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価値あるジョブを増力化するワークフローとは

デジタル印刷活用が鍵 〜 FFGSワークフロー営業部 佐々木健至部長に聞く

2018年3月31日スペシャリスト

 デジタル印刷機の導入が進む中、ただ単に「オフセット印刷の置き換え」と考えるとでは利益は出ない。富士フイルムグループでは、その課題解決策として、価値あるジョブの増力化と省力化を実現するデジタルワークフローを提案している。そこで今回、富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ(株)(辻重紀社長、以下「FFGS」)ワークフロー営業部の佐々木健至部長に、オフセット印刷とデジタル印刷の特性を活かした新規ジョブ獲得の仕組み作りと、印刷業務の見える化を実現するワークフローについて話を聞いた。


連動性も持たせたデジタル印刷とオフセット印刷の使い分け

佐々木部長 印刷業界の窮状は言うまでもなく、とくに出版印刷の縮小傾向は顕著である。その中でひとつの課題は、主要経費に占める人件費の割合が大きいということ。一方で、市場では、少部数化、単価下落、短納期化への要求がこれまで以上に求められる傾向にあり、いまの人員で生産性を大きく上げることが必要になってくる。
 また、利益を維持するためには製造工程を自動化・省人化するとともに、業務の見える化による素早い経営判断、さらに付加価値の高いジョブを増やしていく必要がある。そのためには、やはりデジタル印刷の活用が有効となる。
 オフセット印刷によるハイボリュームのマスマーケティングは、デジタルマーケティングの進展とともに厳しい評価が下されるケースが増えている。そこで「デジタル印刷活用」ということになるわけだが、ただ単に「オフセット印刷の置き換え」では、その需要をカバーできる領域が少なく、そこを無理に広げようとしても投資増となり、利益は出ない。
 そこで我々富士フイルムグループでは、「多種多様なインプット」「ミスなく」「自動化」「見える化」といった要素を構築し、価値あるジョブの増力化と省力化を実現するデジタルワークフローを提案している。
 具体的に言うと、「多種多様なインプット」とは、クライアントの課題を捉えたデータの取り込みで、この中には、マーケティング・オートメーション(MA)やバリアブル、Web to Printなどの仕組みが含まれる。「クライアントの課題解決」という視点がポイントだ。
 一方、小ロットになればなるほど、ちょっとしたミスですぐ利益が飛んでしまう。「ミスなく」「自動化」「見える化」というキーワードは、原価管理と省人化の仕組みを構築し、かつデジタル印刷とオフセット印刷をうまく使い分け、シナジー効果を生み出すことがポイントとなる。
 オフセットとデジタルの使い分けとは、ただ単に「受注ロット」を基準に割り振りするのではなく、オフセット印刷を起点にデジタル印刷で、またデジタル印刷を起点にオフセット印刷で高付加価値を提供するなど、互いが連動するような使い分けがポイントになる。
 これらを踏まえ、我々と富士ゼロックスが協業し、ワークフロー、プリンタを含めた富士フイルムグループとしてのトータルソリューションを展開している。
デジタル印刷を取り入れた生産ライン

