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中川紙宗(京都)、老舗企業の新たな挑戦 〜 自社製品開発で新ブランディング

フラットベッドUV-LED IJプリンタ「UJF-7151 plus II」導入事例

2022年9月30日ケーススタディ

 創業148年を誇る京都の印刷会社、(株)中川紙宗(本社/京都市下京区四条通油小路東入傘鉾町49、中川謙治社長)は今年1月、自社製品開発における紙媒体以外へのアプローチとパッケージサンプル作成のためのデバイスとして、ミマキのフラットベッドUV-LEDインクジェットプリンタ「UJF-7151 plus II」を導入。BtoBの市場を睨みながら、高精細プリントで粒状感のない印刷品質を武器に、アートパネルや複製画などの分野に進出するとともに、「紙だけではない印刷会社」としての新たなブランディングに乗り出している。

「知恵の経営」を実践する6代目・中川社長

京都ならではの「知恵の経営」実践

 同社の創業は明治7年。いわゆる「木版」の技術によって、繊維の町として知られる京都・室町筋の呉服問屋向けに着物や帯を包む畳紙(たとうし)をはじめ、大福帳や下げ札などの帳票類を提供する「紙製品業」を生業に成長を遂げた企業だ。

 一方、戦後に入ると「ダルマ糸」ブランド(横田(株)/大阪市中央区)の箱の受注をきっかけに、パッケージ印刷事業に軸足を移し、現在でも繊維関係や観光需要(お土産品など)を中心に、売上全体の約6割がパッケージ印刷という事業構成になっている。

 老舗企業が持つ京都特有の経営資産(事業継続、事業承継の秘訣)の有効活用を目的に設立された「京都老舗の会」にも所属する同社。創業148年の歴史を誇る印刷会社として、京都ならではの「知恵の経営」を実践する6代目・中川社長は、自社の強みについて「商品包装やパッケージに携わる長い社歴の中で数々の実績とともに、多くの失敗も繰り返してきた。『オンリーワン』ではないが、その経験にもとづく制作ノウハウは最も重要な経営資産であり、当社最大の強みである」と語る。取扱商品の素材や技術などが大きく変化する一方で、先人の知恵を生かしながら顧客の声を「カタチ」にするという基本コンセプトは不変であり、その経営姿勢こそが京都企業のブランド力そのものである。今回の同社の設備投資も、そんな経営姿勢の延長線上にある。

紙媒体以外で自社企画製品を

 菊全判オフセット印刷機とトナーPOD機を設備する同社が、今回新たにインクジェット技術への投資を決断した背景には、148年の社歴の中で幾度となく繰り返してきた「事業変革」の実践において、「印刷会社として自社製品を手掛ける」というミッションがあった。

 「当社の製品は間接資材がほとんどで、これまで自社製品と呼べるものがなかった。そこでコロナ禍の挑戦のひとつとして、自社企画の文具製品のネット販売を開始している。しかし、その中で『紙媒体だけでは限界がある』という声が企画からあがった。商品群の拡充には紙以外に印刷できるデバイスが必要だった」(中川社長)

 以前から「トナーPOD機では対応できない素材へのアプローチ」を考えていた同社。インクジェットプリンタは、その最有力候補として研究を重ねていたこともあり、事業再構築補助金の活用も視野に入れながら、企画部門からの声に後押しされる形で設備投資への検討を本格化させた。

 そこで機種選択のポイントになったのは「紙以外への印刷適性」はもちろん、「パッケージサンプル作成に適した印刷サイズ」という要件もあった。

 「パッケージサンプルを作成する際、せめてB2サイズが出力できないと実用性に乏しい。一方で、当社のオフセット印刷機は菊全判サイズ。それ以上の出力サイズ対応プリンタでサンプルを作っても量産ができない。このサイズ感で厚紙に対応するフラットベッドタイプとなると機種はかなり絞られた」(中川社長)

 そして最終的にすべての要件をクリアしたのがミマキのフラットベッドUV-LEDインクジェットプリンタ「UJF-7151 plus II」だ。2022年1月に実機が本社内に設置され、2月から商業ベースで実稼働している。

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「知恵の経営」を実践する6代目・中川社長

京都ならではの「知恵の経営」実践

 同社の創業は明治7年。いわゆる「木版」の技術によって、繊維の町として知られる京都・室町筋の呉服問屋向けに着物や帯を包む畳紙(たとうし)をはじめ、大福帳や下げ札などの帳票類を提供する「紙製品業」を生業に成長を遂げた企業だ。

 一方、戦後に入ると「ダルマ糸」ブランド(横田(株)/大阪市中央区)の箱の受注をきっかけに、パッケージ印刷事業に軸足を移し、現在でも繊維関係や観光需要(お土産品など)を中心に、売上全体の約6割がパッケージ印刷という事業構成になっている。

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紙媒体以外で自社企画製品を

 菊全判オフセット印刷機とトナーPOD機を設備する同社が、今回新たにインクジェット技術への投資を決断した背景には、148年の社歴の中で幾度となく繰り返してきた「事業変革」の実践において、「印刷会社として自社製品を手掛ける」というミッションがあった。

 「当社の製品は間接資材がほとんどで、これまで自社製品と呼べるものがなかった。そこでコロナ禍の挑戦のひとつとして、自社企画の文具製品のネット販売を開始している。しかし、その中で『紙媒体だけでは限界がある』という声が企画からあがった。商品群の拡充には紙以外に印刷できるデバイスが必要だった」(中川社長)

 以前から「トナーPOD機では対応できない素材へのアプローチ」を考えていた同社。インクジェットプリンタは、その最有力候補として研究を重ねていたこともあり、事業再構築補助金の活用も視野に入れながら、企画部門からの声に後押しされる形で設備投資への検討を本格化させた。

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