北四国グラビア印刷で本格稼働開始
「Jet Press 540WV」は今年4月、食品関連の軟包装印刷などを手がけているグラビアコンバーターの(株)北四国グラビア印刷(香川県、奥田拓己社長)に納入され、テスト稼働などを経て、本格稼働を開始している。
北四国グラビア印刷が「Jet Press 540WV」を導入した背景について菅沼氏は、次のように説明する。
「国内の軟包装業界も多品種・小ロット化が加速している。さらに、品質要求に対するバリエーションも『価格重視の顧客』から、逆に『高品位なものを求める顧客』というように広がっている。こなすべき仕事数自体が増加傾向にあることと裏返しとして、1ジョブあたりのロットは減少している。この結果、版替えなどジョブチェンジ回数が増え、オペレータの作業負荷増大が問題となっている。その解決手段としてインクジェットによる生産を選択いただいた」
北四国グラビア印刷では、既存の小ロットジョブをすべて「Jet Press 540WV」に移行するのではなく、インクジェットの方が効率的なもの、また、より訴求効果の高い軟包装パッケージとして提供できるか、などを自社内で検討した上でグラビア印刷機からの移行生産を行っているという。また、「Jet Press 540WV」のグラビアに近い発色・濃度を活かして、まずは小ロットジョブを「Jet Press 540WV」で印刷・出荷し、グラビア印刷製品が出荷するまでの間をつなぐといった生産を行っている。これにより、クライアント側の要求する納期にも柔軟に対応することや、先行少量生産によるテストマーケティングが可能になった。
相乗効果で既存設備の稼働率向上にも貢献
軟包装用のデジタル印刷機を導入することで、グラビアコンバーターは、どのようなメリットを得ることができるのか。その点について菅沼氏は、「既設のグラビア機との相乗効果による工場全体の稼働率の向上」と述べた上で次のように説明する。
「グラビア印刷の現場では、小ロットジョブの増加により、頻繁なシリンダー交換が余儀なくされており、装置の稼働率低下やオペレータ負荷の増大といった構造的な問題が顕在化している。小ロットの仕事に対しては、インクジェット印刷に切り替えることで、結果としてグラビア機の作業負荷の軽減を図ることができる。もちろんインクジェット印刷とグラビア印刷では、仕上がり品質が必ずしも同等であるとは言えない。しかし、インクジェットの品質であっても市場に受け入れられる仕事が相当数存在することも事実。それらの仕事をインクジェットに切り替えれば、圧倒的な生産効率を発揮する。また、グラビア印刷機についても、小ロットジョブが減ることで、ジョブチェンジ回数が軽減し、稼働率の改善を図れる」
さらに菅沼氏は、「インクジェットによる生産は部分的な効率化ではなく、結果として既存のグラビア機の生産性向上にもつながる。これは経営視点で見ても大きなメリットになるはずと考えている。オフセット印刷においても、同様の効果が報告されている」と、インクジェット印刷機を導入することで、工場全体の稼働率向上につながることこそが最大の導入メリットであることを強調した。
ブランドオーナーとの認識共有で相互メリットを享受
北四国グラビア印刷は、10月25・26日に広島で開催された中四国地区最大の包装展「SIMANAMI PACK(しまなみパック)2017」に出展し、「Jet Press 540WV」で印刷した多彩なサンプルを展示。実際のサンプルを手にとって見てもらうことで、その印刷品質を来場したブランドオーナーなどに、直接訴求することができたようだ。
「ブランドオーナーにJet Press 540WVの高い印刷品質を確認してもらったことは弊社にとっても大きな成果であったと思う。ブランドオーナー側もグラビア印刷方式だけでなく、多品種・小ロットについては、インクジェット方式という選択肢があるという新たな発見をして頂いたと思っている。つまりグラビアコンバーターとブランドオーナーの双方で大量ロットはグラビア印刷機、多品種小ロットはインクジェット印刷機で、といった共通認識ができれば相互メリットにつながる」(菅沼氏)
「Jet Press 540WV」によって生産された軟包装製品は、すでに市場にも投入されており、北四国グラビア印刷では、今後は本格的に市場展開をして行く方針だという。OPPやPETなどの一般的なフイルム基材のほか、和紙の風合を表現したレーヨン紙などにも印刷を行っている。
菅沼氏は、FFDPの取り組みとして「人口減少や少子高齢化など社会環境の移り変わりによって、グラビア印刷業界だけでなく、産業構造全体がこれからも大きく変化していく。そのような環境の中で、当社としては、インクジェット技術を活用することでグラビアコンバーターが抱える課題解決の支援をしていく」と説明した上で、改めてインクジェット印刷機の活用による生産設備全体の稼働率向上を積極的に提案していくことを明らかした。