発注を変える

 ボタンを押すだけであらかじめ設定しておいた商品を自動注文してくれるIoTデバイス「Amazon Dash Button」。これと同様の仕組みで印刷会社がクライアントの発注を変えている事例がある。
 今年2月に開催されたpage2018のセミナーで、我々はデジタル印刷で価値あるジョブを創造するサービスとして、「カタログ棚の管理」「名刺発注の簡素化」「PPT資料のリデザイン」「DM自動発送」という事例を提示させていただいた。
 「カタログ棚の管理」では、カタログに発注用のQRコードを入れておいて、それをスマホやタブレットで読み込んで発注するという仕組み。「名刺発注の簡素化」も同様、名刺を撮影するだけで発注できる仕組みだ。これらは、印刷会社がクライアントに「発注の仕組み」を提供することで信頼を得て、入り込むことができる事例である。
 一方、「PPT資料のリデザイン」とは、例えば何百万円もする製品の提案書であっても非常にチープなものになっていたりすることから、そこで印刷会社がプロとしてリデザインするというニーズは結構ある。こういうところでもデジタル印刷が戦力になる。
 さらに「DM自動発送」とは、MAツールから自動発注するような仕組みのこと。だが、かなり難易度は高いが、。これらを仕組みとして回すことで「印刷業者→パートナー」に格上げされることになる。
 また、今後の可能性としてデジタルサイネージと紙メディアの連携も想定される。「紙のカタログ配布は無駄」という観点からデジタルサイネージ化が見られるが、そうではない。連携することで集客に繋げることができる。
 デジタルサイネージは、「会員登録させる」という部分で敷居が高い。デジタルサイネージでカタログなどをダウンロードさせ、そこから会員登録させるフェーズまでもっていく際に、印刷物がその橋渡し役として機能することで、紙とデジタルの連携による価値を生み出すことができる。
 富士フイルムグループでは、デジタル印刷の上流の仕組みを活用して、これらを実現することを目指し、課題解決、運用支援を行っている。

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連動性も持たせたデジタル印刷とオフセット印刷の使い分け

佐々木部長 印刷業界の窮状は言うまでもなく、とくに出版印刷の縮小傾向は顕著である。その中でひとつの課題は、主要経費に占める人件費の割合が大きいということ。一方で、市場では、少部数化、単価下落、短納期化への要求がこれまで以上に求められる傾向にあり、いまの人員で生産性を大きく上げることが必要になってくる。
 また、利益を維持するためには製造工程を自動化・省人化するとともに、業務の見える化による素早い経営判断、さらに付加価値の高いジョブを増やしていく必要がある。そのためには、やはりデジタル印刷の活用が有効となる。
 オフセット印刷によるハイボリュームのマスマーケティングは、デジタルマーケティングの進展とともに厳しい評価が下されるケースが増えている。そこで「デジタル印刷活用」ということになるわけだが、ただ単に「オフセット印刷の置き換え」では、その需要をカバーできる領域が少なく、そこを無理に広げようとしても投資増となり、利益は出ない。
 そこで我々富士フイルムグループでは、「多種多様なインプット」「ミスなく」「自動化」「見える化」といった要素を構築し、価値あるジョブの増力化と省力化を実現するデジタルワークフローを提案している。
 具体的に言うと、「多種多様なインプット」とは、クライアントの課題を捉えたデータの取り込みで、この中には、マーケティング・オートメーション(MA)やバリアブル、Web to Printなどの仕組みが含まれる。「クライアントの課題解決」という視点がポイントだ。
 一方、小ロットになればなるほど、ちょっとしたミスですぐ利益が飛んでしまう。「ミスなく」「自動化」「見える化」というキーワードは、原価管理と省人化の仕組みを構築し、かつデジタル印刷とオフセット印刷をうまく使い分け、シナジー効果を生み出すことがポイントとなる。
 オフセットとデジタルの使い分けとは、ただ単に「受注ロット」を基準に割り振りするのではなく、オフセット印刷を起点にデジタル印刷で、またデジタル印刷を起点にオフセット印刷で高付加価値を提供するなど、互いが連動するような使い分けがポイントになる。
 これらを踏まえ、我々と富士ゼロックスが協業し、ワークフロー、プリンタを含めた富士フイルムグループとしてのトータルソリューションを展開している。
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 一方、「PPT資料のリデザイン」とは、例えば何百万円もする製品の提案書であっても非常にチープなものになっていたりすることから、そこで印刷会社がプロとしてリデザインするというニーズは結構ある。こういうところでもデジタル印刷が戦力になる。
 さらに「DM自動発送」とは、MAツールから自動発注するような仕組みのこと。だが、かなり難易度は高いが、。これらを仕組みとして回すことで「印刷業者→パートナー」に格上げされることになる。
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