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ホタルコーポレーション、フルカラー3DIJプリントサービスで新市場創出

専門サイト開設で拡充へ

2020年4月7日ケーススタディ

 (株)ホタルコーポレーション(大阪市住之江、福永進社長)は、フルカラー3DIJプリンタによる新市場創出を目指した飽くなき挑戦を続けている。同社はこれまでも様々なイベントなどに出展・協力し、フルカラー3DIJプリントサービスの周知に努めてきたが、今年2月に幕張メッセにおいて開催された「ワンダーフェスティバル2020冬(通称ワンフェス)」では、ワコムブースにおいてキャラクターフィギュアを同プリンタで出力した作品を展示し、来場者の注目を集めた。同社は今後も昨秋に開設したフルカラー3DIJプリント受注の専門サイト「hotaru3d.com」などを活用しながらさらなるサービス拡充を図っていく考えだ。

ワンフェスでも注目〜アバターフィギュアを出力して展示

 同社は、オフセット印刷以外の事業を専門とする螢印刷グループの企業。印刷会社として長年にわたり培ってきた「色合わせ」の技術を強みとしており、UVインクジェットプリンタとレーザー加工機により、美術館や博物館で販売されるグッズ、アニメグッズやキャラクター関係など、現物の色に合わせることが求められる商品を中心に制作を行っている。

現物となったアバターフィギュアを前に福永社長

 しかし、2Dプリンタ市場はすでにレッドオーシャンとなっており、価格競争も厳しいため「今後は3Dプリンタを活用し、新しい市場を開拓していきたい」というのが福永社長の考えだ。同社では1,000万色以上のフルカラー造形を実現するインクジェット方式の3Dプリンタ「3DUJ-553」を2年前に導入してからこれまで、アーティストやデジタル原型師などと協力しながら様々な美術展の開催や展示会などに出展して周知に努めてきた。

  そして、同社は今年2月に幕張メッセで開催されたワンフェスにおいてもワコムブースの出展に協力した。

 今回、ワコムブースでは、イラストレーターの谷口亮氏によるオリジナルキャラクター「Trailly(トレイリー)ちゃん」をフィギュア化したものが展示された。3Dモデリングを担当したのは造形師・デザイナーの吉本大輝氏で、3Dモデリングツールとワコムのペンタブレットを使ってデザイン案をデータ化し、それをホタルコーポレーションが「3DUJ-553」でフィギュアの造形、出力監修を手掛けた。

月(夜)から生まれた夜の女の子「Trailly(トレイリー)ちゃん」

 1,000万色以上のフルカラー造形が可能な同3DIJプリンタによる作品は多くの来場者の目に止まり、会期中、ワコムブースの前で多くの人が足を止めていた。

アバターフィギュアを9,000円で現物に

 同社は昨秋、3DIJプリントサービスのさらなる拡充による受注拡大を目指し、フルカラー3Dプリント受注の専門サイト「hotaru3d.com」をオープン。同時に、VRMやFBXのサーフェスデータをソリッドデータに変換して安価にフルカラー3Dプリントできるお手軽なフルカラー3Dプリントサービス「それなり〜の」も同サイト上で開始した。12cmくらいの「それなり〜の」アバターフィギュアは9,000円のお手軽さを実現する。

 これまで、VTuberや3Dアバターを現物のフィギュアにするには、デジタル原型師による手作業に頼るしか方法がなかった。このため、複雑なものだと制作に数日〜1週間以上かかり、また価格も数万円から10万円以上かかることもあり、これが3Dアバターフィギュアを現実のものにする上での足かせとなっていた。これを、「1万円以下」というお手頃な価格かつ短納期で提供することで、潜在ニーズを現実のものにしようというのがお手軽フルカラー3Dプリントサービス「それなり〜の アバターフィギュア」である。

 福永社長はお手軽サービスについて「3Dデータにはサーフェスデータとソリッドデータの2種類があるが、サーフェスデータは面を作成するデータであるため、これを画面上ではなく実際に3D出力する場合、無理に厚みを付ける部分もあるため、どうしてもオリジナルの画面の雰囲気から離れたイメージになる場合もある。当社ではこれまで、美術品の3Dプリントなど品質レベルの高い3Dプリントを行ってきたが、それと比べるとどうしても『それなり』のものになってしまうため、『それなり〜の 』アバターフィギュアというサービス名にした」と説明しているが、サービス開始に先立ち先行テストしたクライアントからの評価は高く、Twitterでは「それなり以上」とのコメントもあったという。また、お手軽な価格などを含めて考えてみても「それなり以上」の価値のあるサービスと言えそうだ。

