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連載|より包装材料の印刷の理解を深めるために - 15

伸びるデジタル印刷と包装分野への参入

2018年11月27日スペシャリスト

一般社団法人PODi

一般社団法人PODi

1996年に米国で誕生した世界最大のデジタル印刷推進団体。印刷会社800社、ベンダー50社以上が参加し、デジタル印刷を活用した成功事例をはじめ、多くの情報を会員向けに公開している。また、WhatTheyThinkをはじめDMAなどの海外の団体と提携し、その主要なニュースを日本語版で配信している。

http://www.podi.or.jp

電子レンジ加温パウチの構造

 調理済み食品では、常温流通・チルド流通など、電子レンジで加温して食べる製品がたくさん市販されています。これらのパウチは、加温中に自動でパウチ内の蒸気を逃がしてパウチの破袋を防止する工夫がされています。自動開封孔、蒸気逃がし孔、self-ventingが付いています。包装ビジネスは、印刷加工だけでは利益があまり出ません。後加工が多いほど利益が出ます。さらに特許などで保護された包装形態を持っていると受注の強みとなります。印刷屋と言うよりはコンバーター、converterと言われ、創意工夫して加工するところに面白みとついてくる利益があります。商品の流通も変えることができます。これが世界の多くの顧客が求めているinnovationであり、creative packagingです。

 写真で少し見えにくいかも知れませんが、自動開封孔、蒸気逃がし孔、self-ventingの部分をよく見てください。さらに興味のある方はお店で購入してよく観察してください。これが「市場ウォッチング」です。包装に携わる方には必要なことです。外出したら、方々のお店により何か新しいものを見つけてください。そして自分だったら、もっとこのようにすると発想してみてください。


 写真1の自動開封孔、蒸気逃がし孔、self-ventingの部分を解析してみました。皆さんも食べた後はごみ箱に捨てないで、分解して構造を見てください。包装は、構造面では物理現象を利用しています。高校で学んだ程度のものからRFIDラベルのようにやや高度な面まで多彩です。この自動開孔は、密閉された空間の水分が加温されて膨張してパウチが破袋寸前になるときに中の蒸気を上手に逃がす工夫をしています。ボイルの法則とシャルルの法則を思い出してください。そのあとは、アイデアと開発力の問題となります。


 内部の蒸気をすぐ逃がすと料理を蒸す時間がなくなります。電子レンジで加温する場合も少しの間の「蒸し時間」が欲しいものです。そこで各社、この蒸し効果を包材の形状や内面のヒートシール材料、ヒートシール強度、ヒートシール形状で工夫しています。従って数学のように解答はひとつではありません。各種の工夫ができます。

 自動開孔をトレイに利用した場合は、以下の写真のように蓋材に自動開孔機能のラベルを貼っています。これも特許です。


 日本のみならず、世界の多くの消費者は、利便性と食品の場合は美味しさを求めています。Save Foodの面からは、ロングライフ化です。調理済み食品をレトルトしてロングライフ化し、美味しく食べるために電子レンジで加温するときにself-venting機能でよりおいしく、イージーピールで楽に開けて食べて我々は満足するわけです。消費者はさらに要望します。食べるときにクッキングして出来立てを食べたい。現在、食材を包装してガス充填などで鮮度を保持し、電子レンジでクッキングして食べる商品も出ています。消費者は王様ですが、多様化するニーズにどのように応えていくか、その能力が包装には必要です。ライフスタイルの変化に応じ、包装も改良・変化します。

 皆さんも普段使用している包装商品の改善点を見つけて、より使いやすいパッケージを開発してください。日本ではユニバーサルデザイン、高齢者にはアクセシブルデザインと言われていますが、海外でも同じように必要です。User-friendly とも言われています。海外で興味あるパッケージを見つけられたら、即座に購入してください。あとで購入と考えると、もう簡単には見つからない場合があります。


住本技術士事務所 所長 住本充弘氏(すみもと みつひろ)
技術士(経営工学)、包装管理士((社)日本包装技術協会認定)
日本包装コンサルタント協会会員・理事
技術士包装物流グループ会員・理事
日本包装学会会員

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1996年に米国で誕生した世界最大のデジタル印刷推進団体。印刷会社800社、ベンダー50社以上が参加し、デジタル印刷を活用した成功事例をはじめ、多くの情報を会員向けに公開している。また、WhatTheyThinkをはじめDMAなどの海外の団体と提携し、その主要なニュースを日本語版で配信している。

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電子レンジ加温パウチの構造

 調理済み食品では、常温流通・チルド流通など、電子レンジで加温して食べる製品がたくさん市販されています。これらのパウチは、加温中に自動でパウチ内の蒸気を逃がしてパウチの破袋を防止する工夫がされています。自動開封孔、蒸気逃がし孔、self-ventingが付いています。包装ビジネスは、印刷加工だけでは利益があまり出ません。後加工が多いほど利益が出ます。さらに特許などで保護された包装形態を持っていると受注の強みとなります。印刷屋と言うよりはコンバーター、converterと言われ、創意工夫して加工するところに面白みとついてくる利益があります。商品の流通も変えることができます。これが世界の多くの顧客が求めているinnovationであり、creative packagingです。

 写真で少し見えにくいかも知れませんが、自動開封孔、蒸気逃がし孔、self-ventingの部分をよく見てください。さらに興味のある方はお店で購入してよく観察してください。これが「市場ウォッチング」です。包装に携わる方には必要なことです。外出したら、方々のお店により何か新しいものを見つけてください。そして自分だったら、もっとこのようにすると発想してみてください。


 写真1の自動開封孔、蒸気逃がし孔、self-ventingの部分を解析してみました。皆さんも食べた後はごみ箱に捨てないで、分解して構造を見てください。包装は、構造面では物理現象を利用しています。高校で学んだ程度のものからRFIDラベルのようにやや高度な面まで多彩です。この自動開孔は、密閉された空間の水分が加温されて膨張してパウチが破袋寸前になるときに中の蒸気を上手に逃がす工夫をしています。ボイルの法則とシャルルの法則を思い出してください。そのあとは、アイデアと開発力の問題となります。


 内部の蒸気をすぐ逃がすと料理を蒸す時間がなくなります。電子レンジで加温する場合も少しの間の「蒸し時間」が欲しいものです。そこで各社、この蒸し効果を包材の形状や内面のヒートシール材料、ヒートシール強度、ヒートシール形状で工夫しています。従って数学のように解答はひとつではありません。各種の工夫ができます。

 自動開孔をトレイに利用した場合は、以下の写真のように蓋材に自動開孔機能のラベルを貼っています。これも特許です。


 日本のみならず、世界の多くの消費者は、利便性と食品の場合は美味しさを求めています。Save Foodの面からは、ロングライフ化です。調理済み食品をレトルトしてロングライフ化し、美味しく食べるために電子レンジで加温するときにself-venting機能でよりおいしく、イージーピールで楽に開けて食べて我々は満足するわけです。消費者はさらに要望します。食べるときにクッキングして出来立てを食べたい。現在、食材を包装してガス充填などで鮮度を保持し、電子レンジでクッキングして食べる商品も出ています。消費者は王様ですが、多様化するニーズにどのように応えていくか、その能力が包装には必要です。ライフスタイルの変化に応じ、包装も改良・変化します。

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住本技術士事務所 所長 住本充弘氏(すみもと みつひろ)
技術士(経営工学)、包装管理士((社)日本包装技術協会認定)
日本包装コンサルタント協会会員・理事
技術士包装物流グループ会員・理事
日本包装学会会員

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