段ボールシート・ケースのトータル生産システムを開発し、各種段ボールの製造販売を行う神崎紙器工業(株)(本社/兵庫県尼崎市)のデジタル印刷事業会社であるK・Dサービス(株)(池田大樹社長)は、国内1号機として兵庫県丹波市の柏原工場に導入したHanway社(深セン市)の段ボール用インクジェット印刷機「GLORY1604」の2020年からの本格稼働に向けて最終調整を進めている。池田社長は「水性インキを使用するため、化粧品や食品業界向けにも使用できる。また、マテリアルとしての段ボールの優位性を活用し、箱にこだわることなく、段ボールを素材とした印刷物を幅広く提供していきたい」としており、同機を戦略機として活用し、新たな市場に事業領域を拡大していく考えだ。
神崎紙器工業は1961年、兵庫県尼崎市の地で創業。1976年に兵庫県丹波市に氷上工場を竣工し、第1号機となる1,650幅のコルゲートマシンを導入した。その後も1,800幅、2,200幅のコルゲートマシン、またフレキソ印刷機や各種後加工、物流までを含めた設備を拡充。そして現在は、8社のグループ企業によるワンストップサービスでコストを削減しながら短納期で段ボールを製造する体制を構築している。
K・Dサービスは、そんな同社グループのデジタル印刷事業会社として2019年10月に稼働を開始した企業だ。池田社長は社名について「Kは神崎のK、Dはデジタル、デザイン、デベロップ、ドリームなど...、Sはサービスを意味している」と説明しており、段ボール箱という従来の枠にとらわれない戦略会社として、その成長に大きく期待している。
水性インキを使用することで、あらゆる業界に提案が可能に
K・Dサービスが2019年10月に導入した段ボール用インクジェット印刷機「GLORY1604」は、シングルパス方式の採用により、最高速度150m/分の高速生産を実現する。また、従来のインクジェット印刷機は溶剤の臭いのあるUVインクが通例であったため、化粧品や食料品業界からは避けられる傾向があったが、同機は水性インキを使用するため、環境・安全性に優れており、あらゆる業界に提案が可能になっている。
これについて、同社の中村竜也氏は「茶段、白段のほか、コート紙にも印刷が可能。通常はコート紙の場合、水性インキだと着弾したあとに流れてしまうためUVインキを使用するのだが、独自技術力で解決した。またマシンの筐体は中国製であるが、インクジェットヘッドは日本の京セラ製を搭載している。このインクジェットヘッドは非常に性能が良いため、着弾したときにアウトラインが乱れるようなこともなく、これにより美粧性を保ちながらも高速印刷を実現することが可能になる」と説明する。
また、インクジェットヘッドはCMYK4色に48ヘッドを搭載し、幅広い色域をカバー。さらに同社ではこれに独自技術を融合させることにより、本来なら出すことができないゴールドやシルバーなどの特色も出すことが可能になっている。
もちろん、デジタル印刷機であるため、多品種小ロット生産にもスピーディーに対応することが可能だ。中村氏は「従来は版の交換に5分以上かかっていたが、『GLORY1604』は、早いもので7秒、データの重いものでも5分以内にジョブ切り替えが可能となっており、すべてにおいてスピーディーな生産を実現する」と説明する。
さらに、「GLORY1604」は世界でこれまでに40台が出荷されているが、特筆すべきは同社に出荷されたマシンは印刷ユニットに「デジタルユニットボックス」が施された特別仕様になっていることだ。これについて、中村氏は「インクジェットヘッドは非常に繊細である。このため湿度、温度、埃を非常に嫌う。これまでのマシンは印刷ユニットが外気にふれる外観になっていたが、当社に納入されたマシンは、印刷ユニットをボックスにより完全密封することで、空調、湿度環境を整え、最適な環境で印刷できる仕様となっている」と説明する。
そして現在、Hanway社と京セラは、マシン本体とインクジェットヘッドの微妙なバランスを最終調整中とのことで、池田社長は「両社によると、まだまだ伸びしろはあるとのこと。このため本格稼働を開始する2020年までに、マシンスペックはさらにグレードアップしそうである」と期待を高めている。
新着トピックス
-
ケーススタディ リンクス、スキルレスで人材確保、育成期間短縮[JetPress750S導入事例]
-
製品・テクノロジー コニカミノルタジャパン、AccurioDays2025で新たなフラッグシップモデルを公開
大村印刷、特殊トナーと用紙対応力で小ロット・高付加価値ニーズに対応
