堀内カラー、可能性秘める「厚盛印刷」〜「色を見る力」で印刷業界と協業へ
「品質」と「生産性」をバランス良く両立:フラットベッドUVIJ「JETI MIRA」導入事例
2019年9月30日ケーススタディ
インクジェットと銀塩は8対2
7つの事業の内、売上全体の4割を占めているのがディスプレイ事業である。コスメ、アパレル、交通系などのクライアントを有するメイン事業だ。
同事業における従来の製造工程は、大判デジタル銀塩プリント機でデジタルデータを写真感材にレーザー露光するというもの。もちろんここには現像液を使用する工程がある。
同社がこの事業においてインクジェットプリンタをひとつの出力デバイスとして採用したのが1996年。当時、「黎明期」とも言える時期にあったインクジェットプリンタの導入は、品質・生産性の両面で苦戦を強いられたという。当時について制作1課の藤原貴司課長は「銀塩プリンタと比較して、その品質には雲泥の差があった。銀塩プリンタをハイクオリティな仕事、インクジェットプリンタを短納期で価格重視の仕事というように使い分けていた」と振り返った上で、「いまでは、その差はなくなり、逆にインクジェットプリンタの方が上という評価もできる。現在は8対2でインクジェット出力が主流になっている」と説明する。
さらに藤原課長は「当時、電飾看板(フィルム)の出力において、インクジェットプリンタはバックライトで照らすと濃度が出ず、黒を黒として表現できなかったため、銀塩プリンタを使用していた。いまではその品質・技術も向上し、インクジェットプリンタに移行している」と説明する。この技術革新におけるコストメリットは非常に大きく、フィルム、PET素材への印刷においては1/5程度になる。
なお、百貨店のコスメフロアーで採用されている電飾看板の大半が同社で制作されたものだという。「コスメ関係の仕事はシビアな品質要求がともなう。この実績は銀塩から培った『見せるため』のビジュアルづくりへのこだわりと、当社の『色を見る力』が評価されたもの」(原嶋所長)
必須だった白インク
「ビジュアルコンテンツ制作の総合デパート」を謳うだけあって、同社が設備するインクジェットプリンタも用途に応じて水性、溶剤系、ラテックス、UVといったインク適性にバリエーションを持たせている。ただ、これまではこれらすべてがロール機だった。
2年程前からボード(板物)へのダイレクトプリントで、大量ロットの見積もりが頻繁に入るようになったものの、ロール機しかない同社では、紙にプリントしたものをアルミ複合板に貼り合わせるという工程を強いられるため、これを1,000枚単位で受注するのは現実的に難しい。そこでボードにダイレクトプリントできるフラットベッド型のワイドフォーマットプリンタ導入に向けたプロジェクトが立ち上がった。
そこで機種選択の条件となったのが「白インクがしっかり載るUVタイプ」だった。「取り扱うのは白い素材だけではない。例えば黒いボードにカラー印刷すると当然色が沈んでしまう。そこには一層下に白インクを引くことが必須になる。また、当然ながら白インクによる意匠という付加価値も視野に入れていた」(原嶋所長)
同社では早速、5社のプリンタを検証。結果、最終的に白羽の矢が向けられたのがアグフアの「JETI MIRA 2732 HS LED」だった。その決め手となったのは「品質と生産性の両立」だ。
「『品質』はもちろん必須条件だ。しかし、我々は美術作品を制作しているわけではない。そこには商業ベースで採算の合う『生産性』が必要だ。ディスプレイ製品を制作する上で、これらをバランス良く両立したプリンタがJETI MIRAだったということ。迷うことはなかった」(原嶋所長)
また原嶋所長は、アグフアのサポート体制も選択理由のひとつに挙げている。
「機械が良ければいいというものではない。生産機である以上、バックアップ体制は重要な要件となる。サポート面では既設機で痛い目にあってきたが、それに対してアグフアの24時間体制のサポートは安心できる」(原嶋所長)
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同事業における従来の製造工程は、大判デジタル銀塩プリント機でデジタルデータを写真感材にレーザー露光するというもの。もちろんここには現像液を使用する工程がある。
同社がこの事業においてインクジェットプリンタをひとつの出力デバイスとして採用したのが1996年。当時、「黎明期」とも言える時期にあったインクジェットプリンタの導入は、品質・生産性の両面で苦戦を強いられたという。当時について制作1課の藤原貴司課長は「銀塩プリンタと比較して、その品質には雲泥の差があった。銀塩プリンタをハイクオリティな仕事、インクジェットプリンタを短納期で価格重視の仕事というように使い分けていた」と振り返った上で、「いまでは、その差はなくなり、逆にインクジェットプリンタの方が上という評価もできる。現在は8対2でインクジェット出力が主流になっている」と説明する。
さらに藤原課長は「当時、電飾看板(フィルム)の出力において、インクジェットプリンタはバックライトで照らすと濃度が出ず、黒を黒として表現できなかったため、銀塩プリンタを使用していた。いまではその品質・技術も向上し、インクジェットプリンタに移行している」と説明する。この技術革新におけるコストメリットは非常に大きく、フィルム、PET素材への印刷においては1/5程度になる。
なお、百貨店のコスメフロアーで採用されている電飾看板の大半が同社で制作されたものだという。「コスメ関係の仕事はシビアな品質要求がともなう。この実績は銀塩から培った『見せるため』のビジュアルづくりへのこだわりと、当社の『色を見る力』が評価されたもの」(原嶋所長)
必須だった白インク
「ビジュアルコンテンツ制作の総合デパート」を謳うだけあって、同社が設備するインクジェットプリンタも用途に応じて水性、溶剤系、ラテックス、UVといったインク適性にバリエーションを持たせている。ただ、これまではこれらすべてがロール機だった。
2年程前からボード(板物)へのダイレクトプリントで、大量ロットの見積もりが頻繁に入るようになったものの、ロール機しかない同社では、紙にプリントしたものをアルミ複合板に貼り合わせるという工程を強いられるため、これを1,000枚単位で受注するのは現実的に難しい。そこでボードにダイレクトプリントできるフラットベッド型のワイドフォーマットプリンタ導入に向けたプロジェクトが立ち上がった。
そこで機種選択の条件となったのが「白インクがしっかり載るUVタイプ」だった。「取り扱うのは白い素材だけではない。例えば黒いボードにカラー印刷すると当然色が沈んでしまう。そこには一層下に白インクを引くことが必須になる。また、当然ながら白インクによる意匠という付加価値も視野に入れていた」(原嶋所長)
同社では早速、5社のプリンタを検証。結果、最終的に白羽の矢が向けられたのがアグフアの「JETI MIRA 2732 HS LED」だった。その決め手となったのは「品質と生産性の両立」だ。
「『品質』はもちろん必須条件だ。しかし、我々は美術作品を制作しているわけではない。そこには商業ベースで採算の合う『生産性』が必要だ。ディスプレイ製品を制作する上で、これらをバランス良く両立したプリンタがJETI MIRAだったということ。迷うことはなかった」(原嶋所長)
また原嶋所長は、アグフアのサポート体制も選択理由のひとつに挙げている。
「機械が良ければいいというものではない。生産機である以上、バックアップ体制は重要な要件となる。サポート面では既設機で痛い目にあってきたが、それに対してアグフアの24時間体制のサポートは安心できる」(原嶋所長)
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