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テクノロール、純国産機の「安心」提供[A3ノビサイズ枚葉コーター機]

2024年4月4日製品・テクノロジー

 印刷用ゴムロールおよび関連資材メーカーのテクノロール(株)(本社/大阪府和泉市テクノステージ3-4-5、畑中一辰社長)が開発したA3ノビサイズ対応の枚葉コーター機「TEC COATER SYSTEM-50」が注目を集めている。

TEC COATER SYSTEM-50

 同社では、ゴムロールの販売を通じて、フィルムや紙などに塗布するロールコーターを手掛けた実績はあったものの、枚葉コーターの開発は今回がはじめて。「デジタル印刷」という分野のプライマーやニスのような前後加工を前提とした同機の性質上、「職人技術を要しない、誰にでも使いやすいコーター機」が開発コンセプトとなっている。

 同社がその次にこだわったのが「純国産機」。これについて、同社では「コーター機は部品の供給やトラブル対応などのアフターサービス面でユーザーに『安心』を提供したかった」と説明。テクノロールが自社開発したのはコーターユニットで、その前後のフィーダー、コロナ処理装置、IR乾燥装置、UV乾燥装置などのシステムも、すべて国内のパートナー企業との協業によるもの。これらをユーザーの用途や予算に合わせて選択し、カスタマーにフィットする組み合わせでシステム構成できるのも大きな特徴である。

 コーター機の特徴のひとつとして3本ロール方式の採用がある。各モーターが単独で駆動する方式を採用しているため、各ロールの調整や速度を変えることで、塗布量や塗布厚の微調整が可能になっている。

 さらに、フィーダー部はボトムフィーダー方式を採用。小ロットが多くを占めるデジタル印刷では、ノンストップで複数のジョブを連続投入できるボトムフィーダーに優位性があるだろう。最大サイズ350×500ミリサイズ、厚み0.1〜1ミリのシートに対応し、最大4,000枚/時を処理できる。

1号機納入先となった大阪印刷の評価は

 今回、開発のきっかけとなり、1号機の納入先となった大阪印刷(株)(大阪市西淀川区御幣島5-5-23)の製造部門統括・緒方人志氏にも話を聞いた。

 同人誌印刷ビジネスで急成長を遂げる大阪印刷では、6台の「HP Indigoデジタル印刷機」が稼働。そのトータルジョブ数は約1万8,000件/月、インプレッション数は1,000万インプレッション/月を突破している。このIndigo6台分のプライマーとニス引き加工を担っているのが「TEC COATER SYSTEM-50」である。

 開発協力の段階で緒方氏が最も強く要望したのは、「安定稼働とダウンタイムの抑制」だったという。「純国産というだけあって堅牢性が高く、サポート面でのダウンタイムも短い。この機械については、バックアップ機は不要だと考えている。もちろんコーター部は印刷用ゴムロールで培ったテクノロールの技術によって非常に塗布品質が高く、従来機では処理できなかった原反も通せるようになった」(緒方氏)

 また、1台でプライマーとニスのワンパス処理、あるいはそれぞれ単独で処理することができることから、多品種・短納期といった仕事の流れに柔軟に対応でき、メンテナンス性についても「ニスが漏れたり垂れたりしない構造で、メンテナンス時に作業者がニスに触れることがなく、安全面でも評価できる」(緒方氏)としている。

 同社では、紙素材の他にも、PPや蒸着PETなどにもプレコーティングおよびニス加工を施しており、とくに専用ニスについては透明素材でも剥がれにくい「耐スクラッチ性」の高さを評価。「他メーカーに比べてケミカルに強みを持つテクノロールの技術力には安心感がある」(緒方氏)

 なお、「TEC COATER SYSTEM-50」は、今年5月後半からドイツ・デュッセルドルフで開催される「drupa2024」のテクノロールブースでも展示実演される予定。

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 印刷用ゴムロールおよび関連資材メーカーのテクノロール(株)(本社/大阪府和泉市テクノステージ3-4-5、畑中一辰社長)が開発したA3ノビサイズ対応の枚葉コーター機「TEC COATER SYSTEM-50」が注目を集めている。

TEC COATER SYSTEM-50

 同社では、ゴムロールの販売を通じて、フィルムや紙などに塗布するロールコーターを手掛けた実績はあったものの、枚葉コーターの開発は今回がはじめて。「デジタル印刷」という分野のプライマーやニスのような前後加工を前提とした同機の性質上、「職人技術を要しない、誰にでも使いやすいコーター機」が開発コンセプトとなっている。

 同社がその次にこだわったのが「純国産機」。これについて、同社では「コーター機は部品の供給やトラブル対応などのアフターサービス面でユーザーに『安心』を提供したかった」と説明。テクノロールが自社開発したのはコーターユニットで、その前後のフィーダー、コロナ処理装置、IR乾燥装置、UV乾燥装置などのシステムも、すべて国内のパートナー企業との協業によるもの。これらをユーザーの用途や予算に合わせて選択し、カスタマーにフィットする組み合わせでシステム構成できるのも大きな特徴である。

 コーター機の特徴のひとつとして3本ロール方式の採用がある。各モーターが単独で駆動する方式を採用しているため、各ロールの調整や速度を変えることで、塗布量や塗布厚の微調整が可能になっている。

 さらに、フィーダー部はボトムフィーダー方式を採用。小ロットが多くを占めるデジタル印刷では、ノンストップで複数のジョブを連続投入できるボトムフィーダーに優位性があるだろう。最大サイズ350×500ミリサイズ、厚み0.1〜1ミリのシートに対応し、最大4,000枚/時を処理できる。

1号機納入先となった大阪印刷の評価は

 今回、開発のきっかけとなり、1号機の納入先となった大阪印刷(株)(大阪市西淀川区御幣島5-5-23)の製造部門統括・緒方人志氏にも話を聞いた。

 同人誌印刷ビジネスで急成長を遂げる大阪印刷では、6台の「HP Indigoデジタル印刷機」が稼働。そのトータルジョブ数は約1万8,000件/月、インプレッション数は1,000万インプレッション/月を突破している。このIndigo6台分のプライマーとニス引き加工を担っているのが「TEC COATER SYSTEM-50」である。

 開発協力の段階で緒方氏が最も強く要望したのは、「安定稼働とダウンタイムの抑制」だったという。「純国産というだけあって堅牢性が高く、サポート面でのダウンタイムも短い。この機械については、バックアップ機は不要だと考えている。もちろんコーター部は印刷用ゴムロールで培ったテクノロールの技術によって非常に塗布品質が高く、従来機では処理できなかった原反も通せるようになった」(緒方氏)

 また、1台でプライマーとニスのワンパス処理、あるいはそれぞれ単独で処理することができることから、多品種・短納期といった仕事の流れに柔軟に対応でき、メンテナンス性についても「ニスが漏れたり垂れたりしない構造で、メンテナンス時に作業者がニスに触れることがなく、安全面でも評価できる」(緒方氏)としている。

 同社では、紙素材の他にも、PPや蒸着PETなどにもプレコーティングおよびニス加工を施しており、とくに専用ニスについては透明素材でも剥がれにくい「耐スクラッチ性」の高さを評価。「他メーカーに比べてケミカルに強みを持つテクノロールの技術力には安心感がある」(緒方氏)

 なお、「TEC COATER SYSTEM-50」は、今年5月後半からドイツ・デュッセルドルフで開催される「drupa2024」のテクノロールブースでも展示実演される予定。

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