花王との協業で実現した水性IJ機開発
商業印刷分野では、UVインクジェット方式での生産が当たり前のように行われている。しかし、主に食品包装に使われる軟包材は、微量の臭気でも大きな問題とされ、また、場合によっては電子レンジで加熱されるなど、使われ方も様々である。そのような状況を考慮すると、UVインクジェット方式による製品化は無理、そう判断した重田社長は、新たな方式への挑戦を考えた。それは水性インクジェット方式を採用した製品開発だ。重田社長は、改めてインクメーカーを始め、関連企業に協力を要請したものの、やはり軟包材に対する水性インクジェットという発想は、受け入れられなかったという。
現状の技術では、実現不可能なのか、と諦めかけたとき、重田社長の提案に賛同し、開発パートナーとして名乗りをあげたのが(株)花王だった。石鹸をはじめ各種洗剤などのメーカーとしての認識が一般的な花王であるが、実はそれ以外にも化学品などの材料を供給する事業も展開している。花王も水性インクジェットインクの開発に興味を示し、共同開発が始まることとなる。
そして昨年3月、花王はVOCレス設計で環境負荷を低減した水性インクジェット用顔料インクを開発。あわせて同インクを搭載可能な水性インクジェットプリンター「FXIJ」をシンク・ラボラトリーと共同開発したことを発表した。重田社長の提案から、わずか2年という短期間で製品化を実現したことになる。
今秋には正式リリースを予定
水性インクジェットプリンター「FXIJ」は、VOCレスの水性インクジェットインクに対応するロールtoロール方式の水性インク専用のインクジェットプリンター。幅540mmのPETなど、従来型の基材にそのまま対応し、これまでグラビア印刷でカバーしにくかった2000m以下の小ロット印刷をタッチパネルによる簡単操作で柔軟に出力することが可能。また、制御パネルには、最新の画像処理ソフト「PACKZ」を標準搭載し、デザインデータから最終データ作成までのプロセスを一貫して処理できるほか、部分修正も本機上で対応可能となっている。さらにデジタル印刷機の特性である個別デザインのバリアブル印刷にも対応している。
色数は、CMYK+白の5色仕様で、印刷速度は、現時点で5色時に20m/分、4色時で50m/分となっている。また、使用基材は、OPPおよびPETフィルム、またシュリンクPETフィルムへの印刷も確認している。
同社では、昨秋から今春にかけて「東京パック」と「コンバーティングテクノロジー総合展」の2つの展示会で実機展示および印刷実演を披露した。各展示会では、その高い印刷品質や印刷幅が異なる絵柄でも継ぎ目なくシームレスに印刷できる機能が、多くの来場者の関心を集めていた。
そして「コンバーティングテクノロジー総合展」では、ベータ版として大手食品メーカーの食品パッケージや包装資材の企画・印刷を手がける信和産業(株)(千葉県八千代市)に「FXIJ」2台を納入することが決定している。今後は、様々な実機検証を行い、さらなる改良を継続していくこととなる。
また、花王が開発した水性インクジェットインクがグラビア印刷機にも転用可能であることから、重田社長は、インクジェット印刷、グラビア印刷を融合した高効率生産システムとして、提案していく方針だ。
すでに多くの予約注文が寄せられていることから重田社長は、今秋頃の正式リリースを予定している。提供方法としては、月額定額制のレンタル提供も検討しており、初期投資額の低減を図っていく。
新着トピックス
2025年10月1日製品・テクノロジー
産業⽤インクジェットプリンタ、カッティングプロッタ、3Dプリンタを手掛ける(株)ミマキエンジニアリング(本社/長野県東御市、池田和明社長)は今年4月、同社初のUV-DTF(UV硬化式...全文を読む
2025年9月30日製品・テクノロジースペシャリスト
最速900メートル/分の超高速印刷が可能なPROSPERヘッドは、日本でもDM市場を中心に数百台が稼働しているが、コダックジャパン・プリント事業部デジタルプリンティング営業本部の河原...全文を読む
最新ニュース
SCREEN、京都芸大・月桂冠と産学連携 - 学生デザインラベルの日本酒商品化
2025年10月8日
京都市立芸術大学(以下「京都芸大」)、月桂冠(株)、(株)SCREENグラフィックソリューションズ(以下「SCREEN」)の3者は、産学連携による共同プロジェクトを実施し、京都芸大・...全文を読む
ミマキ、OGBS2025で昇華転写用IJプリンタ「TS200」を国内初披露
2025年10月2日
(株)ミマキエンジニアリング(本社/長野県東御市、池田和明社長)は、9月30日と10月1日に東京・池袋のサンシャインシティにおいて開催されたオーダーグッズビジネスショー(OGBS)2...全文を読む
swissQprint Japan、VIPオープンハウスウィーク-10月28日〜31日
2025年10月1日
swissQprint Japan(株)(本社/横浜市港北区新横浜3-2-6、アドリアーノ・グット社長)は、顧客の要望に応え、最新世代のフラットベッドプリンタを紹介するオープンハウス...全文を読む
シンク・ラボラトリー、水性IJプリンター「FXIJ」でグラビア印刷の効率化支援
ベータ版の納入が決定 〜 正式発売に向け技術開発を加速
2017年4月5日製品・テクノロジースペシャリスト
花王との協業で実現した水性IJ機開発
