FFGS、新Revoria Press登場で、柔軟な「最適生産」可能に
PODで高い見当精度〜後加工適性向上が利益に直結
2025年3月25日スペシャリスト
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外部支払い原価の増加が印刷会社の経営を圧迫する中で、富士フイルムグラフィックソリューションズ(株)(山田周一郎社長、以下「FFGS」)が展開する「最適生産ソリューション」への注目と期待が一段と高まっている。これはオフセットとデジタルの共存運用から生み出された「余力」を、再分配するという考え方にもとづき、印刷会社の持続的成長に向けた「最適生産環境の構築」を印刷経営の新たなメソッドとしてブランド化したもの。page2022で正式発表してからのおよそ3年間、「加工インテグレーション」を構成要素のひとつに加え、各社平等にある「時間資源」の様々な扱い方に対して一石を投じることで、多くの理解と共感を得ている。そして今回、その出力デバイスのひとつとしてプロダクションプリンター「Revoria Press」シリーズの最新ミッドレンジモデル「Revoria Press EC2100(以下「EC2100」)」が加わり、この「印刷経営のメソッド」は、より柔軟なソリューションとして新たなステージに移行している。
「3,000通し以下は利益が出やすいゾーン」
「最適生産ソリューション」はそもそも「ノンユーザーの開拓」を狙いとしてきたが、その効果が中堅の総合印刷会社に評価され、その認知が高まってきた。一方で、これら分析を進めていくなかで、中小事業規模の印刷会社でも日本全国、同様の課題が浮き彫りになった。ただ、最適生産における問題提起は同じであっても、年商規模によっては主力デバイスであるフラッグシップモデル「Revoria Press PC1120(以下「PC1120」)はオーバースペックになるケースもある。そこでPC1120に匹敵する性能を維持し、適度な費用感や省スペースなPOD機への要求が高まってきたという。
デジタルソリューション営業部の鈴木重雄部長は「『最適生産』というプラットフォームの認知が高まるなか、そこにPC1120に匹敵する性能を『旧Versant』筐体に匹敵するサイズで提供することで、より柔軟性を持ったソリューションへと進化した。コンパクトな筐体に5色エンジンを搭載し、なおかつ品質を担保するという極めて難易度の高い顧客ニーズを起点とした開発要求に対して、時間はかかったがようやくローンチすることができた。その意味で我々も大きな期待を寄せている」と話す。
FFGSではこれまで、印刷会社180社の分析・レポートを実施し、対話を進めてきた。そこで統計として分かってきたのが、仕事全体の約70%が3,000部以下の小ロットで、その売上は全体の約20%に過ぎないこと。また、この売上20%に投下されている損紙が全体の約60%で、ここに費やされている付帯作業時間(段取り替えなど)が約70%。つまり、3,000通し以下の仕事は、売り上げ貢献度が低いにもかかわらず、損紙・予備紙などの外部キャッシュアウトや売上に繋がらない付帯作業時間に多くを費やしているということだ。
「ただ、『オフセット受注でも3,000通し以下は利益が出やすいゾーン』と話す経営者もいる。これは小ロット=高単価という受注構造を持ち、損紙代も含めた料金設定ができている会社である。ここをポジティブに捉えると、デジタル機をうまく共存させれば、さらなる利益が期待でき、厳しい経営環境下で利益を出すゾーンとして、改めて『3,000通し以下』がハイライトされることになる」(鈴木部長)
シールラベルやパッケージ分野にも展開
PC1120の高い見当精度が後加工を基点とした最適生産ソリューションを後押ししているケースもある。ある大阪の会社では、「後加工がある小ロットジョブ」を積極的に受注し、利益を出している。EC2100の見当精度も高く、この加工を含めた最適生産ソリューションでの活用が期待できる。2月開催のpage展では、PC1120と無線綴じ機の連携の実演までを行い、その見当精度による後加工適性を示したが、EC2100も匹敵する見当精度を有している。
「後加工の最適化はリードタイム、スループットで効果を生み、これが利益に直結する。とくに後加工は仕掛り在庫が増えがち。そう考えると後加工を含めた最適生産ソリューションという考え方は重要で、我々側ではその知見が積み上がってきている」(鈴木部長)
最適生産ベースで考えるEC2100のターゲットは、まず商業印刷を中心とした中小規模の印刷会社。さらにハイスペックのPC1120と柔軟性をもったEC2100の併用を中堅規模以上にも提案できる。
一方で、PC1120では、最適生産の延長線上にシート物のシールラベルや、展開サイズがA3以下のパッケージ分野での市場も見えてきているという。「両分野に言えることは、商業印刷同様に小ロットジョブを取り込むことで効率化が見えてくることと、立ち合い工程での効率化が期待されている。まだ検証段階だが間もなく事例を紹介できるところまできている」(鈴木部長)
