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東和印刷、PRINERGY+RBA運用基点に8割のジョブを自動化

適正なダウンサイジングと人材教育

2019年11月13日ケーススタディ

 東和印刷(株)(本社/大阪府東大阪市高井田中3-9-10、高本禎郎社長)では、JDF/MISとコダックのPDFワークフローシステム「PRINERGY」、さらにそのオプション機能「RBA(ルールベースオートメーション)」を基点としたプリプレス工程の自動化に成功。クライアント側のシステム運用も含め、全ジョブ数のおよそ8割が自動化されているという。ただ、高本社長はスマートファクトリー化のポイントとして「経営的感覚を持った人材教育」を挙げており、「人材のスマート化なくして工場のスマート化なし」と指摘している。

オフ輪事業からの完全撤退

高本 社長 昭和58年創業の同社は、輪転機と枚葉機を両翼として、商業印刷分野で急成長を遂げてきた総合印刷会社。ここ数年は、とくに枚葉機への投資を活発化させ、後加工の内製化までを含めた「印刷事業の高付加価値化」へと大きく舵を切るとともに、当時売上の6割程度を占めていたオフ輪事業を、人員配置の再構築と並行して段階的に縮小させ、2018年12月に完全撤退。現在、8色枚葉オフセット印刷機とLED-UV仕様の6色枚葉オフセット印刷機に加え、10台のデジタル印刷機(トナー機)を設備している。

 なかでも、2015年に実施した6色機の後付けLED-UV化をきっかけに厚紙の仕事が急増。紙厚1ミリまで対応する同機は現在、ほぼG段の店頭什器を中心とした厚紙専用機として運用され、それに付随する後加工やアッセンブリも事業領域に取り込むことで高い利益率を弾き出している。

 一方、もうひとつの柱として売上の2割程度を占めるまでに成長しているデジタル印刷事業でも、10台のトナー機が年賀状(シーズンオフは学参もの)およびブライダル関連事業専用ラインとして機能している。

 オフ輪事業の撤退からおよそ9ヵ月。その影響について高本社長は、「12%の減収になったものの、利益は240%と大きな伸びを示しており、不採算事業からの撤退は、当社が試算した狙い通りの結果を生んでいる」とし、今後の展開に自信をうかがわせている。

 「攻め」のデジタル投資をエンジンとして急成長を遂げてきた同社。そのベースとなったのがプリプレスにおける先行投資だ。DTPへの早期移行はもちろん、1998年のサーマルCTP関西1号機導入、また2002年にはコダックのWeb to Printソリューション「INSITE」を導入し、早くからインターネットを介した顧客とのオンライン校正を実現するなど、新技術をいち早く取り入れることで先行者利益を追求してきた。

 一方、基幹業務システムにおいても1999年にMIS(経営情報システム)を導入し、同社のプリプレス工程の中核をなすPDFワークフローシステム「PRINERGY」とJDFにより接続。作業効率を飛躍的に向上させた。

 当時、同社がJDF運用を速やかに実践できたのは、段階的な運用を経て、JDFという概念を柔軟かつ的確に捉えてきたことにある。JDFは工程間を繋ぎ、受注〜納品までの全体フローの最適化を目指すもの。ただ、これはある意味で融通が利かない部分も多いため、同社では全体最適の前に部分最適が必要だと判断。そんな議論から派生したのがさらなる自動化への挑戦だった。その最終目標は「固定費(人件費)削減」に他ならない。

 高本社長は2004年、コダックのワークフロー製品のR&D拠点であるバンクーバーへ出向いた際、当時まだ開発中であったPRINERGYの新機能「RBA」の存在を知る。RBAは、生産工程を簡素化しながら、複雑な手順の自動処理を行う機能で、プリントジョブのあらゆる対応を事前に定義された「ルール」に基づいて実行するというもの。業務システムとの自動化連携や自動面付け、検版ソフトなどの外部アプリケーションとの連動など、高度な自動化が可能である。高本社長は、その場で導入を決めて帰国。日本でのリリースと同時に「さらなる自動化」に乗り出した。

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オフ輪事業からの完全撤退

高本 社長 昭和58年創業の同社は、輪転機と枚葉機を両翼として、商業印刷分野で急成長を遂げてきた総合印刷会社。ここ数年は、とくに枚葉機への投資を活発化させ、後加工の内製化までを含めた「印刷事業の高付加価値化」へと大きく舵を切るとともに、当時売上の6割程度を占めていたオフ輪事業を、人員配置の再構築と並行して段階的に縮小させ、2018年12月に完全撤退。現在、8色枚葉オフセット印刷機とLED-UV仕様の6色枚葉オフセット印刷機に加え、10台のデジタル印刷機(トナー機)を設備している。

 なかでも、2015年に実施した6色機の後付けLED-UV化をきっかけに厚紙の仕事が急増。紙厚1ミリまで対応する同機は現在、ほぼG段の店頭什器を中心とした厚紙専用機として運用され、それに付随する後加工やアッセンブリも事業領域に取り込むことで高い利益率を弾き出している。

 一方、もうひとつの柱として売上の2割程度を占めるまでに成長しているデジタル印刷事業でも、10台のトナー機が年賀状(シーズンオフは学参もの)およびブライダル関連事業専用ラインとして機能している。

 オフ輪事業の撤退からおよそ9ヵ月。その影響について高本社長は、「12%の減収になったものの、利益は240%と大きな伸びを示しており、不採算事業からの撤退は、当社が試算した狙い通りの結果を生んでいる」とし、今後の展開に自信をうかがわせている。

 「攻め」のデジタル投資をエンジンとして急成長を遂げてきた同社。そのベースとなったのがプリプレスにおける先行投資だ。DTPへの早期移行はもちろん、1998年のサーマルCTP関西1号機導入、また2002年にはコダックのWeb to Printソリューション「INSITE」を導入し、早くからインターネットを介した顧客とのオンライン校正を実現するなど、新技術をいち早く取り入れることで先行者利益を追求してきた。

 一方、基幹業務システムにおいても1999年にMIS(経営情報システム)を導入し、同社のプリプレス工程の中核をなすPDFワークフローシステム「PRINERGY」とJDFにより接続。作業効率を飛躍的に向上させた。

 当時、同社がJDF運用を速やかに実践できたのは、段階的な運用を経て、JDFという概念を柔軟かつ的確に捉えてきたことにある。JDFは工程間を繋ぎ、受注〜納品までの全体フローの最適化を目指すもの。ただ、これはある意味で融通が利かない部分も多いため、同社では全体最適の前に部分最適が必要だと判断。そんな議論から派生したのがさらなる自動化への挑戦だった。その最終目標は「固定費(人件費)削減」に他ならない。

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