サンエムカラー、「高精細印刷の匠」が展開するインクジェットビジネス
「技術」と「感性」で運用〜高濃度で広いダイナミックレンジ
[枚葉IJデジタルプレスJet Press 750S導入事例]
2022年9月30日ケーススタディ
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合格品質は100点満点中110点以上
JetPressの運用に関して同社ではデフォルト設定を一切使わない。印刷データとICCプロファイルを絵柄や仕様によって作り込み、さらにJetPress側に用意されている出力パラメーターを動かすことで「最も濃度が上がる設定」を探るという作業が繰り返される。
「安定したワークフローで工業製品を作るのも大事だが、我々はもう一段階上のレベルを要求される。そこでも『感性』が必要になる」(大畑マネージャー)
また、同社取締役の井上泰営業本部長も「サンエムカラーが評価する合格品質は、100点満点中110点以上。『いままでなかったもの』『顧客の期待以上のもの』を提供するのがサンエムカラーのものづくりであり、そこに我々の最大の差別化がある」と語る。
工場にJetPressが設置されたのは今年の4月。立ち上げには1ヵ月も要しなかったという。そこには同社が得意とする画像処理技術、とくにRGBワークフローの知見があったようだ。大畑マネージャーは、「RGBからCMYKへの変換において、『知覚的』や『相対的』といったICCプロファイルのレンダリングインテントの選定が品質を大きく左右するケースが多く、非常に重要になってくる。このノウハウも短期間での立ち上げを後押しした」と説明する。
また、同社ではドラムスキャナが未だ現役で稼働しており、入力・撮影から出力までの一気通貫による品質の担保は、他社が真似できない差別化にも繋がっている。紙焼きを原稿として提供される有名な写真家の写真集などでも驚きの表現を叩きだし、名だたるアート業界の重鎮や若い芸術家からも高い評価を得ている。
JetPressの機長をつとめるのは、20年のオフセット印刷オペレータ経験を持つ執行役員で印刷事業部プリンティングディレクターの川勝浩平氏。「デジタルプレスには興味があった。製版部門にも籍を置いていた経験もあることから、自ら志願した」と述べ、ここで培った知識と経験をもとに、今後は他のスタッフを養成し、多能工化も進めていきたいとしている。
小ロットでハイクオリティの写真集
営業の立場から井上営業本部長は「高い技術を提供する当社は、やはり料金が高いことも否めない。それでも『サンエムカラーに印刷を頼みたい』というニーズはかなりある。そんな中で今回、JetPressを使ってサンエムカラー品質を小ロットで提供できるようになった。営業の視点で、このマーケットは日本全国、あるいは海外でもかなりあると想定している」と説明する。
それでは今後、JetPressを活用してどのようなサービスを展開していくのか。井上営業本部長は「まず、小ロットでハイクオリティの写真集がある。いまや『量産で安く』という時代ではない。1点でも技術料を頂戴し、単価を上げていく。いま『1冊10万円の作品を作りたい』という案件もある。そんな価値を訴求するビジネスを目指したい」とし、その他にも絵柄が異なる100種類のポスターなど、バリアブル機能を活かしたアイデアも商談に繋げていく考えだ。「営業として『こんなことができる』と提案すれば、顧客からは『こんなことができないか」と宿題をもらう。そこからいくらでもビジネスは広がっていく」(井上営業本部長)
一方、松井会長は、「『百聞は一見に如かず』。オフセット印刷の事業も大事だが、現在はJetPress品質の訴求を目的に、できるだけJetPressの仕事を取って発信し、『JetPressファン』を増やしたい」とし、そんな考えのもとで、オフセット印刷では苦労するような仕事をJetPressに振り向けることも実践している。
このことについて川勝氏は、「例えば、様々な絵柄の多面付けポストカード。再版時に違う絵柄が入り、面付けが変わった場合、オフセット印刷では忠実に再現できない。それがJetPressならば、履歴から設定を呼び出すだけで、いとも簡単に再現できる。あと特色も同様、オフセットだとインキを練って、ローラーを念入りに洗浄しなければならない。これがJetPressならば測色してそのまま出力するだけ。活用しない手はない」と説明する。
「サンエムっぽさ」
取材中にも「サンエムらしい」や「サンエムっぽい」という表現がよく使われていた。これは、RGBデータをデフォルトで出力するとお行儀の良い色で出てくるが、そこにサンエムカラー特有の「味付け」が必要だということ。「RGBを紙に表現するとき、結局CMYKになるため色の情報が劣化する。その落とし方をどう考えるかというICCプロファイルの設計は、JetPressに対してもオフセットで培った『サンエムっぽさ』を最大限意識している」(大畑マネージャー)
