検査工程をパスした「evidence」こそがデジタル印刷に求められる品質保証だ
展示会などで当社が展開しているPOD向けの検査装置「Theory」についての製品説明を行うと、必ずと言っていいほど「デジタル印刷の検査装置でいったい何を検査するのか?」とか「そんな品質(オフセット印刷)で求められた要求にデジタル印刷は対応できるのか?」といった質問がある。このことは「検査」に対する感覚が、オフセット印刷での検査に対するイメージにあること、つまり印刷の検査というものは重箱の隅をつつくようなものであったり、印刷物の種類によっては全数検査ではなくて問題があった場合には印刷予備や加工予備と差し換えれば対応できる...を思わせるものである。デジタル印刷においても、もちろんオフセット印刷の少量対応などの活用方法もあるが、POD機の持つバリアブル印刷市場では同じものは1枚しか印刷しないケースが確実に存在する。そして、そのような1枚しか存在しない印刷物でも全数検査を行い、その検査工程を経たという「evidence」を発行することが重要な意味をもつ。そして、それを実現させながら稼働率を低下させないで品質保証を行うことが、デジタル印刷に求められる理想の品質保証なのである。
工業製品である限り、「検査工程」は必ず通らなければならない
前述のように、デジタル印刷であっても印刷物が工業製品である以上、検査はもはや必須の工程なので、同じものは1枚しかないフル・バリアブルな印刷物の場合は、1枚1枚目視検品などをしなければならない。しかし、その方法ではPOD機の稼働率は検査工程の速度によって大幅に低下してしまう。
また人間がこのような検査を行うにはさまざまな問題がある。先般、新幹線の下部台車構造部に亀裂が入り、あわや大事故につながりかねないトラブルがニュースになっていたが、台車を作った製造工場では製造する技術者に「安全」に関する意識がなかったと報道されていた。しかしながら人間は機械に劣るわけではなく、良くトレーニングされていればはるかに機械を凌いだ能力を発揮できる。問題はその意識の違いによって大きなムラが見られることである。
常に意識の高い教育を実施するのは企業において普遍のテーマであるが、今後印刷業界では検査要員の労働力確保が大きな課題であると言われている。熟達し、意識の高い検査要員がいつでも確保できる保証はない。
また、目視の検査の場合は、何を基準に何と比較して検査するのか?ということが問題になる。オフセットの少量対応をPODで行っているケースは別にして、多くのケースにおいて多品種・小ロット、またはフル・バリアブルでのデジタル印刷ではデータと比較して検査しなければならない。もはやこの場合人間が対応するというのは不可能であろう。
デジタル印刷市場において検査装置に求められる内容は、コンテンツによってどのようにでも変化する
よく言われるように、今後、従来は紙媒体の印刷物であったものがウェブサイトなどの電子媒体に代わるものも少なくはないと思われる。またそれに置き換わることで従来の印刷という市場は確かに減少していくだろう。しかし一方、「プリント・オンデマンド」という新しい印刷方式がもたらすフル・バリアブルな生産能力は、まったく新しい印刷市場を創り出す可能性に満ちている。今後デジタル印刷による市場は、そのコンテンツこそが重要になり、それをどう扱うかによってさまざまに変化した市場が現れることになるのは必至だ。
そして検査によるevidenceが必須である以上、その変化へ柔軟に対応できることがデジタル印刷用検査装置へ求められる条件でもある。
新着トピックス
-
ケーススタディ リンクス、スキルレスで人材確保、育成期間短縮[JetPress750S導入事例]
-
製品・テクノロジー コニカミノルタジャパン、AccurioDays2025で新たなフラッグシップモデルを公開
大村印刷、特殊トナーと用紙対応力で小ロット・高付加価値ニーズに対応
2025年5月8日ケーススタディ
山口県を拠点に、印刷を中心とした情報ソリューション事業を展開する大村印刷(株)(本社/山口県防府市西仁井令1-21-55、河内和明社長)は2022年2月、富士フイルムのプロダクション...全文を読む
