富士フイルム、Jet Pressの基幹部品を提供[Samba JPC]
短期間でIJ機開発 〜 高精細プリンタ開発の知見底上げへ
2020年9月30日製品・テクノロジー
-
富士フイルム(株)(助野健児社長)では、商業印刷やパッケージ印刷向け産業用シングルパスインクジェット印刷装置の製品化に必要な基幹部品やソフトウェアなどのインクジェットコンポーネントを「Samba JPC」として商品化し、印刷機メーカーやインクジェット印刷装置のインテグレーター向けに昨年11月から販売を開始している。これは同社インクジェットデジタルプレス「Jet Press750S」の基幹部品を提供するもので、ユーザーは高画質で信頼性の高いインクジェット印刷装置を短期間で開発できるようになる。
プリンタ開発に求められる「スピード感」
インクジェット印刷技術の活用領域は、商業印刷、紙器、段ボール、ラベル印刷に加え、食品パッケージなどの軟包装にも広がりをみせ、インクジェットプリンタに対しては画質や生産性といった機能向上が求められている。これら要求に呼応する形でインクジェット印刷技術は著しい進化を遂げているが、そのプリンタ開発においては瞬発力やスピード感が求められる。
しかし一方では、その中核を成すインクジェットヘッドをはじめとした印刷ユニットの開発には高レベルでの知見とノウハウの積み重ねが必要である。これら開発スケジュールにおける時間的な制約を解消し、高精細なシングルパスインクジェットプリンタを短期間で開発できる環境を提供するのが「Samba JPC」である。
富士フイルムが世界で180台以上の稼働実績を誇るインクジェットデジタルプレス「Jet Press」の開発から得た技術や独自部品・ソフトウェアを切り出し、ユニットとして製品化したもの。事業化のきっかけについて、JetPressの開発に10年間携わり、現在、Samba JPCの商品化責任者をつとめる富士フイルム インクジェット事業部の福井隆史マネージャーは、「解像度が高ければ高いほど、開発項目数およびそのレベルのハードルは高まることをJetPressの開発で実感した。この知見とノウハウを『門外不出』にするのではなく、『インクジェット分野の普及に役立てるべきだ』と考えた」と説明する。
インクジェット技術は、その用途が変わればインクや搬送、ソフトなど様々な部分で新規要素開発が必要になるが、印字ユニットに限っては設計の方向性が限定されているという。マーケティングを担当する同社インクジェット事業部の赤木耕平氏は、Samba JPC事業化の狙いについて、「設計の方向性が限られる印字ユニットは当製品を開発リソースとして活用することで各社重複する開発負担を軽減し、用途によって開発内容が大きく異なる他要素に資源を集中してもらうことで、インクジェット技術の用途展開を支援することにある」と説明している。
Samba JPCで提供されるJet Pressの基幹部品は、産業用インクジェットヘッドのリーディングカンパニーである米国のFUJIFILM Dimatix社製の1,200dpi、MEMSによる高精細プリントヘッド「Samba」を組み込んだプリントバー、画像処理ソフトウェア、ヘッドクリーナーなど9つの主要コンポーネントから構成される。
プリントバーは10インチ(約25センチ)と30インチ(約76センチ)の印刷幅2種類を用意し、さらに用途に合わせた印刷幅にカスタマイズも可能である。また、ユーザーの要望に応じて、Samba JPCを同社製インクと組み合わせて提供することや、9つのユニットを単品から提供することも可能である。
新着トピックス
コダック、「ゲームチェンジャー」へ〜4つのコア技術を自社完結
2024年9月20日製品・テクノロジースペシャリスト
コダックは「drupa2024」において、ULTRASTREAMコンティニュアスインクジェットテクノロジーを搭載した「PROSPER ULTRA 520プレス」と、PROSPERイン...全文を読む
大阪印刷、同人誌印刷ビジネスで「圧倒的な画質」提供[AccurioJet KM-1e導入事例]
2024年9月20日ケーススタディ
同人誌印刷ビジネスで急成長を遂げる大阪印刷(株)(大阪市西淀川区御幣島5-5-23、根田貴裕社長)は今年4月、コニカミノルタの29インチ枚葉UVインクジェット印刷機「AccurioJ...全文を読む
最新ニュース
富士フイルム、TOKYO PACK 出展でパッケージの付加価値提案
2024年10月9日
富士フイルムグループは、「TOKYO PACK 2024(東京国際包装展)」に出展し、インクジェット方式やトナー方式など、富士フイルムが独自開発した幅広いラインアップのデジタルプリン...全文を読む
SCREEN GA、京都・久御山事業所に「インクジェットイノベーションセンター京都」開設
2024年10月7日
(株)SCREENグラフィックソリューションズ(京都府京都市、田中志佳社長、以下、SCREEN GA)は、2024年10月に印刷関連機器の開発・製造を担う京都・久御山事業所に「インク...全文を読む
SCREEN GA、「Horizon Smart Factory 2024」で無人化生産ラインを紹介
2024年9月24日
(株)SCREENグラフィックソリューションズ(SCREEN GA)は、10月9日から11日の3日間、ホリゾン本社びわこ工場内「Horizon Inovation Park」(滋賀県...全文を読む
富士フイルム、Jet Pressの基幹部品を提供[Samba JPC]
