FFGS、オフセットとデジタルの最適生産基盤構築へ[アフターコロナ経営の新メソッド]
「余剰」生み、再分配へ〜富士フイルムBIとの連携でDX推進
2022年1月13日企業・経営スペシャリスト
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潜在的な経営資源が顕在化する
富士フイルムが考える「印刷業界への価値提供」は、オフセット印刷とデジタル印刷の共存による最適生産環境を基盤として、DX/Create On Demand(増力化)の両輪を構築する長期的な関係に基づく支援が提供できることにある。FFGSと富士フイルムBIの連携強化は、その価値をより強固なものにし、とくに早急な対応が必要であるDX領域において、受注から配送までを支援できることに大きな強みを持つ。
そこで、新たなソリューションとして提案しているのが、オフセット印刷とデジタル印刷の効率的な共存運用を実現する「最適生産分析ソリューション」である。
これは、オフセットとデジタルの共存運用を最適化し、そこで生み出された「余剰」を企業の「柔軟性」として再分配することで企業価値を高めるという考え方にもとづいて、DXの実現でコロナ禍を生き抜くためのメカニズムをメソッド化したものだ。
コロナ禍において売上が減少する中、損益計算書における材料費や外注費に着目すると、材料費は市況によって左右されるが、外注費はある程度コントロールできる。そのキャッシュアウトをまず適正化し、加工高の改善に繋げる。加工高を生み出しているのは人と設備であり、その固定費部分を如何にやりくりするかというのが大きな考え方である。
鈴木部長は、「従来の仕事のやり方をしていると、経営資源である人材、設備、経営資金、時間をムダに浪費してしまう。そこをデジタルの力を借りて改善できれば、そこから潜在的な経営資源が顕在化する。これがソリューションの根幹となっている」と説明する。
さらに、ここで抽出した経営資源を成長戦略に再分配していくことが重要になる。そこで顧客基盤や企業が持つ情報、また企業文化やブランドといった無形財産などを絡ませて成長戦略に仕立て上げていくことで、はじめてDXが完成するというわけだ。
前述のpage展における新スタイルの提案は、このソリューションがベースとなる。一例として、オフセット印刷とデジタル印刷を共存させた最適生産環境、ハイブリッド運用の実現性を高める「Phoenix」と、その環境を統制する「ProductionCockpit4.0」などを組み合わせ、潜在的に眠っている経営資源を最大限抽出し、余剰を生み出す部分に焦点が当てられるようだ。もちろん、その先にある製品軸の提案も必要になる。プロダクションプリンター「Revoriaシリーズ」による新規事業への参入、富士フイルムBIの新サービス「Marketing Cockpit」によるビッグデータ分析およびセグメンテーション、自動組版機能を持つバリアブル印刷ソフト「FormMagic」とQRをはき出す「QLEAR」などをインテグレーションした新たなDMなど、DXに向けた成長戦略も提示される。
「これらの成長戦略を実践していく上で、『余剰』が欠かせない。いままでのように『掛け声』で新規ビジネスを立ち上げるといっても、そこに必要な人や時間を割けなければ上手くいかない。つまり、人員を増やさなくても余剰の工数を投入して新たなスキルを習得(リスキリング)させ、人材を強化することで成長戦略に挑戦していくことが必要で、我々はそこに対するソリューションを数多く持っている」(鈴木部長)
同ソリューション開発当初は、ジョブ分析した上で、デジタル印刷を活用して「オフセット印刷の非効率部分から余剰を生む」という考え方がベースとなっていたが、「それはひとつのソリューションに過ぎない」と鈴木部長は言う。現在は、FFGS、富士フイルムBIが販売する製品群を組み合わせ、受注から出荷まで、ものづくり全般における最適生産へと、その概念が広がっており、すべての工程において人材、設備、経営資金、時間という「余剰」を生み出す仕組みを提供していく考えだ。
「お客様の経営を変える」=「富士フイルムが変わる」
前述の通り、この「最適生産分析ソリューション」は、「グラフィックコミュニケーション事業部」設立を前提として動き出したプロジェクト。柳川常務は、「販売局面での協業ではなく、同じステージに立った印刷業界への支援が可能になった。現在では、マーケティング・広報宣伝部門も互いに連携し、FFGSが考えるDXと、富士フイルムBIが考えるDXでは、どこが重なり、どこが異なるのかという『ソリューション群の交通整理』を行い、その共通概念のもとで協業できる体制になっている」と説明する。
