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インタビュー|Koenig&Bauer、大きなポテンシャル秘めるデジタル印刷市場

日本での事業規模2倍へ〜パッケージ印刷分野に強み

2022年8月3日スペシャリスト

 印刷機メーカーとして世界でもっとも長い歴史を持つドイツ・Koenig&Bauer社。200年以上にわたって革新的な技術やオーダーメイドのプロセス、そして多彩なサービスプログラムによって世界の印刷産業をサポートしている。その製品ポートフォリオは、オフセット枚葉機、オフ輪機、フレキソ印刷機、水なし印刷機、凹版印刷機、スクリーン印刷機、そしてデジタルインクジェット印刷機などで、事実上ほぼすべての印刷分野に対応した産業用印刷機を開発・製造し、とくにパッケージ印刷分野に強みを持つ。2021年度現在、全世界で5,397人の従業員を擁し、11億1,600万ユーロの売上高を記録している。

 日本市場においては、2012年に日本法人「Koenig&Bauer JP(株)」を開設。パッケージ印刷向けを中心にオフセット枚葉機「Rapida」シリーズの納入で実績をあげている。

 今回、Koenig&Bauer社の5人の取締役のひとりで、Digital&Webfedを担当するクリストファ・ミュラー氏の来日を受けてインタビューを企画。日本におけるデジタル印刷市場の可能性を聞くとともに、今年3月に日本法人のマネージングディレクターに就任したアンドレアス・フリードリヒ社長に同席いただき、今後の日本市場での展開について聞いた。

Koenig&Bauer社・ミュラー氏(左)とKoenig&Bauer JP・フリードリヒ氏


「スマートパッケージング」が成長

Koenig&Bauer社 エグゼクティブボードメンバー クリストファ・ミュラー氏

─今回の来日の目的をお聞かせ下さい。

ミュラー氏 私はDigital&Webfed部門において、ダンボールやフレキソ印刷、デジタル印刷、新聞、商業オフ輪などの分野を統括しており、おかげさまで非常に忙しくさせていただいている。今回の来日は、その中でもシングルパスのデジタル印刷機の紹介とそのマーケットのポテンシャルを訴求することが目的である。

 私は昔、日本で商業印刷向けおよびパッケージ印刷向けにグラビア印刷機を販売していた経験もあり、日本との関わりも長く、私自身、日本が大好きである。

 そんな日本において、Koenig&Bauer社が幅2m以上にもなる世界最大級のシングルパスデジタル印刷機を製造していることがあまり知られていない。今回はこれらデジタル印刷機が活躍できるであろう日本のデジタル印刷市場の展望について語りたい。

─欧米のデジタル印刷市場の現状やトレンドについてお聞かせ下さい。

ミュラー氏 欧米では消費者のニーズが細分化あるいは多様化するなかで、印刷物への需要も小ロット化が急速に進み、デジタル印刷でしか対応できないものも多い。そこで重要視されるのは、TCO(Total Cost of Ownership:総保有コスト)である。

 米国に本社を置く容器包装ソリューションの世界的な企業であるテトラパック社は、液体飲料用のパッケージを製造しており、ここでは様々な形状の飲料用パッケージが存在するため、デジタル印刷技術を活用している。例えばミルクひとつを取っても、昔はパッケージ形状も単一だったが、いまではその特性や成分などに応じて様々な形状やデザインがある。ソフトドリンクなどもそうで、結果、生産ロットは少なくなっているものの全体の生産量は増加している。こうなると当然のことながら版を必要とするオフセット印刷ではコストと時間がかかってしまう。このような需要の中ではデジタル印刷が強力な優位性を発揮する。

 決してオフセット印刷のすべてがデジタル印刷に置き換わるということではない。このように消費者ニーズの多様化がもたらす小ロット多品種化によって、今後もデジタル印刷はオフセット印刷を補完する形で成長していくということだ。

 さらに、デジタル印刷分野の成長の種は「スマートパッケージング」にもある。「スマートパッケージング」とは、新技術や配慮されたデザインによって機能を向上させ、消費者に付加価値を提供する包装システムのこと。デジタル印刷されたバーコードやQRコードによって消費者との新たなコミュニケーションが可能になる。

