IndigoによるRGB表現で新規需要開拓
同社の新たなデジタル転写技術であるD.O.Tは、ビビッドピンク、ビビットグリーンの2色のビビッドカラーを使用することで、RGB色域を豊かに表現することができる。これにより従来のCMYK印刷では、再現できない広色域な転写マークの生産を可能とする。
Indigo 7Kを導入した理由として大須賀氏は「RGB色域の印刷ができることが最大の魅力」と語る。また、野口氏は「当社は、アニメやキャラクターなどの絵柄を扱うことが多い。現在、RGB色域の印刷に対応している競合他社は存在しない。そのため、そういったキャラクターなどの画像をRGB色域で印刷することを待ち望んでいたクライアントにマッチした商品提供ができる」とD.O.Tの高付加価値化を武器とした新規顧客獲得に期待を込めている。
また、Indigo 7K導入以前の同社では、POD機でデジタル転写シートを印刷していた。そのためインクジェット印刷機との品質の違いを指摘されることも多かったという。
「インクジェットと比較されるとPOD機は、どうしても色が沈んで見える。それが当社の弱みでもあった、しかしIndigo 7Kの導入により、より色鮮やかで繊細な印刷ができるようになった」(柴田氏)
この新たな印刷表現は、既存顧客とそのビジネスのほか、これまで同社と取引がなかった新たな顧客とのビジネスを創出していくこととなる。
「従来は1,000枚から3,000枚のロットを上限としていた。Indigo 7K導入後は効率的な生産ができるようになり、さらにロット数の多い何万着といった仕事を受注できるようになった。それぐらい当社のビジネスを劇的に変化させた」(野口氏)
後工程の自動化で効率生産体制を構築
その劇的な変化を実現することができたのは、Indigo 7K導入と並行して取り組んだ後工程の自動化だ。デジタル転写では、シート印刷後にスクリーン印刷を施す後工程が必須となる。既設のPOD機では、見当精度に問題があり、この後工程移行時に1枚1枚手作業で見当を確認してからスクリーン印刷を行うなど非常に手間と時間がかかっていた。しかし、Indigo 7Kでは、見当ズレがないため、そのまま後工程に移行することができる。
「POD機で印刷してスクリーン印刷をするデジタル転写を他社が手を出さなかったのは、この見当の問題による作業性の悪さが要因だったと思う。当社は、その中で経験値を活かしながら最適な手法でデジタル転写を実践してきたが、Indigo 7Kによって、次のステージへの進出を遥かに超えた自動化を見据えた生産体制を構築することができた」(野口氏)
この後工程の自動化により、従来8名で行っていた作業が2名体制で問題なく稼働できるようになった。また、5時間を費やしていた作業時間も約30分で完了するなど、驚異的な効率化を実現している。
顧客が求める高い品質ニーズに完全対応
大須賀氏は、Indigo 7Kとともに日本HPサポート力を高く評価している。
「D.O.Tの立ち上げから現在まで、日本HPのサポートには感謝している。普通であれば、諦めてしまうようなケースでも真摯に対応策を提案してくれた。また、海外事例の豊富さなどもグローバルに展開するHPの強みだと実感している。D.O.Tは、日本HPをはじめ、多くのパートナー企業の協力があったから実現できたものだと思う」(大須賀氏)
D.O.Tの開始から約2年、現在、同社では月間平均で30,000シートの印刷をIndigo 7Kで行っている。「D.O.T」の用途としては、Tシャツや各種スポーツ関連のユニホームなど。傾向としては「安くできるもの」ではなく、「コストが上がっても高精細、高画質といったプレミアム感を演出したい」といった用途が中心となっているという。また、インバウンド関連の商品や現在、2025年4月から日本で開催されている国際イベントの公式グッズなどにも採用されている。
Indigoを基軸とした印刷業界とのコラボに期待
Indigo 7Kの導入は、自動化による効率生産だけでなく、同社のビジネスの成長にも大きく貢献している。
現在における同社の売上比率では、約2割強がIndigo 7Kでの生産で売上は、この分純増加しているという。これに自動化による時間コストの大幅削減などを加えると、その導入効果は、さらに大きなものとなる。
DTF(Direct To Film)プリンターの台頭が顕著になってきた昨今、同社は、Indigo 7KによるD.O.Tで、ほかでは真似のできないグレードの高いプロ仕様のデジタル転写シートの提供で差別化、高付加価値化を図っていく。さらに同社では、印刷産業とのコラボレーションにも期待を寄せているという。
