FFDP、「Jet Press 540WV」市場投入を開始
軟包装の課題解決を支援 〜 IJ技術で工場全体の稼働率向上を提案
2017年11月25日スペシャリスト
-
昨今の消費指向の多様化を背景とする多品種小ロット化は、もはや後戻りができないムーブメントとなり、生産者側もこの動きに対応することが必須であることに、疑いの余地はない。一般商業印刷や出版印刷分野では、インクジェット方式、あるいは電子写真方式による様々なデジタル印刷機が導入され、多品種小ロット・短納期といった市場ニーズに対応した生産が本格化している。一方、軟包装印刷を手がけるグラビア印刷の現場は、従来のグラビア機を主軸に、オペレータの絶え間ない作業改善によって生産を維持しているのが実態で「紙」に対するデジタル印刷と比べ、「フイルム基材」への生産は、極わずかに留まっている。この様な状況の中、今年10月、富士フイルムデジタルプレス(株)(FFDP)が、発売を開始したのが軟包装用途向けUVインクジェットデジタルプレス「Jet Press 540WV」だ。今回、同社・営業部第3グループ担当部長の菅沼敦氏に、導入事例を踏まえ「Jet Press 540WV」がグラビア印刷業界にもたらす効果などについて聞いた。
「Jet Press 540WV」は、富士フイルム独自の画像形成技術「EUCON Technology(ユーコンテクノロジー)」を搭載した、裏刷り・ラミネート有りの軟包装用途向けに開発されたUVインクジェットデジタルプレス。印刷スピードは、50m/分で解像度は600×600dpi。色数はCMYK+白の5色。使用できる基材は、OPP、PETやNYなどで基材幅は580mmから300mmまで対応する。さらにLED-UV硬化による乾燥方式のため、熱による基材への影響や電力消費量を抑制する。
同機の最大の特徴である「EUCON Technology」について菅沼氏は、「新開発のUVインク『Uvijet』とプラスチックフイルム基材面上でのインクにじみを防止する『下塗り技術』、UVインク特有の臭気を大幅に低減する『窒素パージ技術』から成り立っている」と説明する。
臭気低減やインクのにじみを抑える新技術
「Uvijet」は、従来のグラビアインキに近い濃度域を持ち、鮮やかで美しい発色が得られる、加熱処理に耐えられる、さらに、再現安定性に優れていることが特長。フイルム系基材に対して高い密着性を発揮し、ラミネート後に画像部を加熱した場合でも、インクの剥離や溶融などが発生することがない。このため、製袋の際のヒートシール加工や高温での殺菌処理を行う食品のパッケージなどでも、高い仕上がり品質を実現する。
「下塗り技術」は、プラスチック系素材のような非吸収体の基材に対して、にじみが発生することなく、確実にインクを着弾させるために、新たに開発した「プレコート液」を下塗りした後に、CMYKWの各色インクを吐出することで定着性を高め、にじみのないクリアな画像再現が可能となる。
一般的にUVインクは、ノンVOCで速乾性に優れ、多様な種類の基材に対応できるなどの優れた特徴があるが、印刷後に臭気が残るという課題があった。これは、紫外線硬化の際、空気中の酸素が硬化反応を阻害し、微量のモノマーが未反応のまま残留するために起こる現象。その問題を解決するために開発されたのが「窒素パージ技術」で、具体的には、高速搬送される基材の表面を瞬時に窒素ガスで満たすもの。これにより酸素を完全にシャットアウトして反応効率を高め、未反応なモノマーを削減し、臭気を劇的に低減することを可能とした。
「従来のUVインクでは、どうしても臭気が発生してしまうため、主に食品包材に使われる軟包装材用途としては敬遠される傾向にあった。この問題を解決するために開発されたのが、EUCON Technologyを搭載したJet Press 540WVである」(菅沼氏)
さらに、同機に使用されるインクは、印刷インキ工業連合会が制定した食品包装用インキの自主規制「NLマーク」を取得。これにより業界の基準にそった安心と安全性を示すことができるようになった。
新着トピックス
ヤマゼンコミュニケイションズ、VRの世界観を印刷物として提供
