スペシャルトナーに頼らず価値を高める
一方で、既設のPOD機も9年前の導入となると老朽化が進み、様々な場面で不具合が生じてくる。「経年劣化によるトナームラや見当ズレが生じるようになり、リピート物の色合わせに1時間を要したり、熱によるタック紙の伸縮による見当不良が、仕事が増えるたびに大きな問題になっていった」(荒巻部長)
そこで、POD更新の検討に入った同社だが、機種選択の条件に定めたのが「安定性」と「操作性」だったという。
「とくに若い人材にもオペレートを任せられるキャリブレーションの容易さや、直感的でグラフィカルなユーザーインターフェースにも着目。これらの点でEC1100は抜きん出ていた」(荒巻部長)
では、RevoriaPressの上位機種であるPC1120という選択肢はなかったのか?これについて金丸取締役は、「以前設置していたPOD機は5色機(白/クリア)だったが、自社の仕事を見渡したとき、紙ベースが多く、5色目が必要な仕事はほとんどなかった。4色機でもEC1100なら充分な投資効果が得られると判断した」と説明する。また荒巻部長も「スペシャルトナーの機能に頼らず印刷物の価値を高める。これが当社の答えだったように思う」と説明する。

プロダクションカラープリンター「Revoria Press EC1100」は、印刷速度が毎分100ページ、用紙の厚さは52g/平方メートルの薄紙から400g/平方メートルの厚紙まで、サイズは98×148ミリから最大330×1,200ミリの長尺用紙まで対応する。さらに、エアーサクション給紙トレイにより、紙粉の多い用紙やパウダーを使用したプレプリント紙、凹凸用紙や密着しやすいコート紙など、給紙のストレスになりやすかった用紙も安定した搬送が可能だ。インラインセンサーにより、色変動を調整するカラーキャリブレーションや、表裏レジ調整などを自動化されている。
PODはあくまで大ロットオフセット印刷のフック
このEC1100が設置されたのは昨年9月末。翌10月から実稼働に入った。導入から約半年が経ったいま、その機能について荒巻部長は次のように評価する。
「当初の思惑通り、リピート物でも色合わせは5分程度で完結する。操作性によって生産効率も高まっている。また低温での密着や除電装置の機能なのか、メディアのカールやタック紙の粘着力など、用紙にかかる負担が軽減されている。とくにPP貼りなどの後工程の効率が非常に高まっている。これは当社の真骨頂である『瞬発力』に直結する大きな効果である」

また、営業の立場から金丸取締役は、「リピート物でも品質が安定しているため、安心して、自信をもってクライアントに提案できる」と評価した上で、今後の課題について「コロナ禍を経て小ロット化の進展を肌で感じる。一般的にPOD品質への抵抗もなくなりつつある中で、PODはジョブ数でオフセット印刷を上回っている。しかし、当社の事業の柱は、あくまでオフセット印刷事業だと位置付けている。クライアントの接点になりやすいPODのジョブをきっかけに大ロットのオフセット印刷物の受注に波及させることが次の課題だと考えている」と語る。
柔軟な工程管理や高い次元の品質管理を目指し、厚紙パッケージ印刷の内製化を推し進めてきた同社。「印刷業は製造業。『ものづくり』の責任を全うする。そんな印刷会社であり続けたい」と荒巻部長。金丸取締役も「製造業としての我々の技術やノウハウ、さらにその『想い』を直接伝えることができるエンドユーザーへのアプローチも強化していきたい」意欲を語る。
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スペシャルトナーに頼らず価値を高める
一方で、既設のPOD機も9年前の導入となると老朽化が進み、様々な場面で不具合が生じてくる。「経年劣化によるトナームラや見当ズレが生じるようになり、リピート物の色合わせに1時間を要したり、熱によるタック紙の伸縮による見当不良が、仕事が増えるたびに大きな問題になっていった」(荒巻部長)
そこで、POD更新の検討に入った同社だが、機種選択の条件に定めたのが「安定性」と「操作性」だったという。
「とくに若い人材にもオペレートを任せられるキャリブレーションの容易さや、直感的でグラフィカルなユーザーインターフェースにも着目。これらの点でEC1100は抜きん出ていた」(荒巻部長)
では、RevoriaPressの上位機種であるPC1120という選択肢はなかったのか?これについて金丸取締役は、「以前設置していたPOD機は5色機(白/クリア)だったが、自社の仕事を見渡したとき、紙ベースが多く、5色目が必要な仕事はほとんどなかった。4色機でもEC1100なら充分な投資効果が得られると判断した」と説明する。また荒巻部長も「スペシャルトナーの機能に頼らず印刷物の価値を高める。これが当社の答えだったように思う」と説明する。

プロダクションカラープリンター「Revoria Press EC1100」は、印刷速度が毎分100ページ、用紙の厚さは52g/平方メートルの薄紙から400g/平方メートルの厚紙まで、サイズは98×148ミリから最大330×1,200ミリの長尺用紙まで対応する。さらに、エアーサクション給紙トレイにより、紙粉の多い用紙やパウダーを使用したプレプリント紙、凹凸用紙や密着しやすいコート紙など、給紙のストレスになりやすかった用紙も安定した搬送が可能だ。インラインセンサーにより、色変動を調整するカラーキャリブレーションや、表裏レジ調整などを自動化されている。
PODはあくまで大ロットオフセット印刷のフック
このEC1100が設置されたのは昨年9月末。翌10月から実稼働に入った。導入から約半年が経ったいま、その機能について荒巻部長は次のように評価する。
「当初の思惑通り、リピート物でも色合わせは5分程度で完結する。操作性によって生産効率も高まっている。また低温での密着や除電装置の機能なのか、メディアのカールやタック紙の粘着力など、用紙にかかる負担が軽減されている。とくにPP貼りなどの後工程の効率が非常に高まっている。これは当社の真骨頂である『瞬発力』に直結する大きな効果である」

また、営業の立場から金丸取締役は、「リピート物でも品質が安定しているため、安心して、自信をもってクライアントに提案できる」と評価した上で、今後の課題について「コロナ禍を経て小ロット化の進展を肌で感じる。一般的にPOD品質への抵抗もなくなりつつある中で、PODはジョブ数でオフセット印刷を上回っている。しかし、当社の事業の柱は、あくまでオフセット印刷事業だと位置付けている。クライアントの接点になりやすいPODのジョブをきっかけに大ロットのオフセット印刷物の受注に波及させることが次の課題だと考えている」と語る。
柔軟な工程管理や高い次元の品質管理を目指し、厚紙パッケージ印刷の内製化を推し進めてきた同社。「印刷業は製造業。『ものづくり』の責任を全うする。そんな印刷会社であり続けたい」と荒巻部長。金丸取締役も「製造業としての我々の技術やノウハウ、さらにその『想い』を直接伝えることができるエンドユーザーへのアプローチも強化していきたい」意欲を語る。
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