 また、デジタル印刷でもうひとつ代表的な活用事例としては、書籍印刷における「在庫レス」へのアプローチもある。

─現在の日本のデジタル印刷市場をどのように見ていますか。

ミュラー氏 非常に大きなポテンシャルがあると考えており、決してデジタル印刷が遅れているとは思わない。すでに装飾や壁紙の世界で大型機の運用事例もある。ただ、シングルパスデジタル印刷機によるビジネスモデルを理解し、その製造プロセス全体を変えるためには時間がかかるということだと認識している。

─その市場に対して提案するKoenig&Bauer社の製品群をご紹介下さい。

ミュラー氏 シングルパスインクジェットデジタル印刷機のラインアップとしては、輪転タイプの「RotaJET」と枚葉タイプの「VariJET」、さらに段ボール印刷向けとしては、「CorruJET」をラインアップしている。インクジェットヘッドには、すべて富士フイルムの「SAMBAヘッド」を採用している。

RotaJET

VariJET106

CorruJET

 「RotaJET」は最大2.8m幅までの印刷に対応し、270m/分の印刷スピードを誇る。とくに20gの薄紙から450gの厚紙まで幅広い用紙に対応する汎用性の高さから装飾分野のみならずパッケージ分野に活躍の場を広げている。

 一方、「VariJET」はダースト社とのジョイントベンチャーによって開発されたもので、筐体には枚葉オフセット印刷機「Rapida」が採用されている。

─では、最後に日本の印刷業界に向けてメッセージをお願いします。

ミュラー氏 すでに日本でも大手企業がパッケージ分野でデジタル印刷を活用しており、我々の技術をベースとした高速インクジェット輪転印刷機も稼働している。

 デジタル印刷を理解するには時間が掛かるが、多くの可能性を秘めている。日本の印刷業界でも「デジタル印刷機で何ができるか」を模索して欲しい。将来的には、必ずオフセットとデジタルの併用で業界は成り立っていくと考えている。

 Koenig&Bauer社は、業界における歴史と伝統とともに、デジタル印刷分野でも最先端を走っている。「RotaJET」が日本のどこかで稼働開始するのも、そう遠くない話だと自信を持っている。

─ありがとうございました。

次ページに続く

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 印刷機メーカーとして世界でもっとも長い歴史を持つドイツ・Koenig&Bauer社。200年以上にわたって革新的な技術やオーダーメイドのプロセス、そして多彩なサービスプログラムによって世界の印刷産業をサポートしている。その製品ポートフォリオは、オフセット枚葉機、オフ輪機、フレキソ印刷機、水なし印刷機、凹版印刷機、スクリーン印刷機、そしてデジタルインクジェット印刷機などで、事実上ほぼすべての印刷分野に対応した産業用印刷機を開発・製造し、とくにパッケージ印刷分野に強みを持つ。2021年度現在、全世界で5,397人の従業員を擁し、11億1,600万ユーロの売上高を記録している。

 日本市場においては、2012年に日本法人「Koenig&Bauer JP(株)」を開設。パッケージ印刷向けを中心にオフセット枚葉機「Rapida」シリーズの納入で実績をあげている。

 今回、Koenig&Bauer社の5人の取締役のひとりで、Digital&Webfedを担当するクリストファ・ミュラー氏の来日を受けてインタビューを企画。日本におけるデジタル印刷市場の可能性を聞くとともに、今年3月に日本法人のマネージングディレクターに就任したアンドレアス・フリードリヒ社長に同席いただき、今後の日本市場での展開について聞いた。

Koenig&Bauer社・ミュラー氏(左)とKoenig&Bauer JP・フリードリヒ氏


「スマートパッケージング」が成長

Koenig&Bauer社 エグゼクティブボードメンバー クリストファ・ミュラー氏

─今回の来日の目的をお聞かせ下さい。

ミュラー氏 私はDigital&Webfed部門において、ダンボールやフレキソ印刷、デジタル印刷、新聞、商業オフ輪などの分野を統括しており、おかげさまで非常に忙しくさせていただいている。今回の来日は、その中でもシングルパスのデジタル印刷機の紹介とそのマーケットのポテンシャルを訴求することが目的である。

