奥村印刷、新たな価値を紙に付加〜「折り紙食器 beak」でIPA2024に入賞
能登半島地震の被災者支援でも活用
2024年11月20日企業・経営
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奥村印刷(株)(本社/東京都北区、奥村文泰社長)は、2024年度の「Innovation Print Awards(以下、IPA)」において、「サステナビリティ部門」第1位を獲得した。今回の入賞作品は、プロダクションカラープリンター「Revoria Press PC1120(以下、Revoria Press)」の強みである特殊トナーによる印刷表現や用紙対応力を最大限に活用して制作された「折り紙食器 beak(以下、beak)」。紙の印刷物の新たな価値と需要の創出を追求している。
IPAは、2008年から毎年アジア・パシフィック地域で開催されているコンテストで、富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)のプロダクションプリンター「Revoria Press」シリーズやインクジェットデジタルプレス「Jet Press」シリーズ、ワイドフォーマットプリンター「Acuity」シリーズなどを使って制作された印刷作品を応募対象としている。審査は、印刷やグラフィックデザインなど各分野の識者で構成される第三者委員会によって、応募作品の仕上がり品質、デジタル印刷技術の活用、革新性、ビジネス有効性、全体的な美しさといった基準に基づいて行われ、入賞作品が選出される。
通算で17回目の開催となる今回は、作品募集の対象地域を初めてグローバルに拡大し、2つのプログラム、「IPA2024 APJ」と「IPA2024 グローバル」を並行して開催。「IPA2024 APJ」には12の国と地域から281作品の応募があり、33作品が入賞。「IPA2024 グローバル」には、アジア・パシフィックに加え、ドイツ、インド、スウェーデン、英国、オランダなどの16の国と地域から179作品の応募があり、30作品が入賞した。日本からは7社・14作品の応募があり、奥村印刷を含む2社・2作品が入賞した。
10月7日に表彰式を挙行
10月7日には同社において、奥村社長をはじめ齋藤武彦専務執行役員、山田秀生常務執行役員、コミュニケーションプロデュース本部・藤枝鋼至郎副本部長、コミュニケーションプロデュース本部コミュニケーションプロデュース二課・梅田修一郎課長の5氏と富士フイルムBIの木田裕士取締役執行役員ほか担当スタッフらが出席のもと表彰式が挙行され、記念トロフィーと表彰楯が手渡された。
表彰式の席上、挨拶した木田執行役員は「beakは、グラフィックコミュニケーションの枠を超え、サステナビリティという付加価値を創出していることが高く評価されたと思う。今回のIPAを通じて印刷の新たな可能性を世界に発信することができたはず」と今回の入賞作品を評価するとともに、今後も優れた作品制作を呼びかけた。
これを受けて奥村社長は「開発当初は、紙製のカップと皿のセットの予定であった。しかし災害発生時には深さと大きさのある丼のような器が絶対に必要になることから再検討を行い、最終的にカップ、皿、丼、スプーンとナイフのセットとして商品化を進めた」と開発時の経緯について説明した上で「今回の受賞を糧に今後もクライアントの裾野を広げていくとともにオフセット印刷の新規受注獲得にもつなげていきたい」と顧客層拡大のアイテムとしてbeakを活用していく考えを示した。名刺に代わる新たなビジネス商材として開発
beakの開発が始まったのは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、外出制限が求められていた2021年5月のことだと開発者である山田氏は説明する。
同社では、コロナ禍以前より名刺事業を立ち上げ、積極的な受注活動を展開していた。しかしコロナ禍の影響により、リアルで接触するコミュニケーションがなくなり、ビジネスシーンにおける名刺の需要も減少していった。そんな中、当時、在宅勤務中の山田氏が名刺事業に代わる新たな事業として思いついたのが、紙製の食器だ。
2021年3月に、東日本を中心に最大震度5弱の群発地震が発生。以前から防災グッズの購入を検討していた山田氏は、この地震をきっかけにいくつかのアイテムを購入した。しかし、実際に届いてみると食器類の紙コップや紙皿は、嵩張る上に潰れやすく、災害発生時のアイテムとしては、いささか不安が感じられた。そのため山田氏は、シート状で保管しやすく、必要な時に組み立てて使える紙製食器を探してみたが、見当たらなかったという。そこで「ないなら作ってみよう」という山田氏の素朴な想いからbeakの開発が始まった。
