キーワードで検索

2020年出版市場、紙+電子で4.8%増の1兆6,168億円

コミックの拡大で2年連続プラス

2021年1月28日マーケティング企業・経営

 出版業界の調査・研究機関である(公社)全国出版協会・出版科学研究所(浅野純次理事長)は、2020年(1〜12月期累計)の出版市場規模を発表した。紙と電子を合算した出版市場(推定販売金額)は、前年比4.8%増の1兆61,68億円。紙の出版市場が同1.0%減と小幅なマイナスにとどまり、電子出版市場が同28.0%増と大きく伸長したことで2年連続のプラス成長となった。出版市場全体における電子出版の占有率は24.3%で、前年の19.9%から4.4%上昇し、2割超の規模にまで拡大している。

コロナ禍と「鬼滅の刃」ブームが大きく影響

 2020年の紙の出版物(書籍・雑誌合計)の推定販売金額は前年比1.0%減の1兆2,237億円。内訳は、書籍が同0.9%減の6,661億円、雑誌が同1.1%減の5,576億円。いずれも減少幅が小さく、その要因はコロナ禍での生活様式の大きな変化(外出自粛による在宅時間の増加、娯楽の制限など)で読書の需要が高まったことと、コミックス「鬼滅の刃」(集英社)の爆発的ヒットが挙げられる。「鬼滅の刃」はコミックスのみならず、書籍のノベライズ作品や関連付録を添付した雑誌など、その販売効果が出版物全体に波及し、市場の大きな底上げに寄与した。

 書籍は、3月2日から始まった学校一斉休校を機に学参、児童書が大幅に伸長し、年間を通して好調に推移。このほか文芸書、ビジネス書、コンピュータ書、ゲーム攻略本など前年を上回ったジャンルが目立っている。

 雑誌はコミックス(単行本)が約24%増の大幅増となり、月刊誌(コミックス、ムック含む)が同0.5%増と1997年以来の前年超えとなった。週刊誌は同8.5%減と苦戦。月刊誌のうち、定期誌は3〜6月には発売中止・延期が相次ぎ、メジャー誌の休刊も続出したことで約9%減。ムックも約14%減と低調に推移した。コミックスは「鬼滅の刃」の桁違いの伸びに加え、そのほかの作品もヒットし、2割超の伸びを示した。

電子出版市場は大幅増

 2020年の電子出版市場は前年比28.0%増の3,931億円と、大幅な伸長を示した。内訳は、電子コミックが同31.9%増の3,420億円、電子書籍が同14.9%増の401億円、電子雑誌が同15.4%減の110億円。コミック、書籍の伸長は、コロナ禍の「巣ごもり需要」でユーザーが増加し、客単価も上昇したことが要因。

 コミックは「鬼滅の刃」の大ヒットと「異世界」系作品や電子書籍ストアオリジナル作品の牽引で大幅増。電子市場における占有は87.0%(前年より2.6%増)となった。

 書籍は、東野圭吾、湊かなえなど2020年に人気作家が電子化を続々と解禁したこともあり、順調に成長している。雑誌はシェアの大きいNTTドコモの読み放題サービス「dマガジン」の会員数が春先に下げ止まったものの夏以降再び減少し、3年連続で二桁減となった。

新着トピックス

kodak_mercury_prosper7000.jpg

コダックジャパン、頁物印刷とパーソナライズDMの市場開拓へ

2024年4月3日スペシャリスト

 コダックジャパンは、日本市場において「効率性」にフォーカスした「頁物印刷」と、郵便料金改定とSDGsを起点とした「パーソナライズDM」という2つの市場に向けたインクジェットプリンティ...全文を読む

dp_oobora_15k_20240326_tn.jpg

大洞印刷、国内外の需要に対応〜デジタル印刷サービスが二桁成長

2024年4月3日企業・経営

 (株)日本HP(本社/東京都港区、岡戸伸樹社長)のデジタル印刷機のユーザーである大洞印刷(株)(本社/岐阜県本巣市、大洞広和社長)は、受注から出荷までのワークフロー管理システムを導入...全文を読む