 主な特長としては(1)3Dアバター制作サービスなどからエクスポートしたVRMファイルをアップロードするだけ(2)ポーズ付けはポーズ番号を選ぶだけ(3)3Dプリントができるようにすべてのパーツに厚みをつける(4)データ検証からフルカラー3Dプリントまで、すべて含めて9,000円(5)ポーズをつけてエクスポートしたFBXデータにも対応(6)部分的に「クリア素材」での3Dプリントが可能(7)データは無料で検証--などがある。

 今後の展開について福永社長は、「ようやくフルカラー3DIJプリンタの認知度も向上し、未来も見えてきた。今まで以上に幅広い業種にこれをアピールし、潜在需要を掘り起こしながら市場開拓に努めていきたい」と展望する。印刷会社として3DIJプリントサービスの先駆を走る同社の今後の取り組みに注目したい。

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 (株)ホタルコーポレーション(大阪市住之江、福永進社長)は、フルカラー3DIJプリンタによる新市場創出を目指した飽くなき挑戦を続けている。同社はこれまでも様々なイベントなどに出展・協力し、フルカラー3DIJプリントサービスの周知に努めてきたが、今年2月に幕張メッセにおいて開催された「ワンダーフェスティバル2020冬(通称ワンフェス)」では、ワコムブースにおいてキャラクターフィギュアを同プリンタで出力した作品を展示し、来場者の注目を集めた。同社は今後も昨秋に開設したフルカラー3DIJプリント受注の専門サイト「hotaru3d.com」などを活用しながらさらなるサービス拡充を図っていく考えだ。

ワンフェスでも注目〜アバターフィギュアを出力して展示

 同社は、オフセット印刷以外の事業を専門とする螢印刷グループの企業。印刷会社として長年にわたり培ってきた「色合わせ」の技術を強みとしており、UVインクジェットプリンタとレーザー加工機により、美術館や博物館で販売されるグッズ、アニメグッズやキャラクター関係など、現物の色に合わせることが求められる商品を中心に制作を行っている。

現物となったアバターフィギュアを前に福永社長

 しかし、2Dプリンタ市場はすでにレッドオーシャンとなっており、価格競争も厳しいため「今後は3Dプリンタを活用し、新しい市場を開拓していきたい」というのが福永社長の考えだ。同社では1,000万色以上のフルカラー造形を実現するインクジェット方式の3Dプリンタ「3DUJ-553」を2年前に導入してからこれまで、アーティストやデジタル原型師などと協力しながら様々な美術展の開催や展示会などに出展して周知に努めてきた。

  そして、同社は今年2月に幕張メッセで開催されたワンフェスにおいてもワコムブースの出展に協力した。

 今回、ワコムブースでは、イラストレーターの谷口亮氏によるオリジナルキャラクター「Trailly(トレイリー)ちゃん」をフィギュア化したものが展示された。3Dモデリングを担当したのは造形師・デザイナーの吉本大輝氏で、3Dモデリングツールとワコムのペンタブレットを使ってデザイン案をデータ化し、それをホタルコーポレーションが「3DUJ-553」でフィギュアの造形、出力監修を手掛けた。

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 福永社長はお手軽サービスについて「3Dデータにはサーフェスデータとソリッドデータの2種類があるが、サーフェスデータは面を作成するデータであるため、これを画面上ではなく実際に3D出力する場合、無理に厚みを付ける部分もあるため、どうしてもオリジナルの画面の雰囲気から離れたイメージになる場合もある。当社ではこれまで、美術品の3Dプリントなど品質レベルの高い3Dプリントを行ってきたが、それと比べるとどうしても『それなり』のものになってしまうため、『それなり〜の 』アバターフィギュアというサービス名にした」と説明しているが、サービス開始に先立ち先行テストしたクライアントからの評価は高く、Twitterでは「それなり以上」とのコメントもあったという。また、お手軽な価格などを含めて考えてみても「それなり以上」の価値のあるサービスと言えそうだ。

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