新着トピックス
-
ケーススタディ 門那シーリング印刷(大阪)、除電機能で作業効率向上[Revoria Press PC1120導入事例]
-
ケーススタディ 尾崎スクリーン、熱転写の新たな領域へ[HP Indigo 7K デジタル印刷機導入事例]
リンクス、スキルレスで人材確保、育成期間短縮[JetPress750S導入事例]
2025年6月27日ケーススタディ
「アイデア什器」の(株)リンクス(本社/岐阜県関市倉知2639-1、吉田哲也社長)は昨年11月、富士フイルムの枚葉インクジェットデジタルプレス「JetPress750S」(厚紙仕様)...全文を読む
コニカミノルタジャパン、AccurioDays2025で新たなフラッグシップモデルを公開
2025年6月4日製品・テクノロジー
コニカミノルタジャパン(株)は、デジタルカラー印刷システムの最上位機種「AccurioPress(アキュリオプレス) C14010シリーズ」の発売を記念して4月23・24日の2日間、...全文を読む
最新ニュース
エプソン、世界最少の小型軽量デジタルプリンター「EP-101」が「機械遺産」に選定
2025年8月7日
セイコーエプソン(株)がエプソンミュージアム諏訪(長野県諏訪市)に所蔵している、1968年より発売した世界最小(同社調べ(当時))の小型軽量デジタルプリンター「EP-101」が、(一...全文を読む
リコー、広幅対応DTFプリンター「RICOH Pro D1600」を松井色素化学工業所に供給開始
2025年8月7日
(株)リコー(大山晃社長)は、産業用テキスタイル印刷市場向けに、高生産性を実現する広幅対応Direct To Film(DTF)プリンター「RICOH Pro D1600」について、...全文を読む
コニカミノルタ、反応染料用インライン前処理インク「O'ROBE」の提供開始
2025年7月29日
コニカミノルタ(株)(本社/東京都千代田区、大幸利充社長、以下、コニカミノルタ)は、インクジェットテキスタイルプリンター「Nassenger(ナッセンジャー)」シリーズ用インクとして...全文を読む
FFDP、「Jet Press 540WV」市場投入を開始
軟包装の課題解決を支援 〜 IJ技術で工場全体の稼働率向上を提案
2017年11月25日スペシャリスト
北四国グラビア印刷で本格稼働開始
「Jet Press 540WV」は今年4月、食品関連の軟包装印刷などを手がけているグラビアコンバーターの(株)北四国グラビア印刷(香川県、奥田拓己社長)に納入され、テスト稼働などを経て、本格稼働を開始している。
北四国グラビア印刷が「Jet Press 540WV」を導入した背景について菅沼氏は、次のように説明する。
「国内の軟包装業界も多品種・小ロット化が加速している。さらに、品質要求に対するバリエーションも『価格重視の顧客』から、逆に『高品位なものを求める顧客』というように広がっている。こなすべき仕事数自体が増加傾向にあることと裏返しとして、1ジョブあたりのロットは減少している。この結果、版替えなどジョブチェンジ回数が増え、オペレータの作業負荷増大が問題となっている。その解決手段としてインクジェットによる生産を選択いただいた」
北四国グラビア印刷では、既存の小ロットジョブをすべて「Jet Press 540WV」に移行するのではなく、インクジェットの方が効率的なもの、また、より訴求効果の高い軟包装パッケージとして提供できるか、などを自社内で検討した上でグラビア印刷機からの移行生産を行っているという。また、「Jet Press 540WV」のグラビアに近い発色・濃度を活かして、まずは小ロットジョブを「Jet Press 540WV」で印刷・出荷し、グラビア印刷製品が出荷するまでの間をつなぐといった生産を行っている。これにより、クライアント側の要求する納期にも柔軟に対応することや、先行少量生産によるテストマーケティングが可能になった。
相乗効果で既存設備の稼働率向上にも貢献
軟包装用のデジタル印刷機を導入することで、グラビアコンバーターは、どのようなメリットを得ることができるのか。その点について菅沼氏は、「既設のグラビア機との相乗効果による工場全体の稼働率の向上」と述べた上で次のように説明する。
「グラビア印刷の現場では、小ロットジョブの増加により、頻繁なシリンダー交換が余儀なくされており、装置の稼働率低下やオペレータ負荷の増大といった構造的な問題が顕在化している。小ロットの仕事に対しては、インクジェット印刷に切り替えることで、結果としてグラビア機の作業負荷の軽減を図ることができる。もちろんインクジェット印刷とグラビア印刷では、仕上がり品質が必ずしも同等であるとは言えない。しかし、インクジェットの品質であっても市場に受け入れられる仕事が相当数存在することも事実。それらの仕事をインクジェットに切り替えれば、圧倒的な生産効率を発揮する。また、グラビア印刷機についても、小ロットジョブが減ることで、ジョブチェンジ回数が軽減し、稼働率の改善を図れる」