カラーマネージメントに対する考え方も、もちろん数値管理がベースになるが、最終判断は「感性」に委ねられるケースが多く、大畑マネージャーは「これが当社のおもしろいところ」と話す。JetPressによる『サンエムっぽさ』の表現も、すでにそのレベルにまで到達しているようだ。
なお、同社は10月27日から東京都現代美術館(東京都江東区三好4-1-1木場公園内)で開催される「東京アートブックフェア」に出展し、JetPressで印刷した有名作家の書籍を限定販売する。今後、この企画を足掛かりに、小ロットの写真集・技術作品集のビジネスを正式にリリースする考えだ。
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「安定したワークフローで工業製品を作るのも大事だが、我々はもう一段階上のレベルを要求される。そこでも『感性』が必要になる」(大畑マネージャー)
また、同社取締役の井上泰営業本部長も「サンエムカラーが評価する合格品質は、100点満点中110点以上。『いままでなかったもの』『顧客の期待以上のもの』を提供するのがサンエムカラーのものづくりであり、そこに我々の最大の差別化がある」と語る。
工場にJetPressが設置されたのは今年の4月。立ち上げには1ヵ月も要しなかったという。そこには同社が得意とする画像処理技術、とくにRGBワークフローの知見があったようだ。大畑マネージャーは、「RGBからCMYKへの変換において、『知覚的』や『相対的』といったICCプロファイルのレンダリングインテントの選定が品質を大きく左右するケースが多く、非常に重要になってくる。このノウハウも短期間での立ち上げを後押しした」と説明する。
また、同社ではドラムスキャナが未だ現役で稼働しており、入力・撮影から出力までの一気通貫による品質の担保は、他社が真似できない差別化にも繋がっている。紙焼きを原稿として提供される有名な写真家の写真集などでも驚きの表現を叩きだし、名だたるアート業界の重鎮や若い芸術家からも高い評価を得ている。
JetPressの機長をつとめるのは、20年のオフセット印刷オペレータ経験を持つ執行役員で印刷事業部プリンティングディレクターの川勝浩平氏。「デジタルプレスには興味があった。製版部門にも籍を置いていた経験もあることから、自ら志願した」と述べ、ここで培った知識と経験をもとに、今後は他のスタッフを養成し、多能工化も進めていきたいとしている。
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それでは今後、JetPressを活用してどのようなサービスを展開していくのか。井上営業本部長は「まず、小ロットでハイクオリティの写真集がある。いまや『量産で安く』という時代ではない。1点でも技術料を頂戴し、単価を上げていく。いま『1冊10万円の作品を作りたい』という案件もある。そんな価値を訴求するビジネスを目指したい」とし、その他にも絵柄が異なる100種類のポスターなど、バリアブル機能を活かしたアイデアも商談に繋げていく考えだ。「営業として『こんなことができる』と提案すれば、顧客からは『こんなことができないか」と宿題をもらう。そこからいくらでもビジネスは広がっていく」(井上営業本部長)
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このことについて川勝氏は、「例えば、様々な絵柄の多面付けポストカード。再版時に違う絵柄が入り、面付けが変わった場合、オフセット印刷では忠実に再現できない。それがJetPressならば、履歴から設定を呼び出すだけで、いとも簡単に再現できる。あと特色も同様、オフセットだとインキを練って、ローラーを念入りに洗浄しなければならない。これがJetPressならば測色してそのまま出力するだけ。活用しない手はない」と説明する。
「サンエムっぽさ」
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カラーマネージメントに対する考え方も、もちろん数値管理がベースになるが、最終判断は「感性」に委ねられるケースが多く、大畑マネージャーは「これが当社のおもしろいところ」と話す。JetPressによる『サンエムっぽさ』の表現も、すでにそのレベルにまで到達しているようだ。
なお、同社は10月27日から東京都現代美術館(東京都江東区三好4-1-1木場公園内)で開催される「東京アートブックフェア」に出展し、JetPressで印刷した有名作家の書籍を限定販売する。今後、この企画を足掛かりに、小ロットの写真集・技術作品集のビジネスを正式にリリースする考えだ。
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