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佐川印刷(愛媛)、インクジェット事業で地域活性化

「魚カレンダー」海外で称讃 〜 クリエイティブの可能性に応えるJETI MIRA

2018年3月31日ケーススタディ

IJ+加飾で印刷の新たな可能性を追求 先進的なデジタル技術への投資をベースに、徹底した環境経営の実践でも知られる佐川印刷(株)(本社/愛媛県松山市問屋町6-21、佐川正純社長)では、「印刷業の活路」を見出すべく次の一手として、大判インクジェットプリンタによるサインディスプレイ事業に乗り出している。「印刷市場の縮小」をひとつの背景としてスタートさせた新事業だが、地域活性化事業という側面から、既存事業の波及展開において「えひめの魚カレンダー」というアプリケーションを創出。加飾要素をふんだんに盛り込んだ同カレンダーは、「印刷の新たな可能性」を示す作品として海外でも高い評価を得ている。そのクリエイティビティを支えているのが、アグフアのハイエンドフラットベットUVインクジェットプリンタ「JETI MIRA 2716 LED」だ。

「創業の地」の雇用維持

 昨今の企業経営においてCSR(企業の社会的責任)への取り組みの重要性が叫ばれる中で、2003年の環境マネジメントシステム「ISO14001認証取得」をきっかけに環境経営へと大きく舵を切った佐川印刷。その後も、2004年には愛媛県優良循環型事業所の認定、2008年には環境保護印刷「クリオネゴールドプラス」の認証、さらに2016年にはオフセット印刷部門で愛媛初の「グリーンプリンティング工場」の認定を取得。社会と環境と共生する企業として、適切な企業統治とコンプライアンス(法令順守)の実施で、各方面から高い評価を得ている。

 また、ダイバーシティ推進やポジティブ・アクション、両立支援(子育て等、仕事と生活の両立支援)でも先進的な取り組みで知られる同社。見える化、ITによる自動化・省力化による企業競争力の強化および社員を幸せにするための働き方改革を推進し、とくに、長年にわたる女性活躍の風土を基盤に、IoT活用による業務改善と生産性向上を実現。一昨年3月には、経済産業省の「新・ダイバーシティ経営企業100選」および中小企業庁の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」をダブル受賞。さらに今年2月には、経済産業省と日本健康会議が主催する「健康経営優良法人2018認定法人(中小規模法人部門)」に選ばれている。

佐川社長 そんな同社が、「印刷業の活路」を見出すべく次の一手を打っている。それが大判インクジェットプリンタによるサインディスプレイ事業だ。

 「出版分野に象徴されるように、印刷の電子メディアへの置き換えは残念ながら今後も進む。ならば、我々は電子メディアに置き換えられない印刷物を作るしかない。その活路としてサインディスプレイ事業への投資を加速させている」(佐川社長)

 この決断の背景のひとつには、当時、「創業の地」でもある吉田工場(愛媛県宇和島市吉田町北小路乙19-2)で働く社員およそ10名の「地域雇用の維持」があった。佐川社長は当時を次のように振り返る。

 「事務用印刷物の製造を中心としていた吉田工場には、これ以上、働き方改革を実践できるような付加価値向上の要素がなく、工場の老朽化にともない閉鎖も考えていた。しかし、ここで働く社員は、公民館の館長など、地域の担い手となっており、彼らの雇用を守らなければ地域の衰退を招いてしまう。そこで『地域貢献』という旗印のもと社員を説得し、吉田工場の『デジタル印刷工場化』に着手した」

 しかし、デジタル印刷および付帯設備に多額の投資をしたところで、愛媛という地方において、そのデジタル印刷機をフル稼働させてくれる大手ブランドメーカーのようなクライアントはない。そこで同社は、松山のオフセット印刷工場を高効率な研ぎ澄まされた工場に作り上げるとともに、吉田工場は高付加価値の仕事に特化したデジタル印刷専用工場として運用していくことを決めた。昨年夏、その工場設備の最後のピースとしてはめ込まれたのが、ハイエンドフラットベットUVインクジェットプリンタ「JETI MIRA 2716 LED」(以下「JETI MIRA」)だ。