2024年1月26日企業・経営
ヤマゼンコミュニケイションズ(株)(本社/栃木県宇都宮市、山本堅嗣宣社長)は、2023年度の「Innovation print Awards(以下、IPA)」において、「フォトブック...全文を読む
2024年1月16日スペシャリスト
ワールドワイドでコダックの事業全体の7〜8割を占める印刷関連事業。プレート、CTP機器、ワークフローを三位一体とするオフセット印刷事業と、「唯一無二」の尖った製品ポートフォリオを持つ...全文を読む
最新ニュース
軟包装印刷向け水性インクジェットデジタルプレス「Jet Press FP790」発売
2024年3月26日
富士フイルム(株)(後藤禎一社長・CEO)は、インクジェットデジタルプレス「Jet Press」シリーズの新ラインアップとして、軟包装印刷市場を対象とした水性インクジェットプレス「J...全文を読む
富士フイルム、ワイドフォーマットIJ向け「AQUAFUZE技術」を開発
2024年3月26日
富士フイルム(株)(後藤禎一社長・CEO)は、ワイドフォーマットインクジェットプリンター向けに、水性顔料インクジェットインク中に光硬化性樹脂を安定的に分散させる独自技術「AQUAFU...全文を読む
コダック、drupa2024でインクジェットとオフセットのソリューション展開
2024年3月25日
コダック社は、5月28日から開催される「drupa2024」に出展し、印刷会社の生産性と収益性向上を支援するために設計されたデジタルテクノロジーと従来の印刷ソリューションを展示する(...全文を読む
FFDP、「Jet Press 540WV」市場投入を開始
軟包装の課題解決を支援 〜 IJ技術で工場全体の稼働率向上を提案
2017年11月25日スペシャリスト
昨今の消費指向の多様化を背景とする多品種小ロット化は、もはや後戻りができないムーブメントとなり、生産者側もこの動きに対応することが必須であることに、疑いの余地はない。一般商業印刷や出版印刷分野では、インクジェット方式、あるいは電子写真方式による様々なデジタル印刷機が導入され、多品種小ロット・短納期といった市場ニーズに対応した生産が本格化している。一方、軟包装印刷を手がけるグラビア印刷の現場は、従来のグラビア機を主軸に、オペレータの絶え間ない作業改善によって生産を維持しているのが実態で「紙」に対するデジタル印刷と比べ、「フイルム基材」への生産は、極わずかに留まっている。この様な状況の中、今年10月、富士フイルムデジタルプレス(株)(FFDP)が、発売を開始したのが軟包装用途向けUVインクジェットデジタルプレス「Jet Press 540WV」だ。今回、同社・営業部第3グループ担当部長の菅沼敦氏に、導入事例を踏まえ「Jet Press 540WV」がグラビア印刷業界にもたらす効果などについて聞いた。
「Jet Press 540WV」は、富士フイルム独自の画像形成技術「EUCON Technology(ユーコンテクノロジー)」を搭載した、裏刷り・ラミネート有りの軟包装用途向けに開発されたUVインクジェットデジタルプレス。印刷スピードは、50m/分で解像度は600×600dpi。色数はCMYK+白の5色。使用できる基材は、OPP、PETやNYなどで基材幅は580mmから300mmまで対応する。さらにLED-UV硬化による乾燥方式のため、熱による基材への影響や電力消費量を抑制する。
同機の最大の特徴である「EUCON Technology」について菅沼氏は、「新開発のUVインク『Uvijet』とプラスチックフイルム基材面上でのインクにじみを防止する『下塗り技術』、UVインク特有の臭気を大幅に低減する『窒素パージ技術』から成り立っている」と説明する。
臭気低減やインクのにじみを抑える新技術
「Uvijet」は、従来のグラビアインキに近い濃度域を持ち、鮮やかで美しい発色が得られる、加熱処理に耐えられる、さらに、再現安定性に優れていることが特長。フイルム系基材に対して高い密着性を発揮し、ラミネート後に画像部を加熱した場合でも、インクの剥離や溶融などが発生することがない。このため、製袋の際のヒートシール加工や高温での殺菌処理を行う食品のパッケージなどでも、高い仕上がり品質を実現する。
