インクジェット事業統合でシナジー効果を発揮
富士フイルムグループは昨年、それまで富士フイルムと富士フイルムビジネスイノベーションがそれぞれ営んできたグラフィックコミュニケーション領域の事業を統合し、製品や技術、製造サービス供給体制などを一体化した。この事業統合により、オフセット印刷からインクジェット/ドライトナーの両方式によるデジタル印刷機、さらにはワークフローに関するDXソリューションまでをワールドワイドのユーザーに包括的に提供する体制を構築。さらに2023年度には、インクジェット事業部の統合も実施。これにより全方位的なソリューション提供を可能とする体制を構築した。

統合以前のインクジェット事業部では、インクジェットヘッドやインクなどを各装置メーカーに販売するコンポーネント事業を主軸としていたが、統合後は、新たなビジネス領域への進出を図っている。
同社・山本浩平氏(グラフィックコミュニケーション事業本部インクジェット事業部ヘッド・システムインテグレーション事業統括グループ)は、「これまでは各装置メーカーを主な顧客としていたが、プリントバーの事業も開始し、インクジェット事業の統合後は、富士フイルムグループの販売チャネルを活かし、新たな産業分野やブランドオーナーとの接点が生まれるようになった」と、統合後のビジネスの変化について説明する。
同社では、このサービスを「FUJIFILM Integrated Inkjet Solutions(FIIS)」として展開している。
カスタマイズインクジェット導入支援サービス「FIIS」を展開
カスタマイズインクジェット導入支援サービス「FIIS」は、印刷分野だけでなく幅広い分野のメーカー企業やブランドオーナーを対象に製品の製造ラインに組み込み可能なインクジェットシステムをカスタマイズして提供していくもの。

導入分野としては、商業印刷分野をはじめ、紙器・パッケージ分野の生産ライン上にインクジェットシステム「Imprinting bar」を設置し、部分印刷や追刷り印刷などを行う。具体的には、アナログ印刷後の部分的な印刷や加工後の各種パッケージへのバリアブル印刷などに利用されている。
「顧客によって生産ラインが異なるため、印刷幅や装置構成をカスタマイズして、その生産ラインに最適なシステムとして提案していくことが重要となる」(山本氏)
また、非接触というインクジェット方式ならではの強みを活かすことでグラフィックアーツ用途だけでなく、各種工業製品における機能性材料の生産システムとしての活用にも期待が持たれている。
同社・前田貢太郎氏(グラフィックコミュニケーション事業本部インクジェット事業部ヘッド・システムインテグレーション事業統括グループ)は、「インクジェットは、インク、システム、ヘッドを三位一体で最適に組み合わせて提供することが重要となる。この3つの技術を自社グループ内に持つ当社は、競合他社にはない独自のインクジェットシステムをカスタマイズして提供できることが最大の強みと言える」とインクジェット事業における同社の強みを説明する。
再認識されたインクジェットの可能性
三浦氏は、drupa2024を踏まえた上で、今後の印刷業界においてインクジェットは不可欠な技術であることが再確認できたと説明する。
「今回のdrupaでは、多くのメーカーからロール給紙タイプのインクジェット印刷機が出展されていた。大量ロットの領域に対応する生産システムとしてのインクジェットの認識が現在の市場に広がってきていることの表れだと思う」(三浦氏)

