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テクノロール、純国産機の「安心」提供[枚葉コーター機開発]

開発コンセプトは「スキルレス」

2023年4月12日製品・テクノロジー

 印刷用ゴムロールおよび関連資材メーカーのテクノロール(株)(本社/大阪府和泉市テクノステージ3-4-5、畑中一辰社長)は、昨年開催されたIGAS2022において、A3ノビサイズ対応の枚葉コーター機「TEC COATER SYSTEM-50」を発表し、注目を集めた。

TEC COATER SYSTEM-50

 開発のきっかけとなったのは、あるデジタル印刷機ユーザーからの依頼だったという。その声を受けて、デジタル印刷機メーカーとも協議の上で、およそ2年前、開発に着手した。

 同社では、ゴムロールの販売を通じて、フィルムや紙、鉄板などにシリコンや曇り止めなどを片面、あるいは両面塗布するロールコーターを手掛けた実績はあったものの、枚葉コーターの開発ははじめて。社内協議の結果、機械装置販売部が中心となって新たなチャレンジが始まった。

 「デジタル印刷」という分野のプライマーやニスのような前後加工を前提とした同機の性質上、開発コンセプトは「職人技術を要しない、誰にでも使いやすいコーター機」に定めた。その次にこだわったのが「純国産機」である。これについて、営業本部 営業サポート課の村上隆史係長は「コーター機は部品の供給やトラブル対応などのアフターサービス面でユーザーに『安心』を提供したかった」と説明。テクノロールが自社開発したのはコーターユニットで、その前後のフィーダー、コロナ処理装置、IR乾燥装置、UV乾燥装置などのシステムも、すべて国内のパートナー企業との協業によるもの。これらをユーザーの用途や予算に合わせて選択し、カスタマーにフィットする組み合わせでシステム構成できるのも大きな特徴である。

源浩幸取締役(中央)、小山部長代理(右)、戸口課長

 機械装置販売部の小山健吾部長代理は、「我々の製品が国産製品でも、その前後が海外製だと『安心』を約束できず、結果としてユーザーに迷惑をかけてしまう可能性が高まる。これら付帯設備のパートナー企業との摺り合わせに多くの時間を費やした」と開発経緯を振り返る。

 コーター機の特徴のひとつとして3本ロール方式を採用していることが挙げられる。機械装置販売部 技術機械設計課の戸口智晴課長は「各モーターが単独で駆動する方式を採用しているため、各ロールの調整や速度を変えることで、塗布量や塗布厚の微調整が可能になっている」と説明する。

 さらに、ボトムフィーダー方式を採用することで、複数ジョブの連続処理も可能となっている。「小ロットが多くを占めるデジタル印刷では、ノンストップで複数のジョブを連続投入できるボトムフィーダーの方が有利である」(村上係長)

 また、印刷前の前処理では、コロナ処理し、プライマーを塗布、後加工ではニスの塗布として使用できるほか、厚みのある基材にも対応しているので、その他塗布用途としても多種多様に対応することは可能となっている。

 1号機の納入は5月を予定。今回の製品化ではA3ノビサイズとなっているが、デジタル印刷機がサイズアップしていく中で、将来的には四六半裁サイズまで拡張し、さらにはインラインの可能性も視野に入れている。

 機械装置販売部は、営業担当、機械設計担当、電気設計担当で構成する新たな社内組織。今回のコーター機開発が初のプロジェクトで、今後の製品開発にも大きな影響を与える新機軸になりそうだ。「それぞれのお客様のニーズに応じてカスタマイズ製品を提供し、その環境に合わせ込んでいくことで喜ばれてきた。今回はテクノロール発の自社製品という新たなチャレンジである」とし、新たな事業モデルとして拡張していく考えを示している。

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 印刷用ゴムロールおよび関連資材メーカーのテクノロール(株)(本社/大阪府和泉市テクノステージ3-4-5、畑中一辰社長)は、昨年開催されたIGAS2022において、A3ノビサイズ対応の枚葉コーター機「TEC COATER SYSTEM-50」を発表し、注目を集めた。

TEC COATER SYSTEM-50

 開発のきっかけとなったのは、あるデジタル印刷機ユーザーからの依頼だったという。その声を受けて、デジタル印刷機メーカーとも協議の上で、およそ2年前、開発に着手した。

 同社では、ゴムロールの販売を通じて、フィルムや紙、鉄板などにシリコンや曇り止めなどを片面、あるいは両面塗布するロールコーターを手掛けた実績はあったものの、枚葉コーターの開発ははじめて。社内協議の結果、機械装置販売部が中心となって新たなチャレンジが始まった。

 「デジタル印刷」という分野のプライマーやニスのような前後加工を前提とした同機の性質上、開発コンセプトは「職人技術を要しない、誰にでも使いやすいコーター機」に定めた。その次にこだわったのが「純国産機」である。これについて、営業本部 営業サポート課の村上隆史係長は「コーター機は部品の供給やトラブル対応などのアフターサービス面でユーザーに『安心』を提供したかった」と説明。テクノロールが自社開発したのはコーターユニットで、その前後のフィーダー、コロナ処理装置、IR乾燥装置、UV乾燥装置などのシステムも、すべて国内のパートナー企業との協業によるもの。これらをユーザーの用途や予算に合わせて選択し、カスタマーにフィットする組み合わせでシステム構成できるのも大きな特徴である。

源浩幸取締役(中央)、小山部長代理(右)、戸口課長

 機械装置販売部の小山健吾部長代理は、「我々の製品が国産製品でも、その前後が海外製だと『安心』を約束できず、結果としてユーザーに迷惑をかけてしまう可能性が高まる。これら付帯設備のパートナー企業との摺り合わせに多くの時間を費やした」と開発経緯を振り返る。

 コーター機の特徴のひとつとして3本ロール方式を採用していることが挙げられる。機械装置販売部 技術機械設計課の戸口智晴課長は「各モーターが単独で駆動する方式を採用しているため、各ロールの調整や速度を変えることで、塗布量や塗布厚の微調整が可能になっている」と説明する。

 さらに、ボトムフィーダー方式を採用することで、複数ジョブの連続処理も可能となっている。「小ロットが多くを占めるデジタル印刷では、ノンストップで複数のジョブを連続投入できるボトムフィーダーの方が有利である」(村上係長)

 また、印刷前の前処理では、コロナ処理し、プライマーを塗布、後加工ではニスの塗布として使用できるほか、厚みのある基材にも対応しているので、その他塗布用途としても多種多様に対応することは可能となっている。

 1号機の納入は5月を予定。今回の製品化ではA3ノビサイズとなっているが、デジタル印刷機がサイズアップしていく中で、将来的には四六半裁サイズまで拡張し、さらにはインラインの可能性も視野に入れている。

 機械装置販売部は、営業担当、機械設計担当、電気設計担当で構成する新たな社内組織。今回のコーター機開発が初のプロジェクトで、今後の製品開発にも大きな影響を与える新機軸になりそうだ。「それぞれのお客様のニーズに応じてカスタマイズ製品を提供し、その環境に合わせ込んでいくことで喜ばれてきた。今回はテクノロール発の自社製品という新たなチャレンジである」とし、新たな事業モデルとして拡張していく考えを示している。

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