日本HP、進化を続けるHPのインクジェット技術
高品質化をさらに強化〜商印市場向けに販売展開を加速
2021年10月5日スペシャリスト
-
KADOKAWAの出版DX
日本国内では2012年、講談社がHP PageWide Web Pressを導入するとともに後加工システムをインライン接続し、書籍の印刷から製本までの一連の工程をワンストップで生産できるラインを構築したことが大きな話題となったが、2016年には、さらに国内出版社の1社が、導入に名乗りをあげている。それはKADOKAWAだ。
田口氏は、drupa2016において、HP PageWide Web Pressを組み入れたフルデジタル書籍生産システム導入を発表し、すでに稼働を開始しているKADOKAWAの出版DX事例として「ロウソクの科学」の重版印刷で説明する。
2019年にノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏は、受賞後のインタビューで自身が化学への興味をもった原点として小学校時代に愛読した書籍「ロウソクの科学」を紹介した。この発言を受け、KADOKAWAに同書への問い合わせが殺到するなど市場が過敏に反応した。そのためKADOKAWAは急遽、重版を決定。その生産機としてHP PageWide Web Pressが活用された。
2営業日で重版2万部を実現
具体的なタイムスケジュールとしては、吉野氏の「ロウソクの科学」が原点とのコメントから翌10日にKADOKAWA内にSlackを活用して対策本部チャネルを立ち上げ、協議を開始。同日には、緊急重版2万部の生産を開始するとともにプレスリリース配信やSNS等を活用したプロモーションを展開。そして10月15日には、書店への発送を完了している。土日祝日(10月12・13・14日)の3連休を挟んでいることから、実際には2営業日という短い期間で印刷・発送を実現している。
その後は、販売数の進捗を見据えながら小刻みに重版を重ね、2019年12月時点で14万部の重版となった。
「この事例は、単純な短納期対応ではなく、吉野氏の発言から数日で本を仕上げ、書店に置くことができたこと。つまりトレンドとなっている時期を外すことなく店頭に置くことで、書籍の販売部数にも貢献できる。これが2週間後や3週間後であれば、市場が一番反応した時期を逃してしまうので販売部数にも影響を及ぼしていたかもしれない。また、一気に大量生産する重版ではなく、販売部数の動向を注視しながら追加生産することで、在庫などの問題も解消できている」
市場トレンドに迅速に対応できる機動力
オフセット印刷機には、枚葉機と輪転機があり、今も全世界で稼働している設備である。田口氏は、改めてオフセット印刷機とデジタル印刷機のメリット・デメリットについて「大量ロットの同一絵柄印刷については、オフセット輪転機の方が圧倒的なコストメリットを提供できる生産機だと認識している」と、生産性におけるオフセット輪転機の優位性を語る一方で、デジタル印刷機の優位性として市場トレンドへの柔軟かつ迅速な対応力を挙げる。
「市場トレンドへの迅速な対応、またブランドオーナー側の意向、具体的には、ターゲットを絞った顧客へのアプローチなど日々変化するニーズに柔軟に対応できるのは、デジタル印刷機である。もちろんファーストステップとして、多くの消費者に同一内容の情報を盛り込んだ印刷物を配布し、認知度を高めていくこともマーケティングとして重要なことであり、その分野では、オフセット印刷機が優位性をもっている。つまり、すべてがオフセット、あるいはデジタルという考え方ではなく、より効果的なマーケティングを行うには、その目的とフェーズによって、どちらが適しているのかを見極めていくことが大切である」
新着トピックス
奥村印刷、新たな価値を紙に付加〜「折り紙食器 beak」でIPA2024に入賞
2024年11月20日企業・経営
奥村印刷(株)(本社/東京都北区、奥村文泰社長)は、2024年度の「Innovation Print Awards(以下、IPA)」において、「サステナビリティ部門」第1位を獲得した...全文を読む
富士フイルム、TOKYO PACKでブランドオーナーにデジタル印刷活用促す
2024年11月15日マーケティング
「もっと自由にパッケージ・オンデマンド」─富士フイルムグループは、10月23日から開催された「TOKYO PACK 2024(東京国際包装展)」において、富士フイルムが独自開発した幅...全文を読む
最新ニュース
日本HP、KADOKAWA「出版製造流通DXプロジェクト」を支援
2025年1月21日
(株)日本HP(本社/東京都港区、岡戸伸樹社長)は1月16日、(株)KADOKAWA(本社/東京都千代田区、夏野剛社長・CEO)の運営する埼玉県所沢市の大型文化複合施設「ところざわサ...全文を読む
2025年1月20日
ローランド ディー.ジー.(株)は、大判インクジェットプリンターTrueVISシリーズ「LG-640/540/300」と、DGXPRESSシリーズの「UG-642」で使用できる拡張テ...全文を読む
swissQprint、第5世代フラットベッド新モデル-生産性23%向上
2025年1月14日
swissQprintは、プラットフォームを全面的に刷新し、生産性、精度、アプリケーションの多用途性を新たなレベルへと引き上げたフラットベッド新世代モデルを発表した。新モデルは従来機...全文を読む
日本HP、進化を続けるHPのインクジェット技術
高品質化をさらに強化〜商印市場向けに販売展開を加速
