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講談社、フルデジタル書籍生産システムが新たな領域に

月刊商業誌の生産へ〜文芸誌「群像」の印刷・製本を開始

2025年9月29日ケーススタディ

ブレイクスルーとなった文芸誌のカラー化

 DSRで「群像」の生産を開始したのは、2025年5月号からのこと。生産を委託していた印刷会社から、これまで「群像」の印刷を行っていたオフ輪が老朽化などのため稼働を終了するとの通達があったことが背景にある。

 この知らせは群像編集部にも届いたが、群像 編集長である戸井武史氏(文芸第一出版部 部長)は「その時はあまり実感がなく、まだ先の話として捉えていた。しかし、2024年末頃に制作部門から正式にオフ輪が使えなくなるということが報告された」と振り返る。
戸井 氏
 オフ輪がなくなることによっての廃刊、あるいは電子書籍としての刊行継続など、戸井氏にとって受け入れ難い今後が脳裏を掠めた。しかし同時に土井氏から、DSRで制作した試作本が示された。

 DSRであれば、オフ輪同様のサイクルで生産が可能で、さらにモノクロ誌面をカラー化できることも魅力であった。戸井氏は、「紙の書籍として残せるのなら」との思いから「群像」の未来をDSRに託すことを決断した。

 群像 副編集長の須田美音氏(文芸第一出版部)は「1946年の創刊から79年間、モノクロであった群像の誌面がカラーページを組み込むことでモノクロとは違う表現を誌面で提供できると感じた。また、読者も今までにない新鮮な感覚で読んでくれるはず」と、カラー化による「群像」の進化に期待したという。
須田 氏
 月刊文芸誌は現在、他の出版社を含め、4誌が発刊されている。そのすべての本文がモノクロ印刷だ。土井氏は「おそらく群像の創刊当時は、すべての文芸誌が活版印刷でサイズもA5版であったと思う。その後、オフ輪に移行してもA判機はモノクロ仕様のままでカラー化されることはなかった。つまり印刷デバイスの問題から文芸誌はモノクロで刊行されてきたが、今回、その制約をデジタル印刷機が払拭してくれた」と、文芸誌生産における出版業界のブレイクスルーを強調する。
2025年5月号からデジタル印刷生産にシフト

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ブレイクスルーとなった文芸誌のカラー化

 DSRで「群像」の生産を開始したのは、2025年5月号からのこと。生産を委託していた印刷会社から、これまで「群像」の印刷を行っていたオフ輪が老朽化などのため稼働を終了するとの通達があったことが背景にある。

 この知らせは群像編集部にも届いたが、群像 編集長である戸井武史氏(文芸第一出版部 部長)は「その時はあまり実感がなく、まだ先の話として捉えていた。しかし、2024年末頃に制作部門から正式にオフ輪が使えなくなるということが報告された」と振り返る。
戸井 氏
 オフ輪がなくなることによっての廃刊、あるいは電子書籍としての刊行継続など、戸井氏にとって受け入れ難い今後が脳裏を掠めた。しかし同時に土井氏から、DSRで制作した試作本が示された。

 DSRであれば、オフ輪同様のサイクルで生産が可能で、さらにモノクロ誌面をカラー化できることも魅力であった。戸井氏は、「紙の書籍として残せるのなら」との思いから「群像」の未来をDSRに託すことを決断した。

 群像 副編集長の須田美音氏(文芸第一出版部)は「1946年の創刊から79年間、モノクロであった群像の誌面がカラーページを組み込むことでモノクロとは違う表現を誌面で提供できると感じた。また、読者も今までにない新鮮な感覚で読んでくれるはず」と、カラー化による「群像」の進化に期待したという。
須田 氏
 月刊文芸誌は現在、他の出版社を含め、4誌が発刊されている。そのすべての本文がモノクロ印刷だ。土井氏は「おそらく群像の創刊当時は、すべての文芸誌が活版印刷でサイズもA5版であったと思う。その後、オフ輪に移行してもA判機はモノクロ仕様のままでカラー化されることはなかった。つまり印刷デバイスの問題から文芸誌はモノクロで刊行されてきたが、今回、その制約をデジタル印刷機が払拭してくれた」と、文芸誌生産における出版業界のブレイクスルーを強調する。
2025年5月号からデジタル印刷生産にシフト

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