丸善印刷、勝田断裁機を初導入 - POD用紙も正確に断裁
断裁位置の微調整がダイヤル式で簡単、ソフトクランプによる安全性を高く評価
2021年4月14日ケーススタディ
-
安心して断裁作業を行えるように
同社では、創業当初より一貫して他社メーカーの断裁機を使用していた。そんな同社が、他社メーカーへの断裁機の切り替えを検討せざるを得なくなったのには理由がある。指詰めによる「労災事故」が発生してしまったのである。
「幸いにも大事故には至らなかったが、これを機に、より安全性の高い断裁機を導入するための検討を始めた。そのような中、現場オペレーターから『勝田断裁機が安全性に優れているらしいので検討して欲しい』との要望があったことから、2020年9月のUVオフセット印刷機の導入と合わせ、勝田断裁機を導入した」(恵利社長)
同社が新たに導入したUVオフセット印刷機は、B判半裁サイズ。従来の菊半寸ノビから印刷機のサイズが大きくなったため、これに合わせて断裁機のサイズも従来の菊全対応から四六全対応に変更した。オプションのソフトクランプ機能が搭載されているため、大きな怪我を防ぐことができる。
取材当日に作業していた定年後の再雇用というベテランの断裁オペレーターは、「ソフトクランプ機能が搭載されているため、従来よりも安心して断裁作業ができるようになり、断裁作業により集中できるようになった」と、安全な作業環境により、品質と生産性にも良い影響を与えていることを評価していた。
POD用紙が伸縮しても正確な断裁が可能
POD用紙はオフセットの印刷用紙と比べ、用紙の種類によっては温度や湿度の影響を非常に受けやすいものもあるという。伸縮したPOD用紙を断裁する場合、トンボの位置も当てにならないため、オペレーターの感覚でバックゲージを微調整する必要があるようだが、「従来の断裁機はボタンで調整するタイプであったが、勝田製作所のバックゲージ調整はダイヤル式になっており、従来の断裁機よりも微調整がやりやすい」と、断裁オペレーターは評価している。
また、他社製の断裁機にはソフトクランプ機能がなかったため、強力なクランプの圧力で用紙に痕が付かないよう、クランプに「クッションバー」を取り付けていたが、これを付けるとトナーを盛られたPOD用紙の場合、表面が滑りやすく、紙がズレてしまうことでオペレーターによっては断裁品質に影響が出ることもあったようだ。ただ、この日のベテランオペレーターの場合は、「私の場合、あまり影響はなかった」ようである。
この点、ソフトクランプの場合は「クッションバー」を取り付けなくてもPOD用紙に痕が付く心配がないため、POD用紙の紙がズレることによる断裁品質への影響はなくなったようだ。
また、同社は勝田断裁機の導入と同時に、断裁刃を「硬質」のものに変更した。これにより、断裁刃の交換頻度が、従来の3,000回から2万回になり、大幅な効率化につながったという。「繁忙期は3〜4日で3,000回は使用するため、頻繁な交換は生産性にも影響を与えていたが、その煩わしさからも解放された。断裁の刃の交換がやりやすく、大型パネル内にマニュアルがあるので誰でもメンテナンスが可能」(断裁オペレーター)
同社は今回、初めて勝田断裁機を導入した訳だが、メーカーとしての評価を聞くと「営業マンの姿勢などについても、従来のメーカーよりも丁寧だと感じている」と恵利社長。取材を受けながらも黙々と断裁作業を続けるベテランオペレーターの背中からは、この道一筋で生きてきた雰囲気が滲み出ていた。
新着トピックス
共同印刷工業(京都)、安定性の高さが決め手[Revoria Press PC1120導入事例]
2024年10月9日ケーススタディ
京都を拠点に出版印刷を手がける共同印刷工業(株)(本社/京都市右京区西院清水町156-1、江戸孝典社長)は2024年3月、富士フイルムのプロダクションカラープリンター「Revoria...全文を読む
ミマキ、捺染方式を刷新 - 簡便性と汎用性の「TRAPIS」
2024年9月28日製品・テクノロジー
(株)ミマキエンジニアリング(本社/長野県東御市、池田和明社長)は、2023年6月に開催されたITMAで技術出展した「捺染顔料転写プリントシステム」を製品化し、環境と人に優しい次世代...全文を読む
最新ニュース
swissQprint、SuperGraphics社に2,000台目のプリンタ納入
2024年11月28日
swissQprintは、シアトルに本社を置くSuperGraphics社に2,000台目となるワイドフォーマットプリンタを導入した。これはswissQprintにとってのマイルスト...全文を読む
望月印刷、クラウド型バリアブルソフトを導入し属人化脱却と品質向上を実現
2024年11月28日
望月印刷(株)(東京都台東区)は、このほどコニカミノルタジャパン(株)が提供するクラウド型の可変印刷ツール「Variable Studio」を導入し、属人化脱却と品質向上を実現した。...全文を読む
SCREEN、令和6年度近畿地方発明表彰「日本弁理士会会長賞」を受賞
2024年11月18日
(株)SCREENホールディングスは、(公社)発明協会が主催する「令和6年度 近畿地方発明表彰」において「用紙蛇行に対応する印刷装置(特許第6438718号)」で「日本弁理士会会長賞」...全文を読む
丸善印刷、勝田断裁機を初導入 - POD用紙も正確に断裁
