プルーフに対する市場要求は、「品質」から「品質+付加価値」、さらに現在では「品質+効率+多様性」へとシフトしている。これら要求課題に対して広い守備範囲を誇る富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ(株)(真茅久則社長)では、適切なデバイスやCMS運用ノウハウの提供、さらに長年蓄積された印刷診断解析データに基づく印刷物評価技術による印刷工程全体の最適化を提案している。そこで今回、同社技術二部の出口慶氏に、プルーフの将来予測を含めた動向と同社ソリューションについて話を聞いた。
JCプルーフ運用認証、72%がインクジェット
1995年以降、平台校正が減少する中で、本紙薄膜熱転写タイプや銀塩カラー感光材料タイプというものが登場する。しかし、銀塩カラー感光材料タイプも今年3月をもって感材の供給が終了。いわゆる「DDCP」の時代が終焉を迎える。
そんな中で、2000年初頭から登場したのがインクジェットプルーファーである。当社でも2005年に「PRIMOJET SOFT」、2010年には「PRIMOJET SOFT-XG」
を市場投入している。
また、富士ゼロックスの「DocuColor1450GA」が2011年に発売され、校正用途でのトナーPODの活用も出てきている。
市場の要望から見ると、2000年では印刷近似性、出力安定性、画質、生産性といったDDCPそのものの品質に対する要求が高かったのに対し、インクジェットが登場した2005年頃を契機に、コスト削減、環境対応、業界標準対応という、いわゆる付加価値が求められるようになった。デジタルプルーフは、まさに発展期から成熟期を迎えている。
JapanColorプルーフ運用認証の取得機器内訳を見てみると、現在72%がインクジェットプルーフになっている。とくに、その中でも半数近くがPRIMOJETであることを強調したい。
一方、JMPAでも2014年1月からベンダーキット/リファレンスキットをDDCPからインクジェット方式に変更。このように業界標準もインクジェットにシフトしている。
PRIMOJET SOFT-XG
当社製品ラインアップでも主力の「PRIMOJET SOFT-XG」(以下「XG」)。その大きな特長は2つ。まず1つ目は、高品質な文字・網点再現が可能であること。DDCP品質を維持したままインクジェットプルーフに移行できるシステムだと言える。通常、プリンタの純正ドライバで網点を描く。しかし網点を形成する技術と色を調整するCMSの技術の要素を両立するのは非常に難しい。そこでXGはソフト独自のインクジェットドライバーを採用することで、シャープな網点再現を可能にしつつも豊かな色調表現も可能にしている。
詳しく説明すると、これは当社独自の「コアドット」と「サテライトドット」という技術が作用している。図1のように、菱形部分をひとつの網点とすると、網点上にインクジェットの細かな粒を凝縮させて打ち、オフセットに近似した網点を形成するのがコアドット技術だ。そして、網点を作った上で、その周りに細かなインクをちりばめて色の濃度を調整するのがサテライトドット技術である。この2つの技術を個別にコントロールし、両立することで、印刷物への近似性を高めている。
2つ目の特長は、出力安定性である。XGにはオートキャリブレーション機能がある。これはソフトの画面上でボタンをワンクリックするだけで、全自動で繰り返し演算補正を実施するというもの。実際の活用事例を紹介する。
A社ではRIPが4セットに対し、プリンタ10台で運用。オートキャリブレーション機能により、プリンタの個体差を吸収し、共通のプロファイルで複数台運用が可能になっている。
また、64bitOS(ウインドウズ7)へのネイティブ対応とソフトの処理能力向上により、1PCにプリンタ3台までの制御が可能となっている。A社ではXG導入後、DDCP4台を廃棄している。
一方、B社は全国6拠点でプリンタ8台導入。その後、グループ会社3拠点にもプリンタ4台で展開。オートキャリブレーション機能により、拠点間のプリンタの個体差を吸収し、共通のプロファイルで複数台運用が可能になった。さらに色管理などの専門知識を持つ人材がいない営業のみの拠点でもスキルレスで正確な色再現が可能になった。
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JCプルーフ運用認証、72%がインクジェット
1995年以降、平台校正が減少する中で、本紙薄膜熱転写タイプや銀塩カラー感光材料タイプというものが登場する。しかし、銀塩カラー感光材料タイプも今年3月をもって感材の供給が終了。いわゆる「DDCP」の時代が終焉を迎える。
そんな中で、2000年初頭から登場したのがインクジェットプルーファーである。当社でも2005年に「PRIMOJET SOFT」、2010年には「PRIMOJET SOFT-XG」
を市場投入している。
また、富士ゼロックスの「DocuColor1450GA」が2011年に発売され、校正用途でのトナーPODの活用も出てきている。
市場の要望から見ると、2000年では印刷近似性、出力安定性、画質、生産性といったDDCPそのものの品質に対する要求が高かったのに対し、インクジェットが登場した2005年頃を契機に、コスト削減、環境対応、業界標準対応という、いわゆる付加価値が求められるようになった。デジタルプルーフは、まさに発展期から成熟期を迎えている。
JapanColorプルーフ運用認証の取得機器内訳を見てみると、現在72%がインクジェットプルーフになっている。とくに、その中でも半数近くがPRIMOJETであることを強調したい。
一方、JMPAでも2014年1月からベンダーキット/リファレンスキットをDDCPからインクジェット方式に変更。このように業界標準もインクジェットにシフトしている。
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詳しく説明すると、これは当社独自の「コアドット」と「サテライトドット」という技術が作用している。図1のように、菱形部分をひとつの網点とすると、網点上にインクジェットの細かな粒を凝縮させて打ち、オフセットに近似した網点を形成するのがコアドット技術だ。そして、網点を作った上で、その周りに細かなインクをちりばめて色の濃度を調整するのがサテライトドット技術である。この2つの技術を個別にコントロールし、両立することで、印刷物への近似性を高めている。
2つ目の特長は、出力安定性である。XGにはオートキャリブレーション機能がある。これはソフトの画面上でボタンをワンクリックするだけで、全自動で繰り返し演算補正を実施するというもの。実際の活用事例を紹介する。
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