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HP社、金属3Dプリンティングテクノロジー「HP Metal Jet」発表

生産性は最大50倍、低コストで高品質の最終パーツを生産

2018年9月12日製品・テクノロジー

年間30億個を超える部品を生産するGKN社と提携

 HP社は、業界初のコラボレーションとしてGKN社と提携し、同社の工場に「HP Metal Jet」を導入。フォルクスワーゲンとWilo社を含む自動車や業界をリードする企業向けに機能的特性を持つ金属パーツを生産する。GKN社は、粉末冶金技術を用いた材料と製品を製造するリーディングカンパニー。年間30億個を超える部品を生産しており、早ければ来年にも「HP Metal Jet」による最終製品として利用可能なパーツをさまざまな業界向けに量産する予定。

 自動車メーカーのフォルクスワーゲンは、同社の長期的な設計と生産ロードマップに「HP Metal Jet」を組み込んでいる。

 フォルクスワーゲン、GKN社、HP社による連携により、パーソナライズキーホルダーや外部に取り付けるネームプレートなどのマスカスタマイゼーション製品を短時間で検討できるようになった。「HP Metal Jet」の活用に関するフォルクスワーゲンの複数年計画には、シフトノブやミラーマウントなど、構造的に大きな要件を伴う、より高い機能性を持つパーツの生産も含まれている。電気自動車などの新しいプラットフォームが大量生産に移行しようとしている現在、「HP Metal Jet」は軽量ながら完全な安全認証を受けた金属パーツなど、新たな用途にも活用される予定だ。

 フォルクスワーゲンの技術計画&開発責任者であるマーチン・ゲーデ博士は、「自動車産業はお客様からのパーソナライゼーションへの期待だけでなく、フォルクスワーゲングループが2025年までに電気自動車80車種投入を予定するなど、革命期を迎えようとしている。1台の自動車は6,000から8,000種類のパーツから構成されている。『HP Metal Jet』をはじめとする積層造形技術の大きな利点は、最初に製造用ツールを作ることなくさまざまなパーツを製造できることだ。パーツ生産のサイクルタイムを短縮することにより、より大量の生産が迅速に実現可能となる」とコメントしている。

 また、GKN社はポンプとポンプシステムの世界的メーカーであるWilo社の水力効率をさらに高め、コスト効率に優れた工業用パーツの生産に「HP Metal Jetテクノロジー」を活用する。Wilo社は吸引力、圧力、温度の大きな変化に耐える、さまざまなサイズのインペラー、ディフューザー、ポンプ用ハウジングなどのパーツの生産においても「HP Metal Jet」の活用を検討している。

医療業界にも金属パーツを提供

 医療業界に向けてHP社は、ATWのグループ企業であるParmatech社と提携し、OKAY Industries社やPrimo Medical Group社をはじめとする顧客を対象として「HP Metal Jet」によるパーツの量産を拡充する。Parmatech社は、金属粉末射出成型法の世界的な企業で、40年以上にわたり医療と工業分野向けに大量生産、低コストの金属パーツを提供するパイオニアだ。

 Parmatech社の社長であるロブ・ホール社は、「『HP Metal Jet』は金属パーツの工業スケールの生産において、初めての真に実用的な3Dテクノロジーだ。当社のお客様は極めて高水準の性能、品質、信頼性を求めるが、HPが持つ先進的テクノロジーと市場に破壊的な変革をもたらしてきた伝統により、当社は期待を上回るものを提供できると確信している。『HP Metal Jet』を当社の工場に導入し、外科用はさみや内視鏡用鉗子などの複雑なパーツをはじめ、従来の金属加工技術では不可能な新たなアプリケーションや形状の製造を開始できることに興奮を覚えている」とコメントしている。

「Metal Jet Production Service」は2019年上半期から

 2019年上半期には、新サービス「Metal Jet Production Service」により、3D設計ファイルをアップロードし、最終製品として利用可能なパーツをオーダーできる。最高水準のエンジニアリングと生産品質を持つパーツは、HPのパートナーであるGKN社とParmatech社により生産される。

 「HP Metal Jetソリューション」の価格は39万9,000ドル未満で、先行導入は2020年から、一般には2021年から提供される予定だ。

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年間30億個を超える部品を生産するGKN社と提携

 HP社は、業界初のコラボレーションとしてGKN社と提携し、同社の工場に「HP Metal Jet」を導入。フォルクスワーゲンとWilo社を含む自動車や業界をリードする企業向けに機能的特性を持つ金属パーツを生産する。GKN社は、粉末冶金技術を用いた材料と製品を製造するリーディングカンパニー。年間30億個を超える部品を生産しており、早ければ来年にも「HP Metal Jet」による最終製品として利用可能なパーツをさまざまな業界向けに量産する予定。

 自動車メーカーのフォルクスワーゲンは、同社の長期的な設計と生産ロードマップに「HP Metal Jet」を組み込んでいる。

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 フォルクスワーゲンの技術計画&開発責任者であるマーチン・ゲーデ博士は、「自動車産業はお客様からのパーソナライゼーションへの期待だけでなく、フォルクスワーゲングループが2025年までに電気自動車80車種投入を予定するなど、革命期を迎えようとしている。1台の自動車は6,000から8,000種類のパーツから構成されている。『HP Metal Jet』をはじめとする積層造形技術の大きな利点は、最初に製造用ツールを作ることなくさまざまなパーツを製造できることだ。パーツ生産のサイクルタイムを短縮することにより、より大量の生産が迅速に実現可能となる」とコメントしている。

 また、GKN社はポンプとポンプシステムの世界的メーカーであるWilo社の水力効率をさらに高め、コスト効率に優れた工業用パーツの生産に「HP Metal Jetテクノロジー」を活用する。Wilo社は吸引力、圧力、温度の大きな変化に耐える、さまざまなサイズのインペラー、ディフューザー、ポンプ用ハウジングなどのパーツの生産においても「HP Metal Jet」の活用を検討している。

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 Parmatech社の社長であるロブ・ホール社は、「『HP Metal Jet』は金属パーツの工業スケールの生産において、初めての真に実用的な3Dテクノロジーだ。当社のお客様は極めて高水準の性能、品質、信頼性を求めるが、HPが持つ先進的テクノロジーと市場に破壊的な変革をもたらしてきた伝統により、当社は期待を上回るものを提供できると確信している。『HP Metal Jet』を当社の工場に導入し、外科用はさみや内視鏡用鉗子などの複雑なパーツをはじめ、従来の金属加工技術では不可能な新たなアプリケーションや形状の製造を開始できることに興奮を覚えている」とコメントしている。

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