 私は昔、日本で商業印刷向けおよびパッケージ印刷向けにグラビア印刷機を販売していた経験もあり、日本との関わりも長く、私自身、日本が大好きである。

 そんな日本において、Koenig&Bauer社が幅2m以上にもなる世界最大級のシングルパスデジタル印刷機を製造していることがあまり知られていない。今回はこれらデジタル印刷機が活躍できるであろう日本のデジタル印刷市場の展望について語りたい。

─欧米のデジタル印刷市場の現状やトレンドについてお聞かせ下さい。

ミュラー氏 欧米では消費者のニーズが細分化あるいは多様化するなかで、印刷物への需要も小ロット化が急速に進み、デジタル印刷でしか対応できないものも多い。そこで重要視されるのは、TCO(Total Cost of Ownership:総保有コスト)である。

 米国に本社を置く容器包装ソリューションの世界的な企業であるテトラパック社は、液体飲料用のパッケージを製造しており、ここでは様々な形状の飲料用パッケージが存在するため、デジタル印刷技術を活用している。例えばミルクひとつを取っても、昔はパッケージ形状も単一だったが、いまではその特性や成分などに応じて様々な形状やデザインがある。ソフトドリンクなどもそうで、結果、生産ロットは少なくなっているものの全体の生産量は増加している。こうなると当然のことながら版を必要とするオフセット印刷ではコストと時間がかかってしまう。このような需要の中ではデジタル印刷が強力な優位性を発揮する。

 決してオフセット印刷のすべてがデジタル印刷に置き換わるということではない。このように消費者ニーズの多様化がもたらす小ロット多品種化によって、今後もデジタル印刷はオフセット印刷を補完する形で成長していくということだ。

 さらに、デジタル印刷分野の成長の種は「スマートパッケージング」にもある。「スマートパッケージング」とは、新技術や配慮されたデザインによって機能を向上させ、消費者に付加価値を提供する包装システムのこと。デジタル印刷されたバーコードやQRコードによって消費者との新たなコミュニケーションが可能になる。

 また、デジタル印刷でもうひとつ代表的な活用事例としては、書籍印刷における「在庫レス」へのアプローチもある。

─現在の日本のデジタル印刷市場をどのように見ていますか。

ミュラー氏 非常に大きなポテンシャルがあると考えており、決してデジタル印刷が遅れているとは思わない。すでに装飾や壁紙の世界で大型機の運用事例もある。ただ、シングルパスデジタル印刷機によるビジネスモデルを理解し、その製造プロセス全体を変えるためには時間がかかるということだと認識している。

─その市場に対して提案するKoenig&Bauer社の製品群をご紹介下さい。

ミュラー氏 シングルパスインクジェットデジタル印刷機のラインアップとしては、輪転タイプの「RotaJET」と枚葉タイプの「VariJET」、さらに段ボール印刷向けとしては、「CorruJET」をラインアップしている。インクジェットヘッドには、すべて富士フイルムの「SAMBAヘッド」を採用している。

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 一方、「VariJET」はダースト社とのジョイントベンチャーによって開発されたもので、筐体には枚葉オフセット印刷機「Rapida」が採用されている。

─では、最後に日本の印刷業界に向けてメッセージをお願いします。

ミュラー氏 すでに日本でも大手企業がパッケージ分野でデジタル印刷を活用しており、我々の技術をベースとした高速インクジェット輪転印刷機も稼働している。

 デジタル印刷を理解するには時間が掛かるが、多くの可能性を秘めている。日本の印刷業界でも「デジタル印刷機で何ができるか」を模索して欲しい。将来的には、必ずオフセットとデジタルの併用で業界は成り立っていくと考えている。

 Koenig&Bauer社は、業界における歴史と伝統とともに、デジタル印刷分野でも最先端を走っている。「RotaJET」が日本のどこかで稼働開始するのも、そう遠くない話だと自信を持っている。

─ありがとうございました。

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