キーワードで検索

K・Dサービス(神崎紙器グループ)、段ボール用IJ印刷機で新領域へ挑戦

マテリアルとしての優位性を活用し、段ボール素材の印刷物提供

2020年1月8日ケーススタディ

 段ボールシート・ケースのトータル生産システムを開発し、各種段ボールの製造販売を行う神崎紙器工業(株)(本社/兵庫県尼崎市)のデジタル印刷事業会社であるK・Dサービス(株)(池田大樹社長)は、国内1号機として兵庫県丹波市の柏原工場に導入したHanway社(深セン市)の段ボール用インクジェット印刷機「GLORY1604」の2020年からの本格稼働に向けて最終調整を進めている。池田社長は「水性インキを使用するため、化粧品や食品業界向けにも使用できる。また、マテリアルとしての段ボールの優位性を活用し、箱にこだわることなく、段ボールを素材とした印刷物を幅広く提供していきたい」としており、同機を戦略機として活用し、新たな市場に事業領域を拡大していく考えだ。

GLORY1604の前で池田社長(前列中央)と同社スタッフ

 神崎紙器工業は1961年、兵庫県尼崎市の地で創業。1976年に兵庫県丹波市に氷上工場を竣工し、第1号機となる1,650幅のコルゲートマシンを導入した。その後も1,800幅、2,200幅のコルゲートマシン、またフレキソ印刷機や各種後加工、物流までを含めた設備を拡充。そして現在は、8社のグループ企業によるワンストップサービスでコストを削減しながら短納期で段ボールを製造する体制を構築している。

 K・Dサービスは、そんな同社グループのデジタル印刷事業会社として2019年10月に稼働を開始した企業だ。池田社長は社名について「Kは神崎のK、Dはデジタル、デザイン、デベロップ、ドリームなど...、Sはサービスを意味している」と説明しており、段ボール箱という従来の枠にとらわれない戦略会社として、その成長に大きく期待している。

水性インキを使用することで、あらゆる業界に提案が可能に

 K・Dサービスが2019年10月に導入した段ボール用インクジェット印刷機「GLORY1604」は、シングルパス方式の採用により、最高速度150m/分の高速生産を実現する。また、従来のインクジェット印刷機は溶剤の臭いのあるUVインクが通例であったため、化粧品や食料品業界からは避けられる傾向があったが、同機は水性インキを使用するため、環境・安全性に優れており、あらゆる業界に提案が可能になっている。

 これについて、同社の中村竜也氏は「茶段、白段のほか、コート紙にも印刷が可能。通常はコート紙の場合、水性インキだと着弾したあとに流れてしまうためUVインキを使用するのだが、独自技術力で解決した。またマシンの筐体は中国製であるが、インクジェットヘッドは日本の京セラ製を搭載している。このインクジェットヘッドは非常に性能が良いため、着弾したときにアウトラインが乱れるようなこともなく、これにより美粧性を保ちながらも高速印刷を実現することが可能になる」と説明する。

コート紙の出力見本を手に池田社長

 また、インクジェットヘッドはCMYK4色に48ヘッドを搭載し、幅広い色域をカバー。さらに同社ではこれに独自技術を融合させることにより、本来なら出すことができないゴールドやシルバーなどの特色も出すことが可能になっている。

 もちろん、デジタル印刷機であるため、多品種小ロット生産にもスピーディーに対応することが可能だ。中村氏は「従来は版の交換に5分以上かかっていたが、『GLORY1604』は、早いもので7秒、データの重いものでも5分以内にジョブ切り替えが可能となっており、すべてにおいてスピーディーな生産を実現する」と説明する。

 さらに、「GLORY1604」は世界でこれまでに40台が出荷されているが、特筆すべきは同社に出荷されたマシンは印刷ユニットに「デジタルユニットボックス」が施された特別仕様になっていることだ。これについて、中村氏は「インクジェットヘッドは非常に繊細である。このため湿度、温度、埃を非常に嫌う。これまでのマシンは印刷ユニットが外気にふれる外観になっていたが、当社に納入されたマシンは、印刷ユニットをボックスにより完全密封することで、空調、湿度環境を整え、最適な環境で印刷できる仕様となっている」と説明する。

 そして現在、Hanway社と京セラは、マシン本体とインクジェットヘッドの微妙なバランスを最終調整中とのことで、池田社長は「両社によると、まだまだ伸びしろはあるとのこと。このため本格稼働を開始する2020年までに、マシンスペックはさらにグレードアップしそうである」と期待を高めている。

関連記事

新着トピックス

hyoda_app_1_dp_tn.jpg

兵田印刷工芸、大学内「次世代型新食堂」の注文アプリ開発

2019年12月13日ケーススタディ

 「マーケティング×デジタル×紙」をキーワードにクロスメディアを展開する兵田印刷工芸(株)(兵庫県西宮市笠屋町3-16、兵田好雄社長)はこのほど、某有名大学内の「次世代型新食堂」で運用...全文を読む

tsf19_dp_tn.jpg

印刷の近未来を体感|THINK SMART FACTORY レポート

2019年11月18日製品・テクノロジー

 労働人口の減少にともなう人手不足が深刻化する中、今年4月から「働き方改革関連法」が順次施行され、法的な対応も必要になるなど、製造業はこれら社会情勢に対し、労働生産性の向上が急務になっ...全文を読む