商業印刷分野では、UVインクジェット方式での生産が当たり前のように行われている。しかし、主に食品包装に使われる軟包材は、微量の臭気でも大きな問題とされ、また、場合によっては電子レンジで加熱されるなど、使われ方も様々である。そのような状況を考慮すると、UVインクジェット方式による製品化は無理、そう判断した重田社長は、新たな方式への挑戦を考えた。それは水性インクジェット方式を採用した製品開発だ。重田社長は、改めてインクメーカーを始め、関連企業に協力を要請したものの、やはり軟包材に対する水性インクジェットという発想は、受け入れられなかったという。
現状の技術では、実現不可能なのか、と諦めかけたとき、重田社長の提案に賛同し、開発パートナーとして名乗りをあげたのが(株)花王だった。石鹸をはじめ各種洗剤などのメーカーとしての認識が一般的な花王であるが、実はそれ以外にも化学品などの材料を供給する事業も展開している。花王も水性インクジェットインクの開発に興味を示し、共同開発が始まることとなる。
そして昨年3月、花王はVOCレス設計で環境負荷を低減した水性インクジェット用顔料インクを開発。あわせて同インクを搭載可能な水性インクジェットプリンター「FXIJ」をシンク・ラボラトリーと共同開発したことを発表した。重田社長の提案から、わずか2年という短期間で製品化を実現したことになる。
今秋には正式リリースを予定
水性インクジェットプリンター「FXIJ」は、VOCレスの水性インクジェットインクに対応するロールtoロール方式の水性インク専用のインクジェットプリンター。幅540mmのPETなど、従来型の基材にそのまま対応し、これまでグラビア印刷でカバーしにくかった2000m以下の小ロット印刷をタッチパネルによる簡単操作で柔軟に出力することが可能。また、制御パネルには、最新の画像処理ソフト「PACKZ」を標準搭載し、デザインデータから最終データ作成までのプロセスを一貫して処理できるほか、部分修正も本機上で対応可能となっている。さらにデジタル印刷機の特性である個別デザインのバリアブル印刷にも対応している。
色数は、CMYK+白の5色仕様で、印刷速度は、現時点で5色時に20m/分、4色時で50m/分となっている。また、使用基材は、OPPおよびPETフィルム、またシュリンクPETフィルムへの印刷も確認している。
同社では、昨秋から今春にかけて「東京パック」と「コンバーティングテクノロジー総合展」の2つの展示会で実機展示および印刷実演を披露した。各展示会では、その高い印刷品質や印刷幅が異なる絵柄でも継ぎ目なくシームレスに印刷できる機能が、多くの来場者の関心を集めていた。
そして「コンバーティングテクノロジー総合展」では、ベータ版として大手食品メーカーの食品パッケージや包装資材の企画・印刷を手がける信和産業(株)(千葉県八千代市)に「FXIJ」2台を納入することが決定している。今後は、様々な実機検証を行い、さらなる改良を継続していくこととなる。
また、花王が開発した水性インクジェットインクがグラビア印刷機にも転用可能であることから、重田社長は、インクジェット印刷、グラビア印刷を融合した高効率生産システムとして、提案していく方針だ。
すでに多くの予約注文が寄せられていることから重田社長は、今秋頃の正式リリースを予定している。提供方法としては、月額定額制のレンタル提供も検討しており、初期投資額の低減を図っていく。
新着トピックス
-
樋口印刷所(大阪)、下請け100%のJet Pressビジネスとは
2025年10月8日 ケーススタディ
-
ダイコウラベル、新市場への進出に貢献〜デジタルの強みで顧客メリットを創出
2025年10月7日 ケーススタディ
-
ミマキ、UV-DTF市場に参入〜プリント形状の課題を解決
2025年10月1日 製品・テクノロジー
-
コダック、パッケージ分野で新アプリケーション開拓へ
2025年9月30日 製品・テクノロジースペシャリスト
-
青森県コロニー協会、多様性のある職場環境の構築を支援 [インプレミアIS29s導入事例]
2025年9月30日 ケーススタディ
新着ニュース
SNSランキング
- 63shares講談社、フルデジタル書籍生産システムが新たな領域に
- 50sharesリコー、企業内・商用印刷の幅広いニーズに対応するカラー機の新機種発売
- 44shares富士フイルムBI、デジタル印刷ワークフローソフトウェアが「IDEA」ファイナリストに
- 40shares樋口印刷所(大阪)、下請け100%のJet Pressビジネスとは
- 38shares門那シーリング印刷(大阪)、除電機能で作業効率向上[Revoria Press PC1120導入事例]
- 38sharesコニカミノルタジャパン、AccurioDays2025で新たなフラッグシップモデルを公開
- 37sharesSCREEN GAとSCREEN GPJ、「パッケージに彩りを」テーマに「JAPAN PACK 2025」に出展
- 30sharesコニカミノルタジャパン、機能強化モデル「AccurioPress C7100 ENHANCED」発売
- 28sharesパラシュート、Webプラットフォームをベースとした販促資材管理サービスの提供開始
- 28shares日印機工とプリデジ協、IGAS2027の日程決定-2027年8月に東京ビッグサイトで開催