2025年5月8日ケーススタディ
山口県を拠点に、印刷を中心とした情報ソリューション事業を展開する大村印刷(株)(本社/山口県防府市西仁井令1-21-55、河内和明社長)は2022年2月、富士フイルムのプロダクション...全文を読む
ディーエムソリューションズ、最高毎時4万5,000通を達成[KODAK PROSPER S5導入事例]
2025年3月25日ケーススタディ
ディーエムソリューションズ(株)(本社/東京都武蔵野市御殿山1-1-3 クリスタルパークビル2F、花矢卓司社長)は、KODAK PROSPER S5インプリンティングシステムを導入後...全文を読む
最新ニュース
パラシュート、スマホで偽造品識別が可能なデジタル暗号化技術サービスの提供開始
2025年7月1日
パラシュート(株)(東京都世田谷区、兵藤伊織社長)は2025年7月1日から、SaaSプラットフォームをベースとしたデジタル暗号化技術サービス(DET Service)の提供を開始した...全文を読む
PODi、「Labelexpo Europe 2025」視察ツアーの参加者募集開始
2025年6月25日
(一社)PODi(荒井純一代表理事)は、ラベル・パッケージ業界の世界最大級の展示会「Labelexpo Europe 2025」視察ツアーの参加者募集を開始した。 LABELEXP...全文を読む
コニカミノルタジャパン、機能強化モデル「AccurioPress C7100 ENHANCED」発売
2025年6月25日
コニカミノルタジャパン(株)(本社/東京都港区、一條啓介社長)は、高画質及び多彩な用紙への対応力と、自動品質最適化ユニットで評価を得ているデジタル印刷システム「AccurioPres...全文を読む
K・Dサービス(神崎紙器グループ)、段ボール用IJ印刷機で新領域へ挑戦
マテリアルとしての優位性を活用し、段ボール素材の印刷物提供
2020年1月8日ケーススタディ
段ボールシート・ケースのトータル生産システムを開発し、各種段ボールの製造販売を行う神崎紙器工業(株)(本社/兵庫県尼崎市)のデジタル印刷事業会社であるK・Dサービス(株)(池田大樹社長)は、国内1号機として兵庫県丹波市の柏原工場に導入したHanway社(深セン市)の段ボール用インクジェット印刷機「GLORY1604」の2020年からの本格稼働に向けて最終調整を進めている。池田社長は「水性インキを使用するため、化粧品や食品業界向けにも使用できる。また、マテリアルとしての段ボールの優位性を活用し、箱にこだわることなく、段ボールを素材とした印刷物を幅広く提供していきたい」としており、同機を戦略機として活用し、新たな市場に事業領域を拡大していく考えだ。
神崎紙器工業は1961年、兵庫県尼崎市の地で創業。1976年に兵庫県丹波市に氷上工場を竣工し、第1号機となる1,650幅のコルゲートマシンを導入した。その後も1,800幅、2,200幅のコルゲートマシン、またフレキソ印刷機や各種後加工、物流までを含めた設備を拡充。そして現在は、8社のグループ企業によるワンストップサービスでコストを削減しながら短納期で段ボールを製造する体制を構築している。
K・Dサービスは、そんな同社グループのデジタル印刷事業会社として2019年10月に稼働を開始した企業だ。池田社長は社名について「Kは神崎のK、Dはデジタル、デザイン、デベロップ、ドリームなど...、Sはサービスを意味している」と説明しており、段ボール箱という従来の枠にとらわれない戦略会社として、その成長に大きく期待している。
水性インキを使用することで、あらゆる業界に提案が可能に
K・Dサービスが2019年10月に導入した段ボール用インクジェット印刷機「GLORY1604」は、シングルパス方式の採用により、最高速度150m/分の高速生産を実現する。また、従来のインクジェット印刷機は溶剤の臭いのあるUVインクが通例であったため、化粧品や食料品業界からは避けられる傾向があったが、同機は水性インキを使用するため、環境・安全性に優れており、あらゆる業界に提案が可能になっている。
これについて、同社の中村竜也氏は「茶段、白段のほか、コート紙にも印刷が可能。通常はコート紙の場合、水性インキだと着弾したあとに流れてしまうためUVインキを使用するのだが、独自技術力で解決した。またマシンの筐体は中国製であるが、インクジェットヘッドは日本の京セラ製を搭載している。このインクジェットヘッドは非常に性能が良いため、着弾したときにアウトラインが乱れるようなこともなく、これにより美粧性を保ちながらも高速印刷を実現することが可能になる」と説明する。
