IGASから進化を遂げたMJP30AXF
MJP30AXFは、従来では困難であった水性顔料インクによるフィルム印刷をインラインのプライマー塗布とコロナ処理、さらに新設計の乾燥システムで実現するとともに優れた小ロット対応力で、フィルムなどの余剰在庫の削減やヤレの低減により環境負荷低減にも寄与する。また、無版印刷のため、複数の小ロットジョブを面付けすることで、ノンストップによる連続印刷が可能。さらに、軟包装で重要なエンドレス印刷を実現しており、これにより途切れのない絵柄とリード線で後加工機を制御することができる。対応する基材幅は790mmで、市場で流通する多くの軟包装アプリケーションをカバーすることができる。
印刷速度は、印刷幅750mm(30インチ)を分速50mの高速印刷を実現。また、製版、刷版、版交換、インク交換などの作業が一切不要のため、段取り時間を大幅に短縮することが可能。1,200×1,200dpiの高解像度最新ヘッドの搭載により、4ポイントでもシャープな文字が印刷できる。色数はCMYK+WWの仕様で、W(ホワイト)をダブルで塗布することで高い隠蔽効果を付加することができる。

IGAS2018の参考出品機では、75m/分の印刷速度でデモを披露していたが、正式リリースとなったMJP30AXFでは、最高印刷速度を50m/分としている。この点について、同社・企画開発本部企画部の赤澤誠氏は、「単純なスペックダウンではなく、現時点での生産性や品質の安定化を考慮したもので、当社では、今後も設計当初の目標である最高印刷速度100m/分の実現に向けて技術改良を継続している」と説明する。
さらに内蔵カメラで色間の見当ずれを監視し、自動補正する自動見当機能や、ヘッドの抜けピンを検出し、抜け・スジを目立たなくする自動抜けピン補正機能を搭載。これにより、稼働中でも安定した品質管理が可能となる。
「各色のトンボをカメラで読み取り、ズレなどが生じた場合は自動で補正する機能。この機能は、CMYKおよびWの2ヵ所のインクジェット部に搭載されている」(赤澤氏)
ホワイトインクをダブル搭載
また、「MJP30AXF」では、ホワイトインクをダブル搭載していることが特徴の1つだ。その理由として内田顧問は、「MJP30AXFは、高解像度1,200dpi×1,200dpiのプリントヘッドを搭載し、印刷絵柄の高画質だけでなく、4ポイントの文字までもシャープに印刷できることが強みとなっている。そのため隠蔽用途としてのホワイトインクは、液滴が非常に小さく、より高い隠蔽性を付与するためにダブル搭載することとなった」と説明する。
開発段階では、ホワイトインクだけ解像度を下げるといったことも検討されたが、軟包装印刷では、隠蔽用途だけでなく、デザインの一部としてもホワイトインクが使用されることもあることから、高解像度はそのままで、ダブル搭載することで高品質化と高い隠蔽性を両立している。

デジタル印刷機の導入判断として、アナログ印刷機との生産とコストの分岐点を指標にする。つまり、小ロットはデジタル印刷機に優位性があり、ある程度のロットでは、アナログ印刷機の方がコストパフォーマンスが高い、といった基準だ。MJP30AXFについても同様に、その分岐点が存在するが、その基準だけでは判断できないデジタル印刷特有の強みも存在する。
「労働人口の減少により、多くの印刷会社は、オペレータの確保に奔走している。加えて働き方改革や安心・安全な生産現場の整備も求められる。MJP30AXFはアナログ印刷機に比べ、準備時間や作業を大幅に軽減でき、さらに環境負荷低減にも寄与する印刷機である。もちろんコストと生産性を考慮することも大切だが、それ以外の優位性も積極的にアピールしていきたい」(赤澤氏)
モノづくり技術で「ミヤコシブランド」のさらなる確立へ
同社では、インクジェット技術をはじめとするモノづくりの企業として「ミヤコシブランド」のさらなる確立を目指している。
今回、正式リリースしたMJP30AXFは、その取り組みのファーストステップとなる。また、水性顔料インクの採用は、導入ユーザーにおける安心・安全な生産現場の構築といった観点とは別に、ブランドオーナーや消費者に対し、「環境にやさしい包材」という付加価値を訴求していくことができる。一方、同社の基盤でもあるデータプリントや商業印刷市場についても引き続き重要な市場として、withコロナで加速する小ロット化に対応するため、新システムを投入し、既存システムと併せて販売強化を継続していく。
「残念ながらコロナ禍の現在では、リモートなどを活用した情報発信が中心となるが、逆にとらえれば、Webを介して世界のどこの国や地域ともコンタクトを取ることができる」(内田顧問)
紙媒体の減少により、苦戦が続く印刷業界において、食品包材をはじめとするパッケージ印刷市場は成長が見込める分野と期待が持たれている。しかし、そのパッケージ印刷市場でも、多品種小ロットの傾向が加速しているという。その市場に対し、同社では、デジタル印刷機の優位性を積極的にアプローチしていく考えだ。
なお、MJP30AXFの1号機は、すでに国内ユーザーに納入され、本格稼働を開始している。
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MJP30AXFは、従来では困難であった水性顔料インクによるフィルム印刷をインラインのプライマー塗布とコロナ処理、さらに新設計の乾燥システムで実現するとともに優れた小ロット対応力で、フィルムなどの余剰在庫の削減やヤレの低減により環境負荷低減にも寄与する。また、無版印刷のため、複数の小ロットジョブを面付けすることで、ノンストップによる連続印刷が可能。さらに、軟包装で重要なエンドレス印刷を実現しており、これにより途切れのない絵柄とリード線で後加工機を制御することができる。対応する基材幅は790mmで、市場で流通する多くの軟包装アプリケーションをカバーすることができる。
印刷速度は、印刷幅750mm(30インチ)を分速50mの高速印刷を実現。また、製版、刷版、版交換、インク交換などの作業が一切不要のため、段取り時間を大幅に短縮することが可能。1,200×1,200dpiの高解像度最新ヘッドの搭載により、4ポイントでもシャープな文字が印刷できる。色数はCMYK+WWの仕様で、W(ホワイト)をダブルで塗布することで高い隠蔽効果を付加することができる。