2021年10月5日スペシャリスト
KADOKAWAの出版DX
日本国内では2012年、講談社がHP PageWide Web Pressを導入するとともに後加工システムをインライン接続し、書籍の印刷から製本までの一連の工程をワンストップで生産できるラインを構築したことが大きな話題となったが、2016年には、さらに国内出版社の1社が、導入に名乗りをあげている。それはKADOKAWAだ。
田口氏は、drupa2016において、HP PageWide Web Pressを組み入れたフルデジタル書籍生産システム導入を発表し、すでに稼働を開始しているKADOKAWAの出版DX事例として「ロウソクの科学」の重版印刷で説明する。
2019年にノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏は、受賞後のインタビューで自身が化学への興味をもった原点として小学校時代に愛読した書籍「ロウソクの科学」を紹介した。この発言を受け、KADOKAWAに同書への問い合わせが殺到するなど市場が過敏に反応した。そのためKADOKAWAは急遽、重版を決定。その生産機としてHP PageWide Web Pressが活用された。
2営業日で重版2万部を実現
具体的なタイムスケジュールとしては、吉野氏の「ロウソクの科学」が原点とのコメントから翌10日にKADOKAWA内にSlackを活用して対策本部チャネルを立ち上げ、協議を開始。同日には、緊急重版2万部の生産を開始するとともにプレスリリース配信やSNS等を活用したプロモーションを展開。そして10月15日には、書店への発送を完了している。土日祝日(10月12・13・14日)の3連休を挟んでいることから、実際には2営業日という短い期間で印刷・発送を実現している。
その後は、販売数の進捗を見据えながら小刻みに重版を重ね、2019年12月時点で14万部の重版となった。
「この事例は、単純な短納期対応ではなく、吉野氏の発言から数日で本を仕上げ、書店に置くことができたこと。つまりトレンドとなっている時期を外すことなく店頭に置くことで、書籍の販売部数にも貢献できる。これが2週間後や3週間後であれば、市場が一番反応した時期を逃してしまうので販売部数にも影響を及ぼしていたかもしれない。また、一気に大量生産する重版ではなく、販売部数の動向を注視しながら追加生産することで、在庫などの問題も解消できている」
市場トレンドに迅速に対応できる機動力
オフセット印刷機には、枚葉機と輪転機があり、今も全世界で稼働している設備である。田口氏は、改めてオフセット印刷機とデジタル印刷機のメリット・デメリットについて「大量ロットの同一絵柄印刷については、オフセット輪転機の方が圧倒的なコストメリットを提供できる生産機だと認識している」と、生産性におけるオフセット輪転機の優位性を語る一方で、デジタル印刷機の優位性として市場トレンドへの柔軟かつ迅速な対応力を挙げる。
「市場トレンドへの迅速な対応、またブランドオーナー側の意向、具体的には、ターゲットを絞った顧客へのアプローチなど日々変化するニーズに柔軟に対応できるのは、デジタル印刷機である。もちろんファーストステップとして、多くの消費者に同一内容の情報を盛り込んだ印刷物を配布し、認知度を高めていくこともマーケティングとして重要なことであり、その分野では、オフセット印刷機が優位性をもっている。つまり、すべてがオフセット、あるいはデジタルという考え方ではなく、より効果的なマーケティングを行うには、その目的とフェーズによって、どちらが適しているのかを見極めていくことが大切である」
新着トピックス
-
FFGS、潜在ニーズ発見と技術検証の場として機能[Solution Design Lab.]
2024年12月23日 企業・経営
-
竹田印刷、多様な個性をかたちに〜アール・ブリュット作品を世界に発信
2024年12月6日 企業・経営
-
奥村印刷、新たな価値を紙に付加〜「折り紙食器 beak」でIPA2024に入賞
2024年11月20日 企業・経営
-
富士フイルム、TOKYO PACKでブランドオーナーにデジタル印刷活用促す
2024年11月15日 マーケティング
-
価値協創で新たな潮流|エイエイピー、Jet Press 750Sが新たなステージへ
2024年11月13日 企業・経営
新着ニュース
SNSランキング
- 41sharesローランドDG、UVプリンターが紙器パッケージ製作に対応
- 39sharesSCREEN、Hunkeler Innovationdaysでインクジェットと後加工機の連携披露
- 39sharesミマキ、印刷脱色技術実用化でタペストリーのアップサイクル実現
- 38sharesKOMORI、241名が来場した新春特別内覧会のデモ動画(Impremia IS29s」公開
- 36sharesエプソン、使いやすさと安定稼働を両立したエプソン初のDTF専用プリンター発売
- 33sharesFFGS、潜在ニーズ発見と技術検証の場として機能[Solution Design Lab.]
- 29sharesKOMORI、インクジェット印刷機とデジタル加飾機の連携披露
- 26sharesミヤコシ、軟包装向け水性インクジェット「MJP ADVANCED 45X for FILM」発表
- 25shares富士フイルムBI、デジタル印刷作品のコンテスト「IPA」の作品募集開始
- 25sharesSCREEN GA、高速連帳IJの次世代モデル「Truepress JET 520NX AD」発売