また、インクジェットヘッドはCMYK4色に48ヘッドを搭載し、幅広い色域をカバー。さらに同社ではこれに独自技術を融合させることにより、本来なら出すことができないゴールドやシルバーなどの特色も出すことが可能になっている。
もちろん、デジタル印刷機であるため、多品種小ロット生産にもスピーディーに対応することが可能だ。中村氏は「従来は版の交換に5分以上かかっていたが、『GLORY1604』は、早いもので7秒、データの重いものでも5分以内にジョブ切り替えが可能となっており、すべてにおいてスピーディーな生産を実現する」と説明する。
さらに、「GLORY1604」は世界でこれまでに40台が出荷されているが、特筆すべきは同社に出荷されたマシンは印刷ユニットに「デジタルユニットボックス」が施された特別仕様になっていることだ。これについて、中村氏は「インクジェットヘッドは非常に繊細である。このため湿度、温度、埃を非常に嫌う。これまでのマシンは印刷ユニットが外気にふれる外観になっていたが、当社に納入されたマシンは、印刷ユニットをボックスにより完全密封することで、空調、湿度環境を整え、最適な環境で印刷できる仕様となっている」と説明する。
そして現在、Hanway社と京セラは、マシン本体とインクジェットヘッドの微妙なバランスを最終調整中とのことで、池田社長は「両社によると、まだまだ伸びしろはあるとのこと。このため本格稼働を開始する2020年までに、マシンスペックはさらにグレードアップしそうである」と期待を高めている。
新着トピックス
-
リンクス、スキルレスで人材確保、育成期間短縮[JetPress750S導入事例]
2025年6月27日 ケーススタディ
-
コニカミノルタジャパン、AccurioDays2025で新たなフラッグシップモデルを公開
2025年6月4日 製品・テクノロジー
-
大村印刷、特殊トナーと用紙対応力で小ロット・高付加価値ニーズに対応
2025年5月8日 ケーススタディ
-
ディーエムソリューションズ、最高毎時4万5,000通を達成[KODAK PROSPER S5導入事例]
2025年3月25日 ケーススタディ
-
FFGS、新Revoria Press登場で、柔軟な「最適生産」可能に
2025年3月25日 スペシャリスト
新着ニュース
-
パラシュート、スマホで偽造品識別が可能なデジタル暗号化技術サービスの提供開始
2025年7月1日 ニュース
-
PODi、「Labelexpo Europe 2025」視察ツアーの参加者募集開始
2025年6月25日 ニュース
-
コニカミノルタジャパン、機能強化モデル「AccurioPress C7100 ENHANCED」発売
2025年6月25日 ニュース
-
エプソン、立体物への直接印刷を可能にする「Direct to Shape Printing System」発表
2025年6月25日 ニュース
-
パラシュート、次世代型MIS「PNS」にメーカーワークフローソフトウェア連携機能を追加
2025年6月11日 ニュース
SNSランキング
- 63sharesミマキ、330シリーズとエコ溶剤インクが3M MCS保証認定
- 43sharesパラシュート、スマホで偽造品識別が可能なデジタル暗号化技術サービスの提供開始
- 41sharesローランドDG、UVプリンターが紙器パッケージ製作に対応
- 39sharesSCREEN、Hunkeler Innovationdaysでインクジェットと後加工機の連携披露
- 38sharesKOMORI、241名が来場した新春特別内覧会のデモ動画(Impremia IS29s」公開
- 36sharesエプソン、使いやすさと安定稼働を両立したエプソン初のDTF専用プリンター発売
- 29sharesKOMORI、インクジェット印刷機とデジタル加飾機の連携披露
- 27shares日印機工とプリデジ協、IGAS2027の日程決定-2027年8月に東京ビッグサイトで開催
- 27sharesリコー、企業内・商用印刷の幅広いニーズに対応するカラー機の新機種発売
- 26sharesエプソン、立体物への直接印刷を可能にする「Direct to Shape Printing System」発表
おすすめコンテンツ
竹田印刷、多様な個性をかたちに〜アール・ブリュット作品を世界に発信
奥村印刷、新たな価値を紙に付加〜「折り紙食器 beak」でIPA2024に入賞
富士フイルム、TOKYO PACKでブランドオーナーにデジタル印刷活用促す