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京セラドキュメントソリューションズ、商業用高速インクジェット事業に本格参入

「未踏の領域」新たに開拓:IJプロダクションプリンタ TASKalfa Pro 15000c

2020年3月31日製品・テクノロジースペシャリスト

 京セラドキュメントソリューションズ(株)(伊奈憲彦社長)は今年1月、インクジェットプロダクションプリンタ「TASKalfa Pro 15000c」の国内リリースを機に、商業用高速インクジェット事業に本格参入することを明らかにし、業界の注目を集めた。同機は、京セラ製インクジェットヘッドを採用したA4毎分150枚の枚葉機。高速連帳インクジェット機と粉体トナー機の中間に位置する「未踏の領域」をカバーすることをコンセプトに開発されたものだ。そこで今回、同社の国内販売会社である京セラドキュメントソリューションズジャパン(株)営業本部副本部長の谷口昌氏に、新事業領域参入の背景や市場展開、製品開発などについて取材した。

谷口 副本部長

京セラグループとしてのシナジー効果

 京セラドキュメントソリューションズは、多岐にわたる分野でグローバル事業を展開する京セラグループ最大の事業ユニット。事務機系のプリンタ、複合機事業を中心に総合的なドキュメント関連サービスを展開する中で、それに派生する2つの事業として、企業内のあらゆる情報、データを包括的に一元管理・運用することで業務効率や生産性を向上させるECMソリューションと、ドキュメント分野の新たな事業領域としてインクジェット技術を活用した商業印刷ソリューションを新たな柱とする経営計画を走らせている。今回、新開発の「TASKalfa Pro 15000c(以下、TASKalfa Pro)」の国内市場への投入は、この商業用高速インクジェット事業への本格参入において、いわば「狼煙」を上げた形となる。

 京セラグループが「アメーバ経営」を実践する中で、部品事業から完成品までの個々の事業体の横の繋がりによる、グループシナジーの強化にも乗り出している。京セラと言えば、インクジェットプリントヘッドの開発でも知られる存在だが、その技術をひとつのコンポーネントとして採用した商業用高速インクジェット事業への参入は、まさにグループとしてシナジー効果を発揮させたものだ。

 では、なぜ新たな市場として商業印刷分野をターゲットにしたのか。この問に対して谷口氏は「商業印刷分野において熟練工の減少やオペレータ不足が困り事として見えてきた。さらに働き方改革への対応による労働時間短縮を迫られている現状を考慮すると、デジタル印刷がさらに進展するという予測が立ち、オフィス向けプリンタ・複合機で培ってきたノウハウを活かせば、我々にも商機があると考えた」と説明している。

高速連帳インクジェット機と粉体トナー機の間をカバー

 京セラ製のライン型インクジェットヘッドを採用し、150枚/分(A4)の高速シングルパス印刷を実現した「TASKalfa Pro」の開発コンセプトは、高速連帳インクジェット機と粉体トナー機の中間にある「未踏の領域」をカバーする枚葉高速インクジェットプロダクションプリンタだ。初のインクジェット製品で商業印刷分野に参入する同社にとっても、「新たな技術で、新たな市場へ」という意味で「未踏の領域」となる。

TASKalfa Pro 15000c

 以前から要素技術は持ちながらも、今回はじめてインクジェット技術を採用した製品づくりに着手した理由には、インクジェットヘッド技術を持つ京セラグループであることもひとつだが、同機が機能面で最も主張する「生産性」に起因している。谷口氏は、「電子写真方式は、何らかの新たな技術革新がない限り、その構造上、高速化には限界がある」と指摘し、インクジェット技術のさらなる高速化に向けた潜在的な可能性を理由に挙げている。

 一方で、さらに高速なものになると連帳インクジェット機という世界になるわけだが、そのイニシャルコストとして1億円以上の投資をどう考えるか。その隙間を埋めるのが「TASKalfa Pro」である。

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谷口 副本部長

京セラグループとしてのシナジー効果

 京セラドキュメントソリューションズは、多岐にわたる分野でグローバル事業を展開する京セラグループ最大の事業ユニット。事務機系のプリンタ、複合機事業を中心に総合的なドキュメント関連サービスを展開する中で、それに派生する2つの事業として、企業内のあらゆる情報、データを包括的に一元管理・運用することで業務効率や生産性を向上させるECMソリューションと、ドキュメント分野の新たな事業領域としてインクジェット技術を活用した商業印刷ソリューションを新たな柱とする経営計画を走らせている。今回、新開発の「TASKalfa Pro 15000c(以下、TASKalfa Pro)」の国内市場への投入は、この商業用高速インクジェット事業への本格参入において、いわば「狼煙」を上げた形となる。

 京セラグループが「アメーバ経営」を実践する中で、部品事業から完成品までの個々の事業体の横の繋がりによる、グループシナジーの強化にも乗り出している。京セラと言えば、インクジェットプリントヘッドの開発でも知られる存在だが、その技術をひとつのコンポーネントとして採用した商業用高速インクジェット事業への参入は、まさにグループとしてシナジー効果を発揮させたものだ。

 では、なぜ新たな市場として商業印刷分野をターゲットにしたのか。この問に対して谷口氏は「商業印刷分野において熟練工の減少やオペレータ不足が困り事として見えてきた。さらに働き方改革への対応による労働時間短縮を迫られている現状を考慮すると、デジタル印刷がさらに進展するという予測が立ち、オフィス向けプリンタ・複合機で培ってきたノウハウを活かせば、我々にも商機があると考えた」と説明している。

高速連帳インクジェット機と粉体トナー機の間をカバー

 京セラ製のライン型インクジェットヘッドを採用し、150枚/分(A4)の高速シングルパス印刷を実現した「TASKalfa Pro」の開発コンセプトは、高速連帳インクジェット機と粉体トナー機の中間にある「未踏の領域」をカバーする枚葉高速インクジェットプロダクションプリンタだ。初のインクジェット製品で商業印刷分野に参入する同社にとっても、「新たな技術で、新たな市場へ」という意味で「未踏の領域」となる。

TASKalfa Pro 15000c

 以前から要素技術は持ちながらも、今回はじめてインクジェット技術を採用した製品づくりに着手した理由には、インクジェットヘッド技術を持つ京セラグループであることもひとつだが、同機が機能面で最も主張する「生産性」に起因している。谷口氏は、「電子写真方式は、何らかの新たな技術革新がない限り、その構造上、高速化には限界がある」と指摘し、インクジェット技術のさらなる高速化に向けた潜在的な可能性を理由に挙げている。

 一方で、さらに高速なものになると連帳インクジェット機という世界になるわけだが、そのイニシャルコストとして1億円以上の投資をどう考えるか。その隙間を埋めるのが「TASKalfa Pro」である。

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