ディーエムソリューションズ、最高毎時4万5,000通を達成[KODAK PROSPER S5導入事例]
2025年3月25日ケーススタディ
ディーエムソリューションズ(株)(本社/東京都武蔵野市御殿山1-1-3 クリスタルパークビル2F、花矢卓司社長)は、KODAK PROSPER S5インプリンティングシステムを導入後...全文を読む
最新ニュース
パラシュート、スマホで偽造品識別が可能なデジタル暗号化技術サービスの提供開始
2025年7月1日
パラシュート(株)(東京都世田谷区、兵藤伊織社長)は2025年7月1日から、SaaSプラットフォームをベースとしたデジタル暗号化技術サービス(DET Service)の提供を開始した...全文を読む
PODi、「Labelexpo Europe 2025」視察ツアーの参加者募集開始
2025年6月25日
(一社)PODi(荒井純一代表理事)は、ラベル・パッケージ業界の世界最大級の展示会「Labelexpo Europe 2025」視察ツアーの参加者募集を開始した。 LABELEXP...全文を読む
コニカミノルタジャパン、機能強化モデル「AccurioPress C7100 ENHANCED」発売
2025年6月25日
コニカミノルタジャパン(株)(本社/東京都港区、一條啓介社長)は、高画質及び多彩な用紙への対応力と、自動品質最適化ユニットで評価を得ているデジタル印刷システム「AccurioPres...全文を読む
デジタル印刷に求められる品質保証 2018 〜 ジクス 高原亮介社長に聞く
2018年3月31日スペシャリスト
検査工程をパスした「evidence」こそがデジタル印刷に求められる品質保証だ
展示会などで当社が展開しているPOD向けの検査装置「Theory」についての製品説明を行うと、必ずと言っていいほど「デジタル印刷の検査装置でいったい何を検査するのか?」とか「そんな品質(オフセット印刷)で求められた要求にデジタル印刷は対応できるのか?」といった質問がある。このことは「検査」に対する感覚が、オフセット印刷での検査に対するイメージにあること、つまり印刷の検査というものは重箱の隅をつつくようなものであったり、印刷物の種類によっては全数検査ではなくて問題があった場合には印刷予備や加工予備と差し換えれば対応できる...を思わせるものである。デジタル印刷においても、もちろんオフセット印刷の少量対応などの活用方法もあるが、POD機の持つバリアブル印刷市場では同じものは1枚しか印刷しないケースが確実に存在する。そして、そのような1枚しか存在しない印刷物でも全数検査を行い、その検査工程を経たという「evidence」を発行することが重要な意味をもつ。そして、それを実現させながら稼働率を低下させないで品質保証を行うことが、デジタル印刷に求められる理想の品質保証なのである。
工業製品である限り、「検査工程」は必ず通らなければならない
前述のように、デジタル印刷であっても印刷物が工業製品である以上、検査はもはや必須の工程なので、同じものは1枚しかないフル・バリアブルな印刷物の場合は、1枚1枚目視検品などをしなければならない。しかし、その方法ではPOD機の稼働率は検査工程の速度によって大幅に低下してしまう。
また人間がこのような検査を行うにはさまざまな問題がある。先般、新幹線の下部台車構造部に亀裂が入り、あわや大事故につながりかねないトラブルがニュースになっていたが、台車を作った製造工場では製造する技術者に「安全」に関する意識がなかったと報道されていた。しかしながら人間は機械に劣るわけではなく、良くトレーニングされていればはるかに機械を凌いだ能力を発揮できる。問題はその意識の違いによって大きなムラが見られることである。
常に意識の高い教育を実施するのは企業において普遍のテーマであるが、今後印刷業界では検査要員の労働力確保が大きな課題であると言われている。熟達し、意識の高い検査要員がいつでも確保できる保証はない。
