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キングプリンティング、高速大判IJプリンタ「JETI TAURO」国内1号機導入

印刷メディアの価値訴求〜多品種の大型印刷で短納期実現

2021年10月11日ケーススタディ

「大型印刷」へのこだわり

 キングプリンティングは社名の通り、大型印刷を中心に、ビジュアルコミュニケーションにかかわるあらゆる制作ソリューションを提供する企業。創業は1917年で今年104年目を迎えた。

 その社歴は、絵師だった津村英雄氏が映画館向けの手書き看板制作で起業したことに始まる。当時、映画が庶民の娯楽として流行し、映画館の開業が相次いでいた中、その旺盛な需要に応えるため、幻灯機でキャンパスに移し出した絵柄を下絵として描くことで「看板制作の効率化」を試みるなど、同社のその画期的な取り組みはパイオニア的存在としてこの分野に多大な影響を与えた。

 さらに、この分野のオフセット印刷化についても同社が始点となっている。映画の看板は非常に大きなサイズのものが多い。より少ない枚数で大きな看板を制作するためにはオフセット印刷機も大判が必要だったわけだが、当時、同社の求めるスペックに見合う機械は存在しなかった。そこでアメリカから取り寄せた印刷機を自社設計で改造。大判オフセット印刷機を完成させ、映画看板をはじめ、タバコや自動車、家電メーカーなどの大型看板・ポスターの印刷において新しい時代を切り拓いた。現在では、世界最大級の1.3×2mサイズ、A4倍判オフセット印刷機を稼働させている。

 一方、「大判サイズ」にこだわった設備投資で独自性を生み出してきた同社は、1999年に他社に先がけて5m幅のイスラエル製インクジェット印刷機を導入。現在では、大小様々なインクジェットプリンタを30台設備している。

安定性や品質で「マルチパス方式」

 同社は、オフセットとインクジェットの最適生産によるワンストップサービスが強みだ。多品種・短納期の需要に対しては、インクジェットプリンタの台数を増やすことで対応してきた。しかし、インクジェットの印刷品質がオフセットと遜色ないレベルにまで進化したことで、このインクジェットの生産性そのものを高めていけば、画期的なサービスが展開できるのではないかと考えていたという。そこで、2年ほど前から精力的に展示会などに足を運び、高速インクジェットに関する製品調査を開始した。

光弘祐紀専務執行役員

 当時について、同社の光弘祐紀専務執行役員は次のように振り返る。

 「当時は生産性の観点からシングルパス方式を積極的に調査していたが、そのうちに、安定性や品質においてマルチパス方式の方が当社の顧客には会っているのではないかと考えた。そこで発想を転換し、マルチパス方式の高速インクジェットプリンタを使ってオフセット印刷並みの生産性を確保するためのオペレーションを様々な角度から検証。結果、理論上ではあるが可能性が見えてきたので、昨年から本格的な検討に入った」

 また、最終的に決め手となったのは、「メーカーとしての信頼」だったという。

 「そもそも選択肢はそう多くなかった。もともとアグフアの大型プリンタを導入していたこともあり、長い付き合いの中でメーカーとしての信頼があった。通常、設備投資は、海外メーカー製品であっても実機を見て確認するところだが、コロナ禍でそれも難しい。そこでベルギーのアグフア本社とオンラインで繋ぎ、リモートデモを行ったり、実際に使う印刷用紙をベルギーに送って印刷テストを行ったり、制約がある中でできる限りの検証を実施。結果、品質、生産性、安定性を確認し、導入に踏み切った」(光弘専務執行役員)

 「印刷メディアの付加価値を高めていきたい」と考える同社。JETI TAUROよって、多品種印刷の短納期が可能になったことで、印刷が柔軟で利便性の高いメディアであることをクライアントに再認識してほしいという想いがある。

 「とくに大型ビジュアルコミュニケーションの市場では、デジタルサイネージが増えている。短納期という利便性を提示することで、もともとコストパフォーマンスの高い印刷メディアは、まだまだ戦える」(光弘専務執行役員)

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「大型印刷」へのこだわり

 キングプリンティングは社名の通り、大型印刷を中心に、ビジュアルコミュニケーションにかかわるあらゆる制作ソリューションを提供する企業。創業は1917年で今年104年目を迎えた。

 その社歴は、絵師だった津村英雄氏が映画館向けの手書き看板制作で起業したことに始まる。当時、映画が庶民の娯楽として流行し、映画館の開業が相次いでいた中、その旺盛な需要に応えるため、幻灯機でキャンパスに移し出した絵柄を下絵として描くことで「看板制作の効率化」を試みるなど、同社のその画期的な取り組みはパイオニア的存在としてこの分野に多大な影響を与えた。

 さらに、この分野のオフセット印刷化についても同社が始点となっている。映画の看板は非常に大きなサイズのものが多い。より少ない枚数で大きな看板を制作するためにはオフセット印刷機も大判が必要だったわけだが、当時、同社の求めるスペックに見合う機械は存在しなかった。そこでアメリカから取り寄せた印刷機を自社設計で改造。大判オフセット印刷機を完成させ、映画看板をはじめ、タバコや自動車、家電メーカーなどの大型看板・ポスターの印刷において新しい時代を切り拓いた。現在では、世界最大級の1.3×2mサイズ、A4倍判オフセット印刷機を稼働させている。

 一方、「大判サイズ」にこだわった設備投資で独自性を生み出してきた同社は、1999年に他社に先がけて5m幅のイスラエル製インクジェット印刷機を導入。現在では、大小様々なインクジェットプリンタを30台設備している。

安定性や品質で「マルチパス方式」

 同社は、オフセットとインクジェットの最適生産によるワンストップサービスが強みだ。多品種・短納期の需要に対しては、インクジェットプリンタの台数を増やすことで対応してきた。しかし、インクジェットの印刷品質がオフセットと遜色ないレベルにまで進化したことで、このインクジェットの生産性そのものを高めていけば、画期的なサービスが展開できるのではないかと考えていたという。そこで、2年ほど前から精力的に展示会などに足を運び、高速インクジェットに関する製品調査を開始した。

光弘祐紀専務執行役員

 当時について、同社の光弘祐紀専務執行役員は次のように振り返る。

 「当時は生産性の観点からシングルパス方式を積極的に調査していたが、そのうちに、安定性や品質においてマルチパス方式の方が当社の顧客には会っているのではないかと考えた。そこで発想を転換し、マルチパス方式の高速インクジェットプリンタを使ってオフセット印刷並みの生産性を確保するためのオペレーションを様々な角度から検証。結果、理論上ではあるが可能性が見えてきたので、昨年から本格的な検討に入った」

 また、最終的に決め手となったのは、「メーカーとしての信頼」だったという。

 「そもそも選択肢はそう多くなかった。もともとアグフアの大型プリンタを導入していたこともあり、長い付き合いの中でメーカーとしての信頼があった。通常、設備投資は、海外メーカー製品であっても実機を見て確認するところだが、コロナ禍でそれも難しい。そこでベルギーのアグフア本社とオンラインで繋ぎ、リモートデモを行ったり、実際に使う印刷用紙をベルギーに送って印刷テストを行ったり、制約がある中でできる限りの検証を実施。結果、品質、生産性、安定性を確認し、導入に踏み切った」(光弘専務執行役員)

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