロップ・オン・デマンド(DOD)方式を採用している。

 このコンティニュアス方式でも、第3世代のSTREAM技術と第4世代のULTRASTREAM技術とでは、ドロップを生成するテクノロジーは同様であるものの、制御方法が異なる。

 STREAM技術は、大小のドロップを均一に落とし、小さいドロップを風で飛ばして再循環用に回収し、大きなドロップを落としてイメージを形成する。これに対し、第4世代となるULTRASTREAMはその逆。大きいドロップに電荷をチャージして抜き取り、小さいドロップを落としてイメージを形成する。この技術により、インクサイズはSTREAMのおよそ1/3になり、インクドロップの再現性に優れることから、粒状性のある高解像度の品質で高速印刷できるわけだ。

 「これらコンティニュアス方式は、DOD方式と比べてドットのサイズやシェイプ、繰り返し精度において大きなアドバンテージがある」(河原本部長)

 さらに昨年のdrupa2024で発表された「PROSPERプリントバー」は、この「PROSPERヘッド」の拡張アプリケーションで、PROSPERヘッドを千鳥配列することで印字幅を拡張。モノクロなら最大4ヘッドで407.4ミリ幅、フルカラーなら最大3ヘッド(4色で計12ヘッド)で306.8ミリ幅までのバリアブル印刷が可能である。

PROSPERプリントバー

 インクは、環境に優しい水性顔料インクとして、食品包装規格に対応したパッケージ用インクや人肌に直接触れても問題の起きないパーソナルケア用インクも新たに発表されている。

 河原本部長は、「コダックのソフトウェアを改良し、ヘッドとヘッドの境目を判別しづらくすることで幅広印刷が可能になっている。世界的には9インチのヴァーサマークヘッドの置き換え需要として案件がある」と説明する。

 一方、第4世代のULTRASTREAM技術を使ったフルカラープレスの開発も終了しつつあるという。コダックは、紙器やフレキシブルパッケージング分野に向けて日本のメーカーと開発を進めており、パイロットユーザーの選定も並行して進めているようだ。

 コダックのアジアパシフィックにおけるPROSPERヘッドの事業は、2024年の目標値をクリアし、2025年も多くの具体的な案件が進行中だという。

 とくに「宝くじ」のマーケットでは独占状態にあり、一昨年はタイ、昨年は中国や韓国、ベトナムで大きな実績を挙げ、アジアのほとんどの国で「宝くじ」にPROSPERヘッドが採用されている。2025年もアジアにおけるPROSPERヘッド事業は、100台以上の市場を想定しており、その55%をこの「宝くじ」が占める。また、DM分野では高品質が要求される日本市場において、宛名印字の大量処理で多くのPROSPERヘッドが採用されている。あと、バーコードやナンバリングなど、バリアブルコードを印刷するセキュリティ分野が10%を占める。

 そして現在、新しいターゲットセグメントとしてアプリケーション開発に注力しているのが、パーソナルケア、紙器パッケージ、フレキシブルパッケージの3分野だ。「おむつなどの製造ラインにプリントヘッドをインライン化して直接印刷するパーソナルケア分野は、大手ブランドでもグローバルレベルで印刷の内製化を進めている」(河原本部長)

2025年 PROSPERヘッド事業の分野別比率

新着トピックス

新着ニュース

PAGE TOP