ケイジパック、「瞬発力」活かした大判インクジェット事業展開
小ロット立体物を短納期で 〜 パッケージ+サイン・ディスプレイ
2019年7月10日ケーススタディ
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「営業力」と「設計・デザイン力」が肝
アナプルナLEDシリーズは、16ワット/平方メートルという高出力のUV LEDユニットを採用。アグフア独自のUVインク・テクノロジーにより、アナプルナLEDシリーズ専用に開発された次世代型UVインクは、塩ビシート、ターポリンはもちろん、多様な印刷基材に対する密着性、柔軟性、低臭性を実現しているほか、放射熱も少なく熱に弱い薄物メディアとの相性も良い。
今回ケイジパックが導入した「アナプルナ H 2050i LED」は、最大印刷幅2,05メートル、解像度1,440dpi、6色(C・M・Y・K・LC・LM)+白の仕様。RIPにはアグフア純正ワークフロー型RIP「アサンティ」を採用し、生産スピードは従来機の2.5〜3倍に向上している。
取締役営業部長の田中幹人氏は「従来、大判サイズのサインでは、遠くから見ることを前提にそれほど高い解像度は求められていなかったが、最近では近くで見る大判サインも多くなっている。アナプルナによる高解像度の大判サイズ印刷の品質はクライアントからも高く評価され、営業も大きな刺激を受けている」と述べ、アナプルナの高解像度および自社のデータハンドリング技術の醸成に自信をうかがわせている。
一方、機種選択の第一条件だった「アフターサービスと安定供給」について、製造部企画設計係長の篠部和磨氏は「アフターサービスに関してアグフアは、午前中に連絡するとその日の夕方に来てくれた。現場としては非常にありがたい。印刷性能、生産性についても満足している」とし、アグフアのアフターサービス体制を高く評価している。
8年前のインクジェットビジネスに対する先行投資が、新鋭機「アナプルナ」導入を機に実を結びつつある同社。「『パッケージ+サイン・ディスプレイ』という事業モデルを実践している会社は他にあまりない。これらは実は遠いようで近い事業であることに気付いた」と八木社長。また田中部長は「設備だけではなく、そこでは『営業力』と『設計・デザイン力』という要素が重要になる」と説明する。
従来のアナログ工程では木型が必要なことから気軽にデザイン変更することは難しい。その工程がインクジェットによってデジタル化されることで、デザインや形状までをいとも簡単に提案することが可能になる。営業にとっては非常に有利な展開が可能になり、自信を持って提案できる。それ故に、自ら考え行動する「提案営業力」が必要になるというわけだ。
また、クライアントがイメージしたものを営業が持ち帰り、それを忠実に再現できる「設計・デザイン力」が製品の完成精度を大きく左右することになる。現在同社では、その「設計・デザイン力」に加え、3Dやサンプルを提示することでイメージの再現精度を高めている。
高濃度印刷の「アナプルナ」
同社のサイン・ディスプレイ事業におけるクライアントは、印刷会社やイベント企画会社などが多く、展示会ブースの企画、設計、施工などの案件も多いという。
なかでも主力製品として注力しているのが「Re-board(リジッドペーパーボード)」だ。これは、紙素材で作られた16ミリ厚の硬質板で、平米当たり2トンまでの耐荷重性能があり、木材や金属、プラスチックに比べて非常に軽量で、輸送コストにも貢献する。紙とデンプン質接着剤を使用しているため古紙リサイクル、または燃えるゴミとして廃棄でき、ネジや工具が不要の差し込み設計で、簡単に組み立てることができる。
同社では、アナプルナによりダイレクトプリントすることで多彩なデザインバリエーションが可能なことから、展示会や店頭でのセールスプロモーションも兼ね備えたインパクトのある展示物、広告媒体としてPRしている。
一方、アナプルナはロール/フラットベッドのハイブリッド仕様で、その汎用性も大きな特長だ。同社にとってロールは初の試みになるわけだが、その機能を活かしたLEDシステムのファブリック電飾看板「KIJITO LIGHT(キジト ライト)」の取り扱いを開始している。
これは、合成繊維の布地に印刷し、軽量アルミフレームにテンションをかけて裏からLED照明を照らして掲示する新しいサインシステム。従来のサインと比べて軽量かつコンパクトに折りたたむことができ、施工もユーザー自ら行うことができる。同社では、アナプルナの高濃度の印刷を活かして色鮮やかなサインを提案していく方針だ。
「ロールの新たな商材として、これには新分野に敏感な営業側でも『これを売りたい』とテンションが上がっている。すでに京都・東山のお土産屋への納入実績もある」(田中部長)
その他にも、CPパネルに代わる紙素材のKATZ-BOARD(カッツボード)やターポリンのバナースタンドなど、様々な素材へのダイレクト印刷にチャレンジし、アイテムの拡充に意欲を示している。
産学連携プロジェクトも
同社では産学連携の一貫として、「嵯峨美術大学×ケイジパック 連携授業プロジェクト」を実施している。