IGAS2018の参考出品機では、75m/分の印刷速度でデモを披露していたが、正式リリースとなったMJP30AXFでは、最高印刷速度を50m/分としている。この点について、同社・企画開発本部企画部の赤澤誠氏は、「単純なスペックダウンではなく、現時点での生産性や品質の安定化を考慮したもので、当社では、今後も設計当初の目標である最高印刷速度100m/分の実現に向けて技術改良を継続している」と説明する。
さらに内蔵カメラで色間の見当ずれを監視し、自動補正する自動見当機能や、ヘッドの抜けピンを検出し、抜け・スジを目立たなくする自動抜けピン補正機能を搭載。これにより、稼働中でも安定した品質管理が可能となる。
「各色のトンボをカメラで読み取り、ズレなどが生じた場合は自動で補正する機能。この機能は、CMYKおよびWの2ヵ所のインクジェット部に搭載されている」(赤澤氏)
ホワイトインクをダブル搭載
また、「MJP30AXF」では、ホワイトインクをダブル搭載していることが特徴の1つだ。その理由として内田顧問は、「MJP30AXFは、高解像度1,200dpi×1,200dpiのプリントヘッドを搭載し、印刷絵柄の高画質だけでなく、4ポイントの文字までもシャープに印刷できることが強みとなっている。そのため隠蔽用途としてのホワイトインクは、液滴が非常に小さく、より高い隠蔽性を付与するためにダブル搭載することとなった」と説明する。
開発段階では、ホワイトインクだけ解像度を下げるといったことも検討されたが、軟包装印刷では、隠蔽用途だけでなく、デザインの一部としてもホワイトインクが使用されることもあることから、高解像度はそのままで、ダブル搭載することで高品質化と高い隠蔽性を両立している。

デジタル印刷機の導入判断として、アナログ印刷機との生産とコストの分岐点を指標にする。つまり、小ロットはデジタル印刷機に優位性があり、ある程度のロットでは、アナログ印刷機の方がコストパフォーマンスが高い、といった基準だ。MJP30AXFについても同様に、その分岐点が存在するが、その基準だけでは判断できないデジタル印刷特有の強みも存在する。
「労働人口の減少により、多くの印刷会社は、オペレータの確保に奔走している。加えて働き方改革や安心・安全な生産現場の整備も求められる。MJP30AXFはアナログ印刷機に比べ、準備時間や作業を大幅に軽減でき、さらに環境負荷低減にも寄与する印刷機である。もちろんコストと生産性を考慮することも大切だが、それ以外の優位性も積極的にアピールしていきたい」(赤澤氏)
モノづくり技術で「ミヤコシブランド」のさらなる確立へ
同社では、インクジェット技術をはじめとするモノづくりの企業として「ミヤコシブランド」のさらなる確立を目指している。
今回、正式リリースしたMJP30AXFは、その取り組みのファーストステップとなる。また、水性顔料インクの採用は、導入ユーザーにおける安心・安全な生産現場の構築といった観点とは別に、ブランドオーナーや消費者に対し、「環境にやさしい包材」という付加価値を訴求していくことができる。一方、同社の基盤でもあるデータプリントや商業印刷市場についても引き続き重要な市場として、withコロナで加速する小ロット化に対応するため、新システムを投入し、既存システムと併せて販売強化を継続していく。
「残念ながらコロナ禍の現在では、リモートなどを活用した情報発信が中心となるが、逆にとらえれば、Webを介して世界のどこの国や地域ともコンタクトを取ることができる」(内田顧問)
紙媒体の減少により、苦戦が続く印刷業界において、食品包材をはじめとするパッケージ印刷市場は成長が見込める分野と期待が持たれている。しかし、そのパッケージ印刷市場でも、多品種小ロットの傾向が加速しているという。その市場に対し、同社では、デジタル印刷機の優位性を積極的にアプローチしていく考えだ。
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