昌栄印刷、細紋技術と特殊色を融合〜偽造防止にイリデッセを活用
「デジタルセキュリティプリントサービス」を構築
2020年3月30日ケーススタディ
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Yoctraceでより強固な真贋判定を実現
そして最終の第3段階に位置づけられる『解析検証で判断』は、富士ゼロックスの一意識別技術「Yoctrace」による解析だ。
同社が、この「Yoctrace」に着目したのは、「デジタルセキュリティプリントサービス」への取り組み以前のことだと、同社・営業本部 営業企画部 営業企画課の青砥一博係長は説明する。
「近年、カード類のセキュリティを担保する手法としてはIC化が一般的だ。しかし、ICチップは、非常に高価なためコスト高になってしまう。また、従来のアナログ方式の印刷であっても、刷版から印刷までの工程に時間を要し、小ロットの要求に対応した場合、単価に大きく影響してしまう。もちろん、そうした生産工程自体を否定する訳ではないが、もっとコストを抑えつつも強固なセキュリティを付加できるものを模索しているときに、このYoctraceにたどり着いた」
「Yoctrace」は、工業製品などの物体表面に製造工程で生成されたランダムパターンを画像処理技術で識別し、独自のアルゴリズムによって、きわめて精度の高い照合を実現することで、一意識別を可能にする技術。具体的には、正規品である印刷物などに対して、あらかじめ設定したエリアを専用機器で読み込み、その画像情報をサーバーに登録する。その上で照合したい印刷物の同じエリアを撮影し、あらかじめ登録した画像情報と照合させることで、その印刷物を一意識別して真贋判定を行う。
「この解析手法では、とくに特殊な印刷技術も高額な設備投資費用も必要とすることなく、一意識別機能を印刷物に付加できる。マスター画像と照合する画像を撮影するための環境整備など、まだ課題も残っているが、模造品の追放に寄与できる画期的な技術であると確信している」(青砥氏)
特殊トナーはデジタルセキュリティプリントの鍵
同社の「デジタルセキュリティサービス」は、「ICTでかつてない高度なセキュリティを備える有価証券の開発」として、中小企業庁の平成28年度「ものづくり補助事業」に採択されている。
この、ものづくり事業を実現するためにも、生産機としてIridesseが不可欠だったと、同社・生産本部 川崎工場長の長楽浩明氏は振り返る。
「まずゴールドやシルバーといった特殊トナーによる印刷表現ができるIridesseが、この補助金事業の成功のカギを握る重要な設備ということは間違いない。しかし、それだけでは、セキュリティの強度には限界があることも事実。当社が長年にわたり培ってきた技術を応用したデジタル細紋や富士ゼロックスのYoctraceという技術と組み合わせることで、デジタル印刷であっても、さらに一段上、二段上の強固なセキュリティ機能を付加した印刷物として提供できるようになっている」(長楽氏)
同社では、この「デジタルセキュリティプリントサービス」を物品などの偽造・模造品排除のためのブランドプロテクションの手段として、広く提案していく。また、ブランドプロテクション以外にも商品券などの各種金券やクーポン、チケットなどへの応用を視野に入れている。一方で、そこまで強固なセキュリティは必要ないという顧客には、特殊トナーを活用した細紋や擬似ホログラムなどを印刷してコピーガード機能を付加した印刷物の提供も行っている。
「メタリックカラーなどの特殊色は、カラーコピーで再現することができないため、その特性を活用するだけでもコピーガードの効果をもたせることができる。加えてデザイン性を付加することで、見た目にも綺麗で高級感・特別感のあるセキュリティ印刷物を、小ロットから短納期で作成できることをアピールして、これまでにない提案ができるようになった」(青砥氏)
偽造防止技術で社会貢献を
これまで独自のセキュリティ印刷技術で社会貢献を果たしてきた同社では、この「デジタルセキュリティプリントサービス」を、もっと手軽で、もっと身近な偽造・模造品排除の手法として認知・普及を図っていく方針だ。
「デジタルセキュリティプリントサービスは、社会悪を追放する手段になりうると確信している。偽造・模造品の流通を排除し、消費者が安心して正規品を手に入れることができる環境を整備することで、ブランドオーナーのビジネスを支えることができる。それは、非正規品を取り扱おうとする不正業者が手にする犯罪収益の流れをストップすることにつながる。これらの取り組みは、印刷会社としての社会貢献やSDGsへの対応にもつながるはず」(田渕氏)
Iridesseの特殊トナーには、ゴールドやシルバー以外にもホワイトやクリア、カスタムレッド、そして新たにピンクもラインアップされた。多くの印刷会社が、これらの特殊トナーによる特殊色のオンデマンド印刷をグラフィックアーツ分野で活用することで、印刷物の高付加価値化と新たな市場の創出に取り組んでいる。
そうした中で、同社はこの特殊トナーを武器にセキュリティ印刷という領域で新たな市場を見出すことに挑戦している。そこには、創業から現在まで、受け継がれてきた「セキュリティ印刷」というDNAが今も息づいている。
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「近年、カード類のセキュリティを担保する手法としてはIC化が一般的だ。しかし、ICチップは、非常に高価なためコスト高になってしまう。また、従来のアナログ方式の印刷であっても、刷版から印刷までの工程に時間を要し、小ロットの要求に対応した場合、単価に大きく影響してしまう。もちろん、そうした生産工程自体を否定する訳ではないが、もっとコストを抑えつつも強固なセキュリティを付加できるものを模索しているときに、このYoctraceにたどり着いた」
「Yoctrace」は、工業製品などの物体表面に製造工程で生成されたランダムパターンを画像処理技術で識別し、独自のアルゴリズムによって、きわめて精度の高い照合を実現することで、一意識別を可能にする技術。具体的には、正規品である印刷物などに対して、あらかじめ設定したエリアを専用機器で読み込み、その画像情報をサーバーに登録する。その上で照合したい印刷物の同じエリアを撮影し、あらかじめ登録した画像情報と照合させることで、その印刷物を一意識別して真贋判定を行う。
「この解析手法では、とくに特殊な印刷技術も高額な設備投資費用も必要とすることなく、一意識別機能を印刷物に付加できる。マスター画像と照合する画像を撮影するための環境整備など、まだ課題も残っているが、模造品の追放に寄与できる画期的な技術であると確信している」(青砥氏)
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