これは、嵯峨美術大学の授業として、生活プロダクトデザイン系の学生がRe-boardを用いた作品を設計デザインし、同社が製造するという試み。コンテスト形式で、優秀賞にはその現物を同社が作成し、表彰式で贈呈している。
「今回の投資は、ペーパーレス化が進む社会背景に対し、将来を見据えた先行投資でもある。『小ロットの立体印刷物を短納期で提供する』といういままでにない事業モデルで、そこに眠る需要を喚起していきたい」(八木社長)
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今回ケイジパックが導入した「アナプルナ H 2050i LED」は、最大印刷幅2,05メートル、解像度1,440dpi、6色(C・M・Y・K・LC・LM)+白の仕様。RIPにはアグフア純正ワークフロー型RIP「アサンティ」を採用し、生産スピードは従来機の2.5〜3倍に向上している。
取締役営業部長の田中幹人氏は「従来、大判サイズのサインでは、遠くから見ることを前提にそれほど高い解像度は求められていなかったが、最近では近くで見る大判サインも多くなっている。アナプルナによる高解像度の大判サイズ印刷の品質はクライアントからも高く評価され、営業も大きな刺激を受けている」と述べ、アナプルナの高解像度および自社のデータハンドリング技術の醸成に自信をうかがわせている。
一方、機種選択の第一条件だった「アフターサービスと安定供給」について、製造部企画設計係長の篠部和磨氏は「アフターサービスに関してアグフアは、午前中に連絡するとその日の夕方に来てくれた。現場としては非常にありがたい。印刷性能、生産性についても満足している」とし、アグフアのアフターサービス体制を高く評価している。
8年前のインクジェットビジネスに対する先行投資が、新鋭機「アナプルナ」導入を機に実を結びつつある同社。「『パッケージ+サイン・ディスプレイ』という事業モデルを実践している会社は他にあまりない。これらは実は遠いようで近い事業であることに気付いた」と八木社長。また田中部長は「設備だけではなく、そこでは『営業力』と『設計・デザイン力』という要素が重要になる」と説明する。
従来のアナログ工程では木型が必要なことから気軽にデザイン変更することは難しい。その工程がインクジェットによってデジタル化されることで、デザインや形状までをいとも簡単に提案することが可能になる。営業にとっては非常に有利な展開が可能になり、自信を持って提案できる。それ故に、自ら考え行動する「提案営業力」が必要になるというわけだ。
また、クライアントがイメージしたものを営業が持ち帰り、それを忠実に再現できる「設計・デザイン力」が製品の完成精度を大きく左右することになる。現在同社では、その「設計・デザイン力」に加え、3Dやサンプルを提示することでイメージの再現精度を高めている。
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同社では、アナプルナによりダイレクトプリントすることで多彩なデザインバリエーションが可能なことから、展示会や店頭でのセールスプロモーションも兼ね備えたインパクトのある展示物、広告媒体としてPRしている。
一方、アナプルナはロール/フラットベッドのハイブリッド仕様で、その汎用性も大きな特長だ。同社にとってロールは初の試みになるわけだが、その機能を活かしたLEDシステムのファブリック電飾看板「KIJITO LIGHT(キジト ライト)」の取り扱いを開始している。
これは、合成繊維の布地に印刷し、軽量アルミフレームにテンションをかけて裏からLED照明を照らして掲示する新しいサインシステム。従来のサインと比べて軽量かつコンパクトに折りたたむことができ、施工もユーザー自ら行うことができる。同社では、アナプルナの高濃度の印刷を活かして色鮮やかなサインを提案していく方針だ。
「ロールの新たな商材として、これには新分野に敏感な営業側でも『これを売りたい』とテンションが上がっている。すでに京都・東山のお土産屋への納入実績もある」(田中部長)
その他にも、CPパネルに代わる紙素材のKATZ-BOARD(カッツボード)やターポリンのバナースタンドなど、様々な素材へのダイレクト印刷にチャレンジし、アイテムの拡充に意欲を示している。
産学連携プロジェクトも
同社では産学連携の一貫として、「嵯峨美術大学×ケイジパック 連携授業プロジェクト」を実施している。
これは、嵯峨美術大学の授業として、生活プロダクトデザイン系の学生がRe-boardを用いた作品を設計デザインし、同社が製造するという試み。コンテスト形式で、優秀賞にはその現物を同社が作成し、表彰式で贈呈している。
「今回の投資は、ペーパーレス化が進む社会背景に対し、将来を見据えた先行投資でもある。『小ロットの立体印刷物を短納期で提供する』といういままでにない事業モデルで、そこに眠る需要を喚起していきたい」(八木社長)
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