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FFGS、「3 in 1」で既存機を「超越」したスーパーワイド機:Acuity Ultraシリーズ

高いメディア対応力〜大阪ショールームで実機デモ可能に

2020年7月13日製品・テクノロジー

写真品質を実現する超高画質

 世界のスーパーワイドフォーマット市場では「後発」となる「Acuity Ultra」。それだけに、差別化ポイントとなる富士フイルムの技術が余すことなく盛り込まれ、「3 in 1」のスーパーワイドUVインクジェットロールプリンタに仕上がっている。その「3」とは、高画質、高生産性、汎用性である。

 まず、同機最大の特徴となるのが「写真品質を実現する超高画質」だ。ここで肝となるのが最小3.5ピコリットルのインクドロップレットと高いインク吐出能力である。これにより、「写真品質」並みの滑らかな画質(グラデーションや黒の絞まり)と高い濃度を実現している。

 また、多段階の光量調整が可能な「Dual mercury arc lamp system」を採用している。現在、LED化が世界的な流れではあるが、このスーパーワイドクラスになると、LEDでは硬化が不安定、いわゆる「生乾き」などの問題が発生する。また、光重合開始剤が反応する波長域が狭いため、インクの顔料成分以外の化学物質の配合比率が高くなってしまう。結果、発色や定着性、乾燥性、擦過耐性に難が出る。そこで「Acuity Ultra」では、より波長域の広いメタルハライドのUVランプをあえて採用することで、薄いインク膜厚でありながらも高濃度の描画を実現している。屋外サインはもちろん、近距離で見る屋内店舗用の高画質カラーコルトンや内照式ソフトサイネージ、壁紙、ウィンドウグラフィックなど、高精細かつビビッドな表現が求められる高付加価値アプリケーションへの対応が可能となっている。

 品質においては、3.5/7/14ピコリットルというマルチドロップレットに対応できるインクの開発がポイント。ここまで細かくなると、粘度や光重合のスピードが重要になり、そこでは顔料成分なども含め、グループ会社であるFUJIFILM Speciality Ink Systems社(イギリス)の技術が強みになる。「スーパーワイドの課題を解決に導くヘッドに対して、インク開発能力で適性をはかったのが同プリンタである」(安倍課長)

 一方、薄いインク膜厚でありながら高濃度の描画が可能であることが2つのメリットを生んでいる。ひとつは、インク追随性が高いことによってテンションファブリックをはじめとする布製メディアでの折り曲げにも対応可能であること。既存機だとひび割れや膜ごと剥がれてしまう現象が起こるが、インク膜そのものが薄いため、くしゃっと丸めて広げてもインクが割れず剥がれない。

 もうひとつは、インク消費量や廃液量を削減できること。インク消費量においては既存機比較で約50%削減できるという結果も出ており、低ランニングコスト化に大きく貢献する。

Dual CMYKモデルも

 2つ目が、5m機で236平方メートル/時、3.2m機で181平方メートル/時という「圧倒的なハイスピード」である。高生産が求められる産業用途でもフルスチール製の強固な筐体によって十分な堅牢性を備えていることに加え、重量が110kgあるキャリッジ部分にはリニアモーター駆動を採用し、描画時の物理的な振動を大幅に抑制している。「イメージ的には少し浮いているような状態。よって高速印刷時においても高精度の描画と、大型機とは思えない静音性を実現している」(安倍課長)

キャリッジ部分

 さらに、送り出し側と巻き取り側に2本ずつ備えた大型の搬送ローラー(ラバーコーティング)の高いグリップ力により、高精度な搬送性を実現している。「前後上下に大型のローラーを採用しているプリンタは少ない。欧州でのテストでは、細線を等間隔に引いた15mデータの印刷を2回行い、それを横に並べての差異を調べた結果、5、10、15m地点でもほとんどズレのない印刷精度が確認できた。このクラスでは驚異的である」(安倍課長)

2本の大型ローラーによる高精度な搬送

 一方、「Dual mercury arc lamp system」では、強い光で一気に硬化できる反面、LEDに比べて熱量が大きい。そこで水冷式のバキュームプラテンを採用し、UVランプによる熱の影響を排除。温度変化に敏感なメディアにも安定した出力が可能となっている。

