全自動レーザーグラビア製版システムメーカーである(株)シンク・ラボラトリー(本社/千葉県柏市、重田龍男社長)は昨年3月、世界初のVOCレス設計の水性インク専用インクジェットプリンター「FXIJ」を(株)花王と共同開発したことを発表した。軟包材に対し、水性インクジェットインクでグラビア印刷同等の印刷を実現する「FXIJ」は、環境負荷低減だけでなく、グラビア印刷業界の課題である多品種小ロット化に対応する設備として期待が持たれている。今春には、ベータ版の導入も決定しており、同社では、正式リリースに向け、開発を加速していく。
環境配慮とユーザーメリットを両立した同社のレーザーグラビア製版システムは現在、世界30数ヵ国以上に納入されている。その国内トップメーカーである同社が、なぜインクジェットプリンターの開発に着手したのか。その点について重田社長は次のように説明する。
「紙媒体が減少傾向にあるなか、一般商印会社の方から『食品パッケージなどの軟包材印刷は成長分野』といった意見をよく聞く。しかし現実には、確かに全体量は減少していないが、ロット数は年々減っている」
つまり重田社長の狙いは、多品種小ロット化によって生じるグラビア印刷の課題への対応だ。多品種小ロット化が進むということは、それだけジョブチェンジ回数が多くなり、その結果、機械停止時間とオペレータの作業負荷が増加する。非効率な稼働となるが、ある程度の小ロットでも受注しなければならないのがグラビア印刷業界の現状だ。
「当社はアルミロールも提供しているが、市場で使用されているのは大半が鉄ロールである。そのためオフセット印刷と異なり、版替えはオペレータにとって過酷な作業といえる」(重田社長)
現在の市場環境に適した印刷機、つまり多品種小ロットに対応し、さらにオペレータの負荷を低減できる印刷機の開発が急務と考えた重田社長は、3年ほど前に、その手段としてUVインクジェット方式のデジタル印刷の開発に着手した。インクメーカーやインクジェットヘッドメーカーらの協力を得て、試作機が完成したものの、どうしてもクリアできない課題が残ったという。それは、食品包材に絶対的に必要な食品の安全性である。
「グラビア印刷における軟包材の多くは食品パッケージとして使用される。それまでUVインクジェットを前提とした試作機開発を進めていたが、臭気や内包する食品への影響を考えると、UVインクジェットでは、製品化は難しいと判断した」(重田社長)
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