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クリエイト、紙袋分野でIndigo 10000 CPOモデル導入[HP認定中古機販売プログラム活用]

RGB表現で「紙袋=商品」へ〜小ロット強化と納期圧縮に挑戦

2022年8月8日ケーススタディ

「Indigoありき」だった設備投資

 B2サイズ機への投資における機種選択においては、CPOモデル販売開始というタイミングの合致もあるが、谷元社長の中では「Indigoありき」だった面もあるようだ。その理由のひとつが液体トナーの加工適性である。

 「紙袋の場合、基本的にフィルムやPP貼り、OPニスなどの表面加工を施す。インクジェット、とくにUV仕様の場合、インキ部分の凹凸で平滑な仕上がりになりにくく、下手するとエンボスのような仕上がりになってしまうこともある。この部分で液体トナーのIndigoは、当社にマッチしていると感じた」(谷元社長)

Indigoで印刷した紙袋のサンプル

 そして「Indigoありき」の最大の理由は、RGB色域の再現性である。とくに同人誌の制作はタブレットなどを使ったRGB環境がほとんどで、その色域の再現性をさらに向上させるのがビビッドインキの採用である。導入機は、CMYKに加え、このビビッドピンクとビビッドグリーンによる6色印刷仕様で、RGB色域の再現性がより豊かなものになっている。

 同人誌の世界では、キャラクターの描画が多用されているため、肌の表現が重要とされており、Indigoのざらつき感のないスキントーンはこの世界で非常に品質評価が高い。その中で、同人系の紙袋のデザインは、同人誌の表紙と連動するケースが多いため、その印刷で多く活用されているIndigoでの紙袋の印刷は、「同一の再現性」という面で大きなアドバンテージになるわけだ。

 では、そもそも同人系の紙袋はどのように使われるのか。Web事業部カスタマーセンターの宮本毬代課長に聞いた。

 「同人誌をはじめ、うちわやクリアファイルなどのグッズを1セットにして紙袋に入れてイベントなどで販売する時に使われるケースが多い。イベント会場内で持ち歩かれる紙袋は広い会場内で目に入り、『紙袋を作れる作家=売れている作家』という一種のステータスでもある。今回のIndigo導入により、紙袋を作りたくても作れなかった作家にも小ロットで同人誌と同様の色再現で高品質な紙袋を提供できるようになる」

ビッグサイズのオリジナル紙袋はインパクト大

 一方、今後の目標について谷元社長は「納期圧縮」を掲げている。

 「様々な加工をともなう紙袋の性質上、同人誌より納期がかかってしまう。今後は、RGB色域の再現性や発色を武器に、作家のニーズをしっかり掴んだ商品展開とともに、納期圧縮に向けた運用にも取り組んでいきたい」

目指すは「捨てられない紙媒体の提供」

 同社では、これまでストックヤードの機能もサービスとして提供し、ユーザーの在庫管理を支援してきた。その保管スペースだった場所に現在Indigoが設置されており、今後は、まさに「オンデマンド生産」でユーザーの在庫リスク低減にも取り組んでいく方針だ。

 さらに、Indigoの特性を活かした新たな事業領域への挑戦にも着手している。RGB再現やビビッドインキによる発色は、当然のことながら写真の再現で大きな効果を発揮する。そこでコミックマーケットやコスプレイベントなどに向けてカレンダーなどの商材をアピールしていく考えだ。

 Web事業部の高野陽子部長は、「同人誌と同様に、コスプレイベントの参加者は、人物写真の肌の色味や滑らかな表現にこだわりを持っており、そこにIndigo品質がマッチする」と説明する。

 カレンダーのサイズについては、A2・B2・B3といった壁掛けカレンダーを展開していくという。B2対応の導入を決定した段階で、このサイズ感を最大限活用した商品開発と展開にこそ、希望があると考えたからである。さらに、生産ラインが整えば、デジタル印刷機のバリアブル特性を活かした商材にも挑戦していく考えで、同人系なら「キャラクター別の紙袋」といったユニークな試みも興味深い。

 このように、商材や表現方法のバリエーションを増やすことで事業領域の拡大を目指す同社では、「捨てられない紙媒体の提供」をひとつの目標に掲げ、「付加価値のある高品質な商材を提案していきたい」(宮本課長)としている。

 また、同社の事業ドメインである紙袋についても高野部長は、「『紙袋=包装・パッケージ』と捉えられがちだが、私たちは今後も、この紙袋自体を『付加価値をともなった商品』として提案し、『捨てられない紙袋』を提供していきたい」との思いを語っている。