短期間でIJ機開発 〜 高精細プリンタ開発の知見底上げへ
2020年9月30日製品・テクノロジー
富士フイルム(株)(助野健児社長)では、商業印刷やパッケージ印刷向け産業用シングルパスインクジェット印刷装置の製品化に必要な基幹部品やソフトウェアなどのインクジェットコンポーネントを「Samba JPC」として商品化し、印刷機メーカーやインクジェット印刷装置のインテグレーター向けに昨年11月から販売を開始している。これは同社インクジェットデジタルプレス「Jet Press750S」の基幹部品を提供するもので、ユーザーは高画質で信頼性の高いインクジェット印刷装置を短期間で開発できるようになる。
プリンタ開発に求められる「スピード感」
インクジェット印刷技術の活用領域は、商業印刷、紙器、段ボール、ラベル印刷に加え、食品パッケージなどの軟包装にも広がりをみせ、インクジェットプリンタに対しては画質や生産性といった機能向上が求められている。これら要求に呼応する形でインクジェット印刷技術は著しい進化を遂げているが、そのプリンタ開発においては瞬発力やスピード感が求められる。
しかし一方では、その中核を成すインクジェットヘッドをはじめとした印刷ユニットの開発には高レベルでの知見とノウハウの積み重ねが必要である。これら開発スケジュールにおける時間的な制約を解消し、高精細なシングルパスインクジェットプリンタを短期間で開発できる環境を提供するのが「Samba JPC」である。
富士フイルムが世界で180台以上の稼働実績を誇るインクジェットデジタルプレス「Jet Press」の開発から得た技術や独自部品・ソフトウェアを切り出し、ユニットとして製品化したもの。事業化のきっかけについて、JetPressの開発に10年間携わり、現在、Samba JPCの商品化責任者をつとめる富士フイルム インクジェット事業部の福井隆史マネージャーは、「解像度が高ければ高いほど、開発項目数およびそのレベルのハードルは高まることをJetPressの開発で実感した。この知見とノウハウを『門外不出』にするのではなく、『インクジェット分野の普及に役立てるべきだ』と考えた」と説明する。
インクジェット技術は、その用途が変わればインクや搬送、ソフトなど様々な部分で新規要素開発が必要になるが、印字ユニットに限っては設計の方向性が限定されているという。マーケティングを担当する同社インクジェット事業部の赤木耕平氏は、Samba JPC事業化の狙いについて、「設計の方向性が限られる印字ユニットは当製品を開発リソースとして活用することで各社重複する開発負担を軽減し、用途によって開発内容が大きく異なる他要素に資源を集中してもらうことで、インクジェット技術の用途展開を支援することにある」と説明している。
Samba JPCで提供されるJet Pressの基幹部品は、産業用インクジェットヘッドのリーディングカンパニーである米国のFUJIFILM Dimatix社製の1,200dpi、MEMSによる高精細プリントヘッド「Samba」を組み込んだプリントバー、画像処理ソフトウェア、ヘッドクリーナーなど9つの主要コンポーネントから構成される。
プリントバーは10インチ(約25センチ)と30インチ(約76センチ)の印刷幅2種類を用意し、さらに用途に合わせた印刷幅にカスタマイズも可能である。また、ユーザーの要望に応じて、Samba JPCを同社製インクと組み合わせて提供することや、9つのユニットを単品から提供することも可能である。
新着トピックス
-
共同印刷工業(京都)、安定性の高さが決め手[Revoria Press PC1120導入事例]
2024年10月9日 ケーススタディ
-
ミマキ、捺染方式を刷新 - 簡便性と汎用性の「TRAPIS」
2024年9月28日 製品・テクノロジー
-
コダック、「ゲームチェンジャー」へ〜4つのコア技術を自社完結
2024年9月20日 製品・テクノロジースペシャリスト
-
大阪印刷、同人誌印刷ビジネスで「圧倒的な画質」提供[AccurioJet KM-1e導入事例]
2024年9月20日 ケーススタディ
-
富士フイルムBI、独自のインクジェット技術で新たなソリューション提供
2024年9月11日 製品・テクノロジー
新着ニュース
SNSランキング
- 84shares大阪印刷、同人誌印刷ビジネスで「圧倒的な画質」提供[AccurioJet KM-1e導入事例]
- 68sharesafter drupa 2024|富士フイルム、「Discover the difference」─過去最大規模で
- 59sharesエプソン、印刷プロセスのデジタル化をリードするFiery社を完全子会社化
- 39sharesミマキ、印刷脱色技術実用化でタペストリーのアップサイクル実現
- 38shares富士フイルムBI、モノクロ機に印刷物の検品工程を自動化する新機能搭載
- 30shares独SDVグループ、PROSPER ULTRA 520プレス欧州初採用
- 30sharesエコー(東京)、「オフセットと遜色のない品質」[Revoria Press PC1120導入事例]
- 29shares日本HP、「HP Indigo実機見学会〜都内60分でおさえるHPデジタル印刷オープンハウス」開催
- 28shares富士フイルムBI、ワークフローの新領域へ〜真の自動化によるDXを訴求
- 21sharesSCREEN、「デジタルで彩るラベルの未来」テーマにラベルフォーラムジャパン2024に出展