 これらの特長により、従来のスーパーワイドフォーマットが苦手とする薄手メディアや布製メディア、クリアフィルム、非プラスチック系特殊素材に至るまで、高速かつ高精度の描画が可能という、高いメディア対応力を誇る。

 また、高生産性をさらに追求するユーザー向けには、最高スピード402平方メートル/時、265平方メートル/時での印刷が可能なCMYK×2の「Dual CMYKモデル」もラインアップしている。「この高い生産性はスペック上だけでなく、実用レベルでも実感頂ける。国内のユーザーが求める品質を担保しながら実運用で出せる同機の生産性は『圧倒的』である」(安倍課長)

 3つ目は「高い汎用性」。ホワイトインク(オプション)搭載モデルでは、FFや電飾サイン用途に適したマルチレイヤー印刷(最大4層)が可能。また、マルチロールシステム(オプション)を使用することで、最大1.6m幅までのロールメディアの2丁掛け(3200シリーズ)/3丁掛け(5000シリーズ、IGAS2018で実演)での同時印刷が可能になり、複数台の1.6m幅プリンタのジョブをAcuityUltra1台でこなせる。

 さらに、余分なインクを吸収するメッシュキット(オプション)も用意し、メッシュ状メディアへの印刷も可能だ。

国内メーカーとしての手厚いサポートも

 後発機として訴求ポイントをふんだんに盛り込んだ「AcuityUltra」。同社では、「3 in 1+1」として、その性能+安心のサポート体制を訴求していく考えだ。「サービス人員の教育も進み、北海道から沖縄までの純正サポートによる全国対応が可能である。手厚いサポートと、ダウンタイムの低減には国内メーカーとしての自負がある」(安倍課長)

 今年2月からのオープンハウスで確かな手応えを感じているという安倍課長。品質や膜厚の薄さ、滑らかさ、メディア対応力などに対し、実機実演を通じて多くの顧客から高い評価を得ており、現在も複数の具体的商談が進められているという。

 今後は、全国の同社営業や販売店に対し、高品質をアピールできるサンプルを配布することで、その訴求力を後押しするとともに、興味がある顧客に対しては大阪ショールームでの実機デモを積極的に勧めていく。また、新型コロナウイルス問題にも配慮し、オンラインによるライブデモの環境も準備。社会情勢に応じたフレキシブルな対応で積極的な販促活動に乗り出す考えだ。

JVIS本社工場の壁面に貼られたAcuity Ultra出力の大型サイン

[日本1号機ユーザー](株)JVIS 談

 本機導入の決め手は「写真品質」。スタジオアリスのラボとして発足し、サインディスプレイを手掛けている我々は、「写真品質」にとことん拘っています。Acuity Ultra最大の特徴である「写真品質」とJVISの洗練されたカラーマネジメント技術との融合で制作される高品質な看板ディスプレイを是非お試しください。
【連絡先】東京営業・小田:電話042-655-8550/大阪営業・村岡:電話072-228-4100

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写真品質を実現する超高画質

 世界のスーパーワイドフォーマット市場では「後発」となる「Acuity Ultra」。それだけに、差別化ポイントとなる富士フイルムの技術が余すことなく盛り込まれ、「3 in 1」のスーパーワイドUVインクジェットロールプリンタに仕上がっている。その「3」とは、高画質、高生産性、汎用性である。

 まず、同機最大の特徴となるのが「写真品質を実現する超高画質」だ。ここで肝となるのが最小3.5ピコリットルのインクドロップレットと高いインク吐出能力である。これにより、「写真品質」並みの滑らかな画質(グラデーションや黒の絞まり)と高い濃度を実現している。

 また、多段階の光量調整が可能な「Dual mercury arc lamp system」を採用している。現在、LED化が世界的な流れではあるが、このスーパーワイドクラスになると、LEDでは硬化が不安定、いわゆる「生乾き」などの問題が発生する。また、光重合開始剤が反応する波長域が狭いため、インクの顔料成分以外の化学物質の配合比率が高くなってしまう。結果、発色や定着性、乾燥性、擦過耐性に難が出る。そこで「Acuity Ultra」では、より波長域の広いメタルハライドのUVランプをあえて採用することで、薄いインク膜厚でありながらも高濃度の描画を実現している。屋外サインはもちろん、近距離で見る屋内店舗用の高画質カラーコルトンや内照式ソフトサイネージ、壁紙、ウィンドウグラフィックなど、高精細かつビビッドな表現が求められる高付加価値アプリケーションへの対応が可能となっている。

