ジーピーセンター、ものづくり本来の喜びを[アナプルナ導入事例]
什器やPOPで新たな事業領域へ
2020年4月1日ケーススタディ
-
「表現をもっと自由に」─「桶狭間の戦い」の舞台となった愛知県豊明市に本社を置く総合印刷会社(株)ジーピーセンター(本社/愛知県豊明市栄町三ツ池下33-3、青木昭憲社長)は一昨年11月、新たな事業領域を求めてアグフア製ワイドフォーマットUVインクジェットプリンタ「アナプルナ H 2500i LED」を導入。什器やPOPといった立体印刷物の需要を喚起するとともに、社員がものづくり本来の喜びを肌で感じるための「カンフル剤」として機能させ、会社全体に意識改革と活性化をもたらしている。
製版専業から総合印刷会社へ
同社の創業は1970年。青木社長の父である先代の青木勝英氏が印刷会社から独立する形で立ち上げた写真製版専業会社がその社歴の源流である。その後、その技術を活かしたシルクスクリーン印刷も手掛けていたことから、現在の社名もシルクスクリーン印刷の別称「Grand Printing」の頭文字を取って1978年の設立時に「ジーピーセンター」と名付けられたという。
「印刷の品質は写真製版の品質に左右される」。職人肌の先代は、その責任を全うすべく技術研鑽に注力する一方で、「納期」という時間軸にも相当なこだわりを持ち、技術(品質)と納期(サービス)の両面から「版の安定供給」で三河地区を中心とした印刷会社の需要を下支えしてきた。さらに1990年代に入ると、さらなる短納期化に対応するため、自らオフセット枚葉印刷機を導入。製版業で培った良質な技術とサービスを印刷事業に水平展開することで業態転換を図っている。
一方、1998年には別会社を立ち上げてオフ輪事業にも参入。この会社をジーピーセンターが2013年に統合し、本社に新設したオフ輪工場に設備を移設することで経営資源を集約した。これを機に枚葉・オフ輪を両輪とする総合印刷会社「ジーピーセンター」として新たなスタートを切っている。
同社の最大の強みは、制作から加工までの一貫生産体制にある。これも同社がこだわり続ける「瞬発力(納期遵守)」に派生するもので、青木社長は「8割以上が下請け仕事の当社にとって、お客様の自社工場のように利用できる環境を整える必要があり、そこで当社が外注していては納期も品質も担保できない」と説明する。現在の同社の印刷外注比率は10%。ここにも厳しい納期管理を実践してきた製版業のDNAが息づいている。
新たな事業領域開拓の戦略機
ジーピーセンターが無版のデジタル印刷事業に着手したのはおよそ15年前。溶剤系のインクジェットプリンタ導入でポスター印刷を受注したのがはじまりだ。そんな同社が、新たな戦略機としてアグフア製ワイドフォーマットUVインクジェットプリンタ「アナプルナ H 2500i LED」を一昨年11月に導入した狙いはどこにあったのか。
「技術が進歩したいま、営業的に一般商業印刷では独自の強みを見出しづらい状況にある。そこで新たな事業領域として着目したのが、その場を楽しくする什器やPOPだった」(青木社長)
同社では、いわゆる「板物」とされる商材についても以前から取り扱ってきたが、その工程は、インクジェット出力後にPP加工、それをウッドラックに貼り付けてレーザーカットするというもの。これが1枚、2枚ならいいが、ロットが多くなると工数が多すぎて対応できない。そこでパネルにダイレクト印刷できるUVインクジェットプリンタを導入するも、その仕様が厚さ2ミリまでだったことからウッドラックは通らない。次に、卓上型のUVインクジェットプリンタを導入し、スマホカバーなどの小物の印刷に着手するが、これもロットが多くなると生産が追いつかない。青木社長は、「最初から大型機を導入することに対して躊躇していたことは否めない。しかし、営業の今後の方針を考えると、大型機への投資が必要であるという結論に至った」と当時を振り返る。
ジーピーセンターが導入した「アナプルナ H 2500i LED」は、最大印刷幅2.5メートル、厚さ45ミリ、解像度1,440dpi、6色(C・M・Y・K・LC・LM)+白の仕様。標準モードで31平方メートル/時の生産スピードを誇る。
機種選択のポイントになったのは、やはり生産性。同社ではオプションの自動メディアフィーダーも搭載し、その生産性をフル活用できる環境を整えている。
また、アナプルナは2016年からすべてLED-UV仕様になっていることも機種決定を後押ししたという。
「LED-UVは赤外線を含まないため、熱による原反への影響が少ない。当初は通常のUVに使用されるメタルハライドランプと比べて『乾き』に不安があったが、まったく逆で、LED-UVの方が乾きが良い」(青木社長)
同社では、UVオフセット印刷機で1万枚程度のPETの印刷を受注しているが、その仕事も小ロット化する傾向にあり、アナプルナがUVオフセット印刷機ではできないその小ロットレンジをカバーできる。また、UVオフセット印刷時に行っていた本機校正の工程も排除できる。これについて青木社長は「この仕事に関しては導入前からテストを重ねて検証していた。品質に関してはUVオフセット印刷より良すぎて困ることもある」と笑顔で語る。