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2022年8月8日ケーススタディ

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「Indigoありき」だった設備投資

 B2サイズ機への投資における機種選択においては、CPOモデル販売開始というタイミングの合致もあるが、谷元社長の中では「Indigoありき」だった面もあるようだ。その理由のひとつが液体トナーの加工適性である。

 「紙袋の場合、基本的にフィルムやPP貼り、OPニスなどの表面加工を施す。インクジェット、とくにUV仕様の場合、インキ部分の凹凸で平滑な仕上がりになりにくく、下手するとエンボスのような仕上がりになってしまうこともある。この部分で液体トナーのIndigoは、当社にマッチしていると感じた」(谷元社長)

Indigoで印刷した紙袋のサンプル

 そして「Indigoありき」の最大の理由は、RGB色域の再現性である。とくに同人誌の制作はタブレットなどを使ったRGB環境がほとんどで、その色域の再現性をさらに向上させるのがビビッドインキの採用である。導入機は、CMYKに加え、このビビッドピンクとビビッドグリーンによる6色印刷仕様で、RGB色域の再現性がより豊かなものになっている。

 同人誌の世界では、キャラクターの描画が多用されているため、肌の表現が重要とされており、Indigoのざらつき感のないスキントーンはこの世界で非常に品質評価が高い。その中で、同人系の紙袋のデザインは、同人誌の表紙と連動するケースが多いため、その印刷で多く活用されているIndigoでの紙袋の印刷は、「同一の再現性」という面で大きなアドバンテージになるわけだ。

 では、そもそも同人系の紙袋はどのように使われるのか。Web事業部カスタマーセンターの宮本毬代課長に聞いた。

 「同人誌をはじめ、うちわやクリアファイルなどのグッズを1セットにして紙袋に入れてイベントなどで販売する時に使われるケースが多い。イベント会場内で持ち歩かれる紙袋は広い会場内で目に入り、『紙袋を作れる作家=売れている作家』という一種のステータスでもある。今回のIndigo導入により、紙袋を作りたくても作れなかった作家にも小ロットで同人誌と同様の色再現で高品質な紙袋を提供できるようになる」

ビッグサイズのオリジナル紙袋はインパクト大

 一方、今後の目標について谷元社長は「納期圧縮」を掲げている。

 「様々な加工をともなう紙袋の性質上、同人誌より納期がかかってしまう。今後は、RGB色域の再現性や発色を武器に、作家のニーズをしっかり掴んだ商品展開とともに、納期圧縮に向けた運用にも取り組んでいきたい」

目指すは「捨てられない紙媒体の提供」

 同社では、これまでストックヤードの機能もサービスとして提供し、ユーザーの在庫管理を支援してきた。その保管スペースだった場所に現在Indigoが設置されており、今後は、まさに「オンデマンド生産」でユーザーの在庫リスク低減にも取り組んでいく方針だ。

 さらに、Indigoの特性を活かした新たな事業領域への挑戦にも着手している。RGB再現やビビッドインキによる発色は、当然のことながら写真の再現で大きな効果を発揮する。そこでコミックマーケットやコスプレイベントなどに向けてカレンダーなどの商材をアピールしていく考えだ。

 Web事業部の高野陽子部長は、「同人誌と同様に、コスプレイベントの参加者は、人物写真の肌の色味や滑らかな表現にこだわりを持っており、そこにIndigo品質がマッチする」と説明する。

 カレンダーのサイズについては、A2・B2・B3といった壁掛けカレンダーを展開していくという。B2対応の導入を決定した段階で、このサイズ感を最大限活用した商品開発と展開にこそ、希望があると考えたからである。さらに、生産ラインが整えば、デジタル印刷機のバリアブル特性を活かした商材にも挑戦していく考えで、同人系なら「キャラクター別の紙袋」といったユニークな試みも興味深い。

 このように、商材や表現方法のバリエーションを増やすことで事業領域の拡大を目指す同社では、「捨てられない紙媒体の提供」をひとつの目標に掲げ、「付加価値のある高品質な商材を提案していきたい」(宮本課長)としている。

 また、同社の事業ドメインである紙袋についても高野部長は、「『紙袋=包装・パッケージ』と捉えられがちだが、私たちは今後も、この紙袋自体を『付加価値をともなった商品』として提案し、『捨てられない紙袋』を提供していきたい」との思いを語っている。

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