断裁位置の微調整がダイヤル式で簡単、ソフトクランプによる安全性を高く評価
2021年4月14日ケーススタディ
安心して断裁作業を行えるように
同社では、創業当初より一貫して他社メーカーの断裁機を使用していた。そんな同社が、他社メーカーへの断裁機の切り替えを検討せざるを得なくなったのには理由がある。指詰めによる「労災事故」が発生してしまったのである。
「幸いにも大事故には至らなかったが、これを機に、より安全性の高い断裁機を導入するための検討を始めた。そのような中、現場オペレーターから『勝田断裁機が安全性に優れているらしいので検討して欲しい』との要望があったことから、2020年9月のUVオフセット印刷機の導入と合わせ、勝田断裁機を導入した」(恵利社長)
同社が新たに導入したUVオフセット印刷機は、B判半裁サイズ。従来の菊半寸ノビから印刷機のサイズが大きくなったため、これに合わせて断裁機のサイズも従来の菊全対応から四六全対応に変更した。オプションのソフトクランプ機能が搭載されているため、大きな怪我を防ぐことができる。
取材当日に作業していた定年後の再雇用というベテランの断裁オペレーターは、「ソフトクランプ機能が搭載されているため、従来よりも安心して断裁作業ができるようになり、断裁作業により集中できるようになった」と、安全な作業環境により、品質と生産性にも良い影響を与えていることを評価していた。
POD用紙が伸縮しても正確な断裁が可能
POD用紙はオフセットの印刷用紙と比べ、用紙の種類によっては温度や湿度の影響を非常に受けやすいものもあるという。伸縮したPOD用紙を断裁する場合、トンボの位置も当てにならないため、オペレーターの感覚でバックゲージを微調整する必要があるようだが、「従来の断裁機はボタンで調整するタイプであったが、勝田製作所のバックゲージ調整はダイヤル式になっており、従来の断裁機よりも微調整がやりやすい」と、断裁オペレーターは評価している。
また、他社製の断裁機にはソフトクランプ機能がなかったため、強力なクランプの圧力で用紙に痕が付かないよう、クランプに「クッションバー」を取り付けていたが、これを付けるとトナーを盛られたPOD用紙の場合、表面が滑りやすく、紙がズレてしまうことでオペレーターによっては断裁品質に影響が出ることもあったようだ。ただ、この日のベテランオペレーターの場合は、「私の場合、あまり影響はなかった」ようである。
この点、ソフトクランプの場合は「クッションバー」を取り付けなくてもPOD用紙に痕が付く心配がないため、POD用紙の紙がズレることによる断裁品質への影響はなくなったようだ。
また、同社は勝田断裁機の導入と同時に、断裁刃を「硬質」のものに変更した。これにより、断裁刃の交換頻度が、従来の3,000回から2万回になり、大幅な効率化につながったという。「繁忙期は3〜4日で3,000回は使用するため、頻繁な交換は生産性にも影響を与えていたが、その煩わしさからも解放された。断裁の刃の交換がやりやすく、大型パネル内にマニュアルがあるので誰でもメンテナンスが可能」(断裁オペレーター)
同社は今回、初めて勝田断裁機を導入した訳だが、メーカーとしての評価を聞くと「営業マンの姿勢などについても、従来のメーカーよりも丁寧だと感じている」と恵利社長。取材を受けながらも黙々と断裁作業を続けるベテランオペレーターの背中からは、この道一筋で生きてきた雰囲気が滲み出ていた。
新着トピックス
-
奥村印刷、新たな価値を紙に付加〜「折り紙食器 beak」でIPA2024に入賞
2024年11月20日 企業・経営
-
価値協創で新たな潮流|エイエイピー、Jet Press 750Sが新たなステージへ
2024年11月13日 企業・経営
-
共同印刷工業(京都)、安定性の高さが決め手[Revoria Press PC1120導入事例]
2024年10月9日 ケーススタディ
-
ミマキ、捺染方式を刷新 - 簡便性と汎用性の「TRAPIS」
2024年9月28日 製品・テクノロジー
-
コダック、「ゲームチェンジャー」へ〜4つのコア技術を自社完結
2024年9月20日 製品・テクノロジースペシャリスト
新着ニュース
SNSランキング
- 84shares大阪印刷、同人誌印刷ビジネスで「圧倒的な画質」提供[AccurioJet KM-1e導入事例]
- 68sharesafter drupa 2024|富士フイルム、「Discover the difference」─過去最大規模で
- 59sharesエプソン、印刷プロセスのデジタル化をリードするFiery社を完全子会社化
- 39sharesミマキ、印刷脱色技術実用化でタペストリーのアップサイクル実現
- 38shares富士フイルムBI、モノクロ機に印刷物の検品工程を自動化する新機能搭載
- 30shares独SDVグループ、PROSPER ULTRA 520プレス欧州初採用
- 30sharesエコー(東京)、「オフセットと遜色のない品質」[Revoria Press PC1120導入事例]
- 29shares日本HP、「HP Indigo実機見学会〜都内60分でおさえるHPデジタル印刷オープンハウス」開催
- 28shares富士フイルムBI、ワークフローの新領域へ〜真の自動化によるDXを訴求
- 21sharesSCREEN、「デジタルで彩るラベルの未来」テーマにラベルフォーラムジャパン2024に出展