メディック、商業施設の「賑わい空間づくり」に貢献
インク濃度を「出せる」〜リジッド対応で新領域へ
ワイドフォーマットUVインクジェット Acuity LED 1600II 導入事例
2022年6月22日ケーススタディ
-
「ラミネートなし」が可能になったインクの密着性
同社が新たな出力デバイスとして、「Acuity LED 1600II」を導入したのは昨年8月。同時に他のプリンタおよび関連設備も一新し、現在の生産設備は、UV機2台、溶剤系1台、ラミネーター2台、カッティングプロッタ1台となっており、プリンタに関しては4台から3台体制に移行している。
この設備集約は、以前、幅広の溶剤系プリンタで出力していた大型の懸垂幕を、縫製作業も含めて一貫生産できる協力会社への外部委託に切り換えたことによるもの。現在「Acuity LED 1600II」を含む2台が1,600ミリ幅で、ラミネーターも1台は1,600ミリ幅仕様となっている。
「Acuity LED 1600II」の導入は、既設機の老朽化にともなう更新需要。従来機がハイスペックだったため、更新機も「品質を担保しつつも生産性を確保できるもの」が第1条件となった。その機種選択において同社が出した答えが「Acuity LED 1600II」だったわけだ。
機種選択において宮﨑社長は、「決断には、それほど時間は掛からなかった。それまで富士フイルムとの取引はなかったが、スペックもさることながら、プリンタ分野における実績とブランド力が我々の背中を押した」(宮﨑社長)
「Acuity LED 1600II」は、ロールやシート、リジッドメディアに対応するワイドフォーマットLED UVインクジェットプリンタ。33平方メートル/時の高速出力モードを搭載し、ホワイト+クリアの2層プリント、カラー+ホワイト+クリアの3層プリントが可能である。
フラットベッドタイプも視野に入れながらもスペースの問題で断念せざるを得なかった同社にとって、リジッドメディアへの対応を可能にする着脱可能なサポートテーブルの標準装備は、機種決定のひとつの要素となったようだ。このサポートテーブルをセットすれば、スチレンボード、コートボール紙など、厚さ5〜7ミリ程度までの軽量リジッドメディアへの出力が可能となる。
「先日、フォトプロップス百数十枚のオーダーを受けて、サポートテーブルを活用してみた。『貼り込み』といった中間工程を省けるメリットは非常に大きい」(宮﨑社長)
また、「Acuity LED 1600II」の運用に携わるPOP課の山内美幸課長は「従来、塩ビシートをスチレンパネルに貼ってからカットするため、カーブの部分の塩ビシートが縒れてしまうことがあった。サポートテーブルを使ったダイレクトプリントなら貼りの工程がない分、カーブが綺麗に切れる。これは思わぬ収穫だった」と評価している。
一方、ロールメディアについては「ラミネートなし」が可能になった。「以前から即乾性のUV機ならラミネートが不要になると考えていたが、これまでのUV機では、どうしてもインクが剥がれやすくラミネートせざるを得なかった。ラミネート工程を省けるということは、作業効率はもちろん、フィルムの静電気による小さな埃の混入を防げる。このリスクが減ることは非常に大きなメリット」(山内課長)
また、品質について山内課長は「UV機特有の粒状感が抑えられている。品質的に非常に魅力的な特長である」と評価する。
心強いインク濃度のポテンシャル
山内課長は、「Acuity LED 1600II」の優位性として「インク濃度を出せる」という点にも注目している。
「コストとのバランスもあるが、『濃度を出せる』というポテンシャルはオペレータにとって非常に心強い。とくに切り抜きシートのようなデザインをインクジェットで出力した際は、白の濃度が薄いとインパクトに欠ける表現になってしまう。この課題に対し、以前は2層印刷で対応していたが、Acuity LED 1600IIなら白の濃度を上げることでカバーでき、作業時間の短縮に大きく寄与する。使い方次第で非常に自由度を持たせた運用が可能になる」(山内課長)
インクの密着性をはじめ、インク濃度調整の自由度、リジッドメディアにも対応する汎用性などを評価する山内課長。富士フイルムのサポート体制についても、知識および機動力いずれも「◎」の評価を示している。
今後の運用面における目標については、「クリアインクの活用」と「リジッドメディアへの挑戦」を挙げている。
「クリアインクについては、現在は用途開発の段階。目隠しのような機能で使えたらおもしろいが、コロナ禍の現在では、『アルコールで拭く』とうことも想定され、難しい。一方、リジッドメディアではスチレンパネル以外にも、例えばアクリル板へのダイレクト印刷などにもチャレンジしたい」(山内課長)
今後の事業展開について宮﨑社長は、「当社にはデザインチームもある。単に受注したものを製造するのではなく、自社開発商品の販売というビジネスモデルにも挑戦したい」と語る。