「高生産性」に加え、「新たなアプリケーションへの開発意欲を掻き立てるプリンタ」として高い評価を得ているアナプルナ。その代表的な特殊機能に「白インクの厚盛り」がある。これは、実際のデザインの質感や凹凸感をリアルに表現するなど、様々なアイデアで付加価値を創造できる機能で、青木社長もその可能性に注目し、今後の商品開発に意欲を示している。
また、アクリルなどの透明素材を扱うことが多い同社にとって白インクの隠蔽性は必須であるとともに大きな武器になる。「UVオフセット印刷だと、白を2〜3回通すが、アナプルナだと白のパーセントを落としても良いくらい隠蔽性が高い。しかも半乾きの心配もない」と青木社長も高く評価している。
新着トピックス
奥村印刷、新たな価値を紙に付加〜「折り紙食器 beak」でIPA2024に入賞
2024年11月20日企業・経営
奥村印刷(株)(本社/東京都北区、奥村文泰社長)は、2024年度の「Innovation Print Awards(以下、IPA)」において、「サステナビリティ部門」第1位を獲得した...全文を読む
富士フイルム、TOKYO PACKでブランドオーナーにデジタル印刷活用促す
2024年11月15日マーケティング
「もっと自由にパッケージ・オンデマンド」─富士フイルムグループは、10月23日から開催された「TOKYO PACK 2024(東京国際包装展)」において、富士フイルムが独自開発した幅...全文を読む
最新ニュース
日本HP、KADOKAWA「出版製造流通DXプロジェクト」を支援
2025年1月21日
(株)日本HP(本社/東京都港区、岡戸伸樹社長)は1月16日、(株)KADOKAWA(本社/東京都千代田区、夏野剛社長・CEO)の運営する埼玉県所沢市の大型文化複合施設「ところざわサ...全文を読む
2025年1月20日
ローランド ディー.ジー.(株)は、大判インクジェットプリンターTrueVISシリーズ「LG-640/540/300」と、DGXPRESSシリーズの「UG-642」で使用できる拡張テ...全文を読む
swissQprint、第5世代フラットベッド新モデル-生産性23%向上
2025年1月14日
swissQprintは、プラットフォームを全面的に刷新し、生産性、精度、アプリケーションの多用途性を新たなレベルへと引き上げたフラットベッド新世代モデルを発表した。新モデルは従来機...全文を読む
ジーピーセンター、ものづくり本来の喜びを[アナプルナ導入事例]
什器やPOPで新たな事業領域へ
2020年4月1日ケーススタディ
「表現をもっと自由に」─「桶狭間の戦い」の舞台となった愛知県豊明市に本社を置く総合印刷会社(株)ジーピーセンター(本社/愛知県豊明市栄町三ツ池下33-3、青木昭憲社長)は一昨年11月、新たな事業領域を求めてアグフア製ワイドフォーマットUVインクジェットプリンタ「アナプルナ H 2500i LED」を導入。什器やPOPといった立体印刷物の需要を喚起するとともに、社員がものづくり本来の喜びを肌で感じるための「カンフル剤」として機能させ、会社全体に意識改革と活性化をもたらしている。
製版専業から総合印刷会社へ
同社の創業は1970年。青木社長の父である先代の青木勝英氏が印刷会社から独立する形で立ち上げた写真製版専業会社がその社歴の源流である。その後、その技術を活かしたシルクスクリーン印刷も手掛けていたことから、現在の社名もシルクスクリーン印刷の別称「Grand Printing」の頭文字を取って1978年の設立時に「ジーピーセンター」と名付けられたという。
「印刷の品質は写真製版の品質に左右される」。職人肌の先代は、その責任を全うすべく技術研鑽に注力する一方で、「納期」という時間軸にも相当なこだわりを持ち、技術(品質)と納期(サービス)の両面から「版の安定供給」で三河地区を中心とした印刷会社の需要を下支えしてきた。さらに1990年代に入ると、さらなる短納期化に対応するため、自らオフセット枚葉印刷機を導入。製版業で培った良質な技術とサービスを印刷事業に水平展開することで業態転換を図っている。
一方、1998年には別会社を立ち上げてオフ輪事業にも参入。この会社をジーピーセンターが2013年に統合し、本社に新設したオフ輪工場に設備を移設することで経営資源を集約した。これを機に枚葉・オフ輪を両輪とする総合印刷会社「ジーピーセンター」として新たなスタートを切っている。
同社の最大の強みは、制作から加工までの一貫生産体制にある。これも同社がこだわり続ける「瞬発力(納期遵守)」に派生するもので、青木社長は「8割以上が下請け仕事の当社にとって、お客様の自社工場のように利用できる環境を整える必要があり、そこで当社が外注していては納期も品質も担保できない」と説明する。現在の同社の印刷外注比率は10%。ここにも厳しい納期管理を実践してきた製版業のDNAが息づいている。
新たな事業領域開拓の戦略機
