キーワードで検索

グラフィックデザインの開拓者

2018年11月28日スペシャリスト

一般社団法人PODi

一般社団法人PODi

1996年に米国で誕生した世界最大のデジタル印刷推進団体。印刷会社800社、ベンダー50社以上が参加し、デジタル印刷を活用した成功事例をはじめ、多くの情報を会員向けに公開している。また、WhatTheyThinkをはじめDMAなどの海外の団体と提携し、その主要なニュースを日本語版で配信している。

http://www.podi.or.jp

 興味深い事実のひとつとして、1848年以前はドイツ政府によってすべての印刷物が検閲されており、また1850年までは政府が印刷広告の専売権を持ち続けていたことが挙げられる。両法とも廃止され、革新に向かって印刷産業の市場は解放された。これと同時に、低コスト大ロットの印刷ができるようになった(物事の変化は不思議なもので、いまや話題は低コスト小ロットの手法がほとんどだ)。1877年には3,700以上の新聞や雑誌が出版されており、発行部数は40万まで増えた。このことが広告代理店の成立を促した。20世紀への変わり目には、すでに文字の入ったインパクトのあるポスターが当たり前のものになり、フリーのグラフィックデザイナーたちはこの変化による財務的な、そして作品提供の好機を利用した。そして実際に、1905年ベルリンで発足した「フェアアイン・デア・プラカートフロインデ」(ポスター愛好会)のような団体さえあり、この会では独自の機関紙が発行された。

 また、ドイツはグラフィックデザイナーと広告マンの世界初の業界団体発祥の地でもあったのだ。

 本文は第一次世界大戦や1929年のニューヨーク証券取引所の大暴落、第二次世界大戦への最悪な導入、そしてそれらのグラフィックデザインへの影響を通して記述されており、その時々の例を用いて巧みに解説している。

 第二次世界大戦後、ドイツはアメリカグラフィックデザインの進化に激しく影響された。これには1959年のアメリカ市場でのVW Beetleの販売開始のための広告が含まれる。

 このキャンペーンは独創的な広告の誕生だと考えられており、またこれは具体的にはオリジナリティーを強調するほか、予想外のひねりや頻繁なユーモアも取り入れた分野のものだ。アメリカ式の広告はドイツやその他の国で大きな影響力を持ち始めた。

 いまや20万のドイツの人々が広告やデザインの仕事をしている。

 「Pioneers of German Graphic Design」では、その功績を例に挙げて14の注目すべき初期のドイツグラフィックデザインのプロたちを詳細的に描き出している、その年を追うごとのデザイン戦略の進展を知ることは興味深いものである。400ページ以上に渡る内容のなかで、本書はそのほかのデザイナーの実例も取り上げている。それは、それ以前にもそれ以降にも無かったほど人々の美意識を大きく変えた視覚言語の源として、もっと早く評価されるべき功績であった、と本書は位置付けている。

 この本はすべての人の本棚に置かれるべき素晴らしいものだ、また同時にあなたの周りのグラフィックデザイナーたちへの素晴らしいクリスマスプレゼントになるだろう。

http://whattheythink.com
By:Cary Sherburne
Published:2017年11月1日
原文:Pioneers in Graphic Design
翻訳協力:大垣摩侑

新着トピックス

dp_ipa2024_okumura_20241113_tn.jpg

奥村印刷、新たな価値を紙に付加〜「折り紙食器 beak」でIPA2024に入賞

2024年11月20日企業・経営

 奥村印刷(株)(本社/東京都北区、奥村文泰社長)は、2024年度の「Innovation Print Awards(以下、IPA)」において、「サステナビリティ部門」第1位を獲得した...全文を読む

大西部長(左)と小林部長

富士フイルム、TOKYO PACKでブランドオーナーにデジタル印刷活用促す

2024年11月15日マーケティング

 「もっと自由にパッケージ・オンデマンド」─富士フイルムグループは、10月23日から開催された「TOKYO PACK 2024(東京国際包装展)」において、富士フイルムが独自開発した幅...全文を読む

