千葉印刷、POD特殊印刷技術が生んだ「さかなかるた」
ドライトナーを極める:「印刷屋」の柔軟な技術と発想力
2023年3月31日ケーススタディ
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「おせっかいな印刷屋」─東京・渋谷に本社を置く(株)千葉印刷(本社/東京都渋谷区円山町25-5、柳川満生社長)が「東京ビジネスデザインアワード」をきっかけに商品化した「さかなかるた」が販売数を伸ばしている。これは、ドライトナーの技術に特化する同社が、POD機の「メタリック」「厚盛り」という特殊印刷技術の活用で生み出したアイテム。クラウドファンディングで先行販売するなど、その「自社商品を開発して販売する」といった一連のプロセスが話題を呼んでいる。
豊富な特殊用紙在庫とペーパーマイスターの知識
同社は、もともと和文タイプを生業とする業者の流れを汲む印刷会社。現会長で柳川社長の父でもある柳川隆生氏がその事業を受け継ぎ、俗に言う「軽印刷業者」の千葉印刷として昭和40年11月に創業。印刷に加え、製本工程までを充実させることで成長を遂げてきた。現在では、POD機を4台(カラー3台、モノクロ1台)、オフセット印刷機1台を設備。カタログ・パンフレットからチラシ、メニュー、ポスター、名刺、封筒まで幅広い印刷物を手がけ、渋谷駅から徒歩10分という立地から、飲食店やアパレル、百貨店などからの受注が多い。
同社は、その企業成長の過程で、事業拡大にともない4回にもおよぶ移転を繰り返しているが、その地はすべて渋谷駅周辺に限定されている。この理由について柳川社長は、「新たなカルチャーやビジネスが生まれる世界有数の情報発信拠点である『渋谷』という場所にこだわりがある。印刷は『生もの』。新鮮なうちに提供するには、自ずと地域密着型のビジネスモデルになる」と説明する。
その背景には、クライアントに来店を促す「店頭営業」という独自の「仕掛け」がある。同社では常時300種類以上の特殊用紙をストックしており、店頭ならその場でPOD見本を出力し、その紙の風合いや実際の色再現を確認しながら商談を進めることができる。デザイナーや企業の企画・販促部門の担当者はそれを期待して来店してくれるわけだ。この豊富な特殊用紙在庫とペーパーマイスターとしての知識が「客を離さない」という同社最大の強みとなっている。
「我々は『印刷会社』ではなく、『印刷屋』でありたい。とくにPODの世界では相談事を気兼ねなく聞き出せる『身近な存在』であることが重要だと考える。お客様が求めるのはコストなのかクオリティなのか。あくまでフラットな関係性の中で気軽に相談できる存在。そのマインドを『印刷屋』と表現している」(柳川社長)
多彩な文化が交錯する流行の発信地「渋谷」において「おせっかいな印刷屋」として長年愛されてきた同社。そこで培われた自由で柔軟なアイデア・発想力が、今回紹介する「さかなかるた」の商品化にも繋がっている。
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その背景には、クライアントに来店を促す「店頭営業」という独自の「仕掛け」がある。同社では常時300種類以上の特殊用紙をストックしており、店頭ならその場でPOD見本を出力し、その紙の風合いや実際の色再現を確認しながら商談を進めることができる。デザイナーや企業の企画・販促部門の担当者はそれを期待して来店してくれるわけだ。この豊富な特殊用紙在庫とペーパーマイスターとしての知識が「客を離さない」という同社最大の強みとなっている。
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