今回のdrupaで、高速ロール紙カラーインクジェットプリンターをはじめ、枚葉インクジェットの「Jet Press 750S」や、産業印刷領域でも軟包装印刷向けの水性インクジェット印刷機「Jet Press FP790」や大判インクジェットなど、印刷用途に合わせた多彩なインクジェット印刷機、さらには「Imprinting bar」などのソリューションを出展し、最新インクジェット技術を全世界に向けて発信した富士フイルムグループは、今後も技術開発を継続し、すべての産業で活用できるインクジェットシステムの提供を目指していく方針だ。
なお、今年度中には、高速ロール紙カラーインクジェットプリンターのハイエンドモデルである「Jet Press 2150CFG」についても、新たに開発したプリントヘッドの駆動技術を搭載するアップデートを予定しているという。
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インクジェット事業統合でシナジー効果を発揮
富士フイルムグループは昨年、それまで富士フイルムと富士フイルムビジネスイノベーションがそれぞれ営んできたグラフィックコミュニケーション領域の事業を統合し、製品や技術、製造サービス供給体制などを一体化した。この事業統合により、オフセット印刷からインクジェット/ドライトナーの両方式によるデジタル印刷機、さらにはワークフローに関するDXソリューションまでをワールドワイドのユーザーに包括的に提供する体制を構築。さらに2023年度には、インクジェット事業部の統合も実施。これにより全方位的なソリューション提供を可能とする体制を構築した。

統合以前のインクジェット事業部では、インクジェットヘッドやインクなどを各装置メーカーに販売するコンポーネント事業を主軸としていたが、統合後は、新たなビジネス領域への進出を図っている。
同社・山本浩平氏(グラフィックコミュニケーション事業本部インクジェット事業部ヘッド・システムインテグレーション事業統括グループ)は、「これまでは各装置メーカーを主な顧客としていたが、プリントバーの事業も開始し、インクジェット事業の統合後は、富士フイルムグループの販売チャネルを活かし、新たな産業分野やブランドオーナーとの接点が生まれるようになった」と、統合後のビジネスの変化について説明する。
同社では、このサービスを「FUJIFILM Integrated Inkjet Solutions(FIIS)」として展開している。
カスタマイズインクジェット導入支援サービス「FIIS」を展開
カスタマイズインクジェット導入支援サービス「FIIS」は、印刷分野だけでなく幅広い分野のメーカー企業やブランドオーナーを対象に製品の製造ラインに組み込み可能なインクジェットシステムをカスタマイズして提供していくもの。

導入分野としては、商業印刷分野をはじめ、紙器・パッケージ分野の生産ライン上にインクジェットシステム「Imprinting bar」を設置し、部分印刷や追刷り印刷などを行う。具体的には、アナログ印刷後の部分的な印刷や加工後の各種パッケージへのバリアブル印刷などに利用されている。
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同社・前田貢太郎氏(グラフィックコミュニケーション事業本部インクジェット事業部ヘッド・システムインテグレーション事業統括グループ)は、「インクジェットは、インク、システム、ヘッドを三位一体で最適に組み合わせて提供することが重要となる。この3つの技術を自社グループ内に持つ当社は、競合他社にはない独自のインクジェットシステムをカスタマイズして提供できることが最大の強みと言える」とインクジェット事業における同社の強みを説明する。
再認識されたインクジェットの可能性
三浦氏は、drupa2024を踏まえた上で、今後の印刷業界においてインクジェットは不可欠な技術であることが再確認できたと説明する。
「今回のdrupaでは、多くのメーカーからロール給紙タイプのインクジェット印刷機が出展されていた。大量ロットの領域に対応する生産システムとしてのインクジェットの認識が現在の市場に広がってきていることの表れだと思う」(三浦氏)

今回のdrupaで、高速ロール紙カラーインクジェットプリンターをはじめ、枚葉インクジェットの「Jet Press 750S」や、産業印刷領域でも軟包装印刷向けの水性インクジェット印刷機「Jet Press FP790」や大判インクジェットなど、印刷用途に合わせた多彩なインクジェット印刷機、さらには「Imprinting bar」などのソリューションを出展し、最新インクジェット技術を全世界に向けて発信した富士フイルムグループは、今後も技術開発を継続し、すべての産業で活用できるインクジェットシステムの提供を目指していく方針だ。
なお、今年度中には、高速ロール紙カラーインクジェットプリンターのハイエンドモデルである「Jet Press 2150CFG」についても、新たに開発したプリントヘッドの駆動技術を搭載するアップデートを予定しているという。
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