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IJ+加飾で印刷の新たな可能性を追求 先進的なデジタル技術への投資をベースに、徹底した環境経営の実践でも知られる佐川印刷(株)(本社/愛媛県松山市問屋町6-21、佐川正純社長)では、「印刷業の活路」を見出すべく次の一手として、大判インクジェットプリンタによるサインディスプレイ事業に乗り出している。「印刷市場の縮小」をひとつの背景としてスタートさせた新事業だが、地域活性化事業という側面から、既存事業の波及展開において「えひめの魚カレンダー」というアプリケーションを創出。加飾要素をふんだんに盛り込んだ同カレンダーは、「印刷の新たな可能性」を示す作品として海外でも高い評価を得ている。そのクリエイティビティを支えているのが、アグフアのハイエンドフラットベットUVインクジェットプリンタ「JETI MIRA 2716 LED」だ。

「創業の地」の雇用維持

 昨今の企業経営においてCSR(企業の社会的責任)への取り組みの重要性が叫ばれる中で、2003年の環境マネジメントシステム「ISO14001認証取得」をきっかけに環境経営へと大きく舵を切った佐川印刷。その後も、2004年には愛媛県優良循環型事業所の認定、2008年には環境保護印刷「クリオネゴールドプラス」の認証、さらに2016年にはオフセット印刷部門で愛媛初の「グリーンプリンティング工場」の認定を取得。社会と環境と共生する企業として、適切な企業統治とコンプライアンス(法令順守)の実施で、各方面から高い評価を得ている。

 また、ダイバーシティ推進やポジティブ・アクション、両立支援(子育て等、仕事と生活の両立支援)でも先進的な取り組みで知られる同社。見える化、ITによる自動化・省力化による企業競争力の強化および社員を幸せにするための働き方改革を推進し、とくに、長年にわたる女性活躍の風土を基盤に、IoT活用による業務改善と生産性向上を実現。一昨年3月には、経済産業省の「新・ダイバーシティ経営企業100選」および中小企業庁の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」をダブル受賞。さらに今年2月には、経済産業省と日本健康会議が主催する「健康経営優良法人2018認定法人(中小規模法人部門)」に選ばれている。

佐川社長 そんな同社が、「印刷業の活路」を見出すべく次の一手を打っている。それが大判インクジェットプリンタによるサインディスプレイ事業だ。

 「出版分野に象徴されるように、印刷の電子メディアへの置き換えは残念ながら今後も進む。ならば、我々は電子メディアに置き換えられない印刷物を作るしかない。その活路としてサインディスプレイ事業への投資を加速させている」(佐川社長)

 この決断の背景のひとつには、当時、「創業の地」でもある吉田工場(愛媛県宇和島市吉田町北小路乙19-2)で働く社員およそ10名の「地域雇用の維持」があった。佐川社長は当時を次のように振り返る。

 「事務用印刷物の製造を中心としていた吉田工場には、これ以上、働き方改革を実践できるような付加価値向上の要素がなく、工場の老朽化にともない閉鎖も考えていた。しかし、ここで働く社員は、公民館の館長など、地域の担い手となっており、彼らの雇用を守らなければ地域の衰退を招いてしまう。そこで『地域貢献』という旗印のもと社員を説得し、吉田工場の『デジタル印刷工場化』に着手した」

 しかし、デジタル印刷および付帯設備に多額の投資をしたところで、愛媛という地方において、そのデジタル印刷機をフル稼働させてくれる大手ブランドメーカーのようなクライアントはない。そこで同社は、松山のオフセット印刷工場を高効率な研ぎ澄まされた工場に作り上げるとともに、吉田工場は高付加価値の仕事に特化したデジタル印刷専用工場として運用していくことを決めた。昨年夏、その工場設備の最後のピースとしてはめ込まれたのが、ハイエンドフラットベットUVインクジェットプリンタ「JETI MIRA 2716 LED」(以下「JETI MIRA」)だ。

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