最新ニュース

kyocera_drupa24_taskalfa_pro_55000c_dp_tn.jpg

京セラ、コート紙への印刷可能〜商業用インクジェットプリンター新製品展示

2024年4月17日

 京セラドキュメントソリューションズ(株)(安藤博教社長)は、「drupa2024」に出展し、「Small footprint,big potential」をコンセプトに、商業用・産業...全文を読む

morisawa_variablefonts_dp_tn.jpg

モリサワ、初の和文バリアブルフォント「DriveFlux」発表

2024年4月17日

 (株)モリサワ(森澤彰彦社長)は、2024年度の新書体として、同社初となる和文バリアブルフォント「DriveFlux(ドライブフラックス/仮称)」を開発中であることを発表した。  「...全文を読む

dp_fb_samba_20240416_tn.jpg

富士フイルムBI、高精細な画質と高速印刷を両立するプリントヘッドの駆動技術を新開発

2024年4月16日

 富士フイルムビジネスイノベーション(株)(本社/東京都港区、浜直樹社長・CEO)は、商業印刷用の高速ロール紙カラーインクジェットプリンター向けに、1,200×1,200dpiの解像度...全文を読む

2020年出版市場、紙+電子で4.8%増の1兆6,168億円

コミックの拡大で2年連続プラス

2021年1月28日マーケティング企業・経営

  • twitter
  • facebook
  • line

 出版業界の調査・研究機関である(公社)全国出版協会・出版科学研究所(浅野純次理事長)は、2020年(1〜12月期累計)の出版市場規模を発表した。紙と電子を合算した出版市場(推定販売金額)は、前年比4.8%増の1兆61,68億円。紙の出版市場が同1.0%減と小幅なマイナスにとどまり、電子出版市場が同28.0%増と大きく伸長したことで2年連続のプラス成長となった。出版市場全体における電子出版の占有率は24.3%で、前年の19.9%から4.4%上昇し、2割超の規模にまで拡大している。

コロナ禍と「鬼滅の刃」ブームが大きく影響

 2020年の紙の出版物(書籍・雑誌合計)の推定販売金額は前年比1.0%減の1兆2,237億円。内訳は、書籍が同0.9%減の6,661億円、雑誌が同1.1%減の5,576億円。いずれも減少幅が小さく、その要因はコロナ禍での生活様式の大きな変化(外出自粛による在宅時間の増加、娯楽の制限など)で読書の需要が高まったことと、コミックス「鬼滅の刃」(集英社)の爆発的ヒットが挙げられる。「鬼滅の刃」はコミックスのみならず、書籍のノベライズ作品や関連付録を添付した雑誌など、その販売効果が出版物全体に波及し、市場の大きな底上げに寄与した。

 書籍は、3月2日から始まった学校一斉休校を機に学参、児童書が大幅に伸長し、年間を通して好調に推移。このほか文芸書、ビジネス書、コンピュータ書、ゲーム攻略本など前年を上回ったジャンルが目立っている。

 雑誌はコミックス(単行本)が約24%増の大幅増となり、月刊誌(コミックス、ムック含む)が同0.5%増と1997年以来の前年超えとなった。週刊誌は同8.5%減と苦戦。月刊誌のうち、定期誌は3〜6月には発売中止・延期が相次ぎ、メジャー誌の休刊も続出したことで約9%減。ムックも約14%減と低調に推移した。コミックスは「鬼滅の刃」の桁違いの伸びに加え、そのほかの作品もヒットし、2割超の伸びを示した。

電子出版市場は大幅増

 2020年の電子出版市場は前年比28.0%増の3,931億円と、大幅な伸長を示した。内訳は、電子コミックが同31.9%増の3,420億円、電子書籍が同14.9%増の401億円、電子雑誌が同15.4%減の110億円。コミック、書籍の伸長は、コロナ禍の「巣ごもり需要」でユーザーが増加し、客単価も上昇したことが要因。

 コミックは「鬼滅の刃」の大ヒットと「異世界」系作品や電子書籍ストアオリジナル作品の牽引で大幅増。電子市場における占有は87.0%(前年より2.6%増)となった。

 書籍は、東野圭吾、湊かなえなど2020年に人気作家が電子化を続々と解禁したこともあり、順調に成長している。雑誌はシェアの大きいNTTドコモの読み放題サービス「dマガジン」の会員数が春先に下げ止まったものの夏以降再び減少し、3年連続で二桁減となった。

新着トピックス

新着ニュース

PAGE TOP