「下塗り技術」は、プラスチック系素材のような非吸収体の基材に対して、にじみが発生することなく、確実にインクを着弾させるために、新たに開発した「プレコート液」を下塗りした後に、CMYKWの各色インクを吐出することで定着性を高め、にじみのないクリアな画像再現が可能となる。
一般的にUVインクは、ノンVOCで速乾性に優れ、多様な種類の基材に対応できるなどの優れた特徴があるが、印刷後に臭気が残るという課題があった。これは、紫外線硬化の際、空気中の酸素が硬化反応を阻害し、微量のモノマーが未反応のまま残留するために起こる現象。その問題を解決するために開発されたのが「窒素パージ技術」で、具体的には、高速搬送される基材の表面を瞬時に窒素ガスで満たすもの。これにより酸素を完全にシャットアウトして反応効率を高め、未反応なモノマーを削減し、臭気を劇的に低減することを可能とした。
「従来のUVインクでは、どうしても臭気が発生してしまうため、主に食品包材に使われる軟包装材用途としては敬遠される傾向にあった。この問題を解決するために開発されたのが、EUCON Technologyを搭載したJet Press 540WVである」(菅沼氏)
さらに、同機に使用されるインクは、印刷インキ工業連合会が制定した食品包装用インキの自主規制「NLマーク」を取得。これにより業界の基準にそった安心と安全性を示すことができるようになった。
新着トピックス
-
大阪印刷、6台のIndigoで急成長する同人誌印刷ビジネス〜選ばれる「デジオフ品質」
2024年2月21日 ケーススタディ
-
サンエムカラー、8K印刷をJet Press 750Sで再現
2024年2月14日 企業・経営
-
ヤマゼンコミュニケイションズ、VRの世界観を印刷物として提供
2024年1月26日 企業・経営
-
コダックジャパン、オフとデジタル両輪で印刷業界にコミット
2024年1月16日 スペシャリスト
-
FFGS、「最適生産」をよりリアルなソリューションに[安田庄司技術本部長に聞く]
2024年1月15日 スペシャリスト
新着ニュース
-
軟包装印刷向け水性インクジェットデジタルプレス「Jet Press FP790」発売
2024年3月26日 ニュース
-
富士フイルム、ワイドフォーマットIJ向け「AQUAFUZE技術」を開発
2024年3月26日 ニュース
-
コダック、drupa2024でインクジェットとオフセットのソリューション展開
2024年3月25日 ニュース
-
SCREEN GA、「Creating A Future In Print 〜Tech x Irodori〜」テーマにdrupa2024に出展
2024年3月15日 ニュース
-
京セラ、繊維・アパレル業界の社会課題解決へ - TRUE BLUE TEXTILEプロジェクト始動
2024年3月15日 ニュース
SNSランキング
- 93sharesサンエムカラー、8K印刷をJet Press 750Sで再現
- 76sharesジップ、年間3億通を封入発送〜独自のダイレクトマーケティング事業展開
- 42sharesエイエイピー、「デジタル×紙」でイベント事業の高付加価値化へ[バリアブル印刷ソフトFormMagic採用事例]
- 39sharesSCREEN GA、「Creating A Future In Print 〜Tech x Irodori〜」テーマにdrupa2024に出展
- 38sharesFFGS、製造現場の可視化・分析で印刷DXを支援
- 32shares髙見紙化工所、表面化工+PODで新事業〜加工適性技術で差別化
- 30shares富士フイルムBI、DX実証の場へと進化した「Future Edge」
- 29sharesエプソン、機能性インクを搭載したMonna Lisaシリーズの新機種発売
- 27shares軟包装印刷向け水性インクジェットデジタルプレス「Jet Press FP790」発売
- 25sharesブラザー、水性顔料ラテックスインクを搭載した大判プリンター「WF1-L640」発売