さらに菅沼氏は、「インクジェットによる生産は部分的な効率化ではなく、結果として既存のグラビア機の生産性向上にもつながる。これは経営視点で見ても大きなメリットになるはずと考えている。オフセット印刷においても、同様の効果が報告されている」と、インクジェット印刷機を導入することで、工場全体の稼働率向上につながることこそが最大の導入メリットであることを強調した。
ブランドオーナーとの認識共有で相互メリットを享受
北四国グラビア印刷は、10月25・26日に広島で開催された中四国地区最大の包装展「SIMANAMI PACK(しまなみパック)2017」に出展し、「Jet Press 540WV」で印刷した多彩なサンプルを展示。実際のサンプルを手にとって見てもらうことで、その印刷品質を来場したブランドオーナーなどに、直接訴求することができたようだ。
「ブランドオーナーにJet Press 540WVの高い印刷品質を確認してもらったことは弊社にとっても大きな成果であったと思う。ブランドオーナー側もグラビア印刷方式だけでなく、多品種・小ロットについては、インクジェット方式という選択肢があるという新たな発見をして頂いたと思っている。つまりグラビアコンバーターとブランドオーナーの双方で大量ロットはグラビア印刷機、多品種小ロットはインクジェット印刷機で、といった共通認識ができれば相互メリットにつながる」(菅沼氏)
「Jet Press 540WV」によって生産された軟包装製品は、すでに市場にも投入されており、北四国グラビア印刷では、今後は本格的に市場展開をして行く方針だという。OPPやPETなどの一般的なフイルム基材のほか、和紙の風合を表現したレーヨン紙などにも印刷を行っている。
菅沼氏は、FFDPの取り組みとして「人口減少や少子高齢化など社会環境の移り変わりによって、グラビア印刷業界だけでなく、産業構造全体がこれからも大きく変化していく。そのような環境の中で、当社としては、インクジェット技術を活用することでグラビアコンバーターが抱える課題解決の支援をしていく」と説明した上で、改めてインクジェット印刷機の活用による生産設備全体の稼働率向上を積極的に提案していくことを明らかした。
新着トピックス
-
門那シーリング印刷(大阪)、除電機能で作業効率向上[Revoria Press PC1120導入事例]
2025年8月8日 ケーススタディ
-
尾崎スクリーン、熱転写の新たな領域へ[HP Indigo 7K デジタル印刷機導入事例]
2025年8月4日 ケーススタディ
-
リンクス、スキルレスで人材確保、育成期間短縮[JetPress750S導入事例]
2025年6月27日 ケーススタディ
-
コニカミノルタジャパン、AccurioDays2025で新たなフラッグシップモデルを公開
2025年6月4日 製品・テクノロジー
-
大村印刷、特殊トナーと用紙対応力で小ロット・高付加価値ニーズに対応
2025年5月8日 ケーススタディ
新着ニュース
SNSランキング
- 50sharesリコー、企業内・商用印刷の幅広いニーズに対応するカラー機の新機種発売
- 47sharesキヤノンPPS、4月11日「Hunkeler Innovationdays 2025レポートセミナー」開催
- 38shares門那シーリング印刷(大阪)、除電機能で作業効率向上[Revoria Press PC1120導入事例]
- 38sharesコニカミノルタジャパン、AccurioDays2025で新たなフラッグシップモデルを公開
- 35sharesKOMORI、China Print 2025でB2デジタル「J-throne29」を中国初出展
- 33sharesウケゼキ、小ロット厚紙・パッケージ印刷を強化[Revoria PressEC1100導入事例]
- 30sharesコニカミノルタジャパン、機能強化モデル「AccurioPress C7100 ENHANCED」発売
- 28sharesパラシュート、Webプラットフォームをベースとした販促資材管理サービスの提供開始
- 28shares日印機工とプリデジ協、IGAS2027の日程決定-2027年8月に東京ビッグサイトで開催
- 24shares尾崎スクリーン、熱転写の新たな領域へ[HP Indigo 7K デジタル印刷機導入事例]
おすすめコンテンツ
尾崎スクリーン、熱転写の新たな領域へ[HP Indigo 7K デジタル印刷機導入事例]
竹田印刷、多様な個性をかたちに〜アール・ブリュット作品を世界に発信
奥村印刷、新たな価値を紙に付加〜「折り紙食器 beak」でIPA2024に入賞