在宅勤務中に折り紙など使いながら開発を進めていた山田氏は、A4サイズの用紙で深さのある紙コップや丼として仕上げること。かつ、子どもからお年寄りまで、誰もが手軽に組み立てられる設計にすること。そして食器としての強度を持たせること。この3点を紙製食器の必須条件とした。
用紙サイズをA4とした理由について山田氏は、「A4サイズにすることで、クリアファイルなどで持ち運ぶことができる。また、ランドセルに入れても場所を取らないので、子どもたちの防災グッズとしても活用してもらえる」
試行錯誤の末、この3つの条件を満たした製品として完成したのが、beakだ。生産については、Revoria Pressをはじめ名刺事業で使用していた生産設備を有効活用することにした。
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IPAは、2008年から毎年アジア・パシフィック地域で開催されているコンテストで、富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)のプロダクションプリンター「Revoria Press」シリーズやインクジェットデジタルプレス「Jet Press」シリーズ、ワイドフォーマットプリンター「Acuity」シリーズなどを使って制作された印刷作品を応募対象としている。
審査は、印刷やグラフィックデザインなど各分野の識者で構成される第三者委員会によって、応募作品の仕上がり品質、デジタル印刷技術の活用、革新性、ビジネス有効性、全体的な美しさといった基準に基づいて行われ、入賞作品が選出される。
通算で17回目の開催となる今回は、作品募集の対象地域を初めてグローバルに拡大し、2つのプログラム、「IPA2024 APJ」と「IPA2024 グローバル」を並行して開催。「IPA2024 APJ」には12の国と地域から281作品の応募があり、33作品が入賞。「IPA2024 グローバル」には、アジア・パシフィックに加え、ドイツ、インド、スウェーデン、英国、オランダなどの16の国と地域から179作品の応募があり、30作品が入賞した。日本からは7社・14作品の応募があり、奥村印刷を含む2社・2作品が入賞した。
10月7日に表彰式を挙行
10月7日には同社において、奥村社長をはじめ齋藤武彦専務執行役員、山田秀生常務執行役員、コミュニケーションプロデュース本部・藤枝鋼至郎副本部長、コミュニケーションプロデュース本部コミュニケーションプロデュース二課・梅田修一郎課長の5氏と富士フイルムBIの木田裕士取締役執行役員ほか担当スタッフらが出席のもと表彰式が挙行され、記念トロフィーと表彰楯が手渡された。
表彰式の席上、挨拶した木田執行役員は「beakは、グラフィックコミュニケーションの枠を超え、サステナビリティという付加価値を創出していることが高く評価されたと思う。今回のIPAを通じて印刷の新たな可能性を世界に発信することができたはず」と今回の入賞作品を評価するとともに、今後も優れた作品制作を呼びかけた。
これを受けて奥村社長は「開発当初は、紙製のカップと皿のセットの予定であった。しかし災害発生時には深さと大きさのある丼のような器が絶対に必要になることから再検討を行い、最終的にカップ、皿、丼、スプーンとナイフのセットとして商品化を進めた」と開発時の経緯について説明した上で「今回の受賞を糧に今後もクライアントの裾野を広げていくとともにオフセット印刷の新規受注獲得にもつなげていきたい」と顧客層拡大のアイテムとしてbeakを活用していく考えを示した。
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2021年3月に、東日本を中心に最大震度5弱の群発地震が発生。以前から防災グッズの購入を検討していた山田氏は、この地震をきっかけにいくつかのアイテムを購入した。しかし、実際に届いてみると食器類の紙コップや紙皿は、嵩張る上に潰れやすく、災害発生時のアイテムとしては、いささか不安が感じられた。
そのため山田氏は、シート状で保管しやすく、必要な時に組み立てて使える紙製食器を探してみたが、見当たらなかったという。そこで「ないなら作ってみよう」という山田氏の素朴な想いからbeakの開発が始まった。
在宅勤務中に折り紙など使いながら開発を進めていた山田氏は、A4サイズの用紙で深さのある紙コップや丼として仕上げること。かつ、子どもからお年寄りまで、誰もが手軽に組み立てられる設計にすること。そして食器としての強度を持たせること。この3点を紙製食器の必須条件とした。
用紙サイズをA4とした理由について山田氏は、「A4サイズにすることで、クリアファイルなどで持ち運ぶことができる。また、ランドセルに入れても場所を取らないので、子どもたちの防災グッズとしても活用してもらえる」
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