パッケージ分野に対しては、昨年10月に開催された「TOKYO PACK 2024(東京国際包装展)」において、デジタル印刷技術を活かした様々なパッケージサンプルを展示。その活用事例を通してパッケージ・オンデマンドの可能性を訴求した。この分野でも、やはり高い見当精度がフォーカスされた。
「これまで『POD機にはトムソンで抜けるだけの見当精度がなく、ヤレが多く、コストが嵩む』とされてきたが、PC1120はこの常識を覆すだけの見当精度がある。この部分では加工機メーカーからも高い評価を得ており、今後はもっとPRしていくべきだと考えている」(鈴木部長)
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「3,000通し以下は利益が出やすいゾーン」
「最適生産ソリューション」はそもそも「ノンユーザーの開拓」を狙いとしてきたが、その効果が中堅の総合印刷会社に評価され、その認知が高まってきた。一方で、これら分析を進めていくなかで、中小事業規模の印刷会社でも日本全国、同様の課題が浮き彫りになった。ただ、最適生産における問題提起は同じであっても、年商規模によっては主力デバイスであるフラッグシップモデル「Revoria Press PC1120(以下「PC1120」)はオーバースペックになるケースもある。そこでPC1120に匹敵する性能を維持し、適度な費用感や省スペースなPOD機への要求が高まってきたという。
デジタルソリューション営業部の鈴木重雄部長は「『最適生産』というプラットフォームの認知が高まるなか、そこにPC1120に匹敵する性能を『旧Versant』筐体に匹敵するサイズで提供することで、より柔軟性を持ったソリューションへと進化した。コンパクトな筐体に5色エンジンを搭載し、なおかつ品質を担保するという極めて難易度の高い顧客ニーズを起点とした開発要求に対して、時間はかかったがようやくローンチすることができた。その意味で我々も大きな期待を寄せている」と話す。
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「ただ、『オフセット受注でも3,000通し以下は利益が出やすいゾーン』と話す経営者もいる。これは小ロット=高単価という受注構造を持ち、損紙代も含めた料金設定ができている会社である。ここをポジティブに捉えると、デジタル機をうまく共存させれば、さらなる利益が期待でき、厳しい経営環境下で利益を出すゾーンとして、改めて『3,000通し以下』がハイライトされることになる」(鈴木部長)
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PC1120の高い見当精度が後加工を基点とした最適生産ソリューションを後押ししているケースもある。ある大阪の会社では、「後加工がある小ロットジョブ」を積極的に受注し、利益を出している。EC2100の見当精度も高く、この加工を含めた最適生産ソリューションでの活用が期待できる。2月開催のpage展では、PC1120と無線綴じ機の連携の実演までを行い、その見当精度による後加工適性を示したが、EC2100も匹敵する見当精度を有している。
「後加工の最適化はリードタイム、スループットで効果を生み、これが利益に直結する。とくに後加工は仕掛り在庫が増えがち。そう考えると後加工を含めた最適生産ソリューションという考え方は重要で、我々側ではその知見が積み上がってきている」(鈴木部長)
最適生産ベースで考えるEC2100のターゲットは、まず商業印刷を中心とした中小規模の印刷会社。さらにハイスペックのPC1120と柔軟性をもったEC2100の併用を中堅規模以上にも提案できる。
一方で、PC1120では、最適生産の延長線上にシート物のシールラベルや、展開サイズがA3以下のパッケージ分野での市場も見えてきているという。「両分野に言えることは、商業印刷同様に小ロットジョブを取り込むことで効率化が見えてくることと、立ち合い工程での効率化が期待されている。まだ検証段階だが間もなく事例を紹介できるところまできている」(鈴木部長)
パッケージ分野に対しては、昨年10月に開催された「TOKYO PACK 2024(東京国際包装展)」において、デジタル印刷技術を活かした様々なパッケージサンプルを展示。その活用事例を通してパッケージ・オンデマンドの可能性を訴求した。この分野でも、やはり高い見当精度がフォーカスされた。
「これまで『POD機にはトムソンで抜けるだけの見当精度がなく、ヤレが多く、コストが嵩む』とされてきたが、PC1120はこの常識を覆すだけの見当精度がある。この部分では加工機メーカーからも高い評価を得ており、今後はもっとPRしていくべきだと考えている」(鈴木部長)
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