一方、富士フイルムがこのソリューションを通じてミッションにしていることがもうひとつある。それは「富士フイルムの営業が変わること」である。
「我々が『経営』まで踏み込んだソリューション提案を行うのは初めてと言ってもいい。その大前提として、我々(営業)自身が変わらなければならないということ。これまでは提案型営業といっても製品軸を中心とした工程改善に留まっていたが、今回はそうではなく、我々営業が経営者に対して直接『変化』を語りかけていく」(柳川常務)
すでに営業にも変化が見られ、「いままでは現場責任者に対する提案がほとんどだったが、いまでは経営者に話を聞いてもらえる」という声も。製品を説明して売ってくるのではなく、経営者と会話し、「何が課題なのか」を直接聞き出しやすくなったことで、営業のモチベーションも上がっているようだ。今回のソリューションや考え方が叩き台となって、自社の課題に対するソリューションを求める経営者も増え、結果として新しい商談も生まれているという。
コロナ禍において2020年度に融資を受けた会社も多い。その返済は2年後から始まる。「お客様はこの2年間でイノベーションをはからなければならない。タイミング的には、『最適生産分析ソリューション』がそのメソッドとして有効である」と鈴木部長。また、柳川常務は、「印刷需要の減少や小ロット化が進む中で、お客様もオフセットとデジタルの融合を真剣に考え始めている。必然的な需要を感じていたし、タイミング的にもこの2年が勝負だと判断してスタートした」と語る。
これまではメディア先行で「最適生産分析ソリューション」の考え方を訴求し、徐々にその認知は広まっている。同時に、個々の営業マンのフィジカル強化をテーマとした基礎教育と応用トレーニングも終えているという。
「今回のソリューションは、自社の営業改革、自らのDXでもある」と語る柳川常務。「印刷業界に対して、これだけ強固な顧客基盤をもつ会社はない。もちろん印刷リテラシーも高いと自負している。逆に、それを生かし切れてないという反省点もある。我々も『余剰』を生まなければならない。お客様の経営を変えるということは、我々が変わるということ。今後はお客様とともにDX実現を目指していく」(柳川常務)
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そこで、新たなソリューションとして提案しているのが、オフセット印刷とデジタル印刷の効率的な共存運用を実現する「最適生産分析ソリューション」である。
これは、オフセットとデジタルの共存運用を最適化し、そこで生み出された「余剰」を企業の「柔軟性」として再分配することで企業価値を高めるという考え方にもとづいて、DXの実現でコロナ禍を生き抜くためのメカニズムをメソッド化したものだ。
コロナ禍において売上が減少する中、損益計算書における材料費や外注費に着目すると、材料費は市況によって左右されるが、外注費はある程度コントロールできる。そのキャッシュアウトをまず適正化し、加工高の改善に繋げる。加工高を生み出しているのは人と設備であり、その固定費部分を如何にやりくりするかというのが大きな考え方である。
鈴木部長は、「従来の仕事のやり方をしていると、経営資源である人材、設備、経営資金、時間をムダに浪費してしまう。そこをデジタルの力を借りて改善できれば、そこから潜在的な経営資源が顕在化する。これがソリューションの根幹となっている」と説明する。
さらに、ここで抽出した経営資源を成長戦略に再分配していくことが重要になる。そこで顧客基盤や企業が持つ情報、また企業文化やブランドといった無形財産などを絡ませて成長戦略に仕立て上げていくことで、はじめてDXが完成するというわけだ。
前述のpage展における新スタイルの提案は、このソリューションがベースとなる。一例として、オフセット印刷とデジタル印刷を共存させた最適生産環境、ハイブリッド運用の実現性を高める「Phoenix」と、その環境を統制する「ProductionCockpit4.0」などを組み合わせ、潜在的に眠っている経営資源を最大限抽出し、余剰を生み出す部分に焦点が当てられるようだ。もちろん、その先にある製品軸の提案も必要になる。プロダクションプリンター「Revoriaシリーズ」による新規事業への参入、富士フイルムBIの新サービス「Marketing Cockpit」によるビッグデータ分析およびセグメンテーション、自動組版機能を持つバリアブル印刷ソフト「FormMagic」とQRをはき出す「QLEAR」などをインテグレーションした新たなDMなど、DXに向けた成長戦略も提示される。
