(株)白橋(東京都中央区、白橋明夫社長)は、2021年度の「Innovation Print Awards(イノベーション・プリント・アワード、以下『IPA』)」において、「『nonchan』とおうちでde応援」で入賞(マルチピース部門第2位)を果たした。同作品は、コロナ禍の新たな事業戦略として取り組みを開始したBtoC事業から生まれたもので、同社の若手社員が中心となって制作された。今回、同社・取締役営業統括兼新戦略開発室長の白橋昌磨氏と制作グループのグループ長兼クリエイティブセンター長の丹羽治久氏に同作品を制作した背景やIPAに参加した狙いなどについて伺った。

IPAは、2008年からアジア・パシフィック地域で毎年開催されているコンテストプログラムで、富士フイルムビジネスイノベーションのプロダクションプリンターまたは富士フイルムの「Jet Pressシリーズ」や「Acuityシリーズ」を使って制作された印刷物が作品として評価される。応募作品は、印刷やグラフィックデザインなど各分野の識者で構成される第三者委員会により評価され、その品質、デジタル印刷技術の活用、革新性、ビジネス有効性、全体的な美しさといった基準に基づいて入賞作品が決定される。
通算で14回目の開催となる2021年度は、アジア・パシフィックの11の国と地域から248作品の応募があり、その中から28作品が入賞作品として選出。そして今回、日本からは18作品がエントリーし、その中から「『nonchan』とおうちでde応援」を含む5作品が入賞している。
今回、入賞を果たした白橋は、1925年に東京帳簿印刷として創業。活版印刷、オフセット印刷への変遷を経て、1999年には、「DOCUTECH」を導入し、当時の印刷業界としては、いち早くデジタル印刷市場への進出を果たしている。
95年の歴史上初となるBtoC事業に本格着手
現在では、名刺印刷をはじめ、デジタル印刷を主軸とした多品種・小ロット印刷生産を強みとして業務を展開している。その同社が今回、IPA2021にエントリーした背景には、現在も出口が見えないコロナ禍における新規事業の立ち上げがきっかけの一つとしてあると白橋氏は説明する。

「2020年に始まったコロナ禍の影響により名刺の需要は激減し、またリモートワークの普及と比例するように、これまで当たり前のように使用していた印刷物も画像データ等で賄うような状況に変わってしまった。当社は、創業から95年という長い歴史を有しており、その間に多くの顧客との信頼関係を築いてきた強みがある。その信頼関係により、コロナ禍であってもお仕事を頂けることができていた。しかし、それに甘えていては、企業としての成長は望めないと考えた」
既存ビジネスとは別の新たな事業への取り組みを模索する中で白橋氏は、同社に多く在籍している若い世代の社員に、この危機的状況の中で何をやりたいかを聞くことが重要であると考え「新戦略開発室」という部門を新設。若手世代を中心に検討を開始した。
その「新戦略開発室」が手がけた初のビジネスが年賀状印刷のBtoC市場への展開だ。外出自粛が今以上に求められていた2020年の年末は、帰省なども、その対象となっていた。そこで同社は、コロナ禍でもコミュニケーションが取れる年賀状という情報伝達ツールに着目し、取り組みを開始。BtoBを基本とした同社にとって、この年賀状印刷は、95年の歴史上初のBtoCへの取り組みとなった。
ゆるキャラ「nonchan」を使用した年賀状が大ヒット
BtoCへの展開にあたり、単に年賀状を印刷するだけでは、他社との差別化は難しい。そこで同社では、オリジナルキャラクターを考案し、自社ブランドとして展開する作戦を打ち出した。そこで誕生したキャラクターこそが、今回の入賞作品にも使用されている「nonchan」である。
この「nonchan」は、コロナ禍によって不安や閉塞感にとらわれがちな社会に「ほっこり感」を与えるような、ゆるキャラとしてデザインされている。この「nonchan」を採用した年賀状は、市場に受け入れられ、テレビ取材等にも取り上げられたことから大ヒット商品となった。
年賀状印刷でBtoCへの手応えを感じた同社は、第2弾への取り組みを開始する。その第2弾として制作されたのが、「『nonchan』とおうちでde応援」だった。
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IPAは、2008年からアジア・パシフィック地域で毎年開催されているコンテストプログラムで、富士フイルムビジネスイノベーションのプロダクションプリンターまたは富士フイルムの「Jet Pressシリーズ」や「Acuityシリーズ」を使って制作された印刷物が作品として評価される。応募作品は、印刷やグラフィックデザインなど各分野の識者で構成される第三者委員会により評価され、その品質、デジタル印刷技術の活用、革新性、ビジネス有効性、全体的な美しさといった基準に基づいて入賞作品が決定される。
通算で14回目の開催となる2021年度は、アジア・パシフィックの11の国と地域から248作品の応募があり、その中から28作品が入賞作品として選出。そして今回、日本からは18作品がエントリーし、その中から「『nonchan』とおうちでde応援」を含む5作品が入賞している。
今回、入賞を果たした白橋は、1925年に東京帳簿印刷として創業。活版印刷、オフセット印刷への変遷を経て、1999年には、「DOCUTECH」を導入し、当時の印刷業界としては、いち早くデジタル印刷市場への進出を果たしている。
95年の歴史上初となるBtoC事業に本格着手
現在では、名刺印刷をはじめ、デジタル印刷を主軸とした多品種・小ロット印刷生産を強みとして業務を展開している。その同社が今回、IPA2021にエントリーした背景には、現在も出口が見えないコロナ禍における新規事業の立ち上げがきっかけの一つとしてあると白橋氏は説明する。

「2020年に始まったコロナ禍の影響により名刺の需要は激減し、またリモートワークの普及と比例するように、これまで当たり前のように使用していた印刷物も画像データ等で賄うような状況に変わってしまった。当社は、創業から95年という長い歴史を有しており、その間に多くの顧客との信頼関係を築いてきた強みがある。その信頼関係により、コロナ禍であってもお仕事を頂けることができていた。しかし、それに甘えていては、企業としての成長は望めないと考えた」
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その「新戦略開発室」が手がけた初のビジネスが年賀状印刷のBtoC市場への展開だ。外出自粛が今以上に求められていた2020年の年末は、帰省なども、その対象となっていた。そこで同社は、コロナ禍でもコミュニケーションが取れる年賀状という情報伝達ツールに着目し、取り組みを開始。BtoBを基本とした同社にとって、この年賀状印刷は、95年の歴史上初のBtoCへの取り組みとなった。
ゆるキャラ「nonchan」を使用した年賀状が大ヒット
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この「nonchan」は、コロナ禍によって不安や閉塞感にとらわれがちな社会に「ほっこり感」を与えるような、ゆるキャラとしてデザインされている。この「nonchan」を採用した年賀状は、市場に受け入れられ、テレビ取材等にも取り上げられたことから大ヒット商品となった。
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