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フジプラス、Indigo12000で「G7」取得 - 海外受注増に備え

「HP PrintOS」を経由した日本初の事例

2023年4月10日企業・経営ケーススタディ

 マーケティングをはじめとした顧客支援と、それを支えるシステム管理および自動化された生産工場によって、顧客満足とLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を頂点としたサービス提供モデルを追求する(株)フジプラス(本社/大阪市北区南森町、井戸剛社長)はこのほど、B2デジタル印刷機「Indigo12000」を対象に、印刷キャリブレーション基準「G7認証」を取得した。

井戸 社長

 「G7」とは、「グレーを正確に再現すれば異なる印刷方式や用紙・印刷インキでも同じ見え方が再現できる」という考え方にもとづく印刷管理基準。今回のフジプラスのG7認証取得は、「HP PrintOS」を経由した日本初の事例である。

 その認証ステップは非常にシンプルだ。B2サイズのIndigoデジタル印刷機3機種には、すべて分光光度計が内蔵されており、クラウド上のプラットフォーム「PrintOS」の有償機能である「Color Beat」に接続できるようになっている。「Color Beat」は、その分光光度計で測定した印刷物の情報を数値化およびビジュアル化する機能で、これがG7の基準内に収まっているか否かを判定し、ターゲットから外れていれば警告を自動で表示し、機械の調整を促す。ちなみにターゲットはG7以外にも、ジャパンカラーなどを選択することも可能だ。

 そして特筆すべき点は、その測定情報がPrintOS経由で自動的に認証機関であるIdeallianceに送られる点だ。認証機関は、クラウド上から受け取った測定データをもとに審査を行い、認証を付与する仕組みになっている。現在のところIndigoは、G7認証のプロセスをクラウド上で完結できる唯一のデジタル印刷機である。

 なお、この認証には、事前にPrintOS内のマーケットプレイスにある「G7マスター」から認証申請する必要があり、その費用は年間900ドル。認証されれば証明書がメールで送られ、認証デバイスとして登録、PrintOS上にも表示される。

測定結果を表示するColor Beat

 フジプラスでは、17年ほど前からスイス・システムブルナー社製のインラインカラーコントロールシステムをオフセット輪転機に搭載し、グレーバランスをベースとした色管理を行っており、2017年に導入したKoenig&Bauer製菊全8色機「Rapida106」でも同様のシステムでグレーによる色管理を実践している。

 井戸社長は「グレーバランスさえあれば、色は大きく変わることはない。これは経営者側、現場側を問わず、長年、社内全体で共有してきた共通認識。今回のG7取得に踏み切ったのも、これが大前提になっている」と説明する。

 さらにもうひとつ、海外からの受注が増えているという背景もある。「日本ではジャパンカラーがほとんどだが、グローバルではG7が標準。為替の動向を考えても今後、さらに海外からの仕事は増えると見ている。とくにデジタル印刷による小ロット生産やサテライト生産が進む現状、さらにはサステナブルな観点からも、受注した国ではなく、納品先の国で印刷されることが当たり前になりつつある。『グローバルな仕組みの中で、フジプラスが日本の受け皿になる』、そのシナリオの中で、グローバルにおける色の共通言語であるG7の認証は当社にとってマストだと考えた。PrintOSによる認証プロセスは、ほとんどオペレータへの負担はない」(井戸社長)

 現在のところ、「G7認証がなければ仕事を出さない」というフェーズではないようだが、国内での取得事例が少ないことから先手を打って取得に動いたという。逆に、クライアントからG7認証を突き付けられていない背景には、G7指定で発注できる印刷会社が極めて少ないからでもある。「今回、当社がG7認証を取得したことで、どのような反応があるか楽しみである」(井戸社長)

 「色管理に職人的な技術はいらない」と断言する井戸社長。オフセット枚葉機でのG7取得も視野に入れている。

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 マーケティングをはじめとした顧客支援と、それを支えるシステム管理および自動化された生産工場によって、顧客満足とLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を頂点としたサービス提供モデルを追求する(株)フジプラス(本社/大阪市北区南森町、井戸剛社長)はこのほど、B2デジタル印刷機「Indigo12000」を対象に、印刷キャリブレーション基準「G7認証」を取得した。

井戸 社長

 「G7」とは、「グレーを正確に再現すれば異なる印刷方式や用紙・印刷インキでも同じ見え方が再現できる」という考え方にもとづく印刷管理基準。今回のフジプラスのG7認証取得は、「HP PrintOS」を経由した日本初の事例である。

 その認証ステップは非常にシンプルだ。B2サイズのIndigoデジタル印刷機3機種には、すべて分光光度計が内蔵されており、クラウド上のプラットフォーム「PrintOS」の有償機能である「Color Beat」に接続できるようになっている。「Color Beat」は、その分光光度計で測定した印刷物の情報を数値化およびビジュアル化する機能で、これがG7の基準内に収まっているか否かを判定し、ターゲットから外れていれば警告を自動で表示し、機械の調整を促す。ちなみにターゲットはG7以外にも、ジャパンカラーなどを選択することも可能だ。

 そして特筆すべき点は、その測定情報がPrintOS経由で自動的に認証機関であるIdeallianceに送られる点だ。認証機関は、クラウド上から受け取った測定データをもとに審査を行い、認証を付与する仕組みになっている。現在のところIndigoは、G7認証のプロセスをクラウド上で完結できる唯一のデジタル印刷機である。

 なお、この認証には、事前にPrintOS内のマーケットプレイスにある「G7マスター」から認証申請する必要があり、その費用は年間900ドル。認証されれば証明書がメールで送られ、認証デバイスとして登録、PrintOS上にも表示される。

測定結果を表示するColor Beat

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 井戸社長は「グレーバランスさえあれば、色は大きく変わることはない。これは経営者側、現場側を問わず、長年、社内全体で共有してきた共通認識。今回のG7取得に踏み切ったのも、これが大前提になっている」と説明する。

 さらにもうひとつ、海外からの受注が増えているという背景もある。「日本ではジャパンカラーがほとんどだが、グローバルではG7が標準。為替の動向を考えても今後、さらに海外からの仕事は増えると見ている。とくにデジタル印刷による小ロット生産やサテライト生産が進む現状、さらにはサステナブルな観点からも、受注した国ではなく、納品先の国で印刷されることが当たり前になりつつある。『グローバルな仕組みの中で、フジプラスが日本の受け皿になる』、そのシナリオの中で、グローバルにおける色の共通言語であるG7の認証は当社にとってマストだと考えた。PrintOSによる認証プロセスは、ほとんどオペレータへの負担はない」(井戸社長)

 現在のところ、「G7認証がなければ仕事を出さない」というフェーズではないようだが、国内での取得事例が少ないことから先手を打って取得に動いたという。逆に、クライアントからG7認証を突き付けられていない背景には、G7指定で発注できる印刷会社が極めて少ないからでもある。「今回、当社がG7認証を取得したことで、どのような反応があるか楽しみである」(井戸社長)

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