「これらの成長戦略を実践していく上で、『余剰』が欠かせない。いままでのように『掛け声』で新規ビジネスを立ち上げるといっても、そこに必要な人や時間を割けなければ上手くいかない。つまり、人員を増やさなくても余剰の工数を投入して新たなスキルを習得(リスキリング)させ、人材を強化することで成長戦略に挑戦していくことが必要で、我々はそこに対するソリューションを数多く持っている」(鈴木部長)
同ソリューション開発当初は、ジョブ分析した上で、デジタル印刷を活用して「オフセット印刷の非効率部分から余剰を生む」という考え方がベースとなっていたが、「それはひとつのソリューションに過ぎない」と鈴木部長は言う。現在は、FFGS、富士フイルムBIが販売する製品群を組み合わせ、受注から出荷まで、ものづくり全般における最適生産へと、その概念が広がっており、すべての工程において人材、設備、経営資金、時間という「余剰」を生み出す仕組みを提供していく考えだ。
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前述の通り、この「最適生産分析ソリューション」は、「グラフィックコミュニケーション事業部」設立を前提として動き出したプロジェクト。柳川常務は、「販売局面での協業ではなく、同じステージに立った印刷業界への支援が可能になった。現在では、マーケティング・広報宣伝部門も互いに連携し、FFGSが考えるDXと、富士フイルムBIが考えるDXでは、どこが重なり、どこが異なるのかという『ソリューション群の交通整理』を行い、その共通概念のもとで協業できる体制になっている」と説明する。
一方、富士フイルムがこのソリューションを通じてミッションにしていることがもうひとつある。それは「富士フイルムの営業が変わること」である。
「我々が『経営』まで踏み込んだソリューション提案を行うのは初めてと言ってもいい。その大前提として、我々(営業)自身が変わらなければならないということ。これまでは提案型営業といっても製品軸を中心とした工程改善に留まっていたが、今回はそうではなく、我々営業が経営者に対して直接『変化』を語りかけていく」(柳川常務)
すでに営業にも変化が見られ、「いままでは現場責任者に対する提案がほとんどだったが、いまでは経営者に話を聞いてもらえる」という声も。製品を説明して売ってくるのではなく、経営者と会話し、「何が課題なのか」を直接聞き出しやすくなったことで、営業のモチベーションも上がっているようだ。今回のソリューションや考え方が叩き台となって、自社の課題に対するソリューションを求める経営者も増え、結果として新しい商談も生まれているという。
コロナ禍において2020年度に融資を受けた会社も多い。その返済は2年後から始まる。「お客様はこの2年間でイノベーションをはからなければならない。タイミング的には、『最適生産分析ソリューション』がそのメソッドとして有効である」と鈴木部長。また、柳川常務は、「印刷需要の減少や小ロット化が進む中で、お客様もオフセットとデジタルの融合を真剣に考え始めている。必然的な需要を感じていたし、タイミング的にもこの2年が勝負だと判断してスタートした」と語る。
これまではメディア先行で「最適生産分析ソリューション」の考え方を訴求し、徐々にその認知は広まっている。同時に、個々の営業マンのフィジカル強化をテーマとした基礎教育と応用トレーニングも終えているという。
「今回のソリューションは、自社の営業改革、自らのDXでもある」と語る柳川常務。「印刷業界に対して、これだけ強固な顧客基盤をもつ会社はない。もちろん印刷リテラシーも高いと自負している。逆に、それを生かし切れてないという反省点もある。我々も『余剰』を生まなければならない。お客様の経営を変えるということは、我々が変わるということ。今後はお客様とともにDX実現を目指していく」(柳川常務)
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