「増え続けていた商業施設の数がついに減少に転じたと聞いている。我々はこの商業施設の販売促進という事業で育てていただいた恩がある。今後も我々の技術、設備でショッピングセンターを快適で楽しい場所に演出し、たくさんの人が集まる『賑わい空間づくり』に貢献していきたい」(宮﨑社長)
新着トピックス
-
企業・経営 FFGS、持続可能な印刷産業を目指すために - 最優先課題は「人材育成」
-
ケーススタディ クリエイト、紙袋分野でIndigo 10000 CPOモデル導入[HP認定中古機販売プログラム活用]
インタビュー|Koenig&Bauer、大きなポテンシャル秘めるデジタル印刷市場
2022年8月3日スペシャリスト
印刷機メーカーとして世界でもっとも長い歴史を持つドイツ・Koenig&Bauer社。200年以上にわたって革新的な技術やオーダーメイドのプロセス、そして多彩なサービスプログラムによっ...全文を読む
-
エスコグラフィックス、パッケージデザイン制作を「Studio」で効率化
2022年7月1日製品・テクノロジー
エスコグラフィックス(株)(本社/東京都江東区)は、パッケージデザイン制作の効率化の手段としてデザイナー、トレードショップ、コンバーター向け3Dパッケージングソフトウェア「Studi...全文を読む
最新ニュース
KOMORI、29インチ枚葉UVインクジェット「インプレミアIS29s」のデモ動画を公開
2022年8月9日
(株)小森コーポレーションが運営するYouTubeチャンネル「Komori Japan」では、新たな動画コンテンツとして「2022 KOMORI特別内覧会 インプレミアIS29s」の配...全文を読む
ミマキ、長野・佐久市「デジファブパーク」に3Dプリンタで展示協力
2022年7月26日
(株)ミマキエンジニアリング(本社/長野県東御市、池田和明社長)は、7月23日から9月4日にかけて、佐久市子ども未来館(長野県)で開催される「デジファブパーク」に展示協力し、フルカラ...全文を読む
日本HP、クリエイトに「HP Indigo 10000 CPOデジタル印刷機」を納入
2022年7月21日
(株)日本HP(本社/東京都港区、岡戸伸樹社長)は、紙袋の製造、販売を行う(株)クリエイト(本社/大阪府大阪市、谷元進社長、以下「クリエイト」)が、B2対応デジタル印刷機「HP In...全文を読む
メディック、商業施設の「賑わい空間づくり」に貢献
インク濃度を「出せる」〜リジッド対応で新領域へ ワイドフォーマットUVインクジェット Acuity LED 1600II 導入事例
2022年6月22日ケーススタディ
「ラミネートなし」が可能になったインクの密着性
同社が新たな出力デバイスとして、「Acuity LED 1600II」を導入したのは昨年8月。同時に他のプリンタおよび関連設備も一新し、現在の生産設備は、UV機2台、溶剤系1台、ラミネーター2台、カッティングプロッタ1台となっており、プリンタに関しては4台から3台体制に移行している。
この設備集約は、以前、幅広の溶剤系プリンタで出力していた大型の懸垂幕を、縫製作業も含めて一貫生産できる協力会社への外部委託に切り換えたことによるもの。現在「Acuity LED 1600II」を含む2台が1,600ミリ幅で、ラミネーターも1台は1,600ミリ幅仕様となっている。
「Acuity LED 1600II」の導入は、既設機の老朽化にともなう更新需要。従来機がハイスペックだったため、更新機も「品質を担保しつつも生産性を確保できるもの」が第1条件となった。その機種選択において同社が出した答えが「Acuity LED 1600II」だったわけだ。
機種選択において宮﨑社長は、「決断には、それほど時間は掛からなかった。それまで富士フイルムとの取引はなかったが、スペックもさることながら、プリンタ分野における実績とブランド力が我々の背中を押した」(宮﨑社長)
「Acuity LED 1600II」は、ロールやシート、リジッドメディアに対応するワイドフォーマットLED UVインクジェットプリンタ。33平方メートル/時の高速出力モードを搭載し、ホワイト+クリアの2層プリント、カラー+ホワイト+クリアの3層プリントが可能である。
フラットベッドタイプも視野に入れながらもスペースの問題で断念せざるを得なかった同社にとって、リジッドメディアへの対応を可能にする着脱可能なサポートテーブルの標準装備は、機種決定のひとつの要素となったようだ。このサポートテーブルをセットすれば、スチレンボード、コートボール紙など、厚さ5〜7ミリ程度までの軽量リジッドメディアへの出力が可能となる。
「先日、フォトプロップス百数十枚のオーダーを受けて、サポートテーブルを活用してみた。『貼り込み』といった中間工程を省けるメリットは非常に大きい」(宮﨑社長)