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 一方、薄いインク膜厚でありながら高濃度の描画が可能であることが2つのメリットを生んでいる。ひとつは、インク追随性が高いことによってテンションファブリックをはじめとする布製メディアでの折り曲げにも対応可能であること。既存機だとひび割れや膜ごと剥がれてしまう現象が起こるが、インク膜そのものが薄いため、くしゃっと丸めて広げてもインクが割れず剥がれない。

 もうひとつは、インク消費量や廃液量を削減できること。インク消費量においては既存機比較で約50%削減できるという結果も出ており、低ランニングコスト化に大きく貢献する。

Dual CMYKモデルも

 2つ目が、5m機で236平方メートル/時、3.2m機で181平方メートル/時という「圧倒的なハイスピード」である。高生産が求められる産業用途でもフルスチール製の強固な筐体によって十分な堅牢性を備えていることに加え、重量が110kgあるキャリッジ部分にはリニアモーター駆動を採用し、描画時の物理的な振動を大幅に抑制している。「イメージ的には少し浮いているような状態。よって高速印刷時においても高精度の描画と、大型機とは思えない静音性を実現している」(安倍課長)

キャリッジ部分

 さらに、送り出し側と巻き取り側に2本ずつ備えた大型の搬送ローラー(ラバーコーティング)の高いグリップ力により、高精度な搬送性を実現している。「前後上下に大型のローラーを採用しているプリンタは少ない。欧州でのテストでは、細線を等間隔に引いた15mデータの印刷を2回行い、それを横に並べての差異を調べた結果、5、10、15m地点でもほとんどズレのない印刷精度が確認できた。このクラスでは驚異的である」(安倍課長)

2本の大型ローラーによる高精度な搬送

 一方、「Dual mercury arc lamp system」では、強い光で一気に硬化できる反面、LEDに比べて熱量が大きい。そこで水冷式のバキュームプラテンを採用し、UVランプによる熱の影響を排除。温度変化に敏感なメディアにも安定した出力が可能となっている。

 これらの特長により、従来のスーパーワイドフォーマットが苦手とする薄手メディアや布製メディア、クリアフィルム、非プラスチック系特殊素材に至るまで、高速かつ高精度の描画が可能という、高いメディア対応力を誇る。

 また、高生産性をさらに追求するユーザー向けには、最高スピード402平方メートル/時、265平方メートル/時での印刷が可能なCMYK×2の「Dual CMYKモデル」もラインアップしている。「この高い生産性はスペック上だけでなく、実用レベルでも実感頂ける。国内のユーザーが求める品質を担保しながら実運用で出せる同機の生産性は『圧倒的』である」(安倍課長)

 3つ目は「高い汎用性」。ホワイトインク(オプション)搭載モデルでは、FFや電飾サイン用途に適したマルチレイヤー印刷(最大4層)が可能。また、マルチロールシステム(オプション)を使用することで、最大1.6m幅までのロールメディアの2丁掛け(3200シリーズ)/3丁掛け(5000シリーズ、IGAS2018で実演)での同時印刷が可能になり、複数台の1.6m幅プリンタのジョブをAcuityUltra1台でこなせる。

 さらに、余分なインクを吸収するメッシュキット(オプション)も用意し、メッシュ状メディアへの印刷も可能だ。

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 今年2月からのオープンハウスで確かな手応えを感じているという安倍課長。品質や膜厚の薄さ、滑らかさ、メディア対応力などに対し、実機実演を通じて多くの顧客から高い評価を得ており、現在も複数の具体的商談が進められているという。

 今後は、全国の同社営業や販売店に対し、高品質をアピールできるサンプルを配布することで、その訴求力を後押しするとともに、興味がある顧客に対しては大阪ショールームでの実機デモを積極的に勧めていく。また、新型コロナウイルス問題にも配慮し、オンラインによるライブデモの環境も準備。社会情勢に応じたフレキシブルな対応で積極的な販促活動に乗り出す考えだ。

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【連絡先】東京営業・小田:電話042-655-8550/大阪営業・村岡:電話072-228-4100

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