「当社はアパレル業として、様々なデザインの転写シートを制作しているが、それらのコンテンツの先には、印刷、出版業者が存在する。その皆さんとIndigoという共通点を介して相互メリットを見出して、新たなビジネスを創出できればと考えている」(大須賀氏)
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Indigo 7Kを導入した理由として大須賀氏は「RGB色域の印刷ができることが最大の魅力」と語る。また、野口氏は「当社は、アニメやキャラクターなどの絵柄を扱うことが多い。現在、RGB色域の印刷に対応している競合他社は存在しない。そのため、そういったキャラクターなどの画像をRGB色域で印刷することを待ち望んでいたクライアントにマッチした商品提供ができる」とD.O.Tの高付加価値化を武器とした新規顧客獲得に期待を込めている。
また、Indigo 7K導入以前の同社では、POD機でデジタル転写シートを印刷していた。そのためインクジェット印刷機との品質の違いを指摘されることも多かったという。
「インクジェットと比較されるとPOD機は、どうしても色が沈んで見える。それが当社の弱みでもあった、しかしIndigo 7Kの導入により、より色鮮やかで繊細な印刷ができるようになった」(柴田氏)
この新たな印刷表現は、既存顧客とそのビジネスのほか、これまで同社と取引がなかった新たな顧客とのビジネスを創出していくこととなる。
「従来は1,000枚から3,000枚のロットを上限としていた。Indigo 7K導入後は効率的な生産ができるようになり、さらにロット数の多い何万着といった仕事を受注できるようになった。それぐらい当社のビジネスを劇的に変化させた」(野口氏)
後工程の自動化で効率生産体制を構築
その劇的な変化を実現することができたのは、Indigo 7K導入と並行して取り組んだ後工程の自動化だ。デジタル転写では、シート印刷後にスクリーン印刷を施す後工程が必須となる。既設のPOD機では、見当精度に問題があり、この後工程移行時に1枚1枚手作業で見当を確認してからスクリーン印刷を行うなど非常に手間と時間がかかっていた。しかし、Indigo 7Kでは、見当ズレがないため、そのまま後工程に移行することができる。
「POD機で印刷してスクリーン印刷をするデジタル転写を他社が手を出さなかったのは、この見当の問題による作業性の悪さが要因だったと思う。当社は、その中で経験値を活かしながら最適な手法でデジタル転写を実践してきたが、Indigo 7Kによって、次のステージへの進出を遥かに超えた自動化を見据えた生産体制を構築することができた」(野口氏)
この後工程の自動化により、従来8名で行っていた作業が2名体制で問題なく稼働できるようになった。また、5時間を費やしていた作業時間も約30分で完了するなど、驚異的な効率化を実現している。
顧客が求める高い品質ニーズに完全対応
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D.O.Tの開始から約2年、現在、同社では月間平均で30,000シートの印刷をIndigo 7Kで行っている。「D.O.T」の用途としては、Tシャツや各種スポーツ関連のユニホームなど。傾向としては「安くできるもの」ではなく、「コストが上がっても高精細、高画質といったプレミアム感を演出したい」といった用途が中心となっているという。また、インバウンド関連の商品や現在、2025年4月から日本で開催されている国際イベントの公式グッズなどにも採用されている。
Indigoを基軸とした印刷業界とのコラボに期待
Indigo 7Kの導入は、自動化による効率生産だけでなく、同社のビジネスの成長にも大きく貢献している。
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DTF(Direct To Film)プリンターの台頭が顕著になってきた昨今、同社は、Indigo 7KによるD.O.Tで、ほかでは真似のできないグレードの高いプロ仕様のデジタル転写シートの提供で差別化、高付加価値化を図っていく。さらに同社では、印刷産業とのコラボレーションにも期待を寄せているという。
「当社はアパレル業として、様々なデザインの転写シートを制作しているが、それらのコンテンツの先には、印刷、出版業者が存在する。その皆さんとIndigoという共通点を介して相互メリットを見出して、新たなビジネスを創出できればと考えている」(大須賀氏)
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