厚紙・パッケージ印刷の(株)ウケゼキ(大阪市東住吉区今林2-8-7、金丸東一社長)は昨年10月、富士フイルムのプロダクションカラープリンター「Revoria Press EC1100」(以下「EC1100」)を導入し、小ロットパッケージの印刷環境を再構築することで、製造業としての「ものづくり」の機能を強化している。今回、EC1100導入の背景や目的、導入効果や今後の展開などについて、同社の金丸哲也取締役と生産管理部の荒巻浩一部長に話をうかがった。
内製化を推進
ウケゼキの創業は1969年。大阪市東住吉区今林で活版印刷業として産声をあげたのが同社の始まりだ。当初は、伝票を中心とした帳票類の印刷をメインに冊子や頁物などの印刷も手掛け、いまでは懐かしささえ感じる「カラオケの歌本」なども手掛けていたという。言うまでもなく、これらの仕事はデジタル化社会において減少の一途を辿り、歌本についてはもはや見ることもなくなった。そんな環境の中で印刷会社の業態変革を実践してきたウケゼキは現在、厚紙・パッケージ印刷の分野で成長を遂げ、新たな挑戦を開始している。
同社の歴史の中でひとつの転機となったのが、あるクライアントとの取引におけるオンデマンド印刷機(以下「POD機」)の導入だった。およそ9年前のことである。
当初、冊子印刷で稼働していたこのPOD機が450g/平米までの厚紙に対応していたことから、新規事業の選択肢としてパッケージ印刷分野に着目。その後、2021年にはインクジェットプリンタをはじめ、ラミネーター、CADといった一連の設備を内製化し、校正用途にも対応。さらに2022年にはUV菊半裁オフセット枚葉印刷機「リスロンG26」を導入し、厚紙・パッケージ印刷の内製化を進めた。この3〜4年という短期間で一気に事業構造改革の舵を切り、いまや厚紙の仕事が売上全体の7割を占めるという。
当時について荒巻部長は、「当初は多くのジョブを協力会社に委託しながら事業を進めていたが、やはり納期管理や品質管理に限界を感じ、内製化を急いだ。ちょうどコロナ禍で既存の仕事が激減する厳しい経営環境下での業態変革だったが、振り返ってみると、かえってコロナ禍だったからこそ、うまく事業を切り換えることができたように思う」と振り返る。
現在、売上全体の8割が同業者からの受注で、とくにシール関連の仕事が多いという同社。台紙とシールを袋詰めするセットアップ状態で納品するケースも増えているという。自社の強みについて荒巻部長は「お客様が求める納期、価格に寄り添うことができること。とくに内製化を進めた結果、納期に対する瞬発力が大きな強みなっている」と語る。また、荒巻部長自身がプリプレスからオフセット印刷、POD、後加工のオペレーション経験があり、これら一連のノウハウと経験によりワンストップでクライアントの要望を形にできることも強みのひとつになっているようだ。
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