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ハイデルベルグ社、Primefire106受注好調で5割増産検討へ

「新規ビジネス創出」のデジタル印刷機 〜 独MPS社で実稼働状況を公開

2017年11月13日製品・テクノロジーケーススタディ

 ハイデルベルグ社(ライナー・フンツドルファーCEO)は、drupa2016で発表したB1インクジェット印刷機「Primefire106」の受注が予想を上回るペースで推移していることを明らかにした。

 これは11月8日開催の「Packaging Day」で行われた、デジタル技術部門の責任者であるステファン・プレンツ取締役のプレゼンの中で明らかにされたもの。現在「Primefire106」の製造計画は2年先まで埋まっている状況で、今後5割程度の増産を検討し、急激な需要に対応する可能性を示唆している。これら状況を生んだ背景についてプレンツ氏は「我々はPrimefireを単なるオフセット印刷の置き換えではなく、あくまでオフセット印刷の会社が新たなビジネスを創出するためのデジタル印刷機として位置付けている。当初、顧客側においてその準備に時間を要するだろうという判断で製造計画を控えめに設定したが、予想以上にその準備スピードは早く、顧客は自信を持って新ビジネス獲得への投資を決断している」と説明している。

 発注企業の9割がパッケージ印刷業者で、今年1月からマルチ・パッケージング・ソリューション社(以下MPS社)においてベータテストが開始されており、年内には独カラードルック バイアスブロン社でもスタートする予定だ。さらに来年夏には日本のユーザーにも納入されることが決定している。
MPS社のドイツ・オーバーズルム工場に設置された「Primefire106」1号機

 「Primefire106」は、富士フイルムと共同開発したB1用紙サイズ対応・解像度1,200×1,200dpiの水性インクジェットデジタル印刷システム。JetPressとスピードマスターXL106のR&D資源が活かされている。

 シングルパス方式での高速印刷を可能とする富士フイルム独自のインクジェットヘッド技術「SAMBA Technology」とインク中の顔料を高速に凝集させるRAPIC(ラピック)技術を搭載。滲みのないシャープさと、独自の4階調変調方式による階調再現性で、高密度かつ高精細な描写を実現する。インクコントロール部についてはハイデルベルグも開発に携わっている。

 さらに、7色(CMYK、オレンジ、緑、紫)の水性顔料インクは、PANTONEカラーを95%カバーする幅広い色域を実現するだけでなく、Swiss Ordinance認定により、食品包装や医薬品の紙器パッケージに適した安全性を兼ね備えている。

富士フイルムのインクジェットヘッド「SAMBA」採用
 システムは、プリセットプラスフィーダー、プレコンディショニングユニット、印刷ユニット、乾燥ユニット、全面・スポットコーティングユニット(UV/水性)、デリバリ、コントロールセンターで構成され、デジタルフロントエンド「プリネクトDFE」によって制御される。

 用紙サイズは75×106センチ、紙厚は0.2〜0.6ミリまで対応。印刷速度は1,200×1,200dpiで2,500枚/時だが、将来的には解像度を落とした高生産モードとして4,000枚/時まで引き上げる計画だ。

 1色あたり25個のSAMBAヘッドが搭載されているが、このヘッドの乾燥などによるダメージを防ぐため、ホームポジション、印刷ポジション、メンテナンスポジションの3つをスムーズに移動できる機構となっているのも特徴のひとつだ。

 また、印刷ユニットには4台のカメラ(600dpi)が設置されている。当面は、プリントヘッドの状態を監視するとともに、出力ムラや白線などの検知に活用していくが、将来的には、汚れの検知やPDF画像との出力比較、色変動の管理などにも対応していくという。

 もうひとつの品質保証の機能としては、パーフェクトスタックデリバリがある。これは、カメラでエラーが検知された場合、自動で不良品をリジェクトするもの。これにより良品だけをストックできる。デジタル印刷機は、枚数ごとに異なる絵柄を印刷するケースが多いため、この機能は品質保証だけでなく、生産効率の向上にも大きく貢献する。