最新ニュース

dp_est480_tn.jpg

桂川電機とマークス、昇華転写プリントの効率化を加速する「KIP EST480」発売

2020年1月9日

 桂川電機(株)(本社/東京都大田区、渡邉正禮社長)と各種ウェアおよび各種用品のマーキング加工を手がける(株)マークス(本社/熊本県熊本市、田中博社長)は、デジタルテキスタイル印刷にお...全文を読む

agfa-greenguard-gold-vector-logo_dp_tn.jpg

アグフア、UVインクジェットインクが「GREENGUARDゴールド認定」取得

2019年12月18日

 日本アグフア・ゲバルト(株)(岡本勝弘社長)は、サイン&ディスプレイ向けUVインクジェットインクである「Anuvia(アヌビア)1250/1551」と「Anapurna(アナプルナ)...全文を読む

dp_scs80650l_tn.jpg

エプソン、インクの交換頻度と保管スペースを削減するエコソルベントインク搭載大判IJ機発売

2019年12月18日

 エプソンは、サイン&ディスプレイ業界向けエコソルベントインク搭載大判インクジェットプリンターの新商品として、インクパックを採用した10色インク搭載「SC-S80650L」、および4色...全文を読む

K・Dサービス(神崎紙器グループ)、段ボール用IJ印刷機で新領域へ挑戦

マテリアルとしての優位性を活用し、段ボール素材の印刷物提供

2020年1月8日ケーススタディ

  • twitter
  • facebook
  • line
  • pocket

 段ボールシート・ケースのトータル生産システムを開発し、各種段ボールの製造販売を行う神崎紙器工業(株)(本社/兵庫県尼崎市)のデジタル印刷事業会社であるK・Dサービス(株)(池田大樹社長)は、国内1号機として兵庫県丹波市の柏原工場に導入したHanway社(深セン市)の段ボール用インクジェット印刷機「GLORY1604」の2020年からの本格稼働に向けて最終調整を進めている。池田社長は「水性インキを使用するため、化粧品や食品業界向けにも使用できる。また、マテリアルとしての段ボールの優位性を活用し、箱にこだわることなく、段ボールを素材とした印刷物を幅広く提供していきたい」としており、同機を戦略機として活用し、新たな市場に事業領域を拡大していく考えだ。

GLORY1604の前で池田社長(前列中央)と同社スタッフ

 神崎紙器工業は1961年、兵庫県尼崎市の地で創業。1976年に兵庫県丹波市に氷上工場を竣工し、第1号機となる1,650幅のコルゲートマシンを導入した。その後も1,800幅、2,200幅のコルゲートマシン、またフレキソ印刷機や各種後加工、物流までを含めた設備を拡充。そして現在は、8社のグループ企業によるワンストップサービスでコストを削減しながら短納期で段ボールを製造する体制を構築している。

 K・Dサービスは、そんな同社グループのデジタル印刷事業会社として2019年10月に稼働を開始した企業だ。池田社長は社名について「Kは神崎のK、Dはデジタル、デザイン、デベロップ、ドリームなど...、Sはサービスを意味している」と説明しており、段ボール箱という従来の枠にとらわれない戦略会社として、その成長に大きく期待している。

水性インキを使用することで、あらゆる業界に提案が可能に

 K・Dサービスが2019年10月に導入した段ボール用インクジェット印刷機「GLORY1604」は、シングルパス方式の採用により、最高速度150m/分の高速生産を実現する。また、従来のインクジェット印刷機は溶剤の臭いのあるUVインクが通例であったため、化粧品や食料品業界からは避けられる傾向があったが、同機は水性インキを使用するため、環境・安全性に優れており、あらゆる業界に提案が可能になっている。

 これについて、同社の中村竜也氏は「茶段、白段のほか、コート紙にも印刷が可能。通常はコート紙の場合、水性インキだと着弾したあとに流れてしまうためUVインキを使用するのだが、独自技術力で解決した。またマシンの筐体は中国製であるが、インクジェットヘッドは日本の京セラ製を搭載している。このインクジェットヘッドは非常に性能が良いため、着弾したときにアウトラインが乱れるようなこともなく、これにより美粧性を保ちながらも高速印刷を実現することが可能になる」と説明する。

コート紙の出力見本を手に池田社長

 また、インクジェットヘッドはCMYK4色に48ヘッドを搭載し、幅広い色域をカバー。さらに同社ではこれに独自技術を融合させることにより、本来なら出すことができないゴールドやシルバーなどの特色も出すことが可能になっている。

 もちろん、デジタル印刷機であるため、多品種小ロット生産にもスピーディーに対応することが可能だ。中村氏は「従来は版の交換に5分以上かかっていたが、『GLORY1604』は、早いもので7秒、データの重いものでも5分以内にジョブ切り替えが可能となっており、すべてにおいてスピーディーな生産を実現する」と説明する。

 さらに、「GLORY1604」は世界でこれまでに40台が出荷されているが、特筆すべきは同社に出荷されたマシンは印刷ユニットに「デジタルユニットボックス」が施された特別仕様になっていることだ。これについて、中村氏は「インクジェットヘッドは非常に繊細である。このため湿度、温度、埃を非常に嫌う。これまでのマシンは印刷ユニットが外気にふれる外観になっていたが、当社に納入されたマシンは、印刷ユニットをボックスにより完全密封することで、空調、湿度環境を整え、最適な環境で印刷できる仕様となっている」と説明する。

 そして現在、Hanway社と京セラは、マシン本体とインクジェットヘッドの微妙なバランスを最終調整中とのことで、池田社長は「両社によると、まだまだ伸びしろはあるとのこと。このため本格稼働を開始する2020年までに、マシンスペックはさらにグレードアップしそうである」と期待を高めている。

関連記事

新着トピックス

新着ニュース

PAGE TOP