最新ニュース

dp_indigo5000_pwwp490m_hd_tn.jpg

日本HP、KADOKAWA「出版製造流通DXプロジェクト」を支援

2025年1月21日

 (株)日本HP(本社/東京都港区、岡戸伸樹社長)は1月16日、(株)KADOKAWA(本社/東京都千代田区、夏野剛社長・CEO)の運営する埼玉県所沢市の大型文化複合施設「ところざわサ...全文を読む

truevis_lg_mg_2501_tn.jpg

ローランドDG、UVプリンターが紙器パッケージ製作に対応

2025年1月20日

 ローランド ディー.ジー.(株)は、大判インクジェットプリンターTrueVISシリーズ「LG-640/540/300」と、DGXPRESSシリーズの「UG-642」で使用できる拡張テ...全文を読む

swissQprint、第5世代フラットベッド新モデル-生産性23%向上

2025年1月14日

 swissQprintは、プラットフォームを全面的に刷新し、生産性、精度、アプリケーションの多用途性を新たなレベルへと引き上げたフラットベッド新世代モデルを発表した。新モデルは従来機...全文を読む

グラフィックデザインの開拓者

2018年11月28日スペシャリスト

  • twitter
  • facebook
  • line
一般社団法人PODi

一般社団法人PODi

1996年に米国で誕生した世界最大のデジタル印刷推進団体。印刷会社800社、ベンダー50社以上が参加し、デジタル印刷を活用した成功事例をはじめ、多くの情報を会員向けに公開している。また、WhatTheyThinkをはじめDMAなどの海外の団体と提携し、その主要なニュースを日本語版で配信している。

http://www.podi.or.jp

 興味深い事実のひとつとして、1848年以前はドイツ政府によってすべての印刷物が検閲されており、また1850年までは政府が印刷広告の専売権を持ち続けていたことが挙げられる。両法とも廃止され、革新に向かって印刷産業の市場は解放された。これと同時に、低コスト大ロットの印刷ができるようになった(物事の変化は不思議なもので、いまや話題は低コスト小ロットの手法がほとんどだ)。1877年には3,700以上の新聞や雑誌が出版されており、発行部数は40万まで増えた。このことが広告代理店の成立を促した。20世紀への変わり目には、すでに文字の入ったインパクトのあるポスターが当たり前のものになり、フリーのグラフィックデザイナーたちはこの変化による財務的な、そして作品提供の好機を利用した。そして実際に、1905年ベルリンで発足した「フェアアイン・デア・プラカートフロインデ」(ポスター愛好会)のような団体さえあり、この会では独自の機関紙が発行された。

 また、ドイツはグラフィックデザイナーと広告マンの世界初の業界団体発祥の地でもあったのだ。

 本文は第一次世界大戦や1929年のニューヨーク証券取引所の大暴落、第二次世界大戦への最悪な導入、そしてそれらのグラフィックデザインへの影響を通して記述されており、その時々の例を用いて巧みに解説している。

 第二次世界大戦後、ドイツはアメリカグラフィックデザインの進化に激しく影響された。これには1959年のアメリカ市場でのVW Beetleの販売開始のための広告が含まれる。

 このキャンペーンは独創的な広告の誕生だと考えられており、またこれは具体的にはオリジナリティーを強調するほか、予想外のひねりや頻繁なユーモアも取り入れた分野のものだ。アメリカ式の広告はドイツやその他の国で大きな影響力を持ち始めた。

 いまや20万のドイツの人々が広告やデザインの仕事をしている。

 「Pioneers of German Graphic Design」では、その功績を例に挙げて14の注目すべき初期のドイツグラフィックデザインのプロたちを詳細的に描き出している、その年を追うごとのデザイン戦略の進展を知ることは興味深いものである。400ページ以上に渡る内容のなかで、本書はそのほかのデザイナーの実例も取り上げている。それは、それ以前にもそれ以降にも無かったほど人々の美意識を大きく変えた視覚言語の源として、もっと早く評価されるべき功績であった、と本書は位置付けている。

 この本はすべての人の本棚に置かれるべき素晴らしいものだ、また同時にあなたの周りのグラフィックデザイナーたちへの素晴らしいクリスマスプレゼントになるだろう。

http://whattheythink.com
By:Cary Sherburne
Published:2017年11月1日
原文:Pioneers in Graphic Design
翻訳協力:大垣摩侑

新着トピックス

新着ニュース

PAGE TOP