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 ハイデルベルグ社(ライナー・フンツドルファーCEO)は、drupa2016で発表したB1インクジェット印刷機「Primefire106」の受注が予想を上回るペースで推移していることを明らかにした。

 これは11月8日開催の「Packaging Day」で行われた、デジタル技術部門の責任者であるステファン・プレンツ取締役のプレゼンの中で明らかにされたもの。現在「Primefire106」の製造計画は2年先まで埋まっている状況で、今後5割程度の増産を検討し、急激な需要に対応する可能性を示唆している。これら状況を生んだ背景についてプレンツ氏は「我々はPrimefireを単なるオフセット印刷の置き換えではなく、あくまでオフセット印刷の会社が新たなビジネスを創出するためのデジタル印刷機として位置付けている。当初、顧客側においてその準備に時間を要するだろうという判断で製造計画を控えめに設定したが、予想以上にその準備スピードは早く、顧客は自信を持って新ビジネス獲得への投資を決断している」と説明している。

 発注企業の9割がパッケージ印刷業者で、今年1月からマルチ・パッケージング・ソリューション社(以下MPS社)においてベータテストが開始されており、年内には独カラードルック バイアスブロン社でもスタートする予定だ。さらに来年夏には日本のユーザーにも納入されることが決定している。
MPS社のドイツ・オーバーズルム工場に設置された「Primefire106」1号機

 「Primefire106」は、富士フイルムと共同開発したB1用紙サイズ対応・解像度1,200×1,200dpiの水性インクジェットデジタル印刷システム。JetPressとスピードマスターXL106のR&D資源が活かされている。

 シングルパス方式での高速印刷を可能とする富士フイルム独自のインクジェットヘッド技術「SAMBA Technology」とインク中の顔料を高速に凝集させるRAPIC(ラピック)技術を搭載。滲みのないシャープさと、独自の4階調変調方式による階調再現性で、高密度かつ高精細な描写を実現する。インクコントロール部についてはハイデルベルグも開発に携わっている。

 さらに、7色(CMYK、オレンジ、緑、紫)の水性顔料インクは、PANTONEカラーを95%カバーする幅広い色域を実現するだけでなく、Swiss Ordinance認定により、食品包装や医薬品の紙器パッケージに適した安全性を兼ね備えている。

富士フイルムのインクジェットヘッド「SAMBA」採用
 システムは、プリセットプラスフィーダー、プレコンディショニングユニット、印刷ユニット、乾燥ユニット、全面・スポットコーティングユニット(UV/水性)、デリバリ、コントロールセンターで構成され、デジタルフロントエンド「プリネクトDFE」によって制御される。

 用紙サイズは75×106センチ、紙厚は0.2〜0.6ミリまで対応。印刷速度は1,200×1,200dpiで2,500枚/時だが、将来的には解像度を落とした高生産モードとして4,000枚/時まで引き上げる計画だ。

 1色あたり25個のSAMBAヘッドが搭載されているが、このヘッドの乾燥などによるダメージを防ぐため、ホームポジション、印刷ポジション、メンテナンスポジションの3つをスムーズに移動できる機構となっているのも特徴のひとつだ。

 また、印刷ユニットには4台のカメラ(600dpi)が設置されている。当面は、プリントヘッドの状態を監視するとともに、出力ムラや白線などの検知に活用していくが、将来的には、汚れの検知やPDF画像との出力比較、色変動の管理などにも対応していくという。

 もうひとつの品質保証の機能としては、パーフェクトスタックデリバリがある。これは、カメラでエラーが検知された場合、自動で不良品をリジェクトするもの。これにより良品だけをストックできる。デジタル印刷機は、枚数ごとに異なる絵柄を印刷するケースが多いため、この機能は品質保証だけでなく、生産効率の向上にも大きく貢献する。

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