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エイエイピー、色安定性・広色域で新たな需要創出に成功[Jet Press 750S 導入事例]

作業効率・生産性が一段と高まり、より人を活かしやすい環境に

2021年12月17日ケーススタディ

高い再現性・安定性から、オフセットジョブの置き換えとして活用し、短納期化実現

 そんな同社が初めにJet Pressに着目したのは、従来使用していた本紙対応のデジタルプルーファーが生産中止になり、その代替機を検討しているときだった。印刷現場の技術・品質管理責任者である狩野部長はこう振り返る。

 「色に厳しく本機校正を要望されるお客さまが多かったため、オフセットに近い再現性を持ち、かつ色の安定性に優れた出力機として、デジタル印刷機を検討していた」

 そんな中、狩野部長は、ある協力会社のJet Pressで出力した校正を確認した際、同社の要件を満たす品質だという印象を持ったという。また、クライアントから「園児が描いた約100種類の絵をB3サイズのポスターとして各2部ずつ印刷して飾りたい」という依頼を受けた際、Jet Pressを導入していた別の協力会社に相談したところ、印刷品質・コストとも納得のいく結果を得ることができた。こうしたことから狩野部長は、生産機としてのJet Press 750Sに興味を持ったという。その後、既存設備の老朽化や今後の生産体制、将来の工場のあるべき姿を考える中で、オフセット印刷機の代替機として、デジタル印刷機を本格検討することになった。

 「オフセット印刷の仕事を置き換えられることに加えて、バリアブルや高品質かつ小ロットといったオフセットではできなかった仕事が可能になり、これまで当社では扱ってこなかった紙製品、印刷商品の幅を広げられるのではないかと考えた」(狩野部長)

左から、土屋専務、稲木事業部長、狩野部長

 導入にあたっては、Jet Press 750Sを含めて3機種のB2サイズ枚葉デジタル印刷機を比較検討したが、他社機種には、面内ムラや、スジの発生が解消できないなどの課題があった。しかし、Jet Press 750Sは、高精度なスジ検知・ノズル補正機能などにより、スジやムラなどの現象は見られず、また色の安定性も最も高かったことから導入を決定した。

 「オフセット印刷機とのカラーマッチングのとりやすさも決め手の一つ。クライアントの期待に応えられる品質と判断した」(狩野部長)

 実際に導入後、オフセット印刷の仕事をJet Press 750Sに置き換える取り組みが進んでいる。1,000部、2,000部といった小ロットの仕事にJet Pressを活用することで、刷版や前準備作業を削減でき、生産効率を高めているのだ。

 短納期対応力の向上にも大きく寄与している。本機校正を望むクライアントが多く、以前は午前中に数台の印刷機が本機校正の対応となり、生産性を落としていた。現在は、夜に受けたデータをJet Press 750Sで朝までに出力し、翌日午前中には発送することが可能となった。

 「印刷後の発送まで含めた効率化が図れたことで、短納期の要望にも確実に対応できるようになっている」(狩野部長)

働き方改革、人材確保・育成にも大きなメリット

 さらに、同社がJet Press 750Sの導入を決めた背景には、印刷現場の労働環境改善や働き方改革、機長の育成時間の短縮などへの期待もあった。数名いるベテランのオフセット機長が定年を控えている一方、若手の人材確保が課題になっていたためである。

 「若手人材から見てオフセット印刷の現場はやはり重労働だし、機長として独り立ちするのに5年ぐらいはかかる。こうした人材育成面の課題も何とかしたいと考えていた」(狩野部長)

 Jet Press 750Sの導入時は、富士フイルムビジネスイノベーションの「Iridesse Production Press」を運用している製版部門で管理するか、印刷部門で管理するかを検討したとのことだが、今後の展開を考えると印刷オペレーターも上流工程からデジタルに関わっていく方が良いと判断し、印刷担当者から2名、製版経験者から3名の融合部隊での運用を決めたという。これにより、Jet Press、Iridesse、オフセット機をすべて扱えるマルチタスク人材の育成を目指す。

事業本部にはIridesse Production Pressも導入

 Jet Press 750Sの導入後、従来数名の専任者を置いていた刷版工程についてもJet PressとCTPの兼任とするなど、CTP出力の無人化も進んだ。また、Jet Press 750Sは機械トラブルがオフセット機と比べて圧倒的に少なく、計画的に業務を完了できるため、残業時間が減ったり有給休暇も取得しやすくなるなど、現場社員のワークライフバランスが改善している。

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高い再現性・安定性から、オフセットジョブの置き換えとして活用し、短納期化実現

 そんな同社が初めにJet Pressに着目したのは、従来使用していた本紙対応のデジタルプルーファーが生産中止になり、その代替機を検討しているときだった。印刷現場の技術・品質管理責任者である狩野部長はこう振り返る。

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 そんな中、狩野部長は、ある協力会社のJet Pressで出力した校正を確認した際、同社の要件を満たす品質だという印象を持ったという。また、クライアントから「園児が描いた約100種類の絵をB3サイズのポスターとして各2部ずつ印刷して飾りたい」という依頼を受けた際、Jet Pressを導入していた別の協力会社に相談したところ、印刷品質・コストとも納得のいく結果を得ることができた。こうしたことから狩野部長は、生産機としてのJet Press 750Sに興味を持ったという。その後、既存設備の老朽化や今後の生産体制、将来の工場のあるべき姿を考える中で、オフセット印刷機の代替機として、デジタル印刷機を本格検討することになった。

 「オフセット印刷の仕事を置き換えられることに加えて、バリアブルや高品質かつ小ロットといったオフセットではできなかった仕事が可能になり、これまで当社では扱ってこなかった紙製品、印刷商品の幅を広げられるのではないかと考えた」(狩野部長)

左から、土屋専務、稲木事業部長、狩野部長

 導入にあたっては、Jet Press 750Sを含めて3機種のB2サイズ枚葉デジタル印刷機を比較検討したが、他社機種には、面内ムラや、スジの発生が解消できないなどの課題があった。しかし、Jet Press 750Sは、高精度なスジ検知・ノズル補正機能などにより、スジやムラなどの現象は見られず、また色の安定性も最も高かったことから導入を決定した。

 「オフセット印刷機とのカラーマッチングのとりやすさも決め手の一つ。クライアントの期待に応えられる品質と判断した」(狩野部長)

 実際に導入後、オフセット印刷の仕事をJet Press 750Sに置き換える取り組みが進んでいる。1,000部、2,000部といった小ロットの仕事にJet Pressを活用することで、刷版や前準備作業を削減でき、生産効率を高めているのだ。

 短納期対応力の向上にも大きく寄与している。本機校正を望むクライアントが多く、以前は午前中に数台の印刷機が本機校正の対応となり、生産性を落としていた。現在は、夜に受けたデータをJet Press 750Sで朝までに出力し、翌日午前中には発送することが可能となった。

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 「若手人材から見てオフセット印刷の現場はやはり重労働だし、機長として独り立ちするのに5年ぐらいはかかる。こうした人材育成面の課題も何とかしたいと考えていた」(狩野部長)

 Jet Press 750Sの導入時は、富士フイルムビジネスイノベーションの「Iridesse Production Press」を運用している製版部門で管理するか、印刷部門で管理するかを検討したとのことだが、今後の展開を考えると印刷オペレーターも上流工程からデジタルに関わっていく方が良いと判断し、印刷担当者から2名、製版経験者から3名の融合部隊での運用を決めたという。これにより、Jet Press、Iridesse、オフセット機をすべて扱えるマルチタスク人材の育成を目指す。

事業本部にはIridesse Production Pressも導入

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