富士フイルム(株)(助野健児社長)では、商業印刷やパッケージ印刷向け産業用シングルパスインクジェット印刷装置の製品化に必要な基幹部品やソフトウェアなどのインクジェットコンポーネントを「Samba JPC」として商品化し、印刷機メーカーやインクジェット印刷装置のインテグレーター向けに昨年11月から販売を開始している。これは同社インクジェットデジタルプレス「Jet Press750S」の基幹部品を提供するもので、ユーザーは高画質で信頼性の高いインクジェット印刷装置を短期間で開発できるようになる。
プリンタ開発に求められる「スピード感」
インクジェット印刷技術の活用領域は、商業印刷、紙器、段ボール、ラベル印刷に加え、食品パッケージなどの軟包装にも広がりをみせ、インクジェットプリンタに対しては画質や生産性といった機能向上が求められている。これら要求に呼応する形でインクジェット印刷技術は著しい進化を遂げているが、そのプリンタ開発においては瞬発力やスピード感が求められる。
しかし一方では、その中核を成すインクジェットヘッドをはじめとした印刷ユニットの開発には高レベルでの知見とノウハウの積み重ねが必要である。これら開発スケジュールにおける時間的な制約を解消し、高精細なシングルパスインクジェットプリンタを短期間で開発できる環境を提供するのが「Samba JPC」である。
富士フイルムが世界で180台以上の稼働実績を誇るインクジェットデジタルプレス「Jet Press」の開発から得た技術や独自部品・ソフトウェアを切り出し、ユニットとして製品化したもの。事業化のきっかけについて、JetPressの開発に10年間携わり、現在、Samba JPCの商品化責任者をつとめる富士フイルム インクジェット事業部の福井隆史マネージャーは、「解像度が高ければ高いほど、開発項目数およびそのレベルのハードルは高まることをJetPressの開発で実感した。この知見とノウハウを『門外不出』にするのではなく、『インクジェット分野の普及に役立てるべきだ』と考えた」と説明する。
インクジェット技術は、その用途が変わればインクや搬送、ソフトなど様々な部分で新規要素開発が必要になるが、印字ユニットに限っては設計の方向性が限定されているという。マーケティングを担当する同社インクジェット事業部の赤木耕平氏は、Samba JPC事業化の狙いについて、「設計の方向性が限られる印字ユニットは当製品を開発リソースとして活用することで各社重複する開発負担を軽減し、用途によって開発内容が大きく異なる他要素に資源を集中してもらうことで、インクジェット技術の用途展開を支援することにある」と説明している。
Samba JPCで提供されるJet Pressの基幹部品は、産業用インクジェットヘッドのリーディングカンパニーである米国のFUJIFILM Dimatix社製の1,200dpi、MEMSによる高精細プリントヘッド「Samba」を組み込んだプリントバー、画像処理ソフトウェア、ヘッドクリーナーなど9つの主要コンポーネントから構成される。
プリントバーは10インチ(約25センチ)と30インチ(約76センチ)の印刷幅2種類を用意し、さらに用途に合わせた印刷幅にカスタマイズも可能である。また、ユーザーの要望に応じて、Samba JPCを同社製インクと組み合わせて提供することや、9つのユニットを単品から提供することも可能である。
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