また、目視の検査の場合は、何を基準に何と比較して検査するのか?ということが問題になる。オフセットの少量対応をPODで行っているケースは別にして、多くのケースにおいて多品種・小ロット、またはフル・バリアブルでのデジタル印刷ではデータと比較して検査しなければならない。もはやこの場合人間が対応するというのは不可能であろう。
デジタル印刷市場において検査装置に求められる内容は、コンテンツによってどのようにでも変化する
よく言われるように、今後、従来は紙媒体の印刷物であったものがウェブサイトなどの電子媒体に代わるものも少なくはないと思われる。またそれに置き換わることで従来の印刷という市場は確かに減少していくだろう。しかし一方、「プリント・オンデマンド」という新しい印刷方式がもたらすフル・バリアブルな生産能力は、まったく新しい印刷市場を創り出す可能性に満ちている。今後デジタル印刷による市場は、そのコンテンツこそが重要になり、それをどう扱うかによってさまざまに変化した市場が現れることになるのは必至だ。
そして検査によるevidenceが必須である以上、その変化へ柔軟に対応できることがデジタル印刷用検査装置へ求められる条件でもある。
新着トピックス
-
リンクス、スキルレスで人材確保、育成期間短縮[JetPress750S導入事例]
2025年6月27日 ケーススタディ
-
コニカミノルタジャパン、AccurioDays2025で新たなフラッグシップモデルを公開
2025年6月4日 製品・テクノロジー
-
大村印刷、特殊トナーと用紙対応力で小ロット・高付加価値ニーズに対応
2025年5月8日 ケーススタディ
-
ディーエムソリューションズ、最高毎時4万5,000通を達成[KODAK PROSPER S5導入事例]
2025年3月25日 ケーススタディ
-
FFGS、新Revoria Press登場で、柔軟な「最適生産」可能に
2025年3月25日 スペシャリスト
新着ニュース
-
パラシュート、スマホで偽造品識別が可能なデジタル暗号化技術サービスの提供開始
2025年7月1日 ニュース
-
PODi、「Labelexpo Europe 2025」視察ツアーの参加者募集開始
2025年6月25日 ニュース
-
コニカミノルタジャパン、機能強化モデル「AccurioPress C7100 ENHANCED」発売
2025年6月25日 ニュース
-
エプソン、立体物への直接印刷を可能にする「Direct to Shape Printing System」発表
2025年6月25日 ニュース
-
パラシュート、次世代型MIS「PNS」にメーカーワークフローソフトウェア連携機能を追加
2025年6月11日 ニュース
SNSランキング
- 63sharesミマキ、330シリーズとエコ溶剤インクが3M MCS保証認定
- 43sharesパラシュート、スマホで偽造品識別が可能なデジタル暗号化技術サービスの提供開始
- 41sharesローランドDG、UVプリンターが紙器パッケージ製作に対応
- 39sharesSCREEN、Hunkeler Innovationdaysでインクジェットと後加工機の連携披露
- 38sharesKOMORI、241名が来場した新春特別内覧会のデモ動画(Impremia IS29s」公開
- 36sharesエプソン、使いやすさと安定稼働を両立したエプソン初のDTF専用プリンター発売
- 29sharesKOMORI、インクジェット印刷機とデジタル加飾機の連携披露
- 27shares日印機工とプリデジ協、IGAS2027の日程決定-2027年8月に東京ビッグサイトで開催
- 27sharesリコー、企業内・商用印刷の幅広いニーズに対応するカラー機の新機種発売
- 26sharesエプソン、立体物への直接印刷を可能にする「Direct to Shape Printing System」発表
おすすめコンテンツ
コニカミノルタジャパン、AccurioDays2025で新たなフラッグシップモデルを公開
富士フイルム、TOKYO PACKでブランドオーナーにデジタル印刷活用促す
価値協創で新たな潮流|エイエイピー、Jet Press 750Sが新たなステージへ