また、「Acuity LED 1600II」の運用に携わるPOP課の山内美幸課長は「従来、塩ビシートをスチレンパネルに貼ってからカットするため、カーブの部分の塩ビシートが縒れてしまうことがあった。サポートテーブルを使ったダイレクトプリントなら貼りの工程がない分、カーブが綺麗に切れる。これは思わぬ収穫だった」と評価している。
一方、ロールメディアについては「ラミネートなし」が可能になった。「以前から即乾性のUV機ならラミネートが不要になると考えていたが、これまでのUV機では、どうしてもインクが剥がれやすくラミネートせざるを得なかった。ラミネート工程を省けるということは、作業効率はもちろん、フィルムの静電気による小さな埃の混入を防げる。このリスクが減ることは非常に大きなメリット」(山内課長)
また、品質について山内課長は「UV機特有の粒状感が抑えられている。品質的に非常に魅力的な特長である」と評価する。
心強いインク濃度のポテンシャル
山内課長は、「Acuity LED 1600II」の優位性として「インク濃度を出せる」という点にも注目している。
「コストとのバランスもあるが、『濃度を出せる』というポテンシャルはオペレータにとって非常に心強い。とくに切り抜きシートのようなデザインをインクジェットで出力した際は、白の濃度が薄いとインパクトに欠ける表現になってしまう。この課題に対し、以前は2層印刷で対応していたが、Acuity LED 1600IIなら白の濃度を上げることでカバーでき、作業時間の短縮に大きく寄与する。使い方次第で非常に自由度を持たせた運用が可能になる」(山内課長)
インクの密着性をはじめ、インク濃度調整の自由度、リジッドメディアにも対応する汎用性などを評価する山内課長。富士フイルムのサポート体制についても、知識および機動力いずれも「◎」の評価を示している。
今後の運用面における目標については、「クリアインクの活用」と「リジッドメディアへの挑戦」を挙げている。
「クリアインクについては、現在は用途開発の段階。目隠しのような機能で使えたらおもしろいが、コロナ禍の現在では、『アルコールで拭く』とうことも想定され、難しい。一方、リジッドメディアではスチレンパネル以外にも、例えばアクリル板へのダイレクト印刷などにもチャレンジしたい」(山内課長)
今後の事業展開について宮﨑社長は、「当社にはデザインチームもある。単に受注したものを製造するのではなく、自社開発商品の販売というビジネスモデルにも挑戦したい」と語る。
「増え続けていた商業施設の数がついに減少に転じたと聞いている。我々はこの商業施設の販売促進という事業で育てていただいた恩がある。今後も我々の技術、設備でショッピングセンターを快適で楽しい場所に演出し、たくさんの人が集まる『賑わい空間づくり』に貢献していきたい」(宮﨑社長)
新着トピックス
-
FFGS、持続可能な印刷産業を目指すために - 最優先課題は「人材育成」
2022年8月9日 企業・経営
-
クリエイト、紙袋分野でIndigo 10000 CPOモデル導入[HP認定中古機販売プログラム活用]
2022年8月8日 ケーススタディ
-
インタビュー|Koenig&Bauer、大きなポテンシャル秘めるデジタル印刷市場
2022年8月3日 スペシャリスト
-
エスコグラフィックス、パッケージデザイン制作を「Studio」で効率化
2022年7月1日 製品・テクノロジー
-
シンク・ラボラトリー、ブランドオーナーも認める印刷品質を「FXIJ」で実現
2022年6月30日 製品・テクノロジー
新着ニュース
SNSランキング
- 240shares国府印刷社、デジタル加飾で自由度の高いメタリック表現を実現
- 103sharesクリエイト、紙袋分野でIndigo 10000 CPOモデル導入[HP認定中古機販売プログラム活用]
- 95sharesコームラ、オールデジタル印刷化で業績V字回復 - FFGS「最適生産ソリューション」先行事例
- 68shares新星社西川印刷、立体表現で新事業領域へ - 創造力に寄り添う大判インクジェット事業
- 51sharesシンク・ラボラトリー、ブランドオーナーも認める印刷品質を「FXIJ」で実現
- 45sharesswissQprint Japan、フラットベッド第4世代が日本上陸
- 42sharesSCREEN GP ジャパン、ホワイトカンバスMON-NAKAに「Xeikon SX30000」を国内初設置
- 35shares樋口印刷所(大阪)、発注者の「妥協」を払拭[Jet Press導入事例]
- 34sharesヤマテ・サイン、瞬発力強化で利益率向上 - 特殊印刷機能で「平米単価」脱却へ
- 30sharesエプソン、インクジェットデジタル捺染機Monna Lisa「ML-64000」発売