ジーピーセンターが無版のデジタル印刷事業に着手したのはおよそ15年前。溶剤系のインクジェットプリンタ導入でポスター印刷を受注したのがはじまりだ。そんな同社が、新たな戦略機としてアグフア製ワイドフォーマットUVインクジェットプリンタ「アナプルナ H 2500i LED」を一昨年11月に導入した狙いはどこにあったのか。
「技術が進歩したいま、営業的に一般商業印刷では独自の強みを見出しづらい状況にある。そこで新たな事業領域として着目したのが、その場を楽しくする什器やPOPだった」(青木社長)
同社では、いわゆる「板物」とされる商材についても以前から取り扱ってきたが、その工程は、インクジェット出力後にPP加工、それをウッドラックに貼り付けてレーザーカットするというもの。これが1枚、2枚ならいいが、ロットが多くなると工数が多すぎて対応できない。そこでパネルにダイレクト印刷できるUVインクジェットプリンタを導入するも、その仕様が厚さ2ミリまでだったことからウッドラックは通らない。次に、卓上型のUVインクジェットプリンタを導入し、スマホカバーなどの小物の印刷に着手するが、これもロットが多くなると生産が追いつかない。青木社長は、「最初から大型機を導入することに対して躊躇していたことは否めない。しかし、営業の今後の方針を考えると、大型機への投資が必要であるという結論に至った」と当時を振り返る。
ジーピーセンターが導入した「アナプルナ H 2500i LED」は、最大印刷幅2.5メートル、厚さ45ミリ、解像度1,440dpi、6色(C・M・Y・K・LC・LM)+白の仕様。標準モードで31平方メートル/時の生産スピードを誇る。
機種選択のポイントになったのは、やはり生産性。同社ではオプションの自動メディアフィーダーも搭載し、その生産性をフル活用できる環境を整えている。
また、アナプルナは2016年からすべてLED-UV仕様になっていることも機種決定を後押ししたという。
「LED-UVは赤外線を含まないため、熱による原反への影響が少ない。当初は通常のUVに使用されるメタルハライドランプと比べて『乾き』に不安があったが、まったく逆で、LED-UVの方が乾きが良い」(青木社長)
同社では、UVオフセット印刷機で1万枚程度のPETの印刷を受注しているが、その仕事も小ロット化する傾向にあり、アナプルナがUVオフセット印刷機ではできないその小ロットレンジをカバーできる。また、UVオフセット印刷時に行っていた本機校正の工程も排除できる。これについて青木社長は「この仕事に関しては導入前からテストを重ねて検証していた。品質に関してはUVオフセット印刷より良すぎて困ることもある」と笑顔で語る。
「高生産性」に加え、「新たなアプリケーションへの開発意欲を掻き立てるプリンタ」として高い評価を得ているアナプルナ。その代表的な特殊機能に「白インクの厚盛り」がある。これは、実際のデザインの質感や凹凸感をリアルに表現するなど、様々なアイデアで付加価値を創造できる機能で、青木社長もその可能性に注目し、今後の商品開発に意欲を示している。
また、アクリルなどの透明素材を扱うことが多い同社にとって白インクの隠蔽性は必須であるとともに大きな武器になる。「UVオフセット印刷だと、白を2〜3回通すが、アナプルナだと白のパーセントを落としても良いくらい隠蔽性が高い。しかも半乾きの心配もない」と青木社長も高く評価している。
新着トピックス
-
FFGS、潜在ニーズ発見と技術検証の場として機能[Solution Design Lab.]
2024年12月23日 企業・経営
-
竹田印刷、多様な個性をかたちに〜アール・ブリュット作品を世界に発信
2024年12月6日 企業・経営
-
奥村印刷、新たな価値を紙に付加〜「折り紙食器 beak」でIPA2024に入賞
2024年11月20日 企業・経営
-
富士フイルム、TOKYO PACKでブランドオーナーにデジタル印刷活用促す
2024年11月15日 マーケティング
-
価値協創で新たな潮流|エイエイピー、Jet Press 750Sが新たなステージへ
2024年11月13日 企業・経営
新着ニュース
SNSランキング
- 41sharesローランドDG、UVプリンターが紙器パッケージ製作に対応
- 39sharesSCREEN、Hunkeler Innovationdaysでインクジェットと後加工機の連携披露
- 39sharesミマキ、印刷脱色技術実用化でタペストリーのアップサイクル実現
- 38sharesKOMORI、241名が来場した新春特別内覧会のデモ動画(Impremia IS29s」公開
- 36sharesエプソン、使いやすさと安定稼働を両立したエプソン初のDTF専用プリンター発売
- 33sharesFFGS、潜在ニーズ発見と技術検証の場として機能[Solution Design Lab.]
- 29sharesKOMORI、インクジェット印刷機とデジタル加飾機の連携披露
- 25shares富士フイルムBI、デジタル印刷作品のコンテスト「IPA」の作品募集開始
- 25sharesSCREEN GA、高速連帳IJの次世代モデル「Truepress JET 520NX AD」発売
- 25shares富士フイルムBI、1